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篠崎ミズホの冒険 クロと闇の冒険物語  作者: 旅立 マス
第5章 少女達の信じる道
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第61話 ミズホとギルドのチーム名

「よし、潰すか」


……ルーシーさんのその一言が、全部を持っていった。

私とエリーは、ルアナ救出の“ついで”なんて言えないくらいの地獄を、ギルドのカウンター前で一気に吐き出した。地下牢。囚人たちがゾンビみたいに変えられていたこと。クレード少尉が薬で人を“魔物化”させたこと。レオンさんとカインさんが庇って……そして、私が止めたこと。


話してる間、胸の奥がずっと冷たかった。

言葉にした瞬間に現実になって、戻れなくなる気がして。だけど、報告しないといけない。ここで止めなきゃ、また誰かが――。


ルーシーさんは腕を組んだまま、ゆっくり息を吐いた。目の色が、寝起きのぼんやりした感じじゃない。完全にスイッチ入ってる。


「ミズホちゃん、エリンちゃん。まずはお疲れ様。今回の件は上に報告するわ」

頷いて、口元だけで笑う。

「これでこのギルドも、ホーリーライトとの付き合い方を見直す必要が出てきたわね。ふふ……今まで街で好き勝手してた分、倍にして返してあげるわ……」


わお。

ギルドのお姉さん、じゃなくて――“姉御”だ。

この人、怒らせたら一番こわいタイプだ。ホーリーライトと正面衝突しても、絶対引かない顔をしてる。空気が一段、鋭くなった。


「とりあえず、今回の件はお疲れ様。初任務だけど、ギルドレベルを特別に上げてあげるわ」

ルーシーさんが私たちのカードに指を滑らせると、淡い光が走った。

「ギルドレベル2。見習いから初級ってところね。……まあ、これからも頑張ってね」


やった……!

心の奥に残ってた重たい塊が、ほんの少しだけ軽くなる。浮かれていい場面じゃないのは分かってる。でも、進んでる感じがした。ちゃんと“次”に繋がってるって。


「そうだ、せっかくだしチーム名も決めたら?チーム名があると、チームご指名の依頼とかもあるし、便利よ」


チーム名。

え、私たち、もう“そういう段階”なの? 急に冒険者っぽくなってきたんだけど。


(ミズホーズ……いや野球チームか!)

……うん、却下。センスが死んでる。私の中の冷静なツッコミが即死判定出してる。


私はエリーの方を見る。

「どうする? こういうの、エリー得意でしょ」

「ミズホが決めればいいんじゃない?任せるわよ?」

にこっ。

あ、逃げた。完全に逃げた。笑顔がずるい。


任された瞬間、なんか背筋が伸びた。

名前って、意外と大事だ。呼ばれるたびに自分たちの“立ち位置”が固まる。軽く決めると後悔するやつ。


(闇のあり方を探す旅……クロがいる……猫……)

……猫?


「……ダークキャッツ?」


口に出した瞬間、クロがピクッと反応した。

「ダークはともかく、キャッツって……我、ネコじゃないニャ?」

「残念!」私は即答した。

「それ、初対面の時点で破綻してまーす!諦めてください」

「失礼ニャ! 我は偉大な闇の精霊ニャ!」

「はいはい、偉大偉大。偉大でも見た目は猫。以上!」


言い切ったら、ルアナが吹き出した。フライヤも、こらえきれない感じで口元を押さえてる。

……よかった。こういう笑い方、久しぶりだ。重たい空気のままじゃ、みんな折れる。


エリーが小さく頷く。

「ミズホにしては珍しく、いいセンスしてるじゃない」

「え、私そんなにネーミングセンス酷いかな!? 地味に傷つくんだけど!」

「自覚がないのが、いちばん重症ね」

「ひど!」


ルーシーさんが楽しそうにペンを走らせる。

「じゃあ、ミズホちゃん、エリンちゃん。“ダークキャッツ”で登録するわね。おめでとう。改めてよろしくね」


たった一行の登録。なのに、胸が少し熱くなる。

これで、私たちは“ただの旅人”じゃなくなった。誰かを助ける側として、名前を持って動く。……責任も増えるけど、それでも、前に進んでるって感じがした。


……その時。


「なあ、ミズホ。少し良いか?」

ルアナが真剣な顔で言った。隣にはフライヤ。二人とも、迷いのない目をしている。


「フライヤとも話したんだが……アタイらも、ミズホのチームに入れて欲しいんだ」


――え?

私は言葉が一瞬、止まった。


(ルアナとフライヤが……ダークキャッツに?)

驚きで胸が跳ねる。嬉しい、でも、軽く頷いていい話じゃない。だって二人が入るってことは、私の持つ闇の力が原因でホーリーライトに対して敵対する可能性があることだから。


私は二人の顔を見た。

本気だ。冗談じゃない。

私は息を整えて、二人を見返した。

「……理由、聞いてもいい?」

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