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憧れの異世界はやっぱりとても大変な世界  作者: 花聖
第一章 異世界生活と黒ローブ
30/132

28 狙われた水竜

のんびり更新中♪

 窓から差し込む光の眩しさに、ミオはゆっくりと目を開けた。

 大きく伸びをして体を起き上がらせると、優しい声が聞こえてきた。


「おはよう、ミオ。よく眠れた?」

「おはようございます、パトリエール団長。とてもよく眠れました」


 相変わらず早起きだなぁ……などと思っていたら、ミオが寝すぎただけのようだった。

 カミーユが部屋に入って来て、朝食を食べたら出発すると言われ、ミオは慌てて身支度をしに部屋を出た。






「「「おはようございます!」」」


 朝食を食べて町の入り口に向かうと、騎士達は既に準備を整えていて、ミオは待たせてしまったのかと、とても申し訳ない気持ちになった。


「す、すみません……私が寝坊したから皆さんを待たせてしまって…」

「ふふ、そんなことはないから、ミオが謝る必要なんかないよ」

「そう……なんですか?」


 頭に手を乗せるシャルルを見上げると、そこにはとても優しい笑顔があった。

 やっぱりシャルルは優しい、怒ると怖いなんて気のせいじゃないかなと思う。

 まぁ、でも、ふだん優しい人が怒ると怖いとはよく聞くけれど。


 準備が整ったらいよいよ出発だ。

 今日、魔法陣をすべて描き替えて点検が終われば、明日は内側の調査だ。

 中級や上級の魔物ばかりとなると少し怖い。

 とりあえず……虫系だけはいないことを祈りたい。


 昨日の続きから結界の点検をしていき、カミーユが魔法陣を描き替える。

 ミオは相変わらず結界を通り抜けてしまうため、何もできない。

 私……何しに来たんだ?


 2つの魔法陣を描き替えたところで、昼食のため近くの町に移動することになった。

 この町には今夜宿泊するらしく、宿に行って宿泊の手続きも済ませた。


「ミオ、何日も点検して回って疲れていないか?」

「大丈夫ですよ。点検って言っても、私何もしていないですし…」

「まさか通り抜けるとは思っていなかったからなぁ」

「す、すみません…」

「どうして通り抜けてしまうんだろうな?」

「さぁな。体質か?」

「え、そんな体質あるんです?」

「聞いたこともないけどな」


 こうして、すべての魔法陣を描き替えて点検は終わり、ミオ達は町の宿へと戻って来た。

 今夜は3部屋確保できたため、騎士3人、シャルルとカミーユ、ミオと割り振られた。

 夕食を食べながら明日の打ち合わせを行い、今は各自部屋で寛いでいる。

 ミオはベッドでゴロゴロしていたけれど、このままだと眠ってしまいそうだったので、先にお風呂に入ることにした。


「やっぱり湯舟は気持ちがいいなぁ」


 何と、ここの宿の風呂は露天風呂になっていた。

 まさかこっちの世界でこんな贅沢を味わえるとは思っていなかったので、ミオは星空を見上げながらのんびりと露天風呂を満喫した。






「あー、さっぱりした」


 風呂から上がってさっぱりとした気分でミオが部屋に向かっていると、階段を上がったところでシャルルと顔を合わせた。


「お風呂に入って来たのか?」

「はい。とても気持ちいいお風呂でしたよ」

「そうか。私達も今から行くところだよ」


 シャルルは、ミオの髪に触れようと手を伸ばしかけて、カミーユもいたことに気がついて手を止めた。

 ミオに触れたい……そんな気持ちを押し殺しながら、シャルルはミオに笑みを向ける。


「ここの風呂は確か外だったな」

「そうでしたよ。星空がとても奇麗でした!」

「そうか、それは楽しみだな」

「のんびりしてきて下さい」


 シャルルとカミーユは風呂に向かい、ミオは自分の部屋へと戻って行った。






 ―――――――

 ―――――

 ―――






 その日の深夜―――




 ―――ミオ……助けて、ミオ


 ミオはパッと目を開けてベッドの上に起き上がった。

 今、水竜の声が聞こえたような気がしたけれど……夢?


 何だか胸がざわざわとして落ち着かない。

 何だろう?


