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憧れの異世界はやっぱりとても大変な世界  作者: 花聖
第二章 魔導師の国
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48 メーヌの森での激しい攻防戦

のんびり更新中♪

 メーヌの森を探索する旅人が2人。

 ネーオールの森で竜を発見し、クリスタルで報告をしていた2人組の旅人だ。

 彼らは、ネーオールの森以外に3体の竜がいそうな場所の見当をつけて、このメーヌの森にやって来た。


「王国を守るってことなら、この辺りにも竜がいるはずなんだが」

「これだけ探してもいないってことは……別の場所なんじゃないか?」

「だがな……この森以外に竜がいそうな場所はない」

「どうする?」

「……操ってみるか」

「範囲はどうするんだ?森全体となると、かなりの広範囲だぞ。それに、他の魔物もいる」

「怪しいのはこの開けた場所だ。ここを中心に広めに魔法陣を描いてみよう」


 旅人達は魔法陣を描き始めた。


 丁度その頃、第一騎士団とミオとリシャールが、見回りのためにメーヌの森に到着していた。

 今回は魔導師も2人いるため、二手に分かれて森を見回ることになっている。

 リシャールと騎士達で対応できない場合は、リシャールがミオを呼びに来る。


「それでは、見回りを開始する」


 シャルルが指示を出して森に入った。

 こうして見回りを開始して間もなく、ミオ達は魔法陣を見つけた。


「この魔法陣……たぶん、魔物を操るやつです」

「黒ローブの残党か?」

「うーん……その可能性は低いかと思いますけど……とりあえず消しますね」


 ミオが魔法陣を魔法で消した。

 すると、慌てた様子でリシャールが飛んで来た。

 リシャール達も魔法陣を見つけたらしく、ミオが魔法陣を消すためリシャールと一緒に向かう。


「魔法陣はあと2つあるはずなので、私はその2つを探して消してからシャルルさん達の方に合流しますね」

「俺も一緒に行こうか?」

「大丈夫ですよ、魔法陣消すだけですから」

「そうか?気をつけて行けよ」

「はい」


 ミオは、消した魔法陣の場所から残り2つの魔法陣の場所を予測して、急いで向かった。






 ―――――――

 ―――――

 ―――






「オイ!あの光の柱は何だ?」


 旅人の1人が魔法陣を描いている間、上空で見張りをしていたもう1人が突然立ち上った光の柱に驚き、魔法陣を描いていた人物に知らせた。

 魔法陣を描き終えた旅人は、杖に乗って浮上して消えていく光の柱を目にする。


「あれは……魔法陣の辺りか……誰かが魔法陣を解除したのか?」

「さぁな。一旦引いた方がいいんじゃないか?」

「そうだな……ヤバいぞ、一旦森に隠れろ!」


 光の柱の方で、上空に誰かが飛び上がったのが見えて慌てて地上に降りる2人。

 少しするとまた光の柱が上がったのが見えて、魔法陣が消されていることを確信する。

 魔法陣が消されている方向とは逆の方向に逃げようとした2人だったけれど、そちら側から騎士達が近づいて来ていることに気がつき、開けた場所を突っ切って森の出入り口へと向かうことにした。

