2話
キャラクター
昭元唯斗(主人公)
15歳、高校1年生。勉強全般が苦手。
桐山夢界
16歳、唯斗の同級生。科学が得意。
金子太郎
16歳、唯斗の同級生。勉強ができて、特に英語が得意。
太郎、夢界と出会っ後、3人で歩き出した。向井曰く、さっきの街がファスサンズ、次の街がセカナチアというらしい。ファンダジーすぎてファンタジーだ(?)。今は街道に戻り、3人で歩いている。
「いやぁまさか夢界とあうなんてぇ」
と太郎。
「なんで銃持ってるのカナ?ここは日本ダヨ」
と夢界。
そんなわけないでしょうが。と突っ込みたいがなんとかこらえた。エライ。
「ところで夢界、その次の街…なんだっけ…?」
「セカナチアでしょ、唯斗ー」と太郎が補足。「ありがと」といってから、
「その、、、セカナチアってこっちで合ってるの?」
「さあ?」
即答である。これには思わず、
「えぇ」と謎の声を出してしまった。
「どうするんだよ、迷子じゃねか」
「一回戻るというのも…」
「いや、いくぞー!」
と、太郎と僕の提案もむなしく、夢界は全力ダッシュで走っていった…
……その後、夢界は50メートルに満たない距離で減速、停止した。何という体力のNASAだろうか。
「いやぁ流石にきちぃよぉ」と夢界。
「走るなよぉ」
「はしらないでぇ、」
と太郎と僕でお願いをすると、意外にも夢界は「ふぁーい」と言った。
そこから約10分。太陽がもうすぐ真上に来そうだからおそらく正午だろう。恐れていた事態が今、目の前で起きた。なんと見事に、右と左で道が分かれたのである。看板はあるが、無論読めるわけない。
ーー日本語話すなら文字も日本語にしろよー
と文句を言いつつ、「どうしようか」
と頭を抱えた。
「ここはやはり俺の勘を信じるしか…」と夢界。
ーーあれ?夢界って運よかったっけ?
と思ったが、「右利きだから左!」
と、謎の結論を決めてしまった。まあ、否定する理由もないし…まあいっか。
そこからさらに約15分。
森が開けた。だが、そこには川があった。見事なほどの大河で、橋どころか、舟も見当たらない。
「どうしようか」
なんやかんやで、なんとか渡る方法を考えよう、となった。
「泳ごう」と夢界。
太郎と全力で否定した。
「空飛ぼう」とまたまた夢界。
「もっとこう…現実的で…」
思わず言ってしまった。
すると太郎が
「こういう大河には文明が発達するものだからね。きっと下流に行けば街の1つや2つはあるよ。」
おお、と感嘆の声を出した。
そこからさらに10分。街が見える気配もなく、道くらい聞いとけよぉ、と夢界に言おうか考えていたとき。
「昭元様ぁ!」と不意に後ろから声がした。
夢界と太郎は驚き、太郎に限っては銃を構えてすらいる。
後ろを向いた僕の正面からやってくる人影が1つ。すごーく足が速い。ここまでくると正体が限られてくる。友達に2人。その他だと…敵か?
そこまで息切れするわけでもなく、その発音体はやってきた。夢界(3人の中で1番高い)より背が高いが、武装はないようだ、と考えていると
「昭元様、探しましたよぉ」と。
この人こそ、さっきの友達の選択肢のうちの1人、有志だった。
「おお、ひさしぶり〜?」
有志、本名:高澤有志は、森の中で目を覚まし、歩いていると道があって、足跡が続いていたようで辿って来たとのこと。
「昨日ぶりかぁ」というと、有志は疑問を持ったような顔で「え?」と言った。
「え?、、、さっき…学校で一緒に弁当…食べてたじゃん…?」
「えっ?」
なにかがおかしい。通常通りだと、今日は冬休み初日。休みじゃないか。
「何を…いってるの?僕と向井は昨日…12月19日に飛ばされたん…だけど…?」
「えっ?」といったのは有志ではなく、金子だった。
話を整理しよう。
僕と向井が昨日、帰りの会の途中でこっちの世界に飛ばされてきた。
金子は今日午前、有志は今日午後、?