 胸を押さえながら考えていると、また声が聞こえた。




 ―――僕、もうガマンできないよぉ……ミオ……助けて


「……っ!?」


 ミオはベッドから降りると、急いでブーツを履いてカバンを下げた。

 そして、箒を持って部屋を飛び出した。

 廊下を走っているとドアが開き、カミーユが何事かと声をかけてくる。


「ミオ!?どうした!?何があった!?」

「水竜が……助けてって!私、ネーオールの森に行ってきます!」

「待て!1人で行くな!オイッ!……ったく」


 カミーユはドアを閉めて出かける準備を始めた。


「どうかしたのか?」

「ミオがネーオールの森に向かった」

「何!?」

「俺も追いかける」

「待て、私も行く」

「馬では間に合わん」

「だったら……後ろに乗せて行ってくれ」

「……よし、わかった」


 騒ぎを聞きつけた騎士がシャルル達の部屋にやって来て、シャルルが事情を説明して騎士達には待機するよう指示を出した。

 カミーユがシャルルを乗せて箒を浮上させたけれど、既にミオの姿は見えなくなっていた。


「少し飛ばすぞ」

「あぁ、大丈夫だ」


 カミーユが急いでミオの後を追う。


 その頃ミオは、全速力でネーオールの森に向かっていた。

 いったい、何が起きているんだろう?

 胸騒ぎがより一層激しくなった。

 とにかく、一刻も早く水竜のところに行かなくては……






 ―――――――

 ―――――

 ―――






 ネーオールの森の湖。

 その湖を取り囲むように黒ローブを羽織った者達が立ち、壺を前に置き鏡を湖に翳しながら何か呪文のような言葉を唱えている。

 水面に映る月はない。

 今日は新月だ。


 昨夜も黒ローブ達は同じようなことをしていた。

 水竜は、前に呼びかけられた時と同じだと思いながら、湖の中でジーッと耐えていたけれど、今夜の呼びかけは昨夜よりも力が強かった。

 だんだん意識が混濁していく。


 ミオ……お願いだよ、助けて……ミオ…


 必死にミオの名前を呼んだ。


 黒ローブ達の儀式は続く。






 ―――――――

 ―――――

 ―――






 ミオは王都の上空までやって来た。

 ネーオールの森まではあともう少し……気合で箒の速度を上げる。


 森が見えてくると、湖の上に水竜が姿を現しているのが見えた。

 何で出てきているんだろう?

 ミオが湖に近づいて行くと、突然森の中で何かが光り出した。


「え、何?」


 その光は、湖を囲むように4つあった。

 あれは……魔法陣だ!

 4つの魔法陣から発せられた光は、水竜を包み込んだ。


「まさか、あの光は……」


 水竜を操る魔法陣か?

 湖の前に黒ローブの姿を見つけて、ミオは足元にフロージングランスを放った。

 ミオに気がついた黒ローブが逃げようとしたけれど、足元が凍りついているためその場から動くことが出来なかった。

 そう何回も逃がしませんよ!


「何をしているんですか?」

「……………」


 ミオは地面に降りて歩み寄って行く。

 黒ローブは何も言わずに、自分の前に置いてあった壺を持ち上げて地面に叩きつけた。

 一体何を……ミオが足を止めると、割れた壺から出てきたのは魔物達だった。

 咄嗟に魔物にフロージングランスで攻撃をする。

 すると、黒ローブが上空に向かって何かを放った。

 上空で光を放ったそれは、他の黒ローブ達への信号弾のようなものだった。


「他にも仲間がいるの!?」


 ミオは箒に乗ると湖の中央まで行って、急いでスノーフロストを放った。

 周囲を霧状の雪が覆い、生き物を凍らせていく。

 ここに生息していた魔物達には悪いけれど……これは緊急事態だ、あとできちんと解放してあげるからしばらく我慢して。

 ミオのスノーフロストによって、逃げ出そうとしていた黒ローブ達は、全身もしくは体の一部が凍りついて動けなくなった。

 中には上手く逃げた者もいたが、今は捕らえられるだけ捕えればいい。


 スノーフロストの氷は火を使えば簡単に溶かせる。

 そのため、何人かは火属性の魔法を使って溶かそうとしているようだった。

 火が見えた場所に向かって、全身を凍らせる。


 こうして、ミオが水竜の所に向かおうとした時、水竜の口から放たれた水球がミオに直撃した。

 弾き飛ばされて地面に転がるミオ。

 やっぱり……操られているの?

 水竜の目は赤く光っていた。


 ミオは箒に乗って水竜に近づいて行ったけれど、水竜が背中の翼で起こした突風で飛ばされてしまった。

 激しく地面を転がり傷だらけのミオ。

 どうやって近づけばいいの?