 だが、開けた場所に出ようとしたところで、箒に乗った人物が猛スピードで隣の魔法陣に向かってくるのが見え、慌てて木の陰に身を潜めた。


「どうする?」

「……魔法陣を消しに降りたところで、一気にここを抜けるぞ」

「わかった」


 2人は、箒に乗った人物が森の中に降りたのを確認すると同時に、杖に乗って開けた場所に飛び出し、反対側に向かって杖を飛ばした。

 すぐ傍で光の柱が上がる。

 そして、2人の旅人が森に入ろうとした時、目の前に氷の壁が現れて咄嗟に避けたものの、次々と現れる氷の壁に囲まれてしまった。

 2人が上空から逃げようとした時、そこに1人の魔導師が現れた。


「何してるんですか?」


 それは、魔法陣を消しながら、開けた場所を逃げていく2人を見つけたミオだった。


 1人がミオに向かって攻撃をし、もう1人が火属性魔法で氷の壁に向かって何度も攻撃をした。

 ミオはホーリーシールドで攻撃を防ぎながら、2人に向かってサンダーボルトを放ったけれど、その攻撃はシールドで防がれてしまう。

 そのうちに氷の壁が破壊され、2人がそこから逃げ出した。

 そんな2人の前に立ちはだかるシャルル達騎士団。

 1人がシャルル達に攻撃魔法を放ち、ミオがギリギリでホーリーシールドで防いだ。

 すると今度は、2人が一気に上空へと上がって行った。


 あのまま高く上がられたら、風竜が見つかってしまう……


 ミオは全速力で2人を追い抜き、上からいくつものフローズンランスを放った。

 2人は器用に避けながら飛び回り、ミオに向かって攻撃をする。

 この人達……ルシヨット魔導国の魔導師なのでは?


 リシャール達もやって来たけれど、上空で繰り広げられる激しい攻防戦に入って行く隙もなく……


「何だよあれ!?ミオの奴、よく戦ってんな!」


 2人に挟み撃ちにされて、ミオはホーリーシールドリフレクションで攻撃を跳ね返したものの、すぐに放たれた爆撃魔法をくらって弾き飛ばされ、地面をゴロゴロと転がった。

 その隙に2人は上空から森を抜けて逃げて行った。


「ミオ!」

「大丈夫かミオ!」


 シャルルとリシャールが起き上がったミオに駆け寄り、他の騎士達も駆け寄って来た。

 傷だらけのミオに、シャルルがポーションを飲ませる。


「……す、すみません……逃げられちゃいました」

「謝らなくていい。ミオはよく戦ったよ」

「悪かったな、ミオ。戦いに入って行けなくて……」

「リシャールさんは何も悪くないですよ」


 ポーションで傷が癒されたミオは立ち上がってシャルルを見上げた。


「私、残りの1つの魔法陣消してくるんで、皆さんはここで待っていてください」

「私も一緒に行こう」

「もうあの人達いないと思うんで、大丈夫ですよ?」

「だが、1人では行かせられないよ」


 本当にシャルルは心配性だ。

 ミオがシャルルと一緒に魔法陣を消して皆の所に戻って来ると、一旦森から出て今後について話し合った。

 あの2人組が戻って来ることも考えられるため、しばらくはメーヌの森に滞在した方が良いだろう。

 それから、王宮への報告も急いだ方がいい。


「騎士団は、私を含めて5~6人がここに残ることにする。他は王都に戻ってくれ。ミオとリシャールだが……」

「私、王都に報告に行って戻って来ましょうか?たぶん、MAXで行けばそんなに時間かからないですよ」

「ちょっと待て。俺が報告に行く。もし、アイツらが来たら、俺がまともに戦えるとは思えないしな。ミオが残った方がいいと思うぞ?」

「そうだな……騎士団は途中1泊しないと王都には戻れない。今回の報告は早い方が良いだろうから、出来れば今日中に王都へと戻ってもらいたい。となると、やはりミオが速いとは思うが……1人で向かわせるのは心配だ。リシャールに頼んでもいいか?」

「任せてくださいよ。出来るだけ急ぐんで」


 こうして、リシャールが報告に向かうことになった。

 騎士団の荷馬車は1台だけだったので、今夜ここで必要なものを降ろしていってもらい、王都へと戻る騎士団の宿泊場所に行き、明日の朝に騎士団が出発したらここに戻って来てもらうことにした。

