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憧れの異世界はやっぱりとても大変な世界  作者: 花聖
第三章 数日間の帰郷
69/132

62 そして、ペリグレット王国へ

のんびり更新中♪

 朝日が差し込んで、ミオはゆっくりと目を開けた。

 向こうの世界での習慣なのか、アラームなしでも朝目覚めるようになったのは凄い。

 前までは、アラームが鳴ってもスッキリ目覚められなかったのに。


 ミオはベッドの上に起き上がると、大きく伸びをした。

 今日で、この世界ともお別れか……


「あ……退職届」


 ミオが向こうの世界に行くと、こっちの世界でのミオの存在はどうなるんだろう?

 そんなことは考えてもわからないことだし、考えるのはやめにしよう。


 ミオが静かにリビングに入って行くと、シャルルが目を覚まして起き上がった。


「おはようございます。すみません、起こしてしまいました?」

「おはよう。ちょうど起きたところだから大丈夫だよ」

「顔洗ったら、朝ごはん買いに行って来ますね」

「私も一緒に行くよ」


 こうして、2人でコンビニへと向かった。






 ―――――――

 ―――――

 ―――






「ミオは、休みの日にはいつも何をしていたんだ?」

「私ですか?そうですね……友達と出かけない日は、家でゴロゴロしてましたよ。漫画本とか小説読んだり、録画していたアニメやドラマ観たり……あとは、ゲームですかね」

「どれも想像がつかないな」


 シャルルが笑いながら言う。

 アニメやドラマはたぶん内容が理解できないだろう。

 ゲームなら一緒に楽しめるだろうか?


「たぶん、ゲームならシャルルさんも楽しめると思いますけど……やってみます?」

「私に出来るのか?」

「私もあんまり得意ではないので、私が出来るゲームならシャルルさんも出来ると思います」


 ゲーム本体の電源を入れて、コントローラーを2人分用意し、シャルルに1つ渡した。

 簡単なゲームを開始して、シャルルにコントローラーの使い方やゲームのやり方を説明する。

 最初は使い方がよくわからず戸惑っていたシャルルだったけれど、使い方がわかってくると上手にプレイできるようになった。

 え、私よりも上手なんじゃないですか?

 他のゲームもやってみたけれど、やり方を理解するとシャルルはとても上手にプレイしていた。

 このゲーム、ここまで進めるのにかなり苦労したんですけど?

 もしかして、そんなに難しくないゲームだったんですか?

 え、私の苦労は……?


 楽しくゲームをしながらふと思った。

 これ、通信しないで遊ぶなら向こうの世界でも使えるのでは?

 携帯のバッテリーがなくならなかったことを考えると、重電の必要はないと思われる。

 よし、荷物の中に入れておこう。


 ゲームとは不思議なもので、時間の進み方が信じられない程に早い。

 気がつけば昼食の時間をとうに過ぎていた。


「シャルルさん、お昼パスタとかでいいです?」

「お任せするよ」


 パスタがちょうど2人分くらい残っていたので、鍋に水を入れて火にかけた。

 具材は……玉ねぎとピーマンとツナ缶があるから、それでいいか。

 ミオが冷蔵庫から玉ねぎとピーマンを取り出して、包丁を手にすると……とても心配そうな顔をしたシャルルが傍にやって来た。

 そんなに不安です?私の包丁の使い方って。


「大丈夫か?」

「大丈夫ですよ」


 こうして、ピーマンを切ろうとした時……シャルルがミオの手を握って止めた。


「え?」

「私が切ろう」


 苦笑いしながらそう言うシャルル。

 え、まだ切ってませんけど?


「じ、じゃあ……お願いします。どっちも薄切りな感じで」

「わかった」


 食材を切るのはシャルルに任せ、ミオは鍋のお湯が沸騰するのを待った。

 それにしても、シャルルの包丁さばきは素晴らしかった。

 あっという間に、玉ねぎとピーマンを薄切りにしていく。

 料理ができるイケメンって、もう反則過ぎて心臓が爆発しそうなんですが。


 フライパンでシャルルが切った野菜を炒め、ツナ缶を入れて味付けをし、茹で上がったパスタを入れて混ぜ合わせるように炒めたら、簡単パスタの出来上がりだ。

 皿に盛り付けてテーブルに運ぶ。


「とても美味しいよ」

「魔法の調味料を入れましたから」

「そんなものがあるのか?」

「何でも美味しく味付けが出来るんです」


 そんな調味料を作ってくれた人に感謝だ。

 こうして、遅い昼食を食べて片付けをして……何もすることがなくなってしまった。

 向こうの世界に戻る時間を聞いておけば良かったと後悔する。


「シャルルさんは、お休みの日は何してるんです?」

「私か?そうだな……本を読んだり、カミーユの所に行ったり、あとは剣の修行かな」

「え、お休みなのに仕事みたいじゃないですか」

「ミオだって、休みの日に図書室で調べ物をしていたりするだろう?」

「ま、まぁ、そうですけど……」


 向こうの世界にいる間は、休日にすることと言えば、街をブラブラしたり調べ物をしたり、部屋でゴロゴロしたり……特にすることがなくても、そんなに苦ではなかったのが不思議だ。


