母さん
無事、さようなら大会が終わった。
ほんとに終わったんかな?
第二回さようなら大会が始まる可能性もある。
そもそも、アレが第一回なのかも曖昧だ。
どうしよう…
一日中大会が開催されていたら…
身が持たないって。
…
そんな時は、仕方ない…
開催を受け入れるしかない…
第三回目の、さようなら大会が始まる前に家についた。
ホッ
危ない危ない。
帰るとすぐに春翔が駆け寄ってきた。
「チョコはー?」
ってさ。
やっぱりかわいい弟だ。
さっき買ったばかりのお土産と一緒に、たくさんのチョコを渡した。
「少しとけてたらごめんな」
「そんな時は、また固めるし。なんならトロトロの方がオレは好き」
…
なんてポジティブ思考な弟よ。
かわいさ倍増中やんけ。
そりゃ、彼女もできるわな。
オレと違って…
…
おっと、いけません。
第三回、さようなら大会が始まるところでした。
クヨクヨしてても仕方ないよな。
弟を見習おう‼︎
帰省して、受験生の弟を見習ったオレは、白湯を飲んで、夕飯の支度をお手伝いした。
「なんか手伝うよ」
オレの言葉に絶句する母。
…
「え…あんた……」
…
「なんだよ、オレはかわったんだって。なにする?サラダでも作ろうか?」
…
「サ…サラ…ダ…?」
…
「なに日本語覚えたて、みたいな感じになってんの?母さんは、やっぱりおもしろいよ」
…
「いや…いや…あんた…ほんとに冬季なの⁉︎サラダなんか美味しくないって、ずっと食べなかったじゃないの。……ねぇ、やっぱりお金…たりないの?まさか草とか食べて暮らしてるんじゃないでしょうね?だからあんなに庭の草取りしたの?持ち帰って食べるつもりなの?」
…
「それは、さすがにないって。そもそもダイエットプランによると、野菜がいいんだよ」
「あぁ、ダイエット…ね。てか、なんでいきなりダイエットなんか?まさか彼女できたの?ん?ん?」
…
あぁ、そういえばオレって…
これから先、ダイエットする意味ってあるのかなぁ?
そもそも…
…
い、いかん‼︎
心のタンス扉が…ひらこうとしているっ‼︎
慌ててドアをバタンとしめた。
「なんかさ、からだが軽いんだ。」
「え?浮いてるの?」
オレの足元をみる母さん。
「浮いてないよ。太ってるとさ、いつでもダルいんだ。でも、痩せたら軽くてさ」
「あー、そういうことね。母さんは、痩せてるけどいつでもだるいわよ」
…
いや、結構…お腹丸々してるくね?
手もぱんぱんだよね?
「ダルいけど、歯は丈夫なのよ」
いきなりせんべいを食べだす母。
⁉︎
「え、晩飯前…だけど?」
「そうなのよ。なんか作ってると何かしら食べたくなるお年頃ってやつかしらね〜」
バリバリ ぽりぽり
手際よく料理しながら、母さんはせんべいを頬張った。
「あ、冬季トマト洗ってよ」
「うん」
母さんと並んで台所にいるなんて、少し不思議な感じだった。
「ねぇ、冬季…背伸びたわね?やっぱり浮いてるんじゃない⁉︎」
…
またも、足元を確認してくる母さん。
「いや、浮いてないから。でも…もしかしたら背のびたのかも」
「ねー。そのうち天井突き破るわね」
「それは、ないだろ」
「ふふ」
そう笑う母さんが、なんだか愛おしく思えた。
親孝行…もっとたくさんしなきゃだな。
「あとで肩揉みしてあげるよ」
…
母さんは、また固まった。
「今じゃないよ?肩揉み待ち今されても困るよ?」
…
「え…冬季…ほんとにかわったのね。見た目だけじゃなくて、中身もかわるのね。大学って…すごいわねー」
…
「べつに…大学がすごいわけじゃ…」
すごいのは…那…
幼馴染…の那…
「あ、オレ…テーブル拭いとくわ」
えっ⁉︎そんなこともできるの風ガン見してくる母さん。
オレって、よっぽど今まで甘えて暮らしてたんだな。
少し反省した。
いや、かなりの大反省だ。
反省したオレは、夜母さんに肩揉みをしながら、色々痩せる為にしてきたことを話した。
そして、母さんもダイエットしてみようかしら?でも、痩せるところなんてないのよねと現実逃避していたから、肩の肉をムニっとつまんで差し上げた。
これでムダな肉のことに気づくよね?って。
でも母さんは、その肉皮ほぐしいいわねと、マッサージを堪能するのでありました。
続く。




