第7話 守
リューセイはある場所に来ていた。
そこはひらけた場所で、一見すると、特にこれといった特徴はなかった。
強いて言えば、子供が多いくらい。
「おーい、メイはいるか?」
「はいはーい」
リューセイが呼びかけると、一羽のコウノトリが飛んできた。
「なぁ、ユキはいるか?」
「あっちにいるわよ。ついてきて」
そう言われて向かった先には、一匹のシマエナガの雛がいた。
「よかった。元気そうだな」
安堵するリューセイにミラが聞く。
「ねぇ。ユキちゃんのことは聞いてたけど、出会ったきっかけってなんなの?」
リューセイが答える。
「大きいことはねぇよ。たまたまここに寄ったときになんか目が引かれてな。
その頃ユキは元気ではなかったから、少し気にかけてたんだ」
コウノトリ、メイも語り出す。
「ここは様々な原因で子供のうちに生を終えた子たちがくるところ。まだ幼い頃に来た子たちだから、親の顔を覚えてない子たちも多いの。
その子たちを気にかけて、リューセイが時々来てくれてたのよ」
「あぁ、暇な時間があるならせめてこういうとこに来ようと思ってな」
ミラが納得するかのように顔を揺らす。
すると――
「ユキちゃんって名前、リューセイが付けたのよ?」
「そうなの?」
ミラの明るい顔に、リューセイは不器用に答える。
「まぁな。まだ名前が付いてなかったから、せっかくならと思ってな。
白くて綺麗な子だったから、ユキって名付けた。
安直だけどな」
そう言いながら、リューセイは指で、優しく雛の頭を撫でる。
「リューセイは良い世話係ね」
「メイのほうがいつもここにいるだろ」
そのとき……
「ヴァ〜」
草食竜、エドモントサウルスの子供が、近づいてきた。
「……はいはい」
軽くあしらうように、リューセイは寄ってきた子供の頭を撫でる。
「すいません、うちの子が……」
慌てた母親がやってきて、子供をリューセイから引き離す。
「別に気にしなくていいですよ」
その一言に安心したのか、母親はもう一度頭を下げ、子供を連れて帰っていった。
「リューセイ好かれてるんだね!」
「……そうか?」
そんな会話をしながら、リューセイとミラはユキに手を振ってメイたちと別れた。
「……元気そうでよかった」
空は、穏やかだった。
そのとき――
「おい。リューセイ!」
一匹のバーバリライオンが慌てるように走ってきた。
「おーおーなんだなんだ」
「ちょっと来てくれ」
言われるがまま、リューセイたちはついて行った。
―
「富士山が噴火!?」
「あぁ、さっき本部から連絡があって、富士山による大規模な噴火が起きるかもしれないって」
バーバリライオン、ユマに告げられた事実に、さすがのリューセイも戸惑いを隠せなかった。
「テラスさんからお電話です」
リューセイの控えのコウモリも慌ててエコーラインを差し出す。
「テラス、話は聞いた。富士山噴火だな?」
「あぁ、とりあえず火山噴火抑制部には連絡してるから、リューセイもそっちに向かってほしい。記録頼んだ」
了承したリューセイは、記録のノートなどを支度し始める。
「俺ら火山噴火抑制部はもう向かう。
記録は頼んだ」
「分かってるよ」
ユマはリューセイの了承を得ると、一目散に走り出した。
「急げぇぇぇ!!!
富士山が噴火するぞぉぉ!!!」
この声を聞いたキツツキが鐘をつついて大音量で鳴らす。辺りは一気に緊張感に包まれていた。
――すると、そのとき
〈本部から連絡です。
火山噴火抑制部の手が足りない可能性があります。
火山噴火沈静や機械に詳しい方がいましたら、手を貸してください。繰り返します――〉
辺りに放送が鳴り響く。
――数十分前――
「……リオウか。連絡は聞いたと思うが、噴火の要請だ」
「あぁ、それのことで一つ相談があるんだが」
リオウは本部に相談に来ていた。
「どうした?」
「富士山は活火山の中でも大きく扱いにくい。
それで、今の火山噴火抑制部だけじゃ手が足りない可能性があるんだ」
「専門のあんたらでどうにかならないのか?」
テラスが言うと
「俺はティラノサウルスだ。この手の指を見ろ。
……たった四本だ。こんなんでまともに操作できるわけがない」
「今までうまく沈静してきただろ」
「まぁ、今のは半分冗談だが半分本気だ。
手が足りない可能性があるから、放送で救援を要請してほしいんだ……」
――場面は戻る。
「救援か?」
「手が足りないのかな?」
リューセイやミラ含め、救援要請という聞き慣れない放送に、皆が耳を澄ませていた。
「……………」
――そして
この放送を聞き、誰よりも早く動いている者がいた……。




