閑話 ジェラリーの苦悩
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俺の名はジェラリー。
ペリグレット王国、王国魔導師団の魔導師だ。
現在、魔導師団の師団長とミオがルグミアン王国へと出かけているため、魔導師団の指揮は副師団長であるアルバンが任されている。
アルバンは現在15歳。
そんな年齢で副師団長とか、本当に凄いお子様だよ。
15歳にもなるとお子様とは言わないのか?まぁ、いい。
それから、魔導師団にはもう1人、アリスという現在13歳のお子様もいる。
アルバンは少し生意気なだけで、特に問題児ではないが……このアリスという少女は、とにかく手がかかるのだ。
特に、アルバンとの相性は最悪で、師団長やミオはよくこの2人の面倒を見れてるなと、尊敬に値すると思っている程だ。
俺、ジェラリーは、師団長とミオが留守の間、この2人の子守りを任された……って、子守りが必要な年齢かよ!
最悪だ……
まぁ、正直アルバンは、放っておいてもきちんと仕事をこなしているし、俺が何か手伝ったりすることもない。
問題は……アリスだ。
コイツは、騎士団の見回りに同行している間も、執務室でアルバンと顔を合わせている間も、とにかく大変なのだ。
そして、今日はそんなアリスと一緒に騎士団の見回りに同行するのだが……ミオがいないなら、アリスには休んでもらってもいいんじゃねぇえか?
「オイ、あんまわがまま言うんじゃねぇぞ、アリス」
「私がいつわがまま言ったのよ。それよりも、足引っ張らないでよね、ジェラリー」
「お前はまず、口の利き方を勉強しろよ」
「はぁ?何言ってんのよ」
「お前なぁ、先輩に対する礼儀というものがなってないだろうが」
「うるさいわね」
俺はアリスが敬語なんてものを話しているのを聞いたことがない。
ミオなんか普通に話せって言ってるのに、1歳でも年上は年上だとか言って敬語なんだぞ。
ミオを見習えよ、全く……
「あー、副団長、今日もよろしくお願いします」
「お前も大変だな、ジェラリー。こちらこそ、よろしく頼むよ」
「アリスが迷惑をかけないよう、出来るだけ努力はします」
「あの子、ミオ様の言うことは素直に聞くんだけどね。ミオ様も、難しいお年頃の女子だからと言っていたよ」
「アリスの場合、年齢ではなくて性格の問題だと思いますけどね」
「ミオ様にも、あの子のような難しいお年頃があったのかな」
「なかったんじゃないですか?」
「そうだな、俺もそう思うよ」
アリスが魔導師団に入団して約半年。
普通なら騎士団への同行は1人で行くんだが、アリスの場合はいろいろと問題があって、1人では同行させられない。
ミオがいる時は、暗黙の了解でミオとアリスは一緒に同行する。
こんなんで、アリスの奴は独り立ち出来るのか?
独学であそこまで魔法を使えるようになったのは凄いと思うが、何であんなに強気なんだ?
俺は、盛大にため息をついて、騎士団との見回りに出発した。
どうか、何事も起こりませんように!
「私が前を飛ぶから、ジェラリーは後ろね」
「何でだよ!いつもミオの後ろを飛んでるだろうが」
「ミオは私が認めたんだからいいのよ」
「あのな……」
そういや、コイツ……魔導師団に来た時に、ミオに戦いを挑んだんだったな。
一瞬で負けたらしいが。
つーか、ミオは認めた?俺は認めてねぇってことか!?
くそ、腹が立つなまったく。
―――――――
―――――
―――
「とりあえず、ここまでは問題なしだな」
「そうですね。この先が、最近上級の草炎スライムが出るから要注意ですね」
「そうなんだよ。あれが出て来たら厄介だな」
「俺もあれにはかなり苦戦しましたよ」
今日はネーオールの森を見回った後、昼食を食べてからオルレーヌの門までの間を見回るのだが、ここは最近上級の草炎スライムがよく出現する。
一応、俺は水と氷属性が得意だが……草炎スライムは苦手だ。
あいつ、飛ぶし炎撒き散らすしすばしっこいしで最悪なんだよな。
「ねぇ、ちょっと湖に行ってきてもいいかしら?」
「湖?今じゃねぇとダメなのかよ」
「だって、帰りは寄らないで帰るんでしょ?別に帰りに立ち寄るならそれでいいわよ」
「お前、言い方な……どうします?副団長」
「別に帰りに立ち寄っても構わないよ」
「ありがとうございます、副団長……だそうだ、アリス」
「そう、それならいいわ」
礼も言わずに立ち去るアリス。
ミオがいたら、ちゃんと礼を言わせるんだろうな。
「オイ、礼くらい言えよアリス」
「ふんっ」
「何だよそりゃ」
「……何でミオ様の前では素直なんだろうな」
「すみません、副団長」
「ジェラリーが謝ることでもないよ。俺は気にしないし」
この日の見回りは、上級の魔物との遭遇もなく無事に王都へと帰還出来そうだった。
アリスとの約束通り、湖に立ち寄ってから帰ることにし、王都側の森の出入り口で休憩をする。
「それじゃあ、私は湖に行って来るわ」
「待て待て、俺も行く」
「何でよ」
「お前を1人に何かできるかっての!」
「ふん、勝手についてくれば?」
いちいち腹が立つな、本当に。
俺がアリスと一緒に湖に向かうと、アリスは湖の傍で水竜を呼んでいた。
ミオはよくここで水竜と戯れるらしいが、アリスもなのか?
だが、一向に水竜は顔を出さなくて、アリスはキレ気味に水竜を呼び始めた。
やっぱり、ミオじゃないと呼び出せないんじゃねぇのか?……なんて口にしたら、めちゃくちゃアリスにキレられてしまった。
何なんだよ、ったく!
「何で出て来ないのよ!仕方がないわね、これでも出て来ないつもりかしら?」
「オイっ!?」
アリスが湖に向かって攻撃し始めて、俺は慌てて止めた。
「何やってんだよお前!馬鹿じゃねぇの!?」
「馬鹿とは何よ!ジェラリーのくせに!」
「あのな」
俺はアリスの腕をつかんで、騎士団の所に引きずって戻って行った。
勘弁してくれよマジで。
こうして疲れ果てて魔導師団の執務室に戻った俺とアリス。
執務室で仕事をしていたアルバンに向かってアリスが放ったひと言で、今度はお子様同士の喧嘩が勃発だよ。
最悪だ……
こんな毎日を過ごし、俺は心身ともに疲れ果てた。
そこに、ミオから明後日には帰ると連絡が来た。
俺は涙が出るほど嬉しかった。
ミオが神様に見えたよマジで。
帰って来たらたくさん愚痴を聞いてもらうぞ。
―――――――
―――――
―――
ネーオールの森の湖の底。
水竜は必死に耐えていた。
「ミオ、なんかミオの声じゃないけど、僕を呼ぶ声がするよ。ミオじゃないから僕は出て行かないけどさ、なんかしつこく呼ぶんだよね。しかも、ちょっとキレてる?怖いんだけど!どうしたらいい?ねぇミオ、僕どうしたらいい?わぁーっ!?攻撃して来たんだけど!何?何?僕、何もしてないんだけど何で攻撃して来るの?ミオ、早く帰って来てよー!」
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