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憧れの異世界はやっぱりとても大変な世界  作者: 花聖
第二章 魔導師の国
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49 今出来ること

のんびり更新中♪

 メーヌの森で、2人組の魔導師と遭遇してから数日。

 ミオとシャルル達はメーヌの森に滞在して警戒していたけれど、2人組は姿を現さなかった。

 その間に、ミオは十分に辺りを警戒しながら風竜に状況を伝えに行き、もう少し北側に移動できないか聞いてみると、風竜は身を隠している雲(竜の巣的な凄い雲)とともに移動してくれた。

 案外、簡単に移動できることに驚く。


「一度、王都に戻ることにしよう」

「風竜にも、あの開けた場所からは離れてもらったので……大丈夫だと思います」

「風竜と話したのか?」

「すみません……昨日の休憩時間に少し話をしてきました」

「別に謝ることではないよ」


 シャルルは、いつの間にか風竜に会っていたミオに驚いただけで、別に怒っているわけではないと、微笑みながらミオの頭に手を乗せた。


 今日の見回りは必要ないだろうということになり、野営の片付けをして王都に向かって出発した。

 さっき朝食を食べたばかりなので、今から移動すれば今夜はかなり王都に近い場所での野営になるだろう。


「ミオ、数日も野営になってしまったが……体は大丈夫?」

「大丈夫ですよ」

「そうか?無理をしないで、疲れたらすぐに言うんだよ」

「はい、ありがとうございます」


 テントだと、あまりよく眠れないミオだったけれど、前に比べたら眠れるようになったと思う。

 明日にはベッドで寝れそうだし、あと少し頑張ろう。


 あの2人組の魔導師はどこに行ったのだろうか?

 竜を探していることは明らかだ。

 でも、先日のネーオールの森の見回りでは、魔法陣は見つけていない。

 竜がいる場所は、明確には把握できていないのだろうか?

 念のために、ルシヨット魔導国から魔導師が竜を探しに来ているかもしれないということを、他の3体の竜にも伝えてもらうよう風竜にはお願いした。

 水竜は少し不安だけれど……氷竜と炎竜ならば、警戒してくれるに違いない。


 それにしても……この世界での移動はやっぱり時間がかかる。

 転移門とか、転移魔法とか、パッと移動できる手段が出来ないだろうか。

 以前にラウルに聞いてみたけれど、転移系の魔法はルシヨット魔導国でも使える人はいないようだった。

 ただ1人、ルシヨット魔導国の前国王は使えていたらしいけれど。


 帰り道では特に何も起こらず、野営ではなくてマルセーヌの町で1泊することになった。

 シャルルがミオの体を心配して、宿に泊まることにしてくれたらしい。

 騎士達は野営すると言ったけれど、宿の部屋も空いていたので、全員で宿に泊まることにした。






 ―――――――

 ―――――

 ―――






「ただいま戻りました……あれ、師団長?」


 メーヌの森から戻って来て、ミオが魔導師団の執務室に行くと、そこには誰もいなかった。

 とりあえず、荷物を部屋に置きに行こう……ミオが執務室を出ようとした時、ドアが開いてラウルが入って来た。


「あ、ミオちゃん!帰って来てたんだ!大変だったね、お疲れ様。ホント、無事でよかったよ!」

「ただいま、ラウルさん。師団長は?」

「師団長なら、さっきアルを連れて結界に向かったよー」

「結界?」

「結界が解除されちゃったらしいよ?」

「え、大変じゃん!」

「俺も行くって言ったんだけどさ、解除したのがルシヨット魔導国の魔導師だったら、顔合わせるのはまずいだろうって。俺は留守番させられてるんだよ」

「確かに……ラウルさんやコルトさん、ディナールさんは見つからない方がいいかもしれないよね」

「でもさ、今はこの魔導師団の魔導師なんだし、顔合わせらんないとか言ってられないと思うんだよねー」

「でも……やっぱり、ラウルさん達の安全が第一だと思う」

「ミオちゃん……やっぱりミオちゃんは優しいね!」

「ちょっと……ラウルさん!?」


 ラウルがミオに抱きついて、ミオの額にキスをした。

 真っ赤になりながら、ラウルの腕から抜け出そうともがくミオ。

 どうして、異世界のイケメンというのはこうも距離感が近いんだ!?


 ミオがラウルの腕から解放されたところで、執務室のドアがノックされてシャルルが入って来た。

 抱きつかれているところに入って来なくて良かった……ミオは心の中で安堵のため息をついた。


「師団長は、結界が解除されたとかなんかで、アル君と一緒に向かったみたいです」

「そうらしいな……まったく、嫌な出来事が重なるものだ」

「私もすぐに向かった方がいいですよね?」

「いや、ミオは帰って来たばかりで疲れているだろう?無理はさせられないよ」

「昨日は宿に泊まったし、私なら大丈夫ですよ?」

「それでも、今日は体を休めた方が良いよ。だが、その前に私と一緒に国王に報告に行ってくれるか?」

「はい、わかりました」

「行ってらっしゃい、ミオちゃん」


 ラウルに笑顔で見送られ、ミオは荷物を部屋に置きに行ってからシャルルと一緒に王宮へと向かった。

 そして、国王の執務室では……ミオの姿を見たとたん、国王が滝のような涙を流しながらミオに抱きついた。

 本当に、国王がこんなに号泣してばっかでいいのか?


