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憧れの異世界はやっぱりとても大変な世界  作者: 花聖
第二章 魔導師の国
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51 弱小魔導師団の戦力強化

のんびり更新中♪

 王宮での話し合いが終わり、騎士団の団長や領主達は帰って行った。

 今後は戦いに向けて、騎士団が王都へと集結することになる。


 オルレーヌの町では、シャルルの父親とジェラールからの報告を受けて、シルヴィーによって住人の移動の準備が開始された。

 商人達の荷物は全て王都へと運び込まれて、全ての店舗とはいかないけれど、モンフォワールの広場などで露店販売が許可されることになる。

 一般の住人達は、モンフォワールや周辺の町村の宿に滞在するため、シルヴィーと父親のカルロスはその振り分け作業で大忙しだ。


「魔導師団の宿舎の空いている部屋に、ベッドを運ぶぞ」

「ベッド?」

「騎士団の宿舎だけじゃあ、騎士達を受け入れるのに部屋が足りないからな」


 魔導師団は全員が個室だったから、騎士団も同じかと思っていたら、騎士団の宿舎は団長と副団長以外は4~6人の大部屋になっているらしい。

 確かに、騎士団の人数は魔導師団とは違ってとても大人数なので、全員が個室だとかなりの部屋数になってしまう。


 これから、各騎士団の騎士達がここに集まって来るけれど、騎士団の宿舎の空き部屋だけでは受け入れきれないので、魔導師団の空き部屋でも受け入れるのだ。

 魔導師の部屋は騎士達の部屋に比べて狭いため、机と椅子を倉庫にしまっても入れられるベッドは3つまでだろう。

 それでも、ないよりはましだ。


「ミオは、侍女と一緒に部屋の掃除をしてくれ」

「はい」


 机と椅子を運び出した部屋から順に、ミオが侍女と一緒に部屋の掃除をしていき、掃除が終わった部屋に見回りのない騎士達と魔導師でベッドを運んでいった。

 夕暮れまでに何とか作業が終わり、騎士達の受け入れ態勢が整う。

 来週あたりからは騎士達が集まり始めるだろう。






 ―――――――

 ―――――

 ―――






 フェルドーとサンブリーから魔導師も戻って来たため、戦いに向けて魔導師の戦闘訓練も開始された。


「ラウル、ディナール、コルトのチームと対戦する。まずは……リシャール、ジェラリー、レオポール、俺で戦う」

「え、師団長も戦うんです?」

「当たり前だ」


 ミオはルシヨット魔導国の魔導師と思われる2人組と戦っているため、まだ戦ったことがないメンバーでどれくらい戦えるのかを見るらしい。

 対戦は、終始ラウル達が優位に進められていった。


「だ……大丈夫です?」

「魔力強化なしだと、やはり厳しいな」

「俺、確実に死ぬと思う」

「……こ、こんなにも戦力差があるのか」

「今から鍛え直して間に合うのかな」

「とりあえず……回復しますね」


 元々の魔法能力の差がある上に、杖やステッキで魔力を強化して戦うラウル達に勝てるはずもなく。

 これから戦おうとしているのは、魔導国の魔導師達だ。

 ラウル達3人ではなく、何百人もの魔導師……もしかしたら1000人を超える魔導師を相手にすることになるかもしれないのだ。

 どうやって戦えばいいのだろうか?

