77 ルシヨット魔導国から帰国の途へ
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夕食を食べてお風呂に入った後、ミオは自分の部屋に戻ってベッドに寝転がりながら、ふと思い出して起き上がった。
そうだ、図書室に行こうと思ってたんだった。
ミオは箒を背負って部屋から出ると、近くにいた使用人に図書室の場所を聞いて……結局よくわからなくて図書室まで連れて行ってもらった。
「お忙しいのにすみません。ここまで案内してくれて、本当にありがとうございました」
「とんでもございません。お帰りの際には、ここで待機している者にお尋ねください」
「はい」
案内してくれた使用人に何回も頭を下げて、ミオは図書室へと入って行った。
図書室には、夜だというのに何人もの利用者がいて、魔導師学校の生徒だろうか?調べ物をしている人も多かった。
ミオは、転移魔法について書かれていそうな魔導書を探して、本棚を見て回った。
こないだ来た時に見た本棚にはそれ系の本はなかったと思うので、まだ見ていない本棚を探す。
ラウルが難しいと言う魔法を理解できる気はしないけれど……何か閃いたら、ラウルに伝えたらやってくれそうだし。
やっぱり、せっかく魔法がある世界に来たのだから、転移魔法は使いたいと思うのだ。
だって、便利だもの。
「うーん……ん?」
ミオが魔導書を探していると、本棚の向こう側に光が見えて本の隙間から覗き込んだ。
何だろう?
一昨日読んだ封印された魔導書は別の本棚に置いてあったから、そこで光っているのはその魔導書ではない。
だったら、何が光っているんだ?
ミオは箒を移動させて、本棚の向こう側へと回ってみた。
すると、光っていたのは前に読んだものとは違う魔導書だった。
「……黒すぎて触れていいのか悩むな」
ミオの前で光を放っている魔導書は、豪華な装飾は施されていないけれど、真っ黒で他の魔導書とは明らかに違ったオーラを漂わせていた。
これが、黒ではなく白だったら迷わず手に取ったのだけれど。
本に手を伸ばしたまま葛藤すること数分。
ミオはようやく覚悟を決めて、真っ黒な魔導書に手をかけた。
―――――――
―――――
―――
「あれ、どうしたの?団長さん」
「ミオが部屋にいなくてね。まぁ、心配はいらないだろうが……ミオはすぐに迷ってしまうから、やはり心配なんだ」
「ミオちゃんって、方向音痴だからねー」
シャルルとラウルが廊下で話をしていると、ミオを図書室まで案内した使用人がラウルに声をかけて、ミオを図書室まで案内したことを伝えた。
「ミオちゃんってさー、ホントに図書室好きだよね」
「休日もよく足を運んでいるからな」
シャルルとラウルは顔を見合わせて笑うと、ミオを探しに図書室へと向かった。
こうして、2人が図書室にやって来て目にした光景は……頭の後ろに本をかぶりながらテーブルに突っ伏すミオの姿と、そんなミオの姿を眺めながら周囲に集まる人々の姿だった。
「……また随分とおかしな格好で突っ伏しているな」
「新しい勉強方法か何か?」
「おそらく違うと思う」
シャルルが笑いながらミオに歩み寄って、背中に手を当てながら名前を呼んだ。
「ミオ」
「……ん?シャルルさん?」
ミオがキョトンとした顔で頭を上げた。
ラウルも笑いながら隣に座る。
「ラウルさんも……あれ、お2人でどうしたんです?」
「ミオが図書室にいると聞いたから、探しに来たんだよ」
「ミオちゃんさぁ、何で本なんかかぶってたの?面白がって人が集まってるよ?」
「え?……ホントだ!は、恥ずかしい…」
ミオは真っ赤になりながら、開いた本の後ろに顔を隠すように体を小さくする。
てゆーか、ただ突っ伏してただけなのに、何がそんなに面白いわけ?