何かがおかしい。今日午後の時点で、現実世界にも僕がいたのだ。
「もしかして…全員別々の、それぞれが主観となっている平行世界から来たんじゃ…」
金子の発言に、思わず
「…どうして、そう思う?」
と聞いた。
「だって…唯斗と向井、この中見たとき驚いてたでしょ?僕の主観の世界だと…銃を持ち歩くのは普通で…そこそこ珍しい銃だから驚いてるんだと思ったんだけど…」
「アメリカじゃん」とすかさず向井。
これには金子以外全員が賛同。
「…向井曰く、ファスサンズの住民は魔王を倒したら戻れるかも、って言ってたらしいんだ」
向井が頷く。
「…魔王なら…パラレルワールドから人を連れてくることも…可能、なのかもな…?」
確かに。よく考えれば、今いるこの世界もある意味パラレルワールドである。
「まあ…結論でないだろうし、次の街目指すか。」と有志。ナイス〜
といっていると、有志は右手をちょきにして、人さし指と中指を絡めさせ、動かし、最後に人さし指を突き出した。心なしか有志の目が紫色に光った気がした。
「10キロ位の距離に街が見えるよ〜」
え、ええ?と思ったが、向井は
「やっぱり。こっちでよかったな〜」と。そして、「いくぞー!」と全力ダッシュで走っていった。
やっぱり向井は今度は100メートルほど走ってまた止まった。体力は壊滅的なようだ。。おいかけつつ、有志に聞いた。
「えっと…さっきの…」
「?、ああ、あれは『千里眼』っていうんだ。」
いろいろなアニメ、漫画などで聞いたことがある遠くをみる能力、それが千里眼。
「ああ、その、千里眼ってどこで手に入れたの?」
「えっ、さっきの街道沿い家なかった?」
「…」
あー、と有志。
「その家主の人を手伝えば、何か一つ能力を教えてあげるって言われて。」
なるほど。
「さっきの指は見た?あの形で、無限∞をかくとステータスが見れるんだ。」
へぇ〜、と思いつつ、試しにやってみた。
名前:秋本唯斗
レベル:3 職業:なし 能力:他人の能力抑制
職業なしって…あと、この能力、なんだ?
「能力、何かあった?最初から1つは持っているようだけど」
「うーんと…他人の能力抑制だって」
へぇー、と有志。
いつから聞いていたのか、いつの間にか近くにいた向井、金子も自分のステータスをみているようだ(無論、他人のステータス表は見えない)。
「僕は射撃だって」と金子。
へぇ、銃にむいてるじゃん、と有志がいった。
「向井は何だった?」と聞いてみたが、
「………」
向井は答えようとしない。
大丈夫だって〜、と言おうとしたとき
「能力、????になってる。。。」
!!!アニメだと…レベルが上がると解放されるパターンか?
「まあ…これから出現するって!頑張ろうよ!」と慰め、
「ようし、日が暮れる前に次の街へ行くぞー!」
と決意した。
夕暮れ時、僕たちは第二の街・セカナチアについた。有志と合流してすでに3時間程たったかもしれない(なんせ、時計がないため、正しい時間はわからない)。今度の街は十和田と互角くらいか。ただ、今朝までいた街よりは店が多く、質も良さそうだ。ただ…
「「「つかれたよーーーーーー」」」
と、向井以外の3人が声をそろえた。
「先に宿でも行っておいたら?」と向井。ありがたーく宿に向かわせてもらった。ベッドもグレードアップしている、と思いつつ、身体をベッドに預けた。
しばらく3人でぼぉーっとしていたが、「きゃーー」という叫び声によって完全に起こされた。
唯斗、金子、有志は宿の外に飛び出した。人だかりのある街の入り口へと向かう。近づくにつれてピリついた空気が漂っているのが肌で感じられる。
みんなな視線の先にいたのは…勿論、夢界だった。さっき買ったのだろう。真新しい金の防具で身を守っている。
「な、なにをしたんだよー」
と、小声できく。
「いやぁ、ね?」
いや、わかるかよー!といおうとしたとき。
「し、正体隠すなよ!この厄神!」
「そうだ!そうだ!」
「早くここからでていけ!」
「そうだよ!はやくしろ!」
「………」
これには思わず絶句。何をしでかしたのだか。「厄神」だそうだ。
「い、いやぁ、そこの武器屋で武器選んでたらいいのあったさ、手にとって軽く振ってみたのよ。そうしたら、全部気がガチャーンって音とともに壊れてぇ、ここまではまだ『運が悪かった』ってだけだったけど…持ってた剣を戻そうとしたら、…家ごと壊しちゃったみたい」
要約すると、武器をさわったら最終的に武器屋ごと倒壊。厄神と言われても仕方ないなぁこれは。
「す、すいません。。。」
「お、おう…ってか、お前らもこいつの仲間なのか?」
「ま、まあ」
「おい、みんなー!この厄神『ゴールデンムカイ』の仲間だぞ!つかまえろー!」
金色の防具を着た夢界、ゴールデンムカイ。ネーミングセンスいいねっ!
と思いつつ、全力で逃亡した。
(続く)