表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
憧れの異世界はやっぱりとても大変な世界  作者: 花聖
第四章 交流
74/132

66 王子様のご案内

のんびり更新中♪

 ペリグレット王国を訪れたシャトロワ王国の国王と第一王子。

 王宮の応接室でお茶をしながら話していたのだけれど、父親によって第一王子であるエリアスをご案内することになったミオ。

 何故、こんなことに……


「え、えーと……じゃあ、行きましょうか」

「あぁ」


 ミオは立ち上がってエリアスに笑顔を向けた。

 引きつってないわよね?


 こうして、ミオはエリアスと一緒に応接室を出ると、とりあえず庭園へと案内した。

 庭園なんて、花を見ながら歩いていたらあっという間に見終えてしまう。

 どうしろと?

 ミオが困り果てながらゆっくりと歩いていると、侍女が庭園までお茶をお持ちしましょうかと声をかけてきた。

 ナイスだよ侍女!

 ミオはガゼボまでお茶を運んでもらうようお願いして、ガゼボへとゆっくり案内した。

 タイミング良くお茶を用意して来てくれるのだから、本当に侍女のスキルって凄いと思う。


 紅茶を飲みながら、何となくエリアスに視線を向けると……またガン見されていた。


「あ、あのう……」

「お前、いくつだよ」

「……24ですけど」

「は?」

「え?」


 どういう「は?」なんだそれは?

 目を見開いたエリアスの口から出た言葉は……


「私の1つ下だと!?嘘だろ!」

「嘘じゃないですよ!3月で24歳になりましたよ!」

「そんなに小さいくせにか?」

「小さくないです、普通です、普通サイズです」


 本当に、この世界のサイズ感ってどうなってるんだ?

 私に対して失礼極まりなくないですか?


 こうしてガゼボで紅茶を飲みながら、次はどこを案内しようかと悩んでいると、エリアスが騎士団と魔導師団の訓練場などを見たいと言うので、紅茶を飲み干すと案内することにした。


 エリアスと並んで騎士団の訓練場まで歩いて行くと、訓練場では多くの騎士達が訓練をしていて、とても賑わっていた。

 魔導師団の訓練場とは大違いで羨ましい。

 ミオとエリアスの姿を見つけた騎士が、丁寧に頭を下げて挨拶をしていた。

 さすが、礼儀作法がちゃんとしている。

 ミオも見習わないとなと心の中で思った。


「ここには第一騎士団が配置されています。王国騎士団は第三騎士団まであって、第二騎士団はフェルドー、第三騎士団はサンブリーという町に配属されています」

「この王国の騎士団は、それしかないのか?」

「はい、そうですよ。小さな王国なので……シャトロワ王国ではどれくらいあるんです?」

「我が国の騎士団は、十三騎士団まである。まぁ、この王国に比べれば国土も広いがな」

「え、そんなにですか!?凄いですね!」


 武装国家というだけあって、きっと軍事力もあるんだろうなと思う。

 どんな国家を武装国家というのかはよくわからないけれど。

 シャトロワ王国は、ペリグレット王国とは違って陸続きで他国と繋がっているから、争いなども起こりやすいのかもしれない。


「騎士団の団長と副団長は、今は見回りに行っているのでご紹介できませんけど……魔導師団の師団長は執務室にいるので、ご紹介しましょうか?」

「あぁ、頼む」


 ミオは、エリアスを魔導師団の執務室へと案内した。

 それにしても……身長、どれくらいあるんだろう?随分と大きく感じるな。

 ミオがエリアスを見上げていると、その視線に気がついたのかエリアスがミオを見下ろした。


「何だよ?」

「あ、いえ……背が高いなぁと思いまして」

「お前が小さいんだろ」

「ふ、普通ですよ!」


 シャルルよりも大きく感じるから、190cmくらいあるのだろうか?

 シャトロワ王国の皆さんって……もしかしてこの身長が普通なのだろうか?

 え、巨人の国なのか!?

 そんなことを考えながら歩いていると、執務室の前についていた。

 頭を切り替えてドアをノックする。


「師団長、シャトロワ王国の第一王子をお連れしましたよ」

「お前なぁ、お連れしましたって……こんなところに連れて来るんじゃ」

「私がシャトロワ王国第一王子、エリアス・シャトロワだ」

「……王国魔導師団師団長、カミーユ・グレイヤールです」

「えーと……魔導師団の訓練場、たぶん……てゆーか、確実に誰もいませんけど、見に行きます?」

「誰もいない?どういうことだ?」

「うーん……副師団長とあと1人は学校、1人は騎士団と見回り、4人はポーション製作、1人はフェルドーでもう1人はサンブリーに派遣中。残りは私と師団長なので、訓練場には誰もいませんってことです」

「は?」


 もしかしてこの人、「は?」が口癖なのか?


