第15話 ミズホと真実に続く階段
都合よく利用されたことには、正直モヤモヤが残る。けど、今は感情に流されてる場合じゃない。
「闇の精霊が図書館にいるのはわかったけど……この先は、どうするんですか?」
私が問いかけると、ルーサー理事長はゆっくり頷いた。
「まずは、図書館に行こう。ミズホ君、君が気配を感じた場所まで案内してくれ」
私たちは再び、あの静まり返った図書館へ向かった。
さっきと何も変わらない――でも、空気だけが重たい気がする。気のせいじゃない。私の胸の奥で、何かがうずいてる。
「私が気配を感じたのは、この辺りです」
「ふむ……なるほど」
理事長は辺りをじっと見渡し、何かを確かめるように手をかざした。そして、呪文を唱え始めた。
「お祖父様が唱えてるのは、封印を探る魔法よ」とアマンダ先生が耳打ちしてくれる。
え、便利すぎでは!? 後でちょっと教えてくれないかな……とか思ってたら、
理事長の足元に淡い光の魔法陣が浮かび上がり――地面が震える。
「わっ、階段が現れた!?」
図書館の床が開き、下へと続く石の階段が姿を現した。
「どうやら、ここに魔法の封印で隠されていたようじゃな」
えぇぇぇ、図書館ってそんな秘密基地みたいな場所だったの!?
そんなの聞いてないよ……いや、聞けるわけないけど!
この下にいるのかな……あの“声の主”が。
思い出すだけで、背筋がゾクッとする。
「この階段、降りてもいいんですか?」
「ミズホ君、エリン君。君たちが先に行きなさい」
「え……?」
「ワシやアマンダは、どうやらここまでのようだ。下の階層は闇の気配が濃すぎる。我々では耐えられん」
そんな……私は何も感じてないのに?
エリーは光の加護があるから大丈夫っぽい。
私は……もしかして、闇の力に強いってこと? いや、それって逆に怖くない?
「でも、私たちだけで何をすれば……?」
「すまない。ここから先は、我々にとっても未知の領域。だが、君たちなら進める。信じているよ」
そう言うと、理事長は私に鍵のような金属を手渡してきた。
「これは、指定した場所に一度だけワープできる鍵だ。万が一の時は、使いなさい」
……“万が一”って、どんな想定なんだろう。逃げるってこと? でも、なんかすごく物騒な予感しかしない。
「これから階段を再封印するが、一度だけここに戻れるように細工しておく。君たちは――精霊を見つけ、ここへ連れて戻ってきてくれ」
理事長の手から放たれた光が、階段の入り口に封印魔法として編み込まれていく。まだ聞きたいこと、たくさんあるのに。
「ま、待ってください……!」
声をかけても、届かない。外からは見えるけど、私の声はもう外には届かないみたいだ。
音も、反応もなし。
完全な一方通行の結界だ。
「ミズホ、行こう。私たちにしかできないことだわ」
エリーが振り返って、まっすぐな目で私を見る。
「……うん、わかった!」
私は頷いて、一歩、階段を踏み出そうとした――その時。
背後で、バンッと何かが破裂するような音が響いた。
「……なに?」
振り返ると、階段の奥から差し込む光の中に、動く人影が見えた。
白いフードを被った人物が数人、理事長たちの前に立ちはだかっていた。
「……っ!」
見た瞬間、背筋が凍った。
あの姿――まさか……ホーリーライトの追っ手!?




