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「わかれよう」そうおっしゃったのはあなたの方だったのに。  作者: 友坂 悠@書籍化しました!!(電子書籍配信中です!!)


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耐えられない。

 何を今更謝ることがあるんだろう?


 毎日のように送られてくるお手紙には、「謝罪したいから屋敷に戻ってきてほしい」というジュリウス様直筆の言葉。

 その独特な筆跡のお手紙は、彼なりの誠意も表れている気もするけれど、それでも多分、わたくしの心がもう持たないから……。


 自分の事をユリアス様と偽っていたこと?

 もしかしたらそんな青い髪のユリアス様として、あちらこちらの女性にお声をかけたりしていたのかしら?

 でも、彼は言ったわ。

 お互いに、新しい本当に好きな人を探して、第二の人生を歩み、幸せになるべきだ、って。

 そのための行動だったのだとしたら、わたくしに彼を責めることなんかできるわけない。


 間違ってわたくしに声をかけてしまったこと?

 最初からわたくしがマリエルであると分かっていたら、彼はきっとわたくし、マリーなんかにお声をかけなかったろう。

 それだったらわたくしの方にも落ち度はある。

 最初からちゃんと、「マリエルと申します」と名乗ってさえいればこんな不幸なことは起こらなかったのだから。

 彼は、「マリー」に恋をしたんだ。わたくし「マリエル」じゃなくって。

 それは……。

 今更そんな事実を伝えられたところで、わたくしの心が壊れるだけ。

 それは、いや……。


 やっぱりあの時、彼の前に姿を見せなければよかった。


 マリーゴールド商会にお手紙を頂いたあの日。

 彼の手紙を開けたわたくしは愕然とした。


 さすがに。

 お顔やお声は血縁だったら似ることはあるだろう。

 そう思って本人ではなく別人なのかなって考えてもみた。

 でも。

 筆跡まで一緒だったら。これはもう別人と信じる方がおかしい。

 それに。

 ドレスを選んだのはお母様だった。

 ジュリウス様はマダムローズの事を知らなかったのかもしれないけど、お母様がその注文に悪ふざけのように最高級のオートクチュールを選んだっていうことは、注文主がジュリウス様だったからに他ならない。

 別人であったなら、こんなドレスを送ってくる前にわたくしに一言あったろうから。


 だから。

 あの時、もう辞めておけばよかったんだ。

 そうすればこんな気持ちにならずに済んだ、のに……。



 屋敷に戻って彼の謝罪を受けたところで、わたくしと彼との婚姻が残り一年である事には何ら変わりがない。

 だとしたら。


 わたくしはあのお屋敷で、ジュリウス様が青い髪のユリアス様として他の女性を口説いているところを待っているだけの生活になるのかと。そう思うともうやりきれなくて。


 金華亭だともしかしたら「ユリアス」様と遭遇してしまうかもしれない。

 もしかしたら「ユリアス」様が別の女性を連れてくるかもしれない。


 それをただ見ているだけ、そんな生活にはもう耐えられなかった。

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