88 魔物との戦闘訓練
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「それじゃあ、行きますよ!」
ここは魔導師団の訓練場。
今日は、ミオの召喚魔法を使って、魔物との戦闘訓練を行う。
ミオが地面に箒を突き立てて、頭の中で魔法陣を描くと、地面に光る魔法陣が描かれた。
そこから出現する魔物達……
「待て待て!何だこれは!?上級の魔物ばかりだろうが!」
「え、そうなんです?」
「せめて中級くらいにしろ」
ミオは一旦召喚魔法をキャンセルして、魔物図鑑を開く。
中級の魔物……中級……って、どれだ?
「師団長、中級の魔物ってどれです?」
「どれって……コレとか、コレとか、コレだが……お前、どうやって選んだんだよ」
「何か、良さげなヤツです」
「……あのな」
ミオが図書室から借りて来た魔物図鑑には、下級・中級・上級と分けて書かれているのではなく、同じページにいろんな階級の魔物達が描かれていた。
しかも、種類別というわけでもない。
誰だ?この図鑑書いた人……センスなさすぎだろう。
「でも、魔法の封印が解かれる時って、魔物達は凶暴化してほとんどが上級の魔物になるんじゃないんです?」
「そりゃあそうだろうが、訓練するにも段階ってもんがあるだろう」
「ま、まぁ……そうですね」
ミオは教えてもらった中級の魔物を呼び出して、契約を交わした。
そして、改めて魔物を召喚する。
今度はいい感じに中級の魔物を召喚できたようだ。
フェルドーとサンブリーに派遣している魔導師にも戻って来てもらい、待機中の騎士団と魔導師団合同での魔物との戦闘訓練となっている。
訓練の中で、中級の魔物の数を増やしていき、その後に上級の魔物を加え、最終的には上級の魔物の集団との戦闘訓練を行うらしい。
普段の見回りでも、上級の魔物である草炎スライムが出現すると、正直なところミオがいないと厳しい状況だ。
ここは、しっかり訓練していただかないと。
「ミオ、そろそろ上級を1体くらい入れてくれ」
「わかりました」
カミーユに指示されて、ミオは中級の中に上級の魔物を1体召喚した。
草炎スライムにしようか迷ったけれど、たまには違う魔物と戦ってみるのも良いかと、闇狼(ダークウルフ)を召喚してみた。
闇狼はかなり凶暴な魔物で、噛みつきと鋭い爪でのひっかきが主な攻撃だが、炎よりも高温な黒炎を放つ攻撃もして来る。
スライムとは違って物理攻撃も有効なので、騎士団でも戦える魔物だ。
魔法攻撃だと氷属性が弱点らしい。
ルシヨット魔導国と戦ったとはいえ、やっぱりペリグレット王国の戦力は低いと思う。
それ以前に比べれば戦力は上がったけれど……こればかりはどうにもならない。
うーん……今度、シャトロワ王国で武器や防具を買い揃えてみるというのはどうだろう?
こうして、午前中の訓練を終えて昼食となり、ぞろぞろと食堂に移動した。
「師団長」
「何だ?」
「どうして、魔王の封印が解かれようとすると、魔物が凶暴化するんです?」
「そりゃあ、魔王の魔力が降り注ぐからじゃないのか?」
「そういうものなんですね……魔王の封印が完全に解かれた時って、わかるもんなんです?」
「さすがにわかると思うぞ」
今生きている人で魔王のことを知っている人などいない。
最後に魔王の核が封印されたのは800年前なのだから。
光竜に魔王のことを教えてもらったとはいえ、ミオが知っている魔王はあくまでも小説やアニメの世界の魔王だ。
この世界で実際に現れるかもしれない魔王など、まったくの未知の魔物なわけで……てゆーか、元になるのは人間だけれど。
光竜に言われたように動けるのか、とても不安だ。
「午後は上級増やします?」
「そうだな。危機的状況を作った方が、戦力も上がるかもしれないしな」
「わかりました」
「それと……お前が召喚できる一番強い魔物は何だ?」
「魔物のステータスの見方がよくわからないので何とも言えませんけど……私的に強いかなと思うのは……」
昼食を食べて休憩をした後、訓練場に戻ったミオが召喚したのは……
「リヴァイアサンだと!?こんなものも召喚できるようになったのか?」
「たぶん、これが一番強いと思いますよ」
「……今日の訓練の最後に、これと戦ってみるか」
「いいですよ。あ、それとこのリヴァイアサン、こんなことも出来るんですよ!」
