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第37話 ミズホと旅の始まり

私たちの冒険が始まった。どんな冒険になるのか、期待と不安を胸に抱えながら、私は移動鍵を使った。


瞬間――視界がぐにゃりと歪み、全身が浮かび上がるような感覚に包まれる。足元から頭の先まで、何かに飲み込まれたみたいにぞわぞわして……次に目を開けた時、私たちは見知らぬ森の中に立っていた。


「……ううっ」

思わずしゃがみ込む。これが異界を移動するってことなの? 胸の奥がくすぐったいような、気持ち悪いような、不思議な感覚。


慌てて周りを確認すると、エリーもクロも近くにいて、二人とも同じように息を整えていた。

「……みんな、大丈夫?」

「ミズホ、私は大丈夫よ!」

「我も平気ニャ。ただ、ちょっと変な感じが残ってるニャ」


ホッと胸を撫で下ろす。とりあえず、離れ離れにならずに済んだのは幸いだ。


改めて周囲を見渡すと、そこは木、木、木……とにかく見渡す限りの大森林。けれど、私が知る森とは少し違う。葉っぱは濃い緑というより、どこか淡く輝いていて、木の幹は妙に太い。何より、空――。見上げた瞬間、息を呑んだ。


「……緑色?」


そう。青空じゃない。ほんのり緑がかかった空が、頭上いっぱいに広がっていた。見慣れない光が差し込み、森全体が薄いベールをかけられたみたいに幻想的に見える。

――ああ、本当に、私たちは別の世界に来ちゃったんだ。


胸の奥でじわじわと実感が広がっていく。わくわくと、ぞくぞくと、そして少しの怖さが入り混じる。


「さて、とりあえず現状確認ね」

私はアマンダ先生からもらったタブレットを取り出して地図アプリを起動する。すると、魔力に反応するかのように画面が光り、私たちの居場所がマーカーで表示された。


『現在地:異界グリーンズ』


どうやら、この世界は“グリーンズ”という異界らしい。私たちがいるのはその森のど真ん中で、地図によると北西の方角に都市らしきマークがある。そこには「探検隊ギルド」と表示されていた。


「よし、最初の目的地はここね。探検隊ギルドに行けば、登録もできるし、何より情報が集まるはず」

「順調に行けば……二日ってところかしら」

エリーが画面を覗き込みながら言う。


二日。簡単に言うけど、地図の森は広大だ。野営をしながら進む必要があるだろう。しかも私たちは今、“お尋ね者”。どこで追手に見つかるか分からない。


「……ほんとに、順調に行けばいいんだけどね」

「ま、なんとかなるニャ!ミズホの無茶と、エリーの冷静さがあれば!」

「それって、褒めてるの?」

「ニャー、もちろん褒めてるニャ!」


思わず笑ってしまった。そうだ、深刻に考えすぎても仕方ない。今は目の前の目的地に向かうだけ。


私はリュックを背負い直し、二人に向き直る。

「よし、出発しよっか。私たちの、最初の冒険の一歩へ!」


エリーが真剣な目で頷き、クロが「おうニャ!」と張り切った声を上げる。


不安もある。追手の影もある。でも――それ以上に、胸が高鳴っていた。

だってこれは、私が自分で選んだ道だから。


緑に染まった空の下、私たちは森の奥へと歩き出した。新しい世界、新しい冒険へ――。

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