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憧れの異世界はやっぱりとても大変な世界  作者: 花聖
第四章 交流
94/132

85 世界樹

のんびり更新中♪

 朝、目が覚めたミオは、大きく伸びをするとベッドから降りてカーテンを開け、窓を開け放った。

 少しひんやりとした空気が入って来て、そういえばもうすぐ10月だったなと思う。

 窓から外を眺めると、とても立派そうな建物が遠くに見えた。

 あれが王宮だろうか?

 そしてその奥に、霞んでいて良く見えないけれど、何かとても大きなものがそびえ立っているのが見え……もしかして、あれが世界樹か?

 ミオは思わず窓から身を乗り出してしまった。

 危ない危ない、落ちるところだった……

 シャルルやカミーユに見られなくて良かったと思っていると、窓の下から声が聞こえてきた。


「何やってんだミオ!危ないだろうが!」

「……お、おはようございます師団長、シャルルさん。随分と早起きですね」

「お前が遅いんだよ!」


 バッチリ見られてたよ……てゆーか、え、そんなに寝坊しました?

 ミオは苦笑いしながら顔を引っ込めると、急いで身支度を整えて降りて行った。

 シャルルとカミーユも食堂へと入って来ていて、案内された席に3人で座った。


「全く、窓から顔を出したかと思えば急に身を乗り出すから驚いたぞ」

「す、すみません……世界樹らしいものが見えて、つい」

「落ちなくて良かったが、心臓が止まるかと思ったよ」

「……ごめんなさい」


 朝から心配をかけてしまって、本当に申し訳なく思うミオだった。


 朝食を食べ終えると宿を出て、この王都の上空を箒で飛んで行くのもどうなんだ?と悩んだ末、王宮へは馬車で向かうことにした。

 街から王宮まではそんなに離れてはおらず、すぐに到着することが出来た。

 神々を祀る王国なだけあって、とても神々しい王宮に目を見張る。

 ミオは、カバンからルグミアン国王から預かった許可証を取り出すと、門の前にいた騎士に渡した。


「これはこれは、ペリグレット王国の王女様でいらっしゃいますか。ようこそ、ルグミアン王国へ。滞在中のお部屋と、書庫にご案内いたしますので、どうぞお入りください」

「ありがとうございます」


 立派な門が開かれて、中に案内される。

 ペリグレット王国の王宮とは全然違った景観に、思わずキョロキョロと見回してしまった。

 何だこれ、神様でも出て来るんじゃないですか?


「あの……」

「どうかなさいましたか?」

「あ、いえ……奥に霞んで見えるのって、世界樹ですか?」

「そうですよ。お部屋までご案内しましたら、世界樹もご案内いたしましょうか?」

「え、いいんですか?」

「もちろんですよ」

「あー、でも……書庫が先ですかね……」


 ミオがシャルルとカミーユに目を向けると、シャルルが微笑みながら世界樹に案内してもらおうかと言ってくれた。

 神様ですか!

 こうして、世界樹に案内してもらうことになったのだけれど、霞んでいるだけあって王宮からは少し離れているようで、案内してくれる神官みたいな人と馬車で世界樹まで向かうことに。


「すみません、こんなに離れてるなんて思っていなくて」

「お気になさらず。世界樹は、観光名所でもあるんですよ」

「そうなんですね」


 観光名所というだけあって、世界樹の前に到着するとたくさんの人で溢れていた。

 ミオ達は神官に案内されて、門番の騎士が立っている所から門の中へと入って行った。

 ここは、一般の人達は入ることが出来ないらしく、中には世界樹を管理する神官が数名いるだけだった。

 気のせいか、とても神聖な空気に包まれているような感じがする。

 世界樹の前まで歩み寄ると、そこには結界が張られていて、この結界によって世界樹は守られているとのことだった。


「ん?あの細い通路は?」

「あれは、選ばれた者のみが通れる通路です」


 結界の中に、世界樹に向かって伸びる細い通路があった。

 その通路は、国王以外には入れる人がおらず、ここを管理する神官も中には入ったことがないのだと説明してくれた。

 やっぱり、あの国王はとんでもない王様だった。

 ミオが何気なく結界に向かって手を伸ばしてみると……ん?

