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憧れの異世界はやっぱりとても大変な世界  作者: 花聖
第二章 魔導師の国
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58 いろいろ元通り

のんびり更新中♪

ブックマークしてくださり本当にありがとうございます!

 ルシヨット魔導国との戦いが終わって数日後、いろいろな片付けが終わって、放置されていたガストビや魔導師を全て船に乗せ、港町の復興作業を開始した。

 ガストビ達は、本来であればペリグレット王国で処罰されるのだが、ラウルがルシヨット王国で処罰すると言うので、任せることになった。

 ラウルは、国王としてルシヨット魔導国に戻るのだ。


「凄いなぁ、国王様かぁ……あ、ラウルさんなんて呼んじゃダメだよね?国王陛下とか呼ぶのかな?」

「やめてよミオちゃん。今まで通りラウルでいいからね?」

「だって、国王様だよ?それに……国王様に復興作業手伝わせるってどうなのよ?」

「俺はまだ魔導師団の魔導師だからね?一緒に作業させてよ!」


 騎士団と魔導師団も、港町の住人と一緒に復興作業に励んでいる。

 ミオは手伝いを断られたけれど、何もしないわけにはいかないので、箒で瓦礫を運んだりして手伝っていた。

 かなり拒否されたけれど、強引に納得させた。


 戦争が始まる前に崩壊させた……ということもあるけれど、それ以上に激戦だったことを現状が物語っている。

 ミオの母親は、魔法で元通りに出来たらしいけれど……どんな魔法を使ったのかは日記にも書かれていなかったのでわからない。

 もちろん、ミオにはそんな魔法は使えない。


「ミオ様!危ないのでそろそろこちらで休んでください!」

「何も危ないことなんてないですよ?」

「落ちたらどうするんですか!」

「落ちませんって……」


 ミオは、力はないので瓦礫を手で運ぶことは出来ないけれど、箒を使えばかなりの量を運ぶことが出来る。

 魔法って、本当に凄いなと思う。

 何なら、手で運んでいる人達よりも役に立っていると思うのですが?


 各領主の騎士団は、戦いが終わったのだから戻ってもいいと言ったのだが、復興作業までが戦いだとか言って残って手伝ってくれている。

 人手が多いことはとても助かることだ。


「ミオ、ちょっとこっち来て手伝ってくれ!」

「はい」


 カミーユに呼ばれて行ってみると、とても大きな瓦礫を動かせずに困っていたようだ。

 ミオと2人で箒で持ち上げる。

 撤去した瓦礫はどうするのかと思っていたら、加工して新しい建物の材料にするらしい。

 そんなリサイクル技術があったことに驚く。

 大量のゴミにならなくて良かった。


 こうして作業していると、とても時間の流れが早く感じられて驚くけれど、それ以上に驚いたことがあった。

 何と、シャルルの両親が炊き出しを手伝っていたのだ。


「え、何やってるんですか、お2人とも……」

「お手伝いよ、お手伝い!だって、私達の領地なのに何もしないわけにはいかないでしょう?」

「でも……領主様ですよ?」

「領主だから、お手伝いしてるのよー。はい、ミオちゃんの分。おかわりもあるからたくさん食べなさいねぇ!」

「……ありがとうございます」


 ミオがシャルルの姿を見つけて隣に座ると、シルヴィーとジェラールもやって来て一緒に昼食を食べた。


「シルヴィーさんも復興作業なんです?」

「そうだよ。私が管理する港町だからね。私が手伝わないわけにはいかないだろう?」

「そういうものなんです?」

「そういうものだよ、ミオちゃん。ところで、私とのお付き合いは?」

「え?」

「まだ言ってるんですか?いい加減諦めてください、シルヴィー兄さん」


 本当に凄いな、この人。

 てゆーか、この世界の貴族って、皆こんな感じなのだろうか?

 貴族だからと言って偉そうにしていないし、何だか庶民に寄り添った感じでとても好感が持てる。


 こうして、昼食を食べて少し休んでから午後の作業に取りかかり、日が暮れる前には今日の作業が終了となった。






 ―――――――

 ―――――

 ―――






 夕食を食べてお風呂に入り、ミオが部屋でベッドの上に寝転がっていると、部屋のドアがノックされた。

 誰だろう?