 考えていてもいいアイデアは思い浮かばないため、とりあえず箒に乗って近づいて行く。

 水竜の攻撃をかわしながらすぐ傍まで近寄り、ミオは胸の前で両手を組んだ。


「古の理に、我の御霊を捧げん。ディスペレーション!」


 水竜の目は赤いままだった。

 どうして解除されない?ミオは、さっき光を放った魔法陣に目を向けた。

 きっと、魔法でしか消せない魔法陣だ。


 ミオは、魔法陣を消すため水竜に背中を向けた。

 その瞬間、背後から攻撃されて弾け飛ぶ。

 地面に叩きつけられて意識を失いかけたミオだったけれど、こんな所で気を失っている場合ではない。

 気合で立ち上がって魔法陣が描かれている場所へと向かった。






 その頃、王都へと到着したカミーユは、シャルルを降ろしてネーオールの森へと向かっていた。

 シャルルも夜勤の騎士達を引き連れて、全速力で森へと向かっている。


 先に森へと到着したのはカミーユで、ミオが水竜の攻撃を避けながら飛んでいるところだった。


「一体、これはどういうことだ?……ミオ!」

「……師団長?」


 ミオがカミーユに気がついた時、最初に見つけた黒ローブがミオに向かって攻撃をした。

 ミオは咄嗟にその攻撃を避けると、箒を急降下させていき……箒の柄で黒ローブを殴って気絶させた。


「お前……箒で何している」

「箒も立派な武器ですよ!」

「……にしても、随分と傷だらけじゃないか。待ってろ、すぐに回復を」

「そんなヒマはありません!私なら大丈夫です。それよりも……魔法陣を消さないと、水竜の魔法を解除出来ないみたいで」

「だったら、俺が魔法陣を」

「魔法でしか消せないみたいです。湖の周りに黒ローブが何人もいます。今は氷で動けなくしてますが、どれくらい持つかわかりません。師団長はそっちをお願いします」

「わかった。俺は黒ローブ達を拘束しよう」

「お願いします!」


 水竜の攻撃を避けながら、カミーユに黒ローブのことを伝え、ミオは再び魔法陣に向かって立った。

 けれど、水竜の攻撃によってなかなか魔法陣を解除出来ない。

 一か八か、水竜の攻撃を避けながら魔法陣に向かって手を翳してみた。


「開かれし古の扉を封印せし。ティアドロップ!」


 ミオの胸元のネックレスの石が光を放ち、雫となって魔法陣を覆った。

 光の柱が立ち上り、魔法陣が消える。


 丁度その頃、騎士団もネーオールの森に到着した。


「ミオ!」

「パトリエール団長!」


 駆け寄って来たシャルルに、現状を伝えてカミーユとは反対周りに黒ローブの捕獲に向かってもらう。

 傷だらけのミオを、とても心配するシャルルだったけれど、今は時間がない。

 このまま黒ローブ達に逃げられてしまっては、また同じようなことが起きてしまう。

 何としてでも黒ローブ達を捕まえて、詳しいことを聞きださないといけない。


 魔法陣を1つ消せば水竜の魔法を解除することが出来ると思ったけれど、そう簡単なものではなかった。

 魔法陣には核となる石ははめ込まれていなかった。

 でも、この魔法陣はかなり強力なもので、完全な魔法陣に近いのではないかと思った。

 黒ローブ達が描いた魔法陣だろうか?


 ミオは水竜の攻撃を避けながら、残りの魔法陣を消していく。

 避け切れずにまともに喰らってしまうこともあり、ミオの傷はどんどん増えていった。

 痛くて死にそう……でも、そんなことは言っていられない。

 ヒールで回復させたけれど、回復力は弱かった。

 やはり、魔力の消耗が激しいのだろう。


 こうして、何とか最後の魔法陣を消すことが出来た。

 もう、箒を操作する力も残っておらず、ミオは湖の畔に立って水竜に向かって目を閉じると、胸の前で両手を組んだ。

 お願い、届いて……


「古の理に、我の御霊を捧げん。ディスペレーション!」


 残りの魔力が足りるのかとても不安だったけれど、ミオの祈りは届いたようだった。

 光に包み込まれた水竜。

 その光がキラキラと拡散されながら消えていくと……赤かった水竜の目が、元のサファイアブルーへと変わっていった。


 ようやく終わった。


 ミオは崩れるように膝をついた。

 水竜がそんなミオに顔を寄せた。




 ―――ありがとう、ミオ。僕、ガマンしてたんだけどさぁ……昨日は耐えられたけど、今日はムリだったんだよ……


 無事に助けることが出来て、良かったです


 ―――傷だらけになっちゃったね。僕がやったの?ホントにごめんね……


 大丈夫ですよ、これくらい。今日はゆっくり休んでくださいね


 ―――うん、わかった!ホントに、ホントにありがとうね、ミオ!