 明日からの食材は近くの町で仕入れることにして、とりあえず遅い昼食を食べることにし、準備に取り掛かる。


「私、泉まで行って水を持って来ましょうか?夜と明日の分も必要ですよね?」

「そうしてもらえると助かるんですが……お1人では」

「俺が行って来るよ。一緒に飛んだ方が速いだろ?」

「それは助かる」


 ミオはリシャールと一緒に泉へと向かうことに。

 水を入れる道具も持たずに出発しようとしたミオを、リシャールが慌てて止める。


「待て待て、何も持たずに行くのか?」

「はい、水を運ぶだけなので」

「水を運ぶんだから入れるもんが必要だろ」

「それは大丈夫ですよ」


 ニッコリと笑いながら答えるミオに、リシャールはよくわからず首を傾げる。

 とりあえず、泉につけばわかると説明して出発した。

 そして、泉に到着し……大きな水の塊を宙に浮かせたミオに、リシャールは驚いて、口をあんぐりと開けながら水の塊を見上げていた。


「すげーな、お前」

「それほどでも」


 ミオが持ち帰った水は容器に入りきらなかったため、凍らせて保存することにした。

 多少溶けても十分な量が残るだろう。


 昼食を食べ終え、リシャールは王都に向かい、王都へと戻る騎士達は野営場所に向かって出発した。

 メーヌの森に残ったミオ達は、自分達が野営をするためのテントを組み立てると、2人の騎士を残して周囲の見回りをすることにした。


「あの人達、どこに行ったんでしょうね?」

「それはわからないが……風竜を操ろうとしていたのだろうか?」

「うーん……そうだとは思いますけど、風竜は見つかってない気がします」

「何故、そう思う?」

「何となく……思っただけですけど」


 魔法陣は、メーヌの森の中の開けた場所を中心に描かれていた。

 でも、実際に風竜がいる場所は、あの場所よりも北寄りなのだ。

 確証はないけれど、風竜が見つかっていない可能性は高いように思える。


「それにしても……あの2人、たぶんルシヨット魔導国の魔導師ですよね?あんなに強い魔導師がたくさんいたら、戦える気がしませんよ。きっと瞬殺です、瞬殺!」

「だが、ミオはあの2人を相手に戦っていただろう?」

「でも、全然攻撃を当てることが出来ませんでした。帰ったら特訓ですね」

「騎士団も、魔導師と戦うための訓練をしないとだな。難しいとは思うが……」


 ディナールやコルトの話だと、ルシヨット魔導国の国王・ガストビが、ペリグレット王国の竜を狙っていることは確かだ。

 竜だけを狙って来るのか、王国に攻め込んでくるのかはわからないけれど、ガストビは王国ごと手に入れようとしていると思うと、2人は話していた。

 だから、ルシヨット魔導国がペリグレット王国に攻め込んでくる可能性は高いと考えられる。


 他国との戦争などしたことのないペリグレット王国の戦力は、きっと他の国に比べると劣っていると思われる。

 魔導師の数が少なすぎるというのはもちろんだけれど、騎士団の騎士の数も決して多いとは言えないだろう。

 もしも、本当にルシヨット魔導国がペリグレット王国に攻め込んで来たら……ペリグレット王国には勝ち目はあるのだろうか?


 でも、そんなことは言っていられない。

 王国を守るため、何が何でも勝たないといけないのだから。


 ミオ達はメーヌの森周辺を見回ったけれど、2人組の魔導師の姿は見つけることが出来なかった。

 近くの町に逃げ込んでいるのかもしれないし、杖で飛べるようだったからもう遠くまで逃げてしまったのかもしれない。

 日も傾いてきたため、今日の見回りは終了とすることにして、メーヌの森の入り口に戻ることにした。






 ―――――――

 ―――――

 ―――






「しばらくあの森は見張られるだろうな」

「そうだな。あの森に竜がいるのかはわからないが……他の場所から探すことにしよう」


 ミオ達から逃げた2人の魔導師は、近くの町の宿屋にいた。

 部屋のテーブルにペリグレット王国の地図を広げて、丸印をつけた場所を指差しながら話している。

 彼らが指差した場所は……モンルトワ大雪原。



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