 何とか国王を宥めて、ミオとシャルルは今回の報告をした。

 一度、各王国騎士団の団長と師団長だけではなく、各領主の騎士団の団長も集めて話し合いをした方が良いだろうという話になった。

 各騎士団の団長を招集するには時間がかかるため、今から文書を作成し、明日中にミオ達魔導師が文書を運ぶことになり、カミーユには戻り次第報告する。

 こうして、国王への報告を終えて、ミオとシャルルは執務室を後にした。


「私、少し図書室で調べ物をしてから戻りますね」

「何を調べるんだ?」

「ちょっと新しい魔法を……」

「新しい魔法?」


 ミオは考えていた。

 今から魔導師や騎士達の戦力を上げるのは難しい。

 魔法を使えば、防御力・攻撃力・魔力の強化が出来るけれど、それだけではルシヨット魔導国に対抗できるほど戦力を上げることは出来ないだろう。

 だったら、相手の防御力や戦力を下げることが出来れば……ゲームなんかだと、相手の防御力や攻撃力を下げる魔法やアイテムがある。

 強化魔法があるのだから、弱体化させる魔法もあるかもしれない。


 ルシヨット魔導国からペリグレット王国までは、船で移動して最低でも1ヵ月はかかるらしいので、もしもルシヨット魔導国が攻め込んで来るのであれば、最短で1ヵ月後ということになる。

 戦いの準備をするには時間が足りないように思うけれど、それでも出来ることはあるだろう。


「明日はたくさん飛んでもらうことになるから……あまり無理はさせたくないのだが」

「大丈夫ですよ、ちょっと調べるだけですから」

「ミオのちょっとは信用できないからな」

「え、それ酷くないですか?」

「いつも食事を忘れてしまうだろう?」

「ううぅ……それを言われると何も言い返せません」


 シャルルが笑いながらミオの頭に手を乗せて、ほどほどにするように言いながらミオを図書室まで送ってくれた。






 ―――――――

 ―――――

 ―――






「……ミオ?」


 やっぱり夕食の時間になっても食堂に姿を現さなかったミオを心配して、シャルルが図書室にやって来ると……たくさんの本に囲まれて、机に突っ伏しているミオを見つけた。


「あれ、どうしたんですか?シャルルさん」

「やはり、食事の時間を忘れていたな」

「……あ!」


 またしてもやってしまった……

 ミオは慌てて、本や文献などを本棚に片付け始めた。

 シャルルも笑いながら手伝ってくれたので、そんなに時間はかからずに片付けが終わった。


「……ありがとうございます、シャルルさん」

「夕食、スージーさんが取っておいてくれているから、食堂に行こう」

「そうなんですか?ありがとうございます!」


 こうして、シャルルと一緒に食堂に行くと、カミーユも座っていた。

 カミーユも食事に遅れたのかと思ったら、ミオを探しに行ったシャルルを待っていたらしい。

 ミオの姿を見て、スージーが笑いながら食事を運んで来る。


「本当に、いつもすみません、スージーさん」

「もう、慣れちまったよ」


 豪快に笑いながら、スージーは厨房へと戻って行った。

 ミオは、両手を合わせて食事を頂く。


「お前なぁ」

「……すみません」

「今度は何を調べてたんだ?」

「弱体化魔法についてですよ。強化魔法があるんだったら、弱体化魔法もあるんじゃないかと思って」

「そりゃあ、あるけどな……弱体化の魔法は難しいぞ?俺だって使えないからな」

「あ、やっぱりそうなんです?いろいろ読んでみたんですけど、ちょっと何書いてあるのかわからなくて……」

「あぁ、だから私が図書室に行った時に、ミオは机の上に突っ伏していたのか」

「弱体化は魔法の習得が難しいだけで、本に書いてある内容はそんなに難しくないはずだが」

「……私には理解不能でしたよ。頭がショートしそうです」

「安心しろ、頭が爆発することはない」

「じゃあ、今度私にも理解できるように説明してください」

「説明だけなら、明日文書を配る時にでも、移動しながら教えてやる」


 あの難解な文章のどこが簡単だというんだ?

 この世界の魔法の本は難しすぎる……もっと初心者に優しい本があってもいいだろうに。


「そういえば、結界って大丈夫だったんです?」

「2つが消されていたが、中は特に異常はなかった。怪しい奴もいなかったしな……ミオがメーヌの森で戦った魔導師が、竜を探してフェルドーに向かう途中で結界を見つけて、中に竜がいると思ったのかもしれん。別人って可能性もあるがな」

「それじゃあ、あの人達って今はフェルドーにいるんですかね?」

「さぁな。フェルドーから戻ってくる途中で結界内部に入ったとも考えられる。あいつらも飛べたんだろ?だったら、移動するのにそんなには時間がかからないだろうからな。それか……サンブリーの方に移動したか」

「……そうですね」


 氷竜や炎竜が見つかっていたら、きっとこんなに静かではないだろう。

 まだ見つけられてはいないと考えられる。

 どうか、このまま竜が見つからず、この王国には竜はいないと判断して出て行ってくれますように!

 ここはもう、神様にお願いする以外ないだろう。


 でも、そんなミオの願いは、水竜が見つかっている時点で届くことはない。

 ルシヨット王国国王・ガストビには、ペリグレット王国に竜を探しに来た魔導師によって、水竜のことは報告されている。


 2人の魔導師は、メーヌの森からフェルドー方面に向かう途中で結界に囲まれている場所を発見して、中に入って竜がいないことを確認すると、フェルドーに向かった。

 2人は、竜がいるとしたら雪原だろうと考えていたからだ。

 どうして、こうも予測を立てるのが上手い人がいるのだろうか?


 杖での移動は目立ってしまうため、2人は森の中を杖で移動したり、道を歩いたりしながら移動していた。

 そのため、多少時間がかかっているようで、ガストビが行動を開始するまではまだ時間がありそうだ。

 ミオ達がこのことを知ることはないけれど……



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お読みいただきありがとうございました!

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