72 嬉しい友との再会
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最終的な補給のために立ち寄った港町から出航して1週間。
ミオ達を乗せた船は、昼食を食べるとすぐにルシヨット魔導国の港町へと到着した。
滞在期間は、船長と船乗り、料理人達は船で待機となり、船の整備などを行う。
その間は、船で寝泊まりしないといけないわけではなく、港町や周辺の町への観光などを許可されているので、ある程度は自由に行動できる。
ただし、交代で誰かは船に残らないといけないけれど。
ルシヨット魔導国の王宮へと向かうのは、ミオとシャルル、5人の騎士達、それにヴィクシスとエレーヌだ。
全員の荷物を馬車に積み込み、2台の馬車で港町から出発した。
「ようやく到着しましたね。王宮まで半日くらいでしたっけ?」
「そうだよ。休憩をしながら向かうが、具合が悪くなったらすぐに教えてくれ」
「はい。それにしても……この格好じゃないとダメです?」
「知り合いとはいえ、国王との謁見だからな」
ミオは船から降りる前に、エレーヌによって謁見用ドレスへと着替えさせられていた。
着慣れないドレスというものは、やっぱり窮屈である。
「王宮が近くなってから着替えても良かったんじゃ……」
「着替える場所がないだろう?」
「馬車の中で着替えられますよ?それか、荷馬車とか」
「さすがに、そういうわけにはいかないよ」
シャルルが苦笑いしながらミオの頭に手を乗せた。
ヒールで酔い止めをしているとはいえ、ドレスというものはお腹を締め付けるので、気分的に馬車酔いしてしまいそうだ。
魔法の重ねがけは出来なかったけれど、気分的にヒールを重ねがけして小窓を開けて流れる景色を眺めることにした。
ルシヨット魔導国は、魔導師の多い国=魔法使いの国=ファンタジーな国……ということで、ミオはもっとファンタジーなイメージをしていたのだけれど、特にファンタジーというわけでもなかった。
まぁ、当たり前か。
それに、もっと上空を人々が飛び交っているのかと思ったけれど、見かける人達は徒歩や馬車などで移動していた。
ペリグレット王国で見る光景とそんなに変わらないな……と思いながら、ミオは窓の外を見ていた。
こうして、王宮まで半分くらい進んだ辺りで休憩を取ることになり、馬車を降りて大きく伸びをするミオ。
外の空気が美味しいし、座りっぱなしと窮屈な衣装によって凝り固まった体がほぐれる。
「ミオ、大丈夫か?」
「大丈夫ですよ。何回もヒールかけていたので」
近くを流れる小川に足を入れたいところではあるけれど、ドレスが汚れてしまっては大変なので我慢する。
こうして、シャルルと並んで座りながら休んでいると、騎士がミオのバッグを持って走って来た。
「ミオ様、何か光っているようです」
「ん?……ラウルさんかな?ありがとうございます」
騎士からバッグを受け取って中を見てみると、ラウルの通信用クリスタルが光っていた。
クリスタルを取り出して魔力を込める。
「やぁ、ミオちゃん!今どの辺?」
「こんにちは、ラウルさん。えーと……どの辺なんだろう?小川が流れてる所で休憩してるんだけど」
「小川んとこね、わかったー。それじゃあ、日が暮れる頃に王宮に到着かな?」
「たぶん、そんな感じだと思うよ」
「急がなくて大丈夫だから、ゆっくり休憩しながら来てね」
「うん、ありがとう」
少し話をしてクリスタルの通信を切ると、休憩時間も終わりのようで騎士達が出発の準備を始めた。
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―――――
―――
日が傾き始めると、沈むまでの時間が加速されるように思うのは気のせいだろうか?
