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第3話:勘違いの『調教』生活 ~辺境伯はストイックすぎてコリが激しい~



第3話:勘違いの『調教』生活

~辺境伯はストイックすぎてコリが激しい~


 1.


 リバシブル辺境伯領での生活は、一言で言えば「天国」だった。

 実家のウィップス子爵家では、姉のエラリアが世界の中心で、私はその背景か、あるいはストレス発散のためのサンドバッグ扱いだった。食事は残り物、部屋は物置、仕事はメイド以下。

 それがどうだろう。ここに来てからは、私は「凄腕の牧場管理官」として、使用人たちから崇め奉られているのだ。


「チコリア様! 本日も素晴らしいご指導でした!」

「チコリア様のおかげで、鶏たちが卵を産みすぎて困るくらいです! どうぞ、採れたての卵を使ったプリンです!」


 廊下を歩けば感謝の言葉と貢物が飛んでくる。

 私の仕事は、実家でやっていたことと変わらない。ただ、『薔薇の鞭』を使って、言葉の通じない動物たちに「社会のルール」と「ツボの快楽」を教えているだけだ。

 それだけで、食卓のクオリティが爆上がりし、結果として私の生活環境も向上する。素晴らしい循環だ。


「んん~っ! 北部のジャガバター、犯罪的な美味しさですよお嬢様!」


 談話室のソファで、専属侍女のララが至福の表情でジャガイモを頬張っている。


「ララ、食べ過ぎよ。制服のサイズ直し、もう三回目でしょう?」

「大丈夫です、今回は背中をゴムシャーリングに改造しましたから。……それよりお嬢様、旦那様のご様子が変ではありませんか?」


 ララが口元についたバターを舐めながら、真面目な顔で言った。


「変って?」

「なんだか最近、ソワソワしているというか……お嬢様を見る目が、こう、飢えた肉食獣みたいなんですよ」


 私は編み物をしていた手を止めた。

 言われてみれば、確かにそうだ。

 ここ数日、エスム様の様子がおかしい。廊下ですれ違うと、なぜか期待に満ちた目で私を見つめ、私が「お疲れ様です」とだけ言って通り過ぎると、捨てられた子犬のように落胆する。

 食事中も、私が肉をナイフで切る音にビクンと反応し、熱っぽい吐息を漏らしている。


「……疲れが溜まっているのね」


 私は冷静に分析した。


「え? 疲れですか?」

「そうよ。辺境伯の仕事は激務だもの。国境警備に、領地の魔物討伐。それに私という新しい従業員を雇い入れた手続きとかで、気苦労も多いんでしょう」


 軍人は体が資本だ。

 常に気を張っているから、筋肉が凝り固まり、自律神経が乱れて、あのような奇行に走るのだ。

 良い雇用主スポンサーには、長く健康でいてもらわなければならない。もし彼が倒れたら、私はまたあの実家に戻るか、路頭に迷うことになる。それだけは阻止しなければ。


「よし、今夜は私がエスム様のメンテナンスをするわ」

「メンテ、ですか?」

「ええ。とっておきのコースで、溜まりに溜まったモノを吐き出させてあげる!」


 流れが良くなればきっと体調も良くなり、精神も安定するはず。

 私が拳を握りしめると、ララは「……お嬢様、そのセリフ、一般的にはかなり誤解を招く表現ですよ」と呟いたが、気合いを入れている私の耳には入ってきていなかった。


 2.


