第14話 ミズホと狙われた闇の精霊
アマンダ先生と理事長が――異世界の人!?
衝撃がデカすぎて、私もエリーも、しばらく口を開けたままポカーン。
え、え、え……?
脳が情報処理を放棄してるのが、自分でもわかる。
「今、君たちが暮らしているこの世界以外にも、無数の“世界”が存在しているんだよ。言葉でわかりやすく言えば――異世界じゃな」
異世界って、マジであるの!?
ゲームの中だけの話じゃなかったの!?
本当にこの世界、ファンタジー超えてきたんだけど!?
「この世界では、異世界の存在はホーリーライトの上層部くらいしか知らないでしょうね。他の世界では異世界同士の交流は当たり前にあるわ」とアマンダ先生は、いつもの口調でサラッと言ってのけた。
……え、待って待って。
それって――
この世界、めちゃくちゃ情報統制されてるってこと!?
外の世界と交流してないとか、何それ、魔法版の鎖国!?
「でも先生、そんな閉鎖的な世界にどうやって来たんですか?」
恐る恐る聞いてみた私に、返ってきた答えは――もっと衝撃的だった。
「この世界に潜入している協力者に頼んで、“この世界の人間が気付かない場所”にゲートを繋いでもらったのよ」
……ええええっ!?
つまり、先生たちだけじゃなくて――他にも異世界から来てる人がいるってこと!?
「そうよ。他の異界から来た調査員もいるはず。ホーリーライト以外に所属するスパイがね――この学園の中にも」
サラッと言ったその一言が重すぎる!!!
うちの学校、知らない間に“異世界スパイ大戦”の戦場になってるってこと!?
「ワシらがこの世界に来たのは、数年前のことじゃ。ワシはホーリーライトの教会騎士団――その団長として、上司の司祭から命じられてこの世界に派遣されたのじゃ。目的は、闇の精霊の保護」
え……教会の騎士団の団長!?
いや、肩書きがいちいち重すぎるんですけど!!!
「……闇の精霊の、保護?」
「うむ。この世界では闇は忌むべき存在とされておる。もし闇の精霊の存在が明らかになれば――」
――それ、確実に粛清コース。
“闇”ってだけでアウト判定。精霊だろうと容赦なしって、本気でやばい。
だから本部は、見つかる前に先手を打ったってことか。
「恐らく、この世界のホーリーライトの上層部も、学園のどこかに闇の精霊が封印されていることには気付いておる。だからワシは、先に保護せねばならぬと考えた。理事長という立場を買収して手に入れ、学園に潜入し、アマンダには教師として調査を進めてもらったのじゃ」
「教師という肩書きがあれば、堂々と動けるからね」
……待って待って。
これ、スパイ映画のプロットじゃなくて、スパイ本人たちの暴露話ですか!?
先生も理事長も、やっぱり只者じゃなかった!!(今さら)
「そして図書館での騒動――あれは、封印の力が弱まってきている証拠。闇の精霊の存在が、もうすぐ露見しかねない。そんな焦りの中で、ただひとり体調不良を起こさない生徒が現れた。それが――ミズホさん、あなたよ」
「……え、私?」
まさかの名指し。心臓がドクンと鳴る。
「ええ。だから私は、あなたに賭けた。あなたなら、うまい具合に事件の核心に首を突っ込んでくれるんじゃないかって」
「ふふっ、そして予想通り、ミズホは見事に突っ込んでくれたってわけね!」
エリーが、めっちゃニヤニヤしながらこっちを見てる。
う、うん……。
なんか褒められてるんだよね? これ。
でも、でも……なんか――
“ちょうどよく使えそうだったから利用しました”って言われた気がするんですけど!?
気のせいじゃ、ないよね……?




