怖い話投稿サイトに投稿された話『ジュース棚の眼』
数日前の話です。
ちょうどアイスが食べたいと思って、近くのコンビニに行きました。
歩いて5分くらいにあるコンビニで、よく利用するとこです。
そこに行ったんですけど、その日は雨というか湿気が酷くて。
だから、コンビニの周りも霧で覆われていたんです。
まぁ、こんな天気だしなと思いながらコンビニに入りました。
で、アイスを買ってジュースも欲しいと思って棚を見ていたんです。
店内というか、なんかおかしくって。
BGMでしたっけ。流れているの。
それが、なんか男の人の話し声なんです。
ただ、なんというか、Youtube動画みたいな喋っているような。
それがずっと流れてて。
おかしいですよね?普通、流行の曲とかじゃないですか?
で、ジュースの棚を見てたんですよ。
早く買って帰ろうと思って、見ていたら欲しいジュースがなかったんですよ。
下から2段目の棚にあったはずなんですよ。ただ、なくて。
奥にあるのかなと思って、覗きこんでみたらジュースはあったんです。
で、取ろうとして気づいた。
白い玉が、2つ、浮いてるんです。
最初、変わった照明でも裏で使ってるのかなって思ったんです。
ほら、あるじゃないですか。間接照明とかで。
縦に二つ並んでたから、吊るすタイプのかなって。
ただ、それにしては、小さいんですよね。照明にするなら、もっと大きくてもいいかなって。
何だろうと思って、ずっと見てたんです。
そしたら、その玉が一つずつ増えだしたんです。
で、段々となんか赤い筋?みたいなものが見えてきたんです。
それが徐々に太くなっていって。
それで、黒い粒みたいなものが見えました。
その粒もどんどん大きくなって。気づいたんです。
これ、目じゃない?って。
気づいた瞬間、背筋がぞわぞわしました。
目をそらしたいんですけど、そらせなくて。
徐々に黒い部分が大きくなってきて。
こっちを見ようとしてる。
目をそらせない。
どうしよう。
そう考えてる間にも、黒い粒が段々と大きくなって。
目が、合ったんです。
「きゃああああ!!!」
思わず叫んでしまった。
血走った目が、私を見ている。
力が抜けて床に座り込んでしまいました。
立とうと思っても、立てない。
「……どうしたんすか」
声をかけられた方を見上げると、黒いマスクをつけた男性の店員が立ってたんです。
棚に指をさして説明しようと思っても、恐怖で歯がガチガチして話せない。
その店員さんは、私が指さした先を見ると「あー」と言って一言。
「……モクさん、お客さん、驚かせてます」
低く落ち着いた声だった。
異様な状況なのに、少しだけ落ち着いた自分がいる。
同時に、何か聞いたことある声だった。
「……立てますか?」
店員さんが手を差し伸べてくる。
手を支えに立ち上がると、「うそっ!?大丈夫!?」とどこからか声が聞こえた。
「やだっ、コウくん本当!?もう~~~!!ごめんねぇ!!!」
キンキン声のおばちゃんみたいな人。
頭の中にまで響く音がうるさくて、思わず耳を塞いだ。
男性の店員さんが何か話している。
手を外すようなジェスチャーをしていたから、そっと耳から手を離した。
「モクさん、声、響くので……」
「あ~~~そうね!ごめんねぇ!これ、持って行って」
ガタッと、音がした。
棚の方を見ると、何もなかった棚にジュースが転がっていた。
取ろうか迷った。
だって、この奥には目があって。
「……」
手を伸ばそうとするも、何をしたいのか分からなくて中途半端に止まってしまう。
「……モクさん、いいんですか?」
「いいの、いいの!店長には、あたしから言っておくから!」
「……いや、そっちじゃなくて」
「あ、お金?あたしの給料から、引いておいて!」
「……だそうです」
そう言われても、とれるわけないじゃん?
何か分からない物から貰ったなんて。
私がどうしようとしていると、ふいにコウくん?って呼ばれていた店員さんがしゃがんだ。
彼は、棚に転がっていたジュースを手に取っていったん裏に引っ込んだ。
話し声が聞こえてくるけど、分からない。
少しすると、袋を持って戻ってきた。
「……店長に確認とりました。これ、持って行ってください」
「えーと……」
どうしようと思っていたら、店員さんが私の手を掴んで袋を握ってきた。
中身を見ると、ジュースのほかに私が持っていたアイスも入っている。
「え、でも、会計」
「許可、取れたので……」
ぎしり、と店から音が聞こえた。
この瞬間、私は走り出した。
渡された袋と代わりに、適当にお札を出してその店員さんに押し付けた。
多分、私は、『入っちゃいけない場所』に入ってしまったのだ。
だって、書いている最中に思い出したから。
目の事だけど、ジュースの棚を思い出してほしいんです。
空いてる隙間って、ほんとうに手が入るかどうかの隙間じゃないですか。
その隙間に、縦に並んだ二つの目って入らないじゃないですか。
貰ったものは、そのままにしています。
食べるのが怖くて。
詳しい友達に聞いたり、いわゆる心霊系の動画を見たりしました。
『何もせず、塩をかけて処分』が普通だったのですけど、なんとなくそれもしづらくて。
支離滅裂かもしれないですけど、本当の事です。