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憧れの異世界はやっぱりとても大変な世界  作者: 花聖
第二章 魔導師の国
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のんびり更新中♪

 今日も魔法の訓練に励む魔導師団の面々。

 月が替わったため、先月までいたリシャールはフェルドーに行き、サンブリーからジェラリーが戻って来た。

 訓練場にいるのは、ミオ、ジェラリー、ラウルの3人。


 ラウルに貰ったステッキを使うと、ミオの魔法の威力は数段も上がった。

 ステッキは、魔力が向上すると新しいものに買い替えるとのことだったけれど、ラウルは気に入ったデザインのステッキを見つけたから買い替えたらしい。

 だから、ミオが貰ったステッキは、今ラウルが使っているステッキと同じ性能なのだそうだ。


「いいなそれ。俺にも使わせてもらえる?」

「いいですよ」

「あー、たぶんだけどさぁ、そのステッキじゃあ使えないと思うよ?」

「どうしてだよ?」

「いいから使ってみなよ。使えないから」


 ジェラリーにステッキの説明をすると、使わせてくれと言うのでミオのステッキを貸した。

 でも、ラウルはジェラリーには使えないと言う。

 どういうことだ?


 ジェラリーはミオのステッキを持って、的に向かって魔法を放った。

 でも、ジェラリーの魔法が放たれることはなく……


「ね、言った通りでしょ?」

「え、何で!?」

「どういうこと?」

「ミオちゃんには説明したよね?ステッキは魔力量によって使えない場合もあるってさー」

「そういえば、そんなこと言ってたかも」


 ラウルにステッキを貰う時、確かにそんな話をしていたことを思い出す。


「俺のステッキは、上級者向けのステッキなんだよ」

「え、魔導師にもランクがあるの?」

「……らんく?」

「あー、えーと……順位と言うか階級と言うか……そんな感じのこと」

「ミオちゃんってさ、たまによくわからない言葉使うよね?」

「ま、まぁ……その辺は気にしないで貰えると助かるかな」

「ま、いっか。俺は普通に話してもらえるようになっただけでも嬉しいからね!」


 ラウルは20歳。

 ミオよりも年下だということが判明し、何となくミオも敬語で話すことをやめた。

 それに関しては、カミーユやジェラリーからかなり抗議されたけれど、やっぱり年上に対しては敬語じゃないと抵抗がある。

 ジェラリーはミオとは1つ違いだということがわかったけれど、1歳でも年上は年上だ。


「魔導師にも初心者、初級、中級、上級、特級って階級があるんだよ。階級が上の人が低い階級のステッキを使うことは出来るけど、その逆は無理って話」

「ふぅん、そうなんだ」

「そんじゃ、俺は……ミオよりも階級が下ってことか……はぁ…」

「そ、そんな落ち込まないでくださいよ……」

「そうだよぉ。魔導師なんて皆最初は初心者から始めるんだしさー。俺だって努力してここまで上がったんだからね!」

「そ、そうですよ!ジェラリーさんだってこれからもっと強くなるんですから!」

「そうだなー。頑張るかぁ」


 ルシヨット魔導国に行けば、もっと効率的な訓練方法があるのかと思ったけれど、ラウルが言うにはそんなに変わらないとのことだった。

 ただ、ここは魔導師の数が足りていないため、魔法対戦が出来ないことが大きな弊害となっているらしい。

 やっぱり、実戦というのは実力を上げるには必要なものなんだということがわかった。






 ―――――――

 ―――――

 ―――






「師団長」

「何だ?」

「明日休みなので、街に行ってきてもいいです?」

「1人では駄目だ」

「うーん……そろそろ1人でも大丈夫だと思いますよ?」

「また誰かにつけ狙われたらどうすんだよ」

「それは……もうないかと…」


 ミオはチラリとラウルに目を向けた。

 目をぱちくりとさせるラウル。


「え、ミオちゃんって誰かに狙われてるの?何で?」

「前に知らない奴にしつこく付きまとわれたんだよ。で、何か探られたらしい」

「探られた?」

「あー、でももう大丈夫ですよ、師団長!」

「何でそう言い切れる?」

「それは……」

「あーっ!それってもしかして俺のこと!?え、俺ってそんなに警戒されてたわけ!?」

「は?どういうことだ?」


 ラウルは、以前にミオに言われたことを思い出し、全くの誤解だということを必死に説明した。


「ま、まぁ……俺もミオちゃんと仲良くなりたかったから必死だったけどさぁ……いや、ホントに全然そんな気はなくてね?ホント、ごめんね。俺もしつこくし過ぎたなって反省してるよー」