 その夜。

 夕食を終えたエスム様は、私室のサロンでくつろいでいた。

 いや、くつろいでいるというより、ソファに座って貧乏ゆすりをし、時折チラチラと時計を見てはため息をついている。重症だ。仕事中毒の禁断症状が出ている。


「失礼します、閣下」


 私が部屋に入ると、エスム様は弾かれたように顔を上げた。


「チ、チコリア! どうしたんだ、こんな夜更けに。……もしかして、私に用か?」


 彼は平静を装っているが、声が上ずっている。


「閣下、単刀直入に申し上げます。……体が、うずいているのではありませんか?」


 図星だったらしい。エスム様は目を見開き、顔を真っ赤にした。


「なっ……! なぜそれを……!?」

「見ていればわかります。ここ数日、ずっと我慢していましたよね? 欲求不満が顔に出ていますよ。限界でしょう?」


 運動不足と、筋肉の凝りによる血行不良。

 そして何より、私の鞭さばきを見て「自分も鍛えられたい」という武人としての向上心が暴走しているのだ。

 エスム様は震える手で口元を覆った。


「あ、ああ……君には敵わないな。私の浅ましい欲望など、すべてお見通しというわけか……。そうだ、私は君に……飢えていたんだ!」

「浅ましくなんてありません。人間なら当然の生理現象です。……溜め込むと体に毒ですよ」

「チコリア……!」


 彼は感動したように私の名をつぶやいた。

 さすが北部の男、ストイックさに関しては変態的なレベルだ。


「というわけで、施術の準備をしてきました。広い場所がいいので、寝室へ移動しましょう」

「し、寝室へ!? い、いきなりか? 心の準備が……いや、望むところだ!」


 エスム様は脱兎のごとく立ち上がると、スキップしそうな勢いで寝室へ向かった。

 あの振る舞いは、完全に空元気だ。躁状態に近い。早く鎮めて、深い眠りにつかせてあげなければ。


 3.


 辺境伯の寝室は、無駄に広かった。

 天蓋付きの巨大なベッドは、大人五人が余裕で会議できそうだ。


「では閣下、上着を脱いで、ベッドにうつ伏せになってください」

「うつ伏せ……? 後ろから攻めるのが好みなのか?」

「背中が一番凝っていますからね。効率よくほぐすには、それが一番です」


 エスム様はゴクリと喉を鳴らし、震える指でシャツのボタンを外した。

 露わになったその背中は、素晴らしい筋肉に覆われていた。広背筋の広がり、引き締まったウエスト。数々の古傷が、彼が前線で体を張ってきた証拠だ。

 だが、触れてみると、鉄板のように硬かった。


(うわぁ、ガチガチじゃない。これじゃ血も巡らないし、思考もネガティブになるわ)


 指で押したくらいではビクともしない。

 これは、荒療治が必要だ。

 私はスカートのポケットから、愛用の『薔薇の鞭』を取り出した。


「さあ、始めますよ」

「む、鞭か……! いきなり道具を使うのか……!」

「素手じゃ無理そうなので。……少し痛いかもしれませんが、声を出して楽にしてくださいね」


 私が言うと、エスム様は枕に顔を埋め、くぐもった声で答えた。


「ああ……好きにしてくれ……私の女王様……」


 許可は得た。

 私は鞭の持ち手を握りしめた。このグリップの先端は硬質な宝石でできており、ツボ押し棒としては最高級の品質なのだ。

 まずは、肩甲骨の内側。『膏肓こうこう』のツボ。

 私は狙いを定め、グリップの先端を垂直に突き立てた。

 グリンッ!