 ミオの手は結界をスーッと通り抜けて行き、そのまま中に入ることが出来た。


「ミオ!?」

「お前、その結界も通り抜けるのか!?」

「これは……驚きました!」


 3人が目を見開きながら驚いていると、結界の中に入ったミオの姿を見た他の神官達も集まって来て、何だか通路前が騒然としてしまった。


「えーと……中見て来てもいいです?」

「そこに入れたということは、選ばれた方のようですし、どうぞお進みください」

「それじゃあ、行って来ます」


 ミオは細い通路を進んで行き、光の中へと入って行った。






 ―――――――

 ―――――

 ―――






 目の前にそびえ立つ世界樹。

 巨大な世界樹の根元へと歩み寄ったミオは、その太い木の幹に手を伸ばしてみた。

 普通に触れることが出来た世界樹の幹は……感触としては普通の木と変わらなかった。




 ―――珍しいな、ここに国王以外の人間が入って来るとは




 突然声が聞こえてきて、慌てて世界樹から離れたミオ。

 誰だ?

 声が聞こえて来た上の方を見上げていると、何とも神々しく光っている竜が姿を現した。




 ―――誰だ、お前は?


 は、初めまして!私は、ペリグレット王国王女、ミオ・ペリグレットです


 ―――ほぅ、ペリグレット王国の王女か。我はこの世界樹の守護神、光竜(ホーリードラゴン)だ


 そうなんですね。まさか、世界樹が竜に守られているとは知りませんでした


 ―――ここに、国王以外の魔導師が訪れたのは、実に800年ぶりだな


 そ、そうなんですね


 ―――我の子供達は元気か?


 光竜さんの……子供達?




 光竜なんて初めて会ったし、光竜の子供なんて知りませんが?

 てゆーか、竜って子供産むんですか?

 ミオが首を傾げながら考えていると、光竜が顔を寄せて来た。

 近い近い、近いですって!




 ―――お前の王国を守っておるだろうが


 もしかして……氷竜、炎竜、風竜、水竜のことですか?え、光竜さんの子供だったんですか!?


 ―――そうだ。何だ、何も聞いていないのか?


 そんな話、したこともなかったので……あ、4体ともとても元気ですよ。水竜にはよく乗せてもらってますし


 ―――あれは少々やんちゃ過ぎるがな。元気ならば良かった。それよりも、聞いておるか?


 何をですか?


 ―――魔王のことだ


 そのことでしたら、氷竜に聞いています。そのことで詳しく調べるために、この王国に来たんですよ


 ―――ならば、我が教えてやろう




 何と、光竜が魔王について詳しく教えてくれた。

 そのため、書庫に行く必要はなくなった。


 古の時代に、闇に飲み込まれた人間の欲望と悪意によって混沌の化身である闇竜(ダークドラゴン)が生まれ、魔王が誕生した。

 世界は混沌の闇に堕ち、魔物達は魔王によって支配され、人々は絶滅の危機を迎えた。

 そこに、1人の魔導師が現れ、残された人々とともに魔物の群れと戦い、絶命寸前に魔王の所まで辿り着くと最後の力を振り絞って光竜を呼び出し闇竜を封印した。

 そして、魔王となった人間から核を分離させて、魔王の核を封印した。

 魔王の核を消滅させるには、魔導師の命が足りな過ぎたのだ。

 魔王の核を封印したのち、絶命しかけていた魔導師の命の灯は消えた。

 その後も、深い闇の底で悪意と欲望の塊となった人間は現れるもので、数百年ごとに魔王の封印が解かれている。

 その都度、この世界は混沌の闇へと堕とされてきたが、何とか魔王の核を封印することで守り続けて来た。

 過去に一度だけ、魔王の核を消滅させた魔導師がいたが、それでもまた魔王を生み出す人間が現れたらしい。

 この世で最も恐ろしい生き物は人間だと、光竜は語った。

 確かに、光竜の言う通りだとミオも思う。




 ―――封印魔法は使えるか?


