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ノヴァムカイワールド  作者: フィのー
二章 ムカイヒュージョン
12/50

1話

新章の開幕です

 九月一日、午前七時五十二分。

 教室の窓は少しだけ開いていて、風がカーテンを揺らしていた。


「……あっつ。夏、終わってねぇじゃん……」

 夢界が机に突っ伏しながらぼやく。


「お前、制服の下にタンクトップ着てるの、もう諦めろよ」

 有志が呆れたように言いながら、椅子を引いた。


「え、だってまだ蝉鳴いてんじゃん。これはもう“夏の延長戦”だろ?」


「延長戦って……お前、宿題終わったの?」


「……ノーコメントでお願いします」


---


 唯斗は、そんなやりとりを聞きながら、

 自分の机に座って、そっとカバンを開けた。


 中には、夏休みの宿題と――

 あの世界で拾った、小さな石が入っていた。

 白くて、すこしだけ光っている。


「……持って帰ってきちゃったんだな、やっぱり」


「ん? なんか言った?」

 夢界が顔を上げる。


「いや、なんでもない」

 唯斗は笑ってごまかした。


---


 そのとき、**教室の時計が“カチッ”と音を立てた。**

 唯斗は、なんとなく視線を向けた。

 秒針が、**同じ位置で二回、音を鳴らした。**


 カチッ。……カチッ。

 でも、針は動いていなかった。


 ほんの一瞬のことだった。

 誰も気づいていないようだったし、

 次の瞬間には、何事もなかったように秒針は進んでいた。


---


「……なあ、唯斗」

 夢界がぼそっと言った。

「今日って、なんか……空気、重くない?」


「……そうか?」


「うん、なんかこう……“夏休み明け”って感じがしないっていうか……

 いや、気のせいかも。ごめん、変なこと言った」


---


 唯斗は、もう一度カバンの中を見た。

 石は、静かに光を吸い込んでいるように見えた。


 **世界は、まだ静かだった。**

 でもその静けさが、どこか――

“始まりの前の静けさ”のように思えたのは僕だけだろうか。

(続く)

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