「この王国は、それしか魔導師がいないのか?」

「いませんよ?めちゃくちゃよーく探せばいるかもしれませんけど……」

「魔導騎士団は?」

「魔導騎士団?魔法が使える騎士団ってことですか?そんな騎士団はありませんよ。ね、師団長」

「俺に話を振るんじゃない……ミオの言う通りですよ。この王国には魔導騎士団などというものは存在しません」


 エリアスはとても驚いたような顔をしていたけれど……え、魔導騎士団って普通にいるもんなんですか?


「まぁ、いい。とりあえず案内してくれ」

「わかりました。あ、師団長も一緒に行きます?」

「俺は忙しい」

「えー」

「早く行け」


 ミオは頬を膨らましながら執務室を後にした。

 師団長もいれば、2人きりなんて地獄のような時間を回避できると思ったのにな。


「おい」

「はい?」

「お前、王女なんだろう?」

「まぁ……そうですけど」

「この王国は、王女に対してあのような態度を取っても良いのか?」

「いいんですよ。私が気を遣われるのが嫌だって言ったので。それに、師団長は私の上司でもありますし」


 きっと、他の国では許されないことなのだろう。

 ペリグレット王国は、他国に比べて随分と緩い王国なんだろうなってことは、十分理解している。

 シャトロワ王国はたぶん、一般的な関係性を持った国なのだ。


 ミオとエリアスが魔導師団の訓練場に行ってみると、ミオの言う通り誰もいなかった。

 エリアスが、訓練場に設置された雪だるま型のアイスブロックに目を留めて、ミオに質問して来た。


「何だ?あの……所々に設置されたものは」

「あれは、お2人が到着するまで緊張を紛らわすために、私が訓練で使っていた的です」

「的?」

「ふだんは、もっと大きな氷の壁を的にしてるんですけど、上空から狙うのに狙いやすいなと思って、小さい的に変えてみたんですよ」

「上空から狙う?どうやって狙うんだ?」

「うーん……普通に上空からですけど」

「やってみろ」

「今は箒を持っていないのでムリですよ……部屋に取りに行ってもいいなら出来ますけど」

「ならば取りに行くぞ」

「……はい」


 エリアスを1人でここに残すわけにもいかないし……って、普通について来るみたいだよ、この王子様。

 王宮に向かわないミオに、エリアスはいぶかしげな顔で声をかけてきた。


「何処に行くんだ?」

「どこって……私の部屋ですよ」

「は?」


 あ、また「は?」って言ったよ、この王子様。


「お前の部屋って……王宮に行くのではないのか?」

「王宮の部屋は広すぎて落ち着かないし、宿舎の方が皆と一緒にいられるじゃないですか。まぁ、父には悪いなとは思ってますけど……あ、ここです。少し待っていてくださいね」


 ミオは急いで部屋から箒を持ち出す。

 こうして、2人で訓練場へと戻って行った。


「エリアス様も魔導騎士なんです?」

「そうだ」

「ふぅん、凄いですね。あんな重たい剣持ちながら魔法も使うんです?」

「たぶん、お前が想像しているのとは少し違うと思うぞ」


 魔導騎士って、剣で戦いながら魔法を放つのかと思っていたけれど……違うんだろうか?

 あとで見せてもらおうなどと考えながら、ミオは箒に乗って浮上させた。


「こうやって、上空から的を狙ってたんですよ」

「箒で……空を飛ぶだと!?」

「ん?シャトロワ王国では、魔導師は飛ばないんです?」

「飛ぶわけがないだろう」

「ペガサスに乗って飛ぶとかですか?」

「何だそれは」


 魔法とかあるのに、ペガサスはいないんだ?