「はぁ……じゃあ、特に危険はないわけだな?」

「ないですよ」

「次何かあったら、護衛つけるからな」

「いや、何もそこまでしなくても……」


 こうして、ようやくミオが1人で外出することは許可された。

 これで、気兼ねなく街に出かけられる。


「あ、だったらマルセーヌとかオルレーヌも」

「それは許可出来ん」

「えー、何でですか……」

「よく考えろ」

「えー」


 よく考えたところで、ミオにはカミーユが過保護なだけとしか思えなかった。

 ミオには……王女としての自覚はまだあまりない。






 翌日―――


 ミオは晴れて1人で街へとやって来ていた。

 気兼ねなく1人で外出できるって、何て素敵なことなんだろう!


 ミオはさっそく雑貨屋へと向かった。

 さすがに迷うことなく雑貨屋に辿り着けるようになった。

 雑貨屋には、相変わらずミオの心を癒すような商品がたくさん並んでいる。

 こうして、陳列された商品に癒されながら店内を回り、お目当ての商品を手に取った。

 それは、可愛いウサギのチャーム。


「わぁ……どれにしようか悩むなぁ…」


 ミオが手に取ったのは、3種類のチャームだ。

 かなりの時間悩んだ末……3種類とも購入することに決めた。

 大丈夫、使い道はちゃんとある。


 こうして、本日1つ目の目的を達成したミオは、2つ目の目的地である薬草屋へと足を運んだ。

 ラウルから黒ローブの情報を提供されて後回しになっていた、化粧水を探しに来たのだ。

 何だかんだとあれから随分と時間が経ってしまった。

 こちらの世界の水は、不思議と顔のつっぱり感が少ない。

 化粧水がなくてもそんなには肌への影響はなさそうだ。

 エレーヌやスージーに聞いてみたけれど、化粧水なんて使ったことがないと言われた。

 でも、貴族達や一部のちょっとお金持ちな人なんかは使っているという話も聞いた。

 確かに、シャルルの母親はとても肌が綺麗だったように思う。


 化粧水があるなら、やっぱり使いたいと思う。

 少しでも綺麗でありたいと思うのは……女子なら当たり前のことよね?


 ミオは、何とか薬草屋を探してドアを開けた。

 雑貨屋までの道は覚えたけれど、薬草屋はまだ少し迷ってしまう。






 ―――――――

 ―――――

 ―――






 1台の馬車が、港町オルレーヌから王都モンフォワールに向かって走っていた。

 馬車に乗っているのは、立派な装いの男性とドレスに身を包んだ女性。


「王都なんて久しぶりよねぇ。お買い物もできるかしら?」

「そうじゃな。何日か滞在させてもらうことにして、モンフォワールの街へも行ってみようじゃないか」

「シャルルにも会えるかしらぁ?」

「遠くに行っていなければ会えるじゃろう」

「それに、ミオちゃんにも早く会いたいわー!」

「とても可愛らしい子じゃったな。確か魔導師団の魔導師じゃったか?王宮に行くのだし、すぐに会えると思うぞ」

「楽しみだわぁ!ミオちゃんのために、たくさんクッキー焼いてきたんだからぁ!」


 馬車に乗っていたのは、パトリエール夫妻。

 シャルルの両親だ。

 港町オルレーヌ近辺を管理している領主でもある。


 何故、パトリエール夫妻が王都に向かっているのかと言うと、国王への報告があったからだ。

 本来は領主である父親・カルロスだけで良かったのだが、カルロスが王都に行くと伝えると母親のエミリーもついて行くと言い出し、2人で王都へと赴くことになったのだ。


 エミリーは、王都に行くと決まったとたん、張り切ってクッキーを焼いた。

 ミオへのお土産として。

 両親が王都に行くことを知って、長男・シルヴィーが黙っているはずがない。

 自分も一緒に行くとかなりごねたらしいが、今港町ではちょっとした問題も起きているため、港町を管理しているシルヴィーが離れるわけにはいかないだろうと、カルロスに説教されて泣く泣く残った。