「お散歩でも行きます?」

「だが、いつ向こうの世界に戻るのかわからないのだろう?」

「そうなんですけど……まぁ、荷物なんてダメもとでまとめてみただけですし、持って行けるかもわからないので、外で戻っちゃっても困ることはないですよ」


 ミオとシャルルは、夕食の買い物も兼ねて散歩に出かけることにした。

 コンビニまで遠回りしながらブラブラ歩いていると、誰もいない公園を見つけた。


「誰もいないですし、少し遊んで行きましょうか?」

「遊ぶ?」

「はい!」


 ミオは、シャルルとつないだ手を引っ張って公園の中に入って行った。

 そういえば、向こうの世界で公園って見たことなかったな。


「向こうの世界って、公園ないんです?」

「こうえん?」

「ここみたいなところです。子供達がよく遊んでる場所ですよ。大人も遊んだりしますけど」

「広場はあるが……こういった場所は見たことがないな」

「子供達ってどこで遊ぶんです?」

「町の中を走り回ったり、牧草地があるところはそういう場所かな」

「そうなんですね。あ、これは、ブランコって言うんですよ」


 そう言いながら、ミオはブランコに座って動かして見せた。

 久しぶりに乗ってみると、やっぱりブランコは楽しいなと思う。

 ミオがブランコに乗る姿を見て、シャルルも隣のブランコに座って揺らしてみたけれど……長い脚がつっかえて乗りにくそうだった。


 他にも、スプリング遊具や滑り台などを楽しんだけれど、イケメンが公園の遊具で遊ぶ姿はとてもレアな光景で、思わず携帯で写真を撮ってしまったミオだった。


 こうして公園で遊んでいると、日が沈み辺りはだんだん薄暗くなって来た。


「そろそろ夕食を買いに行きましょうか?」

「そうだな。随分と長い時間遊んでしまったよ」

「ここは、大人が童心に帰れる場所なんですよ」

「本当だな」


 2人で顔を見合わせながら笑い、公園を出てコンビニに向かった。

 せっかく来てもらったのに、美味しい手料理ももてなせずに申し訳ないとは思うけれど、ミオは料理が得意ではないので許して欲しい。

 まぁ、料理をしようとしても、包丁を手にした時点でシャルルに奪われてしまうけれど。


 これで、コンビニ納めだなと思いながら、2人分の夕食とおやつを買って、ミオとシャルルはマンションへと戻って行った。






 ―――――――

 ―――――

 ―――






「なかなか帰れないですね」

「そうだな」


 夕食を食べ終えて、テレビを見ながら今か今かと待ち構えていたミオとシャルルだったけれど、一向に帰れる気配がない。

 あれ、もう1日あるんだっけ?


「焦ることでもないだろう。私は、こうしてミオと2人で過ごせることが嬉しいよ」

「え?」

「このまま、ずっとミオと2人でいられたら、どんなに幸せか」

「……っ!?」


 シャルルがミオの頬に手を当てながら微笑み、ミオは一気に耳まで赤くなった。

 そんなミオを見ながらクスクス笑っているシャルル。

 ……このイケメン、狙ってやっているとしか考えられない。


「シ、シャルルさん……からかわないで下さいよ……」

「ふふ、からかってなどいないよ」

「こ、紅茶入れてきますね!」


 真っ赤になったままミオが立ち上がった時、グラグラと足元が揺れ始めた。


「シャルルさん!」

「ミオ!」


 シャルルがミオの手を掴んで立ち上がった。

 そのうちにミオの体が光りに包み込まれていき、2人は手をつないだまま、近くに置いてあったキャリーバッグとお土産の袋に手をかけた。

 次第に浮遊感に包み込まれていく2人。


 さようなら、私がいた世界……


 ミオは、シャルルとつないだ手をギュッと握りながら目を閉じた。

 そして、それまで感じていた浮遊感が消えて、足の下に地面の硬さを感じると、2人を包み込んでいた光が消えていった。


「ミオ!シャルル!」

「大丈夫っすか、ミオさん!?」


 カミーユとヴィクシスの声が聞こえてきて、ミオはゆっくりと目を開けた。


「何があった!?」

「……師団長?」

「良かったぁ!急に光り出すからびっくりしたっすよ!」

「戻って来たようだな、ミオ」


 ここは、ペリグレット王国。

 元いた世界から、この世界に戻って来た。


「お前……どこから持って来たんだその荷物。てゆーか、シャルルまで何持ってんだ?」

「え?……あ、本当に持って来れた」

「良かったな、ミオ」


 ミオの手にはキャリーバッグが2つ、そしてシャルルの手にはお土産の袋が握られていた。


「師団長、ちょっと元の世界に戻ってました。シャルルさんと一緒に」

「は?」

「お土産だ、カミーユ」

「ちょっと待て。お前達が光に包まれてたのは、少しの間だけだぞ?」

「え、数日間戻ってましたけど?」

「どういうことっすか!?俺、全くわからないんすけど!?」

「あ、私見回りに行くんでしたね!急いで荷物を部屋に持って行って、見回りに行って来ます!詳しい話は帰ってからしますね!」

「私も一緒に持って行くよ、ミオ」

「あ、おい!ミオ!?シャルル!?」


 状況が理解できないカミーユとヴィクシスだけが、訓練場に残された。

 お土産はあとで配ることにして、持って来た荷物はとりあえずミオの部屋に置いておく。

 さ、今日の仕事を始めよう。


 ミオが生きてきた元の世界で、ミオの存在がどうなってしまうのかはわからない。

 友達に、さよならを言ってこなかったけれど、上手く説明も出来ないし連絡を取ってしまったら決心が揺らいでしまいそうだった。

 これでいい。

 元の世界のことは、ミオの記憶に残っているだけで十分だと思う。

 これからは、こちらの世界での思い出を作って行こう。


 ミオは、途中でシャルルと別れて、騎士団が準備をしている王宮前の広場へと向かった。



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お読みいただきありがとうございました!

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