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篠崎ミズホの冒険 クロと闇の冒険物語  作者: 旅立 マス
第5章 少女達の信じる道
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第57話 ミズホと衝撃の事実

「――まさか、地下牢から脱出するとはな」


誰? ……初めましての気がしない。えっと、どこで――あ、思い出した!


「街の門にいた“賄賂の人”!」

「誰が賄賂の人だ!」


「だって、お金渡したらあっさり通してくれたじゃん。表現として間違ってないと思うけど?」

検問の兵士。ミドリーノシティの入口にいたあの人だ。


「ねえミズホ。たしかに“賄賂の人”だけど、いまはそこじゃないでしょ」

エリーまで認めた。……まあいいや。


私は一歩前に出る。

「さっき地下に現れたゾンビ軍団、あなたの仕業よね?」


「クレード少尉……あなたが?」フライヤが低く問い詰める。

「そうだよ、フライヤ軍曹。ついでに言えば、さっきお前に刺客も向かわせた。あれも失敗とはな」


あの忍びっぽい人だ。やっぱり裏は繋がってる。


「こんなことをして、何が目的なの!」

「ふん。あのゾンビは囚人だ。ホーリーライトに逆らう者は減り、戦力は増える。何の問題がある?」


外道。心底ムカつく。――まさかとは思うけど、念のため確認する。


「それ、ホーリーライトの総意?」

「どうだかな。騎士団長殿は信仰で人々を縛るのが嫌いらしいが、我らの派閥はあの御仁のやり方が気に食わんのだよ」


「つまり、組織全部があなたみたいに腐ってるわけじゃない、ってことね」

「さあな。騎士団長側にいるなら、裏切り者認定も時間の問題だろうが」


ルアナがフライヤを見る。

「だってさ、フライヤ。もう、こんな組織にいる必要ないでしょ。正義なんてないよ、これ」

「……分かってる。上に立てばって、ずっと思ってた。でも無理ね。ここに残るくらいなら、辞めて“アタシの正義”を貫く」


クレードが鼻で笑った。

「お前ら小娘は、ここで終わるがな」

「そういう三下セリフを言う奴って、大体たいしたことないってアタイは思うね」ルアナが肩をすくめる。


「言ってろ。――これで終わりだ」

クレードの手に、嫌な光沢の注射器。中身はどす黒い液体。


「くらえ!」


ひゅっと弧を描いて、ルアナとフライヤめがけて飛ぶ――!


「隊長!」

「くっ――!」


レオンさんとカインさんが身を投げ出し、二人を庇った。

「レオン、カイン!?」

「た、隊長……ご無事で……」

「す、すまない……不甲斐ない隊長で……」


最悪の音がした。ガラスの割れる乾いた破裂音。にじむ薬液。

――クレードは? 振り返ると、もういない。逃げた。


「ぐ、はっ……う、うおォォ――」

二人の瞳が真っ赤に濁り、こめかみから黒い角が生える。皮膚の色が変わり、筋肉が軋む音。さっき地下で見た“それ”と同じ変容だ。


「さっきのゾンビも、あの薬……」エリーの声が震える。

「そんな……つまり、二人を倒さないと――?」

胸が締め付けられる。どうしてこんなことを平気で――!


フライヤが歯を食いしばる。

「みんな、コイツらを止めないと、アタシたちも……」

「でも、この二人は……」ルアナが拳を握る。

「分かってる。けど――!」


魔法封じの結界は、地上にはもう薄い。けれどエリーの光はまだ完全じゃない。ここで確実に戦えるのは、私だけ。


私はフライヤを見る。

「ねえ、フライヤ。――私が、やっていい?」

「ミズホ……!」

「どのみち、いま動けるのは私だけ。だったら――」


あの夜、何もできなかった自分とは違う。

守るために、振るう。私の闇は、そのためにある。


喉の奥で息を噛み、私は一歩、前へ出た。

――覚悟を決めろ、私。

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