「ぎゃあああああああああああっ!!??」


 エスム様の絶叫が寝室に響き渡った。

 いい反応だ。やはり相当溜まっている。


「痛いですか? でも、逃げないでくださいね。ここが一番の急所ですから」

「あぐっ、あがっ! そ、そこは……! 深い、深すぎる……ッ!!」


 私は容赦なく、凝り固まった筋肉の繊維を断ち切るように、グリップをねじ込んだ。

 エスム様はベッドのシーツを爪が白くなるほど握りしめ、背中を海老反らせている。


「力まないでください。息を吐いてー。はい、リラックスー」

「リラッ……無理ッ! 痛い! でも、ああああっ! 熱い! 何か熱いものが流れてくる!」

「血行が良くなっている証拠です。毒素が流れていますよ」


 次は腰だ。

 私は鞭を持ち替え、しなやかな革の部分を使った。

 ピシッ、ピシッ、とリズミカルに腰回りを叩く。皮膚に刺激を与え、表面の血流を促すのだ。


「ひぐっ! う、ううっ! その音……その痛み……たまらない……ッ!」

「いい音でしょう? 私、この音で羊たちを寝かしつけているんです」

「私を……家畜と同じに……扱うのか……ッ! 最高だ……!」


 意味不明なことを言っているが、痛みのあまり脳内麻薬が出ているのだろう。

 私は仕上げにかかった。

 太ももの裏、ハムストリングス。ここが硬いと腰痛の原因になる。

 私はベッドの上に乗り、エスム様の太ももを、全体重をかけて鞭の柄でグリグリと押しつけた。


「うおおおおおおおおっ! そこ! 先日の! あの場所だあああああッ!!」

「はい、先日の古傷(踏んでしまった場所)も、こうしてほぐせば治りが早くなりますよー」

「壊れる! 私の理性が! 尊厳が! ああっ、素晴らしいっ! もう耐えられないっ!うっ……」


 エスム様は激しく痙攣し、やがて「ありがとう……」と呟いて、ぐったりと脱力し、そのまま眠りについた。

 完全に筋肉が緩んだ証拠だ。

 スゥスゥと健やかな寝息を立てて、表情もとても穏やかだった。

 ここ数日はとても厳しい顔つきをしていたので、リラックス出来た証拠だろう。

 このまま深い眠りにつけば、明日はきっと元気になられるはず!


(ふぅ、いい仕事をしたわ。今までは家畜ばかりだったけど、人にして差し上げるのもいいかも)


 私は汗をぬぐい、満足げに鞭を収めた。

 一方その頃。

 寝室のドアの外では、執事長のセバスとメイドたちが、顔を真っ赤にして聞き耳を立てていた。


「『痛い』『深い』『熱い』……」

「『声を出して楽にして』……」

「なんて激しいプレイなんだ……」

「旦那様、ついに理想の相手を見つけたのですね……」


 翌日から、屋敷中の使用人が私を見る目に「畏敬」と「赤面」が混じるようになったのだが、私は「エスム様からマッサージの効果についてお話があったのね」と勘違いし続けていた。


 4.


 翌朝。

 エスム様は、別人のように晴れやかな顔で食堂に現れた。

 肌はツヤツヤ、背筋はピンと伸び、歩くたびにキラキラとしたオーラを撒き散らしている。


「おはよう、チコリア! 今日の空はなんて青いんだ!」

「おはようございます、閣下。調子が良さそうですね」

「ああ、最高だ! 体が軽い! まるで生まれ変わったようだ!」


 彼は私の手を取り、紳士的に手の甲に口づけを落とした。


「昨夜の君は凄かった。私の想像を遥かに超えていたよ。まさか、あんなにも深く、激しく私を愛してくれるとは」


 マッサージを「愛」と表現するとは、さすが感受性の豊かな貴族だ。

 施術料は請求していないが、感謝されるのは悪い気分ではない。時間外手当として、いつの日か請求できる日が来るといいな。


「お礼と言ってはなんだが、これを受け取ってほしい」


 時間外手当や施術料金表など、ぐるぐる思考を巡らせていると、パチン、と彼が指を鳴らす。   

 ドアが開き、メイドたちが大量の箱を運んできた。

 開けてみると、中身はすべて見たことのない高そうなドレスや宝石、靴だった。



「えっ、こんなに? さすがに多すぎませんか?」


 単なるマッサージに対しての報酬にしては多すぎるし豪華すぎる品々だった。


「何を言う。君は私のパートナーだ。……それに、君の美しさを際立たせる衣装を、私が選んでみたかったんだ」


 エスム様が選んだドレスは、どれも上品だが、背中が大胆に開いていたり、ボディラインが強調されるデザインだったりした。

 なるほど、機能性重視ね。動きやすそうだし、これなら次の施術もしやすいわ。

 私はこれらを「ボーナス現物支給」兼「制服」としてありがたく受け取った。


 5.