 封印魔法ですか?うーん……あ、そういえばそんな魔法覚えましたよ?使ったことはありませんけど。エターナルティアドロップという魔法ですか?


 ―――そうだ。では、我の召喚魔法を授けよう


 召喚魔法ですか?私、魔法陣描けないですよ?


 ―――問題ない。ここに入って来る魔導師は、皆頭の中に描くだけで魔法陣が描ける


 え、そうなんですか?


 ―――知らなかったのか?では、今から教える魔法陣を頭の中で描きながら、その箒を地面に突き立ててみろ


 ……やってみます




 ミオの頭の中に魔法陣が流れ込んできて、ミオはその魔法陣を頭の中で描きながら箒を地面へと突き立ててみた。

 すると、地面に光で魔法陣が描かれた。

 これは凄い!




 ―――我を呼び出す詠唱はこれだ




 今度は、ミオの頭の中に詠唱が流れ込んで来た。

 何だろう、とても凄い魔導師になった気分だ。




 ―――もしも、魔王の封印が解かれてしまったら、魔王の元まで行き我を呼び出すが良い。では、我は戻るとしよう


 ち、ちょっと待ってください!人間から魔王の核を分離する方法は?


 ―――何だ、魔力消滅の魔法を知らんのか?


 知らんのかって……あ、それも覚えたような気が……ロストマジカルですか?


 ―――そうだ。魔力消滅、封印魔法、我の召喚、この3つが出来れば魔王の封印は出来る


 なるほど、ありがとうございます


 ―――魔王の封印が解かれてしまったら、命がけの戦いになることは覚悟しておくのだな


 ……はい、わかりました


 ―――では、我は行く。子供達によろしくな


 はい




 光竜は、世界樹の幹を螺旋を描きながら登って行き、姿を消した。

 命がけの戦いか……ミオはギュッと箒を握りしめると、細い通路へと戻って行った。






 ―――――――

 ―――――

 ―――






「お帰り、ミオ」

「随分と長い間中に入っていたな。何してたんだ?」

「ちょっと光竜と話をしてきました」

「はぁ!?」

「光竜?」

「何と!光竜とお会いしたのですか!?しかも、話もされたと!?」

「はい」


 口をあんぐりと開けて、目が落っこちるんじゃないかってくらい目を見開いて驚く3人。

 何故か集まっていた神官達の間でざわめきが沸き起こった。

 とりあえずこの場から去ることにして、馬車へと向かった。

 王宮へと戻る馬車の中で、ミオは光竜と話したことを説明する。


「そんなわけで、魔王の封印が解かれてしまったら、命がけの戦いになるらしいです」

「そりゃあ、そうだろうな」

「封印が解かれる前に阻止しなくてはいけないな」

「それにしても、驚きました。まさか、王女様がこのように凄い魔導師だったとは」

「凄くはないですよ。たまたまです。それよりも……書庫に行く必要がなくなってしまいましたね」

「でしたら、少し王都をご案内いたしましょうか?」

「いいんですか?」

「もちろんです」

「それなら、是非お願いしたいです!」


 思いがけず観光が出来ることになり、神官の案内でミオ達は王都を巡って楽しんだ。

 そして王宮へと戻ると、この世界の創造についての文献がある書庫に案内してもらい……何と、あの光竜がこの世界を創造した神々を生み出したことがわかった。

 ペリグレット王国を守っている4体の竜の親は、とんでもなく凄い竜だった。



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お読みいただきありがとうございました!

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