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ノヴァムカイワールド  作者: フィのー
二章 ムカイヒュージョン
21/50

7話


――夢界、能力の発現



場所は、放課後の誰もいない教室。

夕暮れの光が、机の上に斜めに差し込んでいる。

夢界は、ひとりで席に座っていた。

唯斗と瑞希が先に帰ったあと。

ふたりの背中を見送ったあと。

胸の奥に残った、あのざらつきが、まだ消えない。


彼は、ふと立ち上がり、

瑞希がいつも座っている席に近づいた。

何気なく、そこに手を置いた瞬間――


世界が、揺れた。


---


視界が、にじむ。

音が、遠のく。

そして、次の瞬間――


夢界の目の前に、

“見たことのない風景”が広がっていた。


高い塔の上。

風が吹いている。

空が広くて、どこまでも青い。

そして――

唯斗と、瑞希が、手をつないで立っている。


いや、違う。

それは、“瑞希”じゃない。

髪の長さも、制服も、少しだけ違う。

でも、目の奥にある光は、同じだった。


(……これ、なんだ?)


夢界は、動けなかった。

ただ、その光景を見つめていた。

まるで、誰かの夢の中に入り込んだような感覚。

でも、これは夢じゃない。

**“記憶の残響”だ。**


---


視界が戻ったとき、

夢界は、息を切らしていた。

手は、まだ瑞希の机に触れたまま。

でも、そこにあったのは、ただの木の感触だった。


(……今の、なんだよ)


彼は、ゆっくりと手を引いた。

そして、確信した。


(俺、見たんだ。

 あいつらの“過去”を。

 いや、“過去”って言っていいのかもわかんねぇけど……)


夢界の中で、何かが静かに目を覚ました。

それは、ずっと彼の中にあったもの。

空気の揺れを読む力。

人の目の奥にある“言葉にならないもの”を感じ取る感覚。


それが今、

**形を持って、現実を越えた。**


---


夢界は、窓の外を見た。

空は、もう夜の色に変わっていた。

でも、どこか澄んでいて、

星がひとつ、瞬いていた。


(……俺にできることが、あるのかもしれない)


それは、誰かを救う力じゃない。

でも、誰かの“真実”に触れる力だ。

そしてそれは、

**唯斗と瑞希の物語に、もう一人の視点を与える力でもある。**


夢界は、静かに拳を握った。

その手のひらには、まだ微かに、

あの風の感触が残っていた。

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