「また難しい本でも読んでいたのか?」
「光ってる本を見つけたのでつい……でも、難しすぎて理解不能で……」
「何の本?……って、封印の書じゃん!誰でも読めるけど、選ばれた人しか覚えられないっていう、超難解な魔導書!」
「えー、だったら私にはムリじゃん……戻してこよ」
「待って待って!それ、光ってたんでしょ?だったら、ミオちゃんは覚えられるから、頑張って読んでよ」
「……わかった。もう少し頑張ってみるよ」
ミオは、続きから再び読み始めた。
この本を書いた人、凄い人なんだろうけどとにかく文章のクセが強くて、難しい文章をより解読困難にしている。
眉間にシワを寄せながら読み進めていき、所々で魔法陣が描かれてくると、ミオの頭の中にスーッとその魔法陣が入って来た。
こうして、ようやく封印の書に書いてある魔法を理解することが出来た。
本のタイトルの通り、封印魔法についての内容が書かれてある。
封印魔法なんて使う場面はなさそうだけれど、まぁ、覚えておいて損はないだろう。
「よし、覚えた」
「やっぱ凄い魔導師だよ、ミオちゃんは」
「お疲れ様、ミオ」
ミオは真っ黒な封印の書を元の場所へと戻し、両手を天井に向けて大きく伸びをした。
何だか凄い達成感だ……って、肝心の転移魔法については何も調べられてないじゃん!
今から魔導書を探そうか悩んだ結果、今日は疲れたので部屋に戻ることにした。
「それにしても、さすが魔導国の図書室よね。レアな魔法がたくさん覚えられるよ」
「まぁねー。でもさ、ミオちゃんが特級魔導師だからってこともあるよ。俺じゃあ読めない魔導書も、ミオちゃんなら読めたし」
「不思議な仕組みよね。どういう仕掛けなの?」
「それは、本を書いたのが凄い魔導師だったってことで、どういう魔法を使ったのかはわからないよ。ミオちゃんもそんな本が書けるんじゃん?」
「ムリムリ。説明できないし、そもそも魔法陣が描けない」
「ホント、そこが不思議だよねー。ミオちゃんの頭の中を見てみたいよ」
「恥ずかしいからやめて!」
ラウルとは途中で別れて、ミオはシャルルと2人で部屋に向かった。
そういえば、魔法の話ばかりでシャルルには退屈な思いをさせっぱなしだと思ったミオ。
すまなそうにシャルルを見上げた。
「ん?どうした?」
「何だか魔法の話ばかりで、シャルルさんにはいつも退屈な思いをさせているなと思って」
「ふふ、そんなことはないよ。ミオを見ていると飽きないし、魔法の話も聞いていて面白いと思う」
「本当です?」
「あぁ、本当だよ」
微笑みながらミオの頭に手を乗せたシャルルに、ミオは頬を赤く染めながら慌てて視線をそらした。
いつになったら、このイケメンの行動に慣れるんだ私……
―――――――
―――――
―――
ルシヨット魔導国にやって来て、とても充実した毎日を過ごし、あっという間に最終日の調印式を迎えた。
エレーヌによって、調印式用のドレスに着替えさせられ、化粧と髪の毛のセットを施されたミオ。
サインするだけなんだし別に普通の格好でも……何て思ったけれど、これは国同士の条約を確定するための大切なイベントだ。
身だしなみも、国を代表する者として恥ずかしくないものでなければならない。
ペリグレット王国の王女として、初めての仕事でもあるし、ここはきちんとしなくては。
ミオは緊張した面持ちでラウルと並んでサインをした。
ラウルは、もうすっかり国王としての風格が定着しており、堂々としたものだった。
こうして、無事に調印式を終え、ミオ達は帰国の途へと就く。
「もう帰っちゃうのかー。寂しいなぁ、俺も一緒に行きたいなぁ」
「ラウルさんが転移魔法を確立させたら、いつでも来れるよ」
「そりゃあ、頑張るけどさー……ミオちゃんの方が確立できる可能性高くない?」
「私にはムリ」
ミオ達を乗せた馬車は、ラウル達に見送られながら王宮を後にし、ペリグレット王国の船が停泊している港町へと向かった。
ありがたいことに、シャワーを設置してくれる魔導師も同行させてくれた。
シャワー設置後は、一般の人が利用する客船で帰らせて良いと言われたけど、本当にそれでいいのだろうか?帰ったら国王と相談しよう。
何にせよ、またこれから長い船旅が始まる。
船酔いとの戦いが……と憂鬱になるミオだったけれど、特級のステッキを手に入れたことで、ヒールの効果が上がったのでは?
ほんの少しだけ、憂鬱な気分が薄らいだミオだった。
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