表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「わかれよう」そうおっしゃったのはあなたの方だったのに。  作者: 友坂 悠@書籍化しました!!(電子書籍配信中です!!)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/32

光明。

「そりゃあお前が悪い。なんで気がつかなかったんだよ。せっかくお膳立てしてやったのに」


「どういうことだよ」


「言葉の通りさ。奥さんが明るく働いている現場をみたらお前も気が変わるんじゃないかって思ってあの店に連れて行ったんじゃないか」


「最初から、知ってたのか?」


「あれはまあ別人と思っちまうのも無理はないかもしれないが、少し調べればわかる事だろう? 彼女はマリーゴールド商会の支配人だ。で、マリーゴールド商会っていうのは?」


「ああ、マリエルの商会、だ」


「そこまで分かってれば理解できるだろうさ。なんでマリーゴールド商会で「マリー」と名乗る女性が君の奥さんマリエル夫人と無関係だって思えるんだよ」


「それは……」


「それにだ。少しは奥さんの事をちゃんと見ていれば、彼女の素顔くらい見たことがあっただろう? 寝る時も化粧しているわけでもなし」


「いや、見たことは無かったんだ……」


「おまえ、まさか、この二年間、ほんとうにまったくそういうことが無かったっていうのか? 全くの白い結婚だったと?」


「あ、ああ、ほんとうにまったく、夜に彼女とともに過ごしたことは一度もなかったよ……」


 なんなら、夕食時さえともに過ごしたことは数回数えるほどしかなかった……。

 俺とマリエルは、あの屋敷の中にあって完全に他人に等しい生活を送っていた。

 いや、他人ならまだましだ。

 俺はマリエルを避けていたから。


「重症、だな。夫婦仲が上手くいってなさそうなお前がやっと彼女を夜会に連れてこれるまでになったって、喜んでたのに。まさか別れ話を持ちかけていたんだなんて。そりゃあ向こうにしてみればいわば浮気だろう? もし本当にマリーさんがマリエルさんの妹だったとしたら彼女たちはどう思ったと思う?」


「しかし、俺は……」


「おおかた真実の愛を見つけただなんて舞い上がってそこまで考えられなくなっていたんだろうが……。最悪だな」


「俺はどうしたら……」


「逆に聞くけど、どうしたいんだ? マリーさんがマリエルさんだったってわかって幻滅したか? このままわかれてもいいのか? それとも、マリエルさんとよりを戻したいのか? どうなんだ?」


「マリエルとわかれたく、ない……」


「お前が愛しているのはマリエルさん、って事でいいんだよな?」


「ああ、そうだ。俺はマリエルを愛してる。わかれたくなんか、ない」


「なら、まず謝罪だろ? 謝ってこい。本人にちゃんと気持ちを伝えるところから、じゃないか?」


 夜会のあと。

 落ち込む俺を気遣ってくれたウイリアム。

 二人で夜通し飲み明かし相談にのってもらった。


「そうだな。ありがとうウイリアム。そうしてみる」


「ああ。がんばれ」


 そうだ。

 もう、気まずいだなんて言っていられる状態じゃない。


 まず謝罪の手紙を送ろう。

 そして……。

 窓からはいつのまにか朝陽が差し込んでいた。

 ウイリアムのおかげでひとすじの光明が見えた気がして、気分も少し上向いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