気まずい
家族の皆さんへのお土産も、バッチリ持った。
思いやりの心も持った。
…なんなら、傷心も持ったままでしたけど…持ってきてしまったものは、仕方ない。
と言いますか…
傷心は、どうしても…ついてきてしまうんです。
仕方ありませんね。
そんなにいうならあなたもいきますよ、ってなもんです。
傷心は、いつまでもオレに懐いてしまったっぽいな。
こいつが、いったいいつまでオレに懐いて付きまとうのかわからないけど、でもこいつが離れるまでは、傷心ってヤツとうまくやっていくしかない。
駅弁を買ってテンションを上げていく。
そして、ジュースとお菓子も買ってテンション爆上がりして、血糖値も爆上がりだ。
たまには、爆上がりもいいだろう。
そんなアゲアゲで電車に揺られること、数時間…
爆睡して、いつのまにか目的地です。
家族へのお土産の入ったバッグを持って、傷心も連れての、帰省祭りの始まりです。
祭り…では…ないか?
ならば…帰省大会?とか⁇
いや、普通に帰省でいっか。
なので、普通に帰省した。
今回の帰省は、すんなりと家の玄関があきました。
よかった。
夏は、母さんから締め出しくらったからな。
締め出しっていうか…
まだ入ってもなかったから、締め出されてないか。
…
とにかく、無事家に入れてのんびりとお茶をすすった。
冬とは違って、こたつがない。
こたつがないのに、家の中は心地よい温度になっている。
今日は、家族全員がすでに大集合だった。
なので、お土産を早々にプレゼントすることにした。
まず、父さんからだ。
父さんには、地元でしか手に入らないお酒を購入した。
普段あまりお酒を飲まない父だけど、たまに連休前とかに息抜きとしてのむのがいいらしい。
とても喜んでくれた。
休み前の楽しみができたと。
オレは?オレのは⁉︎
くいぎみでやってきた弟。
弟は、受験合格祝いもあったので、オレのおすすめ文房具詰め合わせをプレゼントした。
あと、大好きなお菓子もたくさんプレゼントした。
ありがとう‼︎ありがとー‼︎と喜ぶ弟は、やっぱりかわいい。
無邪気すぎてかわいいじゃないか!
よかったわねと、父も母も一緒に嬉しそうだった。
家族が嬉しいと、皆笑顔だ。
そんな笑顔の母さんにも、プレゼントを差し上げた。
腕やあしを揉んでくれるマッサージ器だ。
母さんは、肩凝りがひどいらしい。
でも、肩だけをほぐしても逆効果だと聞いたことがある。
太ももや腕をほぐすことで、血流も良くしないとダメなんだそう。
それを教えて差し上げた。
「あ、あとさ水とか白湯なんかをたくさん飲みなよ?」
「え、そうそう。水分って大事なのよね。母さんも最近知ったのよ。で、帰省のお祝いの炭酸は、なんでしょう‼︎」
?
帰省のお祝いの炭酸⁇
「え、なに?帰省の…なにって?」
「母さん…先走りすぎだってば」
父さんが呆れ顔をしていた。
「あ、はやとちったわ…乾杯する飲み物を問題にするつもりだったんだけど…」
「…もう、母さんは…せっかちすぎるんだよ」
呆れたように春翔が、黒いなにかに目を向けた。
「えっ、これ買ったんだ?」
「そうなのよ。いいわよ!これ」
家でつくれる炭酸のやつだ。
「なんと、冬季の分も購入済みでーす‼︎」
「マジ⁉︎」
「マジよ。ただ…」
「ただ?」
「重いから…帰り大変かも。送ろっか?」
「ううん。大丈夫!オレ、筋肉には自信あるから」
「あら、それは頼もしいわね。」
家族には、筋肉自慢…しちゃったけど、いいよね?
家族だもんね…?
帰省してすぐに和み、やっぱりいいなぁ〜、家って癒えだなぁなんてほっこりとした。
ほっこりして旅の疲れを癒し、その日は団らんして、楽しく過ごした。
そして…
次の日は地元の友達と遊んで夕方、家に戻ったんだけど…
母さんがめっちゃニタニタしていた。
なんだよ?
なんなんだ?と思いながら部屋のドアをオープンすると…
いたんです…
部屋に…いたんです。
いるはずのないあの人が…
そう…
他人さんの那月さんが…
…
えと、これは…
オレの幻聴…ですよね⁇
いや、いゃ〜……耳だけに、いゃあー〜‼︎って叫んでる場合ではない。
幻聴じゃなくて、幻覚だ。
で…
一応…話しかけてみた。
「あの…」
オレの声にびっくりして振り向く那月さん。
そしてボソッと
「まだ…いたんだ…」
とつぶやかれました…ね。
…
「あの…オレ……」
き、気まずい…
日にち間違えた⁉︎
まだ…いたんだってさ…言われて、オレの心の傷もいたんだ。
ズキズキ ドクドク…毒毒…
脈は、完全に汚染された。
…
気まずそうにしていると、那月さんも気まずそうに
「あ…、え…と…あのですね…わたし、今…大切な人を待っていて…すみませんが、しばらくここにいてもいいですか?あなたの部屋なのは、わかります。でも…伝えたいことがあるんです。彼が…たぶん彼がここに来ると思うんです。彼、うっかりさんなので。なので…すみませんが…」
と、おっしゃったね。
…
「あ、じゃあ…オレ、リビングにいますんで、どうぞこちらで。じゃあ、ごゆっくり。」
パタンとドアをしめた。
びっくりしたー…
まさかオレの部屋に那月が…いや、那月さんがいるなんて。
てかさ、オレの部屋でだれ待つんだよ⁉︎
オレか?
いや、オレは今追い出されたばっかりだった。
じゃあ…那月さんは、いったいだれをオレの部屋で待つってんだよ⁉︎
…
…
?
友達とオレの部屋で待ち合わせとかないよな?
今日は、冬季んちでいいよねーって⁉︎
オレ抜きで?
待ち合わせ場所にするくらい、いいでしょ?的な?
いや、ないか…
うっかりさんの彼って言ってたね?
まさか…那月さん宅は、隣だけど…
うっかり隣の家に来ちゃうってこと⁉︎
いや、それもないか…
…
だとすると、那月さんは…
那月さんが待っているのは…
オレの家族…?
この家にいる人ってこと?
…
まさか…父さん…なわけ…
…
じゃあ…
だとしたら…弟⁉︎
えっ…
えっ⁉︎
あ、弟…彼女いるって言ってたな…。
夏にチョコあげた時も、速攻で彼女にあげていいかって…おっしゃってたな⁉︎
えっ⁉︎
えっ⁈
そういうことなの⁉︎
えっ⁉︎
弟と那月さんがっ⁉︎
続く。




