カップラーメン争奪戦
世界が濡れ雑巾のようになっている世紀末、とある三兄弟がいました。
その世界は温暖化や戦争、さらには宇宙人からの侵略によってボロボロに荒れ果てていました。
国すら存在しない無法地帯で、三兄弟は生きながらえるのに必死でした。
とても大変でしたが、三人は仲良くやっていました。
「ねぇ、ウレミぃ。一体何してるの?それ、どうするつもり?」
「なんも、食べるだけだよ。なんの用?」
仲良く……。
「なんの用とは失礼だなぁ。見つけた食べ物はみんなで分ける約束じゃないか」
「うるさいイクマ。黙って。イクマだって昨日こっそりつまみ食いしてたじゃないか。見たんだぞ」
なかよ……。
「そんなことしてないよ。濡れ衣を着せるなんてひどいなぁ」
「いけしゃあしゃあと、何を言ってるんだ?食べ物の恨みは大きいことを思い知らせてやろうか?」
とても大変でしたが、三人はなんとか生き残っていました。
「ふたりとも落ち着け!イクマは悪いが、ウレミも同じことをしたら同等だぞ!とにかくそのナイフと斧を下ろせ、危ない!」
この苦労人は三兄弟で一番上のアレハです。
「「うるさいアレハ!」」
兄弟たちにうるさいと言われ、落ち込んでいます。
しかしめげずに説得し、ナイフと斧を降ろさせることができました。
そんな賑やかな三兄弟の末っ子、ウレミは不服です。毎回ウレミだけが損をしている気がするからです。
アレハに食べ物を分けることは我慢できます。調理してくれるからです。
しかし、意地悪なイクマに食べ物を分けるのは気に食いません。だいたいあいつは食べ物を見つけるのがうまいくせに、全然分けてくれないのです。
イクマは見るかぎり食べ物のうち九割を自分の懐に入れているのです。我慢ができません。