 平和だった。

 このまま、このちょっと変わった辺境伯様と、美味しいご飯と、可愛い動物たちに囲まれて暮らすのも悪くない。

 ……辺境伯様に多少思うところはあるけれど、実家のことなど忘れて、ここで一生、快適な社畜ライフを――。


 そう思っていた矢先のことだった。


 一通の手紙が、その平和を打ち砕いた。

 夕食後のサロン。

 王家の紋章が入った封蝋付きの手紙を読み終えたエスム様が、スッと真面目な顔になった。


「……王太子殿下からの招待状だ」

「招待状、ですか? 閣下のご友人でしたよね」

「ああ。来月、王宮で建国記念の祝賀パーティーが開かれる。そこに、私と……『婚約者』を連れて来いとのお達しだ」


 私は首を傾げた。


「へえ、婚約者ですか。おめでとうございます。どこのどなたですか?」


 エスム様はキョトンとして、そして少し悲しそうな顔で私を見た。


「……チコリア、君だよ」

「はい?」


 私は自分の耳を疑った。


「え、私? 誰がですか?」

「だから、君だ。私が殿下に『運命の女性を見つけた、彼女こそ我が妻』と報告したからな」

「えええええぇぇ!?」


 私は思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。

 待って待って。情報の整理が追いつかない。

 私はてっきり、「住み込みの牧場管理官兼ボディケア担当トレーナー」として雇われたと思っていた。

 それがいつの間にか、「辺境伯の婚約者」にクラスチェンジしていたなんて。


「か、閣下、正気ですか? 私はただの子爵家の次女、しかも家畜の世話係ですよ? 辺境伯夫人の器じゃありません」

「身分など関係ない! 私が必要としているのは、私の全てを受け止め、支配してくれる君の魂だ!」


 エスム様が力説する。熱意は伝わるが、論点がズレている気がする。


 だが、問題はそこではない。


 王宮でのパーティー。

 そこには当然、貴族たちが集まる。

 つまり――私の実家、ウィップス家の人々も来るということだ。


(……うわぁ、面倒くさい)


 恐怖? いや、そんな可愛らしい感情ではない。

 純粋な「嫌悪感」と「徒労感」だ。

 姉のエラリア姉様は、性格が捻じ曲がったナルシストだ。自分が一番でないと気が済まない。

 私が「辺境伯の婚約者」として現れたら?

 発狂して喚き散らすか、あることないこと吹聴して私を貶めるに決まっている。

 両親もそうだ。姉の言うことしか聞かないあの人たちは、きっと私を「姉の幸せを奪った泥棒猫」呼ばわりして、会場で騒ぎを起こすだろう。


(想像するだけで頭が痛い。精神ががゴリゴリ削られるのが目に見えてるわ)


 私は露骨に嫌そうな顔をした。


「……行きたくありません」

「チコリア?」

「絶対に行きたくありません。パーティーなんて退屈だし、何より……実家の人間と顔を合わせるのが嫌です」


 私は正直に言った。

 もし会場で姉たちが騒ぎを起こせば、エスム様の顔に泥を塗ることになる。

 そうなれば、「君のようなトラブルメーカーは雇っておけん」とクビにされるかもしれない。

 クビになれば、この快適な生活――ふかふかのベッド、美味しいご飯、敬ってくれる使用人たち――すべてを失うのだ。そしてすっかり忘れていたが、ララにも苦情を言われるかもしれない。  

