第49話 ルアナと希望の再会
やれやれ……ドジっちまったなぁ。
まさかアタイが牢屋の中にいるとはね。いやはや、冗談にもならない。石の床は冷たくて、湿気は骨まで染みるし……ミズホのこと、もう笑えないな。
武器は取り上げられ、手鎖には封印の魔法。力も出せず、ただ息してるだけだ。
けど――まさかリーファが自ら出てくるとは思わなかった。
ホーリーライトのバカ共にとっちゃ、アタイがそれほど目障りだったってことか。
村を守っただけでこの扱いとは、つくづく理不尽な世の中だよ。
……村の連中、無事だろうか。
逃げろとは言った。戦うなとも言った。
アイツらにだって守るもんがある。だから、命までは賭けるなって。
それでも、もし誰かが無茶してたらと思うと、胸がざわつく。
リーファが動いたってことは、本気で殲滅に来てるってことだ。勝てる相手じゃない。
どうか……どうか、みんな生きててくれ。
残るは――ミズホとエリン。
あの二人なら、やってくれるだろう。
ミズホは強い。あの子はまだ底を見せてない。戦い方も、気配の読みも、人を信じる心も。
そしてエリン。あの子は頭の回転が速い。冷静で、決断が早い。ミズホに足りない部分をちゃんと補ってる。
あの二人の組み合わせは、見てて気持ちいいくらいに息が合ってた。
もしまた会えるなら――今度は、ちゃんと礼を言いたい。助けてくれて、ありがとうって。
……でも、現実は甘くないな。
このまま放っておかれるわけがない。
リーファが本気なら、アタイの命なんて今ごろ紙一枚の価値もない。
処刑、か。
さっき、兵士どもが話してるのが聞こえたんだ。「明日の朝には見せしめにする」って。
まったく、アタイらしい最期じゃないか。
魔法が使えれば、どうにかして逃げ出せるかもしれないけど……この鎖は、完全封印級。
魔力を流そうとするたびに、腕が焼けるように痛む。
手が震える。悔しい。
こんな終わり方、納得できるわけないのに。
――けど、こんなときに限って、不思議と心は静かだった。
もう少しで終わるかもしれないのに、どこかで誰かを信じてる自分がいる。
アタイが信じた仲間たち。ミズホ、エリン、そして……あの村のみんなを。
そのときだった。
牢の外から、微かに声がした。
「あの子が閉じ込められてるのはこの先よ」
「信じていいのよね?」
「アタシを信じて。お願い」
「信じるけど、罠だった時は……」
――この声、まさか。
「……あ、いた!ルアナ!無事!?」
「ミズホ……!? エリン、お前ら……!? それにフライヤまで……」
鉄格子の向こう、松明の光に浮かぶ顔。
信じた通り、いや、それ以上の希望の形だった。
信じられねぇ。夢でも見てんのかと思った。
暗闇の中に差し込んだ小さな光。それが、ほんの一瞬でも絶望を吹き飛ばしてくれる。
やれやれ……まったく、アタイはどうやら、まだ運に見放されちゃいないみたいだな。
胸の奥で何かがほどけた気がした。
まだ生きてていいんだ――そう思えた瞬間だった。