 心のどこかで、ペガサスもいるんじゃないかと期待していたミオは、少しがっかりした気持ちだった。

 いないものは仕方がないので、諦めよう。


 ミオが上空から的を狙って攻撃して見せると、エリアスは驚いたようにミオを見ていた。

 エリアスの所に戻って、箒から降りる。


「こんな感じです」

「そのステッキは?」

「これは、魔力を増幅させるステッキです。ルシヨット魔導国の王様からいただきました」

「ガストビか?」

「いえ、前国王のご子息で、ガストビを倒して国王となった元第一王子ですよ」

「そういえば、この王国はルシヨット魔導国に攻め入られたんだったな。こんなに少ない騎士団と魔導師団で戦ったのか?」

「他に、領主様の騎士団にも協力してもらいましたけど。あとは現ルシヨット魔導国国王達も」

「それにしたって、戦力差はあっただろうに」

「それはもう、圧倒的にルシヨット魔導国の方が戦力高かったですよ。こっちは死に物狂いで戦いましたもん」

「よく勝てたな」

「本当に……もう、二度と戦争なんてしたくないです」


 ルシヨット魔導国との戦いは、竜達がいなかったらペリグレット王国が敗北していただろう。

 4体の竜には、本当に感謝している。

 約1体はただの応援部隊だったけれど。


「ところで、魔導騎士ってどんなふうに戦うんです?」

「基本的には魔剣を使うが……お前のように魔法攻撃も行う。魔剣を通してだがな」

「見たいです」

「あのような小さな的では地面が抉れてしまう……既に抉れてはいるようだが」

「……あれは……さっき驚いた時にやってしまったものなので、気にしないで下さい。あとで元に戻してもらうので」

「……お前がやっただと?」

「ちょっとした手違いです……あ、もう少し大きな的ですね?今作ります」


 ミオは魔力強化すると、通常のアイスブロックを設置した。


「これでいいです?」

「あぁ」


 エリアスは腰につけた鞘から剣を引き抜くと、魔力を込めて剣を振り上げて、アイスブロックを斬りつけた。

 魔剣は、魔力で斬りつける以外にも、剣を振ることで魔法攻撃を放ったり、逆に魔法攻撃を防御したりも出来るらしい。

 魔力をまとった斬撃は、通常の剣よりも威力が増す。


「魔剣でも斬れない氷だと?」

「かなり強化した氷なので、的にするにはもってこいなんですよ。私の全力サンダーボルトでも、たぶん壊れません」

「は?」


 ミオがサンダーボルトを放って見せ、それでも壊れることなく立っているアイスブロックに、エリアスは目を見開きながら驚いていた。

 シャトロワ王国で使ってる的って、そんなに壊れやすい素材なのか?なんて思っていたら、エリアスはただ単に壊れない氷に驚いていただけだった。


 さて……ご案内終わってしまったけれど、どうしよう?

 ミオが悩んでいると、カミーユと一緒にアルバンがやって来た。

 学校から帰って来たらしい。


「アル君、お帰り」

「ミオ!ただいまー!……って、誰?」

「シャトロワ王国の第一王子だよ。エリアス様、この子が副師団長です」

「は?副師団長が……子供だと?」

「僕はもう子供じゃないよ!もうすぐ15歳だ!アルバン・エルー、王宮魔導師団副師団長だよ!」

「口のきき方がなっていませんが、子供なので許してやってください」

「子供じゃないって言ってるじゃん!カミーユのバーカ!」

「いいからお前はこれを直せ」

「うわぁ……またミオがやったの?」

「あはは……ごめんね、アル君」


 ミオは的を全部消して、アルバンに地面を直してもらい、いつもの場所に的であるアイスブロックを設置した。

 地面を直し終えると、ミオの所に居座ろうとしたアルバンを、カミーユが引きずって執務室へと連れて帰った。

 せめて、アルバンを置いて行ってくれたら良かったのにな……


「何でお前が師団長ではないんだ?」

「え、だって私はこの世界に来たの1年前ですし、魔導師2年目の新人ですから」

「魔導師……2年目だと?」

「元の世界に魔法なんてありませんでしたもん」

「だが、伝説の魔導師なのだろう?」

「そうですけど……私、そんなにチート能力ないですよ?たぶん」

「チート能力?」

「えーと……めちゃくちゃ凄い能力って感じですかね?」

「あの氷の壁だけでも凄いと思うが?」

「そう言ってもらえると嬉しいです」


 ミオがふわりと笑うと、エリアスの頬がほんのりと赤く染まったように見えたけれど……気のせいだろうか?

 とりあえず、案内する場所もなくなってしまったので、王宮へと戻ることにした。


「お前とは一度手合わせもしたいところだが」

「え、私は嫌ですよ!まだ死にたくないですもん!」

「魔導師団だって模擬戦くらいするだろう?」

「そりゃあ、しますけど……エリアス様は別次元の強さな気がするので、遠慮します」


 魔力を込めた魔剣なんかで斬られたら、体が真っ二つになってしまう!

 シャトロワ王国とは、この先も仲良くやっていきたいものだ。


 こうして、ペリグレット王国の王女としての初仕事(?)とも言えるご案内を無事に終えたミオだった。



 .

お読みいただきありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