 あの子の食べ物に対する執着と恨みは恐ろしい。

 なにより実家に戻るなんて死んでも御免だし、路頭に迷うのも嫌だ。

 私の安寧を守るためには、リスク(家族)には近づかないのが一番だ。


「面倒事は御免です。私はここで羊の世話をしていますので、閣下はお一人でどうぞ」


 私が背を向けようとすると、ガシッ! と強い力で肩を掴まれた。


「チコリア! 待ってくれ!」


 振り返ると、エスム様が今まで見たこともないほど真剣な、そして悲痛な表情で私を見ていた。


「君が何を恐れているのか、私には分かる」

「はあ……(いや、恐れてるんじゃなくて面倒なだけなんですけど)」

「君の実家での扱いについては、調査させて知っている。……酷い話だ。家族から虐げられ、存在を否定されてきた君にとって、彼らとの再会がどれほどの恐怖か……!」


 エスム様の瞳が潤んでいる。

 あれ、もしかして勘違いしている?私が「トラウマに怯える可哀想な少女」にでも見えているのかしら。

 まぁ訂正するのも面倒なので、黙って聞いておく。


「だが、安心してほしい。君はもう、孤独な少女ではない。私の……エスム・リバシブルの大切なパートナーだ」

「ええ、まあ、(雇用)契約上はそうですね」

「たとえ国王陛下であろうと、君を傷つける者は私が許さない。君の家族が何を言おうと、私が全て撥ね退ける!」


 彼は私の手を両手で包み込み、膝をついて私の視線に合わせた。


「私は君の盾になろう。君にあらゆる危害が及ぶなら、私が全て身代わりになる。どんな罵倒も、軽蔑も、すべて私が君の代わりに真正面から受け止めよう!」


 彼の目が、怪しくギラリと光った。


「君への蔑みなど、すべて私へのご褒美……いや、私が処理する! だから、君は私の後ろで、優雅に笑っていればいいんだ!」

(……ん? 今、ご褒美って言った?)


 まあいい。

 要するに、彼はこう言っているのだ。

 「面倒なクレーム対応(家族の相手)は、全部俺(上官)が引き受けるから、お前(部下)は安心して出張についてこい」と。

 

 私は脳内で天秤にかけた。


 『行かない場合』:王太子の命令無視になり、エスム様の立場が悪くなる。→巡り巡って私の待遇が悪化するかも。

 『行く場合』:姉たちに遭遇するリスクはあるが、エスム様が全責任を持って壁になってくれる。→私は安全圏から高みの見物ができる。


(……上官がそこまで言うなら、付き合ってあげるのが優秀な部下よね)


 それに、もし姉たちが本当に騒いでエスム様に迷惑をかけようものなら、その時は私がこっそり裏から手を回して(物理的に)黙らせればいい。

 試した事はないけど、私の『薔薇の鞭』は、暴馬や羊だけでなく、騒ぐ人間を黙らせるのにも有効なはずだから。

 この北の辺境の地で私は強くなったのだ。


「……わかりました。そこまで仰るなら、お供します」


 私がため息混じりに承諾すると、エスム様はパァァッと顔を輝かせた。


「ありがとう、チコリア! 君ならそう言ってくれると信じていた! さあ、そうと決まれば特訓だ!」

「特訓? まさか、礼儀作法の?」

「違う! パーティーに向けたダンスの練習と、夜の……マッサージの強化合宿だ! 本番で何が起きても私が耐えられるように、私の体をさらに完璧に仕上げてくれ!」


 結局そこか。


 うすうす、なんとなく、気がつかないふりをしていたけど、エスム様はどうも痛みを何かしらに変換できるタイプのお方の様だと。

 実害は無いので、特に問題はないから放置してはいるけれど。

 私はやれやれと首を振った。この単純で頑丈な人がパートナーで良かったと、少しだけ思った。

 エラリア姉様なんて、この人の変態的な打たれ強さに比べれば、そよ風みたいなものかもしれない。


 だが、私はまだ甘く見ていた。


 姉の歪んだ執念が、単なる嫌がらせのレベルを超えて、国を揺るがす「災害」を引き起こす準備をしていることを。

 そしてそのパーティーが、私の「害獣駆除」の腕前を全国に披露する場になることを。

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