 ミオが皆を回復していると、ポーションが入った箱を抱えたヴィクシスが走って来た。


「体力と魔力回復のポーション持って来たっすよー」

「おー、助かる。お前も訓練に出れるのか?」

「今から参加するっす」


 ヴィクシスはミオがこの世界に来る半年ほど前に魔導師団に入団した魔導師で、回復とポーション作製を担当している。

 赤髪で重ためのショートヘア、目の色が金色なのが特徴的な18歳だ。

 回復担当の中では唯一、防御力強化と魔力強化の魔法が使えるらしい。


「さて、次はどうするかな……ミオ、お前あの3人と戦ってみろ」

「え、何で私は1人なんですか?」

「お前の戦い方を見て戦略を考える」

「えー」

「いいから行って来い」


 ミオはカミーユに背中を押されて、訓練場の中心へと出された。

 こうして、カミーユの合図でラウル達3人とミオの対戦が始まった。


 ミオは自分に魔力強化魔法をかけると、ラウル達に向かってステッキを持った両手を構えてスノーフロストを放つ。

 ラウル達はすぐに上空へと飛び上がり、ミオも箒で上空へと上がった。

 3人はミオを囲むとそれぞれが攻撃魔法を放ち、ミオはホーリーシールドリフレクションでラウル達の攻撃を跳ね返した。

 上空での激しい攻防戦に、下で見ているリシャール以外は目を見開いた。


「凄いな、あいつ」

「前にメーヌの森で戦った時もあんな感じでしたよ」

「ルシヨット魔導国って、あんな魔導師ばっかなのか?」

「だろうな」

「てゆーか、いつもあんな戦いしてるんすか!?」


 対戦など初めて見るヴィクシスは、額から冷や汗を流しながら見ていた。

 そのうちにミオの魔力強化の効果が切れ、ラウル達がそこを狙って一気に攻め込んだ。

 ミオはホーリーシールドで防ぐと、再び魔力強化を使いながらラウル達の間を箒でくぐり抜けて行く。

 お互いにかなり魔力を消費しているのではないだろうか?

 4人とも表情が険しくなってきた。

 こうして激しく上空を飛び回り、ラウル達が集まった瞬間、ミオは両手を翳して弱体化魔法を使った。


「マジカロース!」

「え、マジで!?ミオちゃん、それはないよー」

「うわっ、落ちる!」

「うわぁー!」


 ラウル達3人は、魔力を削られて浮上することが出来なくなり、地面へと落下して行った。

 何とか地面への激突は回避していたけれど、もう攻撃魔法を繰り出せるほどの魔力は残っていないようだった。

 ミオがスノーフロストを使って3人を凍りつかせて、この対戦はミオの勝利で終わった。


「はぁ、はぁ、はぁ……つ、疲れたぁ……」


 戦いながら魔力回復のポーションを使わないと、ルシヨット魔導国の魔導師とは戦えないと思う。

 でも、ポーションなんか飲んでる余裕があるのだろうか?

 ミオはその場に寝転がった。


「やっぱ凄いっすね、ミオさん。はい、体力と魔力回復のポーションっす」

「ありがとう、ヴィクシスさん」

「ミオちゃーん、寝っ転がってないで俺達を解除してよー」

「ん?……あ、ごめん」


 ミオは起き上がってラウル達を凍らせているスノーフロストを解除した。

 ヴィクシスがラウル達にもポーションを持って行く。


「さて、どうしたもんか……ラウル達は回復すれば動けるか?」

「まぁ、動けるけどねー」

「問題ない」

「俺もー」

「よし。なら、もう少し休んだら、今度はヴィクシスを加えて俺達が戦う。ヴィクシス、適当なタイミングで俺達に魔力強化をかけてくれ」

「了解っす!」

「それと、ラウル」

「何?」

「何でミオとの戦いでは、召喚魔法使わなかったんだ?」

「だってさぁ、最初にスノーフロスト使われちゃったじゃん。下にいたら俺達も魔物も皆氷漬けだよ」

「あー、確かにな」


 カミーユはリシャール達と作戦会議を行い、再びラウル達と対戦した。






 ―――――――

 ―――――

 ―――






「はぁー、何で勝てないんだよ」

「明らかに戦力が劣ってるからな―」

「こればかりは、今すぐどうにかなるものでもないよな?」


 結局、カミーユ達はラウル達には勝てずに午前中の訓練が終わった。

 皆で昼食を食べながら、午前の対戦の反省会をする。


「戦力を上げるには、対戦が手っ取り早い。午後も対戦をするぞ」

「でも師団長、ラウルさん達も疲れちゃいますよ?」

「あー、確かにな。だったら、ミオが相手しろ」

「いやいや、私1人では無理ですって……」

「大丈夫だろ、ラウル達相手に1人で勝ったんだし」

「あれは、たまたまですからね?」


 対戦は戦力を上げるにはもってこいなのだが、この魔導師団はとにかく人が少なすぎる。

 対戦するにも同じ相手ばかりと戦うことになるので、戦い方がマンネリ化してしまいそうだ。


「あとは……箒の使い方だな。今のままでは上空での戦いではすぐに落とされてしまう」

「だったら、空中戦だけで戦ってみたらどうですか?それか……皆で上空の鬼ごっこするとか」

「おにごっこ?何だそりゃ」

「ん?鬼ごっこですよ」

「だから何だよ、おにごっこって」


 そういえば、この世界には鬼がいない。

 ということは……鬼ごっこなんてしたことがないのか?