 今回、パトリエール夫妻が王都へと赴くことになったことにも、この港町の問題が関係している。

 まぁでも、パトリエール夫妻の様子からは、さほど大きな問題とは思えないが……


 ミオはまだ、パトリエール夫妻に会うことになるなど、これっぽっちも思っていなかった。






 ―――――――

 ―――――

 ―――






「いらっしゃーい……って、ミオちゃんじゃん!」

「こんにちは、パトリックさん」

「嬉しいなぁ、ミオちゃんが来てくれるなんて!今日来た客の数よりも、ミオちゃんが来てくれたことが嬉しい!」

「いやいや、そんなことはないですよね?」


 絶対にミオが来るよりも、たくさんの客が来た方がいいに決まっている。

 他に客がいなかったから良かったものの、こんな話他の客に聞かれたりでもしたら、この店の信用に関わるのではないですか?


「今日もカミーユのお使い?」

「いえ、違いますよ。今日は私、仕事が休みだったのでちょっと買い物に来ました」

「休み?ってことは……俺とデートできるってことだな!」

「……デートはしませんよ」

「冗談冗談!でもさ、お昼ご飯くらい一緒に食べられるよな!」

「まぁ、そうですね。でも、パトリックさんは仕事ですよね?」

「ミオちゃんとご飯を食べるのも仕事さ」

「どんな仕事ですか」


 相変わらずのパトリックに苦笑いするミオ。


「で、何を買いに来たんだ?」

「えーとですね、化粧水とかここで取り扱ってるかなと思いまして」

「化粧水?うーん……まぁ、あるけど……じゃあ、ちょっと俺ん家で話そうか!」

「え、何故!?」

「いいからいいから」


 いったい、どういうことだろうか?

 ミオはよくわからないまま、パトリックに背中を押されて店の2階へと上がって行った。

 ミオをソファーに座らせると、パトリックは紅茶を入れてテーブルに置いた。


「あ、アップルティーですか?とてもいい香りですね!」

「うん。それ飲みながらちょっと待っててくれる?」

「はい」


 こうしてミオがアップルティーを頂きながら待っていると、いくつかの瓶を抱えてパトリックが戻って来た。

 抱えてきた瓶をテーブルに並べる。


「はい、これがミオちゃんに合いそうな化粧水とかその他諸々だよ」

「こんなにたくさんの種類があるんです?」

「そうだよ」


 化粧水に乳液、美容液、美白など、いろいろな物があるようで、元の世界とあまり変わらないラインナップに驚いてしまった。

 さすがは、薬草を取り扱っているだけある。


「ミオちゃんは肌が綺麗で色が白いから……おすすめはコレだな。ちょっと手を出してみて」

「あ、はい」


 ミオが手を出すと、パトリックがミオの手の甲に化粧水を塗ってくれた。

 スーッと馴染んでとてもしっとりとした肌触りになる。


「わぁ、とてもいい香りがしますね」

「だろう?俺のとっておき。化粧水の後はこれをつけるんだ。あ、朝はこっちな」

「なるほど。こっちでも乳液は朝晩で使い分けるんですね」

「こっちでも?」

「あー、気にしなくていいですよ」


 パトリックが進めてくれた化粧水も乳液も、どれもとても肌馴染みもいいしミオの肌に合っている気がした。

 全部欲しいけれど……こっちの化粧水って相場はどれくらいなんだ?

 貴族や金持ちが使うってことは……元の世界のブランド商品並みに高いんだろうか?


「あの、パトリックさんがおすすめしてくれたものを買うと、どれくらいになるんですか?」

「俺の化粧水はお得意さんにしか売っていないんだ。料金も俺次第!」


 いやいや、そんな商売してていいんですか?

 あー、だから部屋に連れて来られたのか?


