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篠崎ミズホの冒険 クロと闇の冒険物語  作者: 旅立 マス
第6章 セントラル・ノヴァ学園
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第67話 ミズホと序列の謎

自己紹介を終えたあとは、今期に受ける授業の履修登録を済ませた。授業そのものは来週からで、この学園はどうやら単位制らしい。好きな授業を取って、試験に合格すれば単位がもらえる。必要な単位をそろえたら卒業資格――そんな仕組みだ。


……つまり、授業とギルドの仕事、両立できるってことだよね。助かる。

エリーたちは何を取ったんだろ。あとで聞いてみよう。


このあと、私たちの拠点をルーシーさんが用意してくれたみたいで、みんなでそこへ向かう予定なんだけど……どうやら私が一番乗りだった。待ってる間に、せっかくだし学園支給の端末で「この異界の序列」について調べてみることにした。


――検索。

篠崎ミズホ。


……出た。

え、なにこれ。データベース、こわ。私の情報、細かすぎない? 能力の傾向、戦闘ログっぽいもの、測定時の反応……。入学試験で手を当てた、あの水晶みたいな玉。あれに何か仕掛けがあるのかな。いや、仕掛けどころか、丸ごと監視カメラみたいなものだったりして……。


まあいいや。いま気になるのは――序列。


……おっ。

第100位。


「……は?」


思わず声が出た。入学していきなり序列100位って、私、そんなに偉い人だったっけ。いや、偉くはない。偉いのはエリーだ。私はたぶん、いろいろ面倒くさい分類のほうだ。


じゃあエリーたちは――と検索しようとしたら、そこは見られなかった。プライバシー的な問題、ってやつだろう。くっ、都合いいところだけ透明性があるな……。


でも、100位。

ルアナが言いそうだ。「上を目指せばいいじゃん」って。

……うん、ちょっとだけ、分かる気がした。上があるなら登ってみたくなる。頂点って言葉、嫌いじゃない。


――でも。

忘れちゃダメだ。私の旅の目的は、順位遊びじゃない。


闇の在り方を探すこと。属性のバランスを取り戻すこと。

この異界は人が多いぶん、色んな異界と繋がってるって聞いた。火の塔だけじゃなく、他の塔の情報だって拾えるかもしれない。学業と旅、両方――ちゃんと前に進むために。


「……あ、早速、序列について調べてるんだ」


「――っ!?」


背後から声。近い。急に。

反射で端末を閉じかけたけど、もう遅い。私はゆっくり振り向く。


そこにいたのは――獣耳の女の子。

しかも、馬っぽい耳。揺れてる。え、ほんとに揺れてる。コスプレじゃない。そういう種族なんだ、たぶん。


「ミズホちゃんだったよね。はじめまして。アタイはコグリ・スズカゼ。同じクラス。よろしくね」


「あ、うん。よろしく……」


距離感が近い。フレンドリー。悪い人じゃなさそう。

でも同時に、私の中で警戒アラームが鳴る。だってここ、AZクラス――つまり“隠された上位”。普通のZクラスとは違う、って学園長も言ってた。


「アタイの序列? 96位。まだまだなんだけどさ」


「……まだまだ?」


一億人以上いる異界で96位が“まだまだ”って、どんな感覚なの。

私が100位で「おお……」ってなってるの、急に恥ずかしくなってくる。


「ていうか、序列って何なの?」


正直、そこが一番分からない。100位って言われても、テストの点数みたいにピンと来ない。


「うーん。明確な基準はアタイも知らない。学力だけじゃなくて、戦闘も、実績も、適性も、たぶん全部。総合評価、って感じかな。定期的に測定とか調査があって、それで順位が動くらしいよ」


なるほど。

……分かったような、分からないような。いや、分からない寄りだ。


「でもさ、ミズホちゃん。序列が高くても、アタイら“AZ”は扱いがZクラスと同じでしょ? そこが面倒なんだよね。例えば――」


コグリちゃんが顎で示すほうを見た。

廊下の向こう、真ん中に女子生徒。取り巻きっぽい男子が二人。典型的な“強い側”の空気。


「あら、Zクラスのコグリさんじゃない。まだ学園辞めてなかったのね」


「まあね。やりたいことあるし」


「Zクラスのあなたに、できることなんてあるのかしら。せいぜい頑張りなさい」


嫌味だけ落として、綺麗に去っていく。

……うわ、胃がムカつく。こっちは序列の話を知ってるだけに、余計に。


「さっきの人たちはBクラス。まあまあ上。事情を知らない人からすると、アタイらは“ただのZ”だから、扱いはこんな感じ」


「……腹立つ」


思わず言ったら、コグリちゃんが笑った。


「でしょ? でもね、知ってる人は違うよ。ほら、あの人とか」


そう言ってコグリちゃんが手を振る。

やって来たのは――眼鏡の男子。背筋がまっすぐで、歩き方からして“仕切る側”。あ、これ、生徒会長だ。見た目がもうそれ。


「……会長」


私がぽろっと言うと、相手が足を止めた。


「おや。初対面で私を生徒会長と見抜くとは。只者ではありませんね」


いや、見た目……とは言えなかった。

コグリちゃんが横で「ミズホちゃんだよー」と紹介してくれる。


「そうですか。よろしくお願いします。――早く“こちら側”に来られるといいですね。では」


会長っぽい人は、用事があるみたいに颯爽と去っていった。

何あの“こちら側”って。こわ。かっこいいけど。


「あの人、AEクラスで序列20位くらい。それでも対等に扱ってくれる。そういう人もいるんだよね」


……なるほど。

扱われ方の違いは、よく分かった。


本当に、この異界では――“序列”って知られてないんだ……。

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