 鬼がいなくても、似たような遊びはある気がするけど……何て言う遊びになるんだ?


「うーん……追いかけっこですかね?」

「何で疑問形なんだよ」

「あはは……」


 もしも、召喚魔法でたくさんの魔物を出されてしまったら、それは騎士団に任せてもいいのではないかと思う。

 防御力強化と攻撃力強化で、戦力はかなり上げることが出来るだろう。

 空中戦は魔導師にしか戦えないので、やはり上空での戦いを強化することが重要な気がする。


「ラウルさん」

「なぁに?ミオちゃん」

「例えば、相手に弱体化魔法かけられた場合、回避することって出来るの?」

「相手が魔法を使った瞬間に、こっちに魔法がかかる前にリフレクションで跳ね返す感じかな」

「それ……めちゃくちゃ反射神経良くないと無理なヤツ」

「あとは、魔法を跳ね返す結界とかね。でも、常に結界を張って戦うわけにもいかないし、難しいかも。ただ、弱体化魔法は難しいから、使える奴はそういないかな」

「え、ルシヨット魔導国でも?」

「うん。だから、ミオちゃんが使った時驚いたもんねー」

「俺も説明しただろうが。弱体化魔法の習得は難しいって。お前がおかしいんだよ、魔導書が理解できないのに習得出来てしまうんだからな」

「え、魔導書で覚えたんじゃないの?」

「魔導書なんて、何が書いてあるのか理解できなかったもん。難しすぎるのよ、魔導書って……」

「「「「「おかしすぎる!!」」」」」

「とにかくだ、午後は空中戦の強化をするぞ」


 こうして、昼食を食べて少しお腹を休ませてから、ミオ達は再び訓練場へと足を運んだ。






 ―――――――

 ―――――

 ―――






「ミオ」

「シャルルさん、お疲れ様です」

「お疲れ様。丁度良かった。この騎士達を魔導師団の空いている部屋に案内してもらえるか?レヴィナス領の騎士達だ」

「わかりました」


 各騎士団が王宮へと集まって来て、第一騎士団の宿舎はいっぱいになったらしい。

 ミオは、レヴィナス領の騎士達を宿舎へと案内した。


「すみません。狭い部屋なので、3人ずつ使って頂くことになるんですけど……」

「え、3人で使っていいのか?」

「狭くてベッドが3つしか入らなかったんです」

「10人に比べたら、3人なんて快適じゃねーか」

「え、10人?」

「俺らいつも10人部屋だからな」


 10人とか……合宿かなんかですか?

 普段は二段ベッドを使っているらしく、普通のベッドで寝れることにとても感激していた。

 狭い部屋にベッドを詰め込んだだけなのに……こんなに喜んでもらえて良かった。


 部屋に案内した後にお風呂と食堂を案内して、シャルルの所に向かった。

 すると今度は、ロイヤー領の騎士達が到着していて、同じように案内する。


「ありがとう、ミオ。助かったよ」

「いえいえ、また何かあったら言ってください」


 ミオは騎士団の執務室を後にした。

 これで全ての騎士団が王宮に集まった。

 あとは、ルシヨット魔導国が攻めてこないことを祈りながら、いつ攻めて来てもいいように準備を整えるだけだ。


 こうして、王国が戦いに向けて準備を進めている間に、ルシヨット魔導国の2人組の魔導師も動いていた。

 まだ見つけていない3体の竜の手掛かりを探しながら、唯一見つけた竜を操ることが出来るのかを検証するために、2人組の魔導師はネーオールの森へと向かい、準備を始めた。



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