日が沈む前に王宮に到着できるかも……などと思っていたけれど、当初の予定通り薄暗くなってきた頃に、ようやく王宮に到着した。
まぁ、暗くなる前に到着できたから良しとしよう。
ミオがシャルルに手を引かれながら馬車を降りると、出迎えの魔導師が深々と頭を下げながら挨拶をした。
「長旅、お疲れでしたでしょう。食事までごゆっくりと……って、え?ミオちゃん!?」
「お久しぶりです、コルトさんにディナールさん」
「えー!?ペリグレット王国の王女様ってもしかして……」
「あれ、話してませんでしたっけ?」
「「聞いてないよ!」」
そういえば、ラウルには話したけれど、この2人には話していなかったかも……ミオは笑いながら「ペリグレット王国王女、ミオ・ペリグレットです」とカーテシーなんかしてみた。
荷物を降ろしたり部屋に運んだりするのは、この王宮の人達と、護衛の騎士やヴィクシス、エレーヌで行うらしく、ミオとシャルルは2人に案内されてラウルの所に向かった。
2人とも元気そうで何よりだ。
「ミオちゃんが王女様か……って、ミオちゃんなんて呼んだら駄目ですね」
「え、今まで通りでいいですよ?ペリグレット王国でもそうしてもらってますし。気を遣われるの嫌なので……」
「いや、さすがにそれは……」
コルトとディナールがシャルルに目を向けると、一瞬キョトンとしたシャルルだったけれど、2人の心境を察してか笑いながら今まで通りでいいと言った。
「ミオがそうしてくれと言うからな」
「なるほど」
「まぁ、俺達も助かるけど」
こうして、2人に案内されて謁見の間に到着したミオとシャルル。
今から会うのはラウルで、前からの知り合いではあるけれど、こういう形式ばった挨拶をするというのはやっぱり緊張するものだ。
コルトとディナールがドアを開けて、ミオとシャルルは部屋の中へと足を踏み入れてラウルの前まで進んで行き、シャルルが片膝をつくとミオが深々とカーテシーをした。
これで良かったわよね?
「ミオちゃん!ドレス姿、凄く似合ってるよ!」
「まったく着慣れてないから恥ずかしいんだけどね……え!?」
ミオが顔を上げると、いつの間にか目の前に立っていたラウルがミオに抱きついてきて驚く。
別にこれには深い意味はなく、ラウルの挨拶的なものなのだとミオは思っているけれど……やっぱり人前でやられるととても恥ずかしい。
ラウルはミオから離れると、ミオの手を取りながら満面の笑みを浮かべた。
「ここじゃあ堅苦しいからさ、食事が出来上がるまでお茶でも飲んでようよ」
「ご、ごめんね気を遣わせちゃって。私は食堂とかで良かったのに」
「あのさー、ミオちゃんは王女様なんだよ?食堂なんかで食べさせられるわけがないよね?」
「私は気にしないよ?」
「そうやって、ペリグレット王国でも皆を困らせてるんでしょ?」
「し、失礼ね!困らせてないわよ!」
ラウルは笑いながらミオの手を引いて、応接室へと向かった。
シャルルやコルト達も一緒に移動する。
「どれくらい滞在できるの?1週間くらいはいれる?」
「えーと……」
そういえば、滞在期間などは話していなかったような気がする……ミオがシャルルに目を向けると、シャルルが笑いながら説明してくれた。
「色々な場所が見れるようにと考えていたので、1週間までであれば滞在は可能だ」
「それなら良かった」
「私ね、学校とか詳しく見たいなと思ってるの。それと、図書室とかあれば……」
「ミオちゃんってさー、図書室こもると出て来なくなるからな―」
「そ、そんなことは……ないようにするよ」
そんなことはないと言い切れないところが悲しい。
でも、魔導国の図書室の魔導書は、とても充実していると思うのだ。
ぜひ見ておきたい。
今日はもう遅くなってしまうので、夕食を食べたら体を休めて、明日から色々と見て回ることになるらしい。
そして、最終日に友好国として友好条約を結ぶ調印式を行って、ミオ達はペリグレット王国へと帰国する。
またあの長い船旅が……と考えるとかなり憂鬱だけれど、滞在期間はそのことは考えずに楽しもうと思うミオだった。
夕食後、お風呂に入りに行ったミオはとても驚いた。
何と、シャワーが設置されていたのだ。
思わず声を出して驚いてしまい、慌てたエレーヌが駆け込んで来てしまった。
これは……恥ずかしい。
お風呂から上がって部屋に戻り、クリスタルを使ってラウルにシャワーのことを聞いてみると、何と魔力を使って水をくみ上げてお湯にしてシャワーにしているらしい。
説明を聞いたけれどまったく理解できなかったので、明日もう一度詳しく説明してもらうことにした。
別にシャワーがなくても何とかなるけれど、あったら便利だし是非ともペリグレット王国の王宮でも設置したい。
知りたいことがたくさんありすぎて、何を聞いたらいいのかわからなくなるな……そんなことを考えながら、ミオは明日からのことを楽しみにベッドへと潜り込んだ。
今夜は、いい夢が見られそうだな……
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