ミオはリヴァイアサンと向き合うと、挨拶をするようにお互いに頭を下げ、ハイタッチをして見せた。
唖然とするカミーユ。
「何してんだ、お前は……」
「リヴァイアサン、カッコいいけど何だか可愛いですよね!」
―――――――
―――――
―――
闇狼3体と、フレイムビーという上級の魔物を複数召喚して戦ってみると、ここにいる騎士団と魔導師団総出でも倒すことが出来なかった。
フレイムビーというのは中級の魔物であるファイアビーの上位種で、ファイアビーよりも小型だけれど、炎を纏っていて高速で飛び回りながら炎を撒き散らしたり、数体集まって摩擦を起こして大爆発したりとかなり厄介な魔物だった。
それにしても……
「上級倒したらリヴァイアサンと、などと考えていたが……」
「何かいい訓練方法ないですかね」
「そうだな……」
今のままでは、魔王の封印が解除されたら、ペリグレット王国は魔物によって滅ぼされてしまう可能性が高い。
魔物と戦って王国を守るために、ミオとヴィクシスだけで閉ざされた町に向かわなければいけないということも考えられる。
光竜が言っていた、魔王の封印が解かれたら命がけの戦いになるということが、別の理由で命がけの戦いになってしまいそうだ。
「と、とりあえず……いる人で毎日特訓しましょうか」
「それしかないだろうな」
「それと、シャルルさんやルヴィエ副団長がいないと、戦いの指揮を取れないのも課題かなと思います」
「それも含めてシャルルに報告しないとだな」
疲労困憊で草の斜面にゴロゴロと転がっている騎士や魔導師を見回した後、ミオとカミーユは空を見上げて流れる雲をぼんやりと眺めた。
こうして、訓練を続けること数日。
少しずつ戦力は上がっているようには見える。
「魔王の封印が解除された場合って、ただ上級の魔物が増えるってだけなんです?」
「他に何がある?」
「うーん……魔物が凶暴化するというのは、何か違うような気が……通常の上級よりも強くなるのでは?」
「それはあるだろうな」
「結界の中の魔物ってどうなるんです?」
「……今の結界じゃあ、破られてしまうな」
「終わりですね」
そもそも何故、あの魔所は結界で囲んでいるのだろうか?
魔物を討伐してしまえばいいのでは?
などと思っていたら、あの場所は昔から上級の魔物が生息していて、殲滅することが出来なかったらしい。
何もしなければ人間を襲うこともないのだが、必ずちょっかいを出す人間というものは現れる。
そのため、結界で覆って人間の干渉を防ぐとともに、絶対に魔物が町を襲わないという保障もないため、結界によって魔物が出て来られないようにしているのだ。
何故、ペリグレット王国はこんなにも頭を抱えることが多いんだ?
よく今まで何とかなって来たな……4体の竜に守られているとはいえ、課題が多すぎだろう!
「結界については、あとでラウルさんに相談してみます」
「あー、こっちに向かってるんだったな。だったら今連絡してみろよ、船の上で暇してるだろ」
「わかりました」
カミーユに言われてラウルに連絡してみると、驚きの早さで通信に応じたのでミオもカミーユも戸惑ってしまった。
たまたまクリスタルを手にしていただけだろうか?
ラウルに結界のことを相談すると、魔王の魔力干渉を受けない結界にしたら問題解決だろうと言われた。
そんな結界があるんだったら、王国全体をその結界で……何て言ったら、上級の魔物のエリアだけでも大変な作業になるのに、王国全体など範囲が広すぎて無理だと言われてしまった。
それはそうだ、そんな結界で簡単に覆うことが出来るんだったら、魔王の封印が解除されることをここまで警戒する必要もないだろう。
「そういえば、召喚魔法上手くいってる?」
「うん。あ、リヴァイアサンにいろいろと芸を仕込んでいるから、こっち来たら見せてあげるね」
「リヴァイアサンに芸?え、どういうこと?」
「私のリヴァイアサンはとっても賢いんだよ」
「全くわかんないんだけど!?」
ラウル達が来てくれたら、ペリグレット王国の戦力もかなり上がるだろう。
出来るだけ迷惑をかけないよう、とにかく今は訓練を積み重ねて行こう。
ラウルとの通信を終えて、ミオとカミーユは午後の訓練をするために訓練場へと向かった。
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