「そんなわけで、これはミオちゃん価格で……全て無料!」

「そんなわけにはいきませんよ!」

「えー、だってミオちゃんからお金なんて取れないだろ」

「ちゃんと払います!」

「仕方がないな……じゃあ、これくらいで」

「安すぎます」

「えー。困ったなぁ、じゃあ、これで。これ以上は上げないからな」

「どんな商売ですか……だったら、はい。お釣りはいらないです」

「だったら受け取らない!」

「いやいや、それじゃあ私も困りますよ……」


 結局、パトリックが折れないため、ミオはパトリックの言い値で払うことにした。

 何なんだ、この人。

 次来た時はキッチリ払おう、そう心に誓ったミオだった。


「それじゃあ、お昼食べに行こうか!何が食べたい?」

「お任せします。でも……本当にお仕事大丈夫なんです?」

「大丈夫だって!何のために従業員がいると思ってるんだ?ほら、行くよ」

「……はい」


 こうしてミオは、パトリックと一緒に昼ご飯を食べに出かけた。






 ―――――――

 ―――――

 ―――






 パトリックと一緒に昼食を食べて、少し話をしてからミオが王宮に戻って来ると、門の前に1台の馬車が止まっていた。

 来客だろうか?


 てゆーか、やっぱり街まで徒歩って遠いんですけど!?

 1人で街に行くことが許可されたミオだったけれど、箒で行くことは許してもらえなかった。

 何故だ!?


 ミオが門を通るのを待っていると、馬車から誰かが降りてくるのが見えた。

 立派な装いの男性と、ドレス姿の女性。

 あれって……シャルルのご両親では?


 ミオが驚きながら見ていると、そんなミオにドレス姿の女性が気づき、めちゃくちゃ笑顔で手を振ってきた。


「ミオちゃーーーん!」


 やっぱり、シャルルのご両親だ。

 ミオは会釈をすると2人に駆け寄った。


「パトリエール団長のお父様とお母様。先日はありがとうございました」

「やぁ、ミオさん。元気そうで何よりじゃ」

「ミオちゃんに会えるかと思って、たくさんクッキー焼いてきたのよぉ!後で一緒に食べましょうね!」

「ありがとうございます。それより……どうしたんです?あ、パトリエール団長に会いに来られたんですか?」

「いやいや、少し国王に報告があってな」

「そうなのよ。まぁ、私はミオちゃんに会いに来たのだけれどね!」

「そ、そうなんですか」


 荷物を降ろし終えた騎士が、2人に声をかけた。

 いったい何の報告だろう?

 明日の朝食で国王に聞いてみよう、ミオはそう思いながら2人を見送ろうとしたのだけれど……何故かエミリーに腕を組まれ、王宮へと連れて行かれてしまった。


 こうして、ミオはエミリーとともに王宮の中の一室へと案内され、エミリーが作って来たクッキーを頂くことになった。

 エレーヌが紅茶を入れてテーブルに並べる。

 いやいや、人様のお母様と2人きりって……凄く緊張するんですけど!?

 エレーヌに一緒に食べようと声をかけたけれど、いつも通り笑顔で断られてしまった。


 ミオはこの緊張する時間を何とか笑顔で過ごすことにした。

 幸いなことに、エミリーはとてもよく喋る人だったので、会話に困ることはなかった。

 それに、エミリーが作ったと言うクッキーはとても美味しいクッキーだった。

 何だかんだと話しているうちに夕方の鐘が鳴り、ミオは夕食の時間だからと宿舎へと戻って行った。


「あー、緊張した。でも、やっぱりパトリエール団長のお母さんって、凄く綺麗だし一緒にいてとても楽しい人だったな」


 ミオが一度荷物を置きに部屋に戻り、それから食堂へと向かうと、先にシャルルとカミーユが来ていて、ミオはいつものように同席した。


「お疲れ様です。何か、パトリエール団長のご両親が来てましたよ?」

「私の両親が?」

「珍しいな、シャルルの両親が来るなんて」

「お母様に美味しいクッキーをご馳走になりました」

「……何か迷惑をかけなかったか?」

「とんでもないですよ!楽しいお話をたくさん聞きました。ちょっと緊張はしましたけど」

「そうか、それならば良かった」

「シャルルの母親も強烈だからな」

「まぁな」


 シャルルが苦笑いしながらカミーユに同意した。

 まぁ、確かに強烈ではあるけれど、とてもいい母親だと思うミオだった。


 パトリエール夫妻の報告とはいったい……



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