 ミオがドアを開けると、そこにいたのはラウルだった。


「やぁ、ミオちゃん。ごめんね、こんな時間に」

「ううん、大丈夫だよ。どうしたの?」

「うーん……ちょっと話したいことがあってさー」

「話したいこと?じゃあ、中入って」

「え、いいの?」

「うん」


 ミオはラウルを部屋に入れてドアを閉めた。

 ラウルがキョロキョロしながらベッドに座り、ミオも隣に座る。

 そう言えば、ラウルがミオの部屋に来るのは初めてかもしれない。


「何?話したいことって」

「俺さぁ、ルシヨット魔導国に戻るじゃん?」

「うん、国王様になるんだもんね。驚いたよ、王子様だったなんて。でも、ラウルさんがいなくなっちゃうのは寂しいかな」

「え、ホントに?」

「うん」


 出会い方はちょっとアレだったけれど、こうして同じ魔導師団として一緒に過ごしてきたのだから、いなくなるのはとても寂しいことだ。


「……率直に言うとね」

「ん?」

「俺は、これからもずっとミオちゃんと一緒にいたい。だから、俺と一緒にルシヨット魔導国に来てくれない?」

「……え?」


 ラウルの言葉に驚いて固まった。

 ミオは俯きながら考えた。

 どうしよう……まぁ、隠すようなことでもないか。


「ごめんね、ラウルさん。それはちょっとムリなんだよ」

「え……何で?」

「うーん……これは、皆が知ってることなんだけどね、私はこの王国の竜を守らなきゃいけないの」

「竜を?何で?」

「私のお母さんが伝説の魔導師で、今は私がその伝説の魔導師だから」

「え、そうだったの!?」


 ラウルが目を見開きながら驚いた。


「それと、もう1つ」

「え、何?まだあんの?」

「これは、王様とシャルルさんと師団長しか知らないことだから、誰にも言わないで欲しいんだけど……」

「そんな大事そうな話、俺にしちゃって大丈夫なの!?そりゃあ、誰にも言わないけどさぁ」

「そのうちバレると思うし、大丈夫」

「バレちゃ駄目なんじゃ……」

「私のお父さん、王様なの」

「は?」


 一瞬、ミオが何を言っているのかがわからなくてキョトンとしたラウルだったけれど、すぐに言葉の意味を理解して驚きの声を上げた。


「ええぇぇぇーーーーーっ!?」

「ち、ちょっと声大きいよラウルさん!」


 ミオが慌ててラウルの口を塞ぐ。


「ってことは、ミオちゃんって王女様?」

「まぁ……そうなるよね」

「だから、師団長はあんなに過保護なんだ」

「え、違うと思うよ?ただ単に過保護なだけだと思う」

「うわぁ……師団長、苦労しそう」

「何でよ」


 ミオ的には、師団長だけではなくて、この世界の男性が皆過保護なんだと思っている。


「私はこの王国と竜達を守っていかないといけないの。だから、ラウルさんと一緒には行けない」

「そっかぁ。残念だけど、仕方ないよねー」

「でも、いつかルシヨット魔導国には行きたいなと思ってるよ。魔法のこととかいろいろ知りたいし」

「いつでも来てよ!ミオちゃんなら大歓迎!」

「でも、船でしか行けないってのがね……私、船に乗った瞬間船酔いで死ぬ」

「ヒールで回復出来るじゃん?」

「え、そうなの?」

「乗る前にヒール使っとけば、ある程度防げるし」


 知らなかった、ヒールにそんな使い方があったなんて!

 今度試してみよう。


「あ、そうだ!ちょっと待っててくれる?」

「ん?」


 ラウルが何かを取りに部屋に戻って行き、すぐにミオの部屋に戻って来た。

 そして、ラウルがミオに手渡したのは、手のひらサイズの……水晶?


「これは?」

「俺専用のクリスタル」

「クリスタル?」

「俺も同じのを持ってるから、ちょっと見ててね。こうして魔力を込めると……」

「あ、光った」

「ミオちゃんも魔力込めてみて」

「……私の苦手なヤツ」


 魔力を込めるって、いまいちよくわからない。

 ミオが光の玉を作ってクリスタルに近づけてみると……クリスタルに吸い込まれて、クリスタルの上にラウルの顔が浮かび上がった。


「え、何これ?」

「ほら、こっちにはミオちゃんが浮かび上がってるでしょ?これで、離れていても話が出来るよ」

「ちょっと待って、こんなのがあるの?え、何でこの王国にはないわけ?師団長に聞いたらそんなものはないって言われたけど?」

「この王国には材料がないからね。それに、魔導師しか使えないし」

「……凄く欲しい」

「ミオちゃんには俺専用をあげるよ。これで、いつでもミオちゃんと話せるし」

「ありがとう。でも、この王国でも使いたいんだよね……」

「それは、ルシヨットに戻ってから作って送ってあげるよ。ここじゃあ作れないからね」

「本当に?ありがとう、ラウルさん」


 魔導師にしか使えないとはいえ、これで連絡が取りやすくなる。






 ―――――――

 ―――――

 ―――






「ホントにいいの?この2人連れて帰っちゃって」

「うん。だって、これからいろいろ大変だろうし、2人は今回のことも知ってるしね」


 オルレーヌの港町の復興もだいぶ進み、ラウルがルシヨット魔導国に向かって出発する日となった。

 ディナールとコルトも、元々はルシヨット魔導国の魔導師だし、ラウルの手伝いをしてあげた方がいいと思うから、一緒に帰らせることにした。

 きっと、ラウルはこれから大変な日々となるだろう。


「ルシヨット魔導国が落ち着いて、また魔導師団に入りたいなって思ったら戻って来てくれると嬉しいかな。万年人不足だからね」

「魔導師なら必要なだけ派遣してあげるよ」

「本当に?」

「もちろん!それと、師団長」

「何だ?」

「禿げないように祈ってるよ」

「は?」


 ラウルの言葉に皆が吹き出した。

 突然何を言うんだ?


「俺は禿げん!」

「それじゃあ、俺は行くよ。あー、暇になったら遊びに来るかも」

「うん、待ってるよ」


 騎士団や魔導師団の皆に見送られながら、ラウル達の船が出航した。

 ルシヨット魔導国の船は、魔力で動かしているらしい。

 さすがだ、ルシヨット魔導国。


「あーあ、これでまた魔導師団の人数が元に戻っちゃったねー。カミーユのバーカ」

「あ?俺は関係ないだろうが」

「あはは……」


 早く、新しい魔導師が入団して来ないかな……


 ペリグレット王国に、平穏な日々が戻った。

 このまま、平穏が続けばいいと、誰もがそう願う。



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