 水竜は涙を零すと、湖の中へと潜っていった。

 その涙は、ミオの傷をほんの少しだけ癒してくれた。

 水竜も力を使い果たしたらしい。


 ミオはその場にゴロンと寝転がって星空を見上げた。

 今夜は新月のようで、月明かりのない夜空には、いつもよりもたくさんの星が見えた。


「良かった……水竜を助けることが出来て」


 体中が痛くて動けなかった。

 どうやって帰ろう……そんなことを考えていると、遠くから声が聞こえてきた。

 何だろう?ついにお迎えが来たんだろうか?そんなことを考えていると、だんだん声が近づいてきて、その声の主がシャルルだということがわかった。


「大丈夫かミオ!?」

「……ちょっと痛くて死にそうです」

「待っていて、今カミーユが来るから」


 急いで出てきたため、ポーションは持ち合わせていないらしい。

 シャルルが心配そうな顔で、そっとミオの頬に手を添えた。

 その手がとても温かくて、ミオはこのまま死んでしまうのも幸せかもしれない……そう思いながら、意識を遠ざけていった。






 ―――――――

 ―――――

 ―――






「………ん……え、どこ?」


 ミオが目を覚ますと、見慣れない天上が見えた。

 起き上がって見ると、それは天上ではなくベッドの天蓋だということがわかった。

 ここ、どこですか?


 ベッドから降りて見ると、よく漫画とかで見るお姫様とかが寝ているベッドだった。

 天蓋付きのお姫様ベッドである。

 初めてこんなベッドで寝たけれど……何だか恥ずかしい。


 ミオは窓を開けて外を見てみた。

 ん?この庭園は……見たことがあるぞ?

 って、よく見て見ると着慣れないフリフリのネグリジェのようなものを着ているではないか!

 何だこれ、夢なのか?


 自分の服を探していると、綺麗に洗濯されて壁に掛けられているのを見つけた。

 着替えようと手を伸ばした時、部屋のドアがノックされて、侍女が入って来た。


「……エレーヌさん?」

「まぁ、ミオ様!お目覚めになられたんですね!今、国王様をお呼びしてきます!」

「あ、ちょっと、エレーヌさん!?」


 エレーヌは部屋を出て行ってしまった。

 何だか、前にもこんなことが……

 しばらくすると、部屋のドアが勢いよく開けられて、国王が飛び込んで来た。

 国王はミオに抱き着いて号泣する。


「ミオー!!良かった、ようやく目覚めたか!もう目を覚まさないんじゃないかと心配したんだぞ!」

「お、お父さん……ごめんなさい」

「ミオが謝ることではない!それにしても、本当に良かったぞぉー!」


 どうやら、また3日間ほど寝込んでしまったらしい。

 まぁ、あの時は魔力も使い果たしてしまったみたいだし、仕方がないだろう。

 しばらく号泣していた国王が泣き止み、少し話をすると仕事があるからと言って執務室に戻って行った。

 国王とは忙しいものである。


 ミオはエレーヌが用意してくれた朝食を食べ、3日ぶりにお腹を満たした。

 お腹が満たされると、とても幸せな気分になる。

 食後の紅茶を頂いて、ふぅ……っと一息ついたところで、エレーヌが食器を片付けに部屋を出て行った。

 ミオが着替えようと、壁に掛けてあった服に手を伸ばすと、また誰かが来たようで部屋のドアがノックされた。


「ミオ?」

「パトリエール団長。おはようございます」


 シャルルは驚いたような顔をしてミオに駆け寄り、ギュッとミオを抱きしめた。

 優しい声がミオの耳元で響いてくる。


「良かった、目覚めたのだな」

「すみません……また、ご心配をおかけしたみたいで」

「本当だよ。あんなに傷だらけになって、私がどれだけ心配したことか」


 本当に心配をかけてしまって、申し訳なく思う。

 思うのだけれど……そろそろ離してもらえないと、私の魂がどこかに行ってしまいそうですよ。

 そんなことを思っていると、シャルルは腕を緩めて顔を近づけて来た。

 出たよ、出ましたよ、本当に距離が近いんですよこのイケメンは。


「もう、大丈夫なのか?」

「はい」

「顔が赤いようだが?」

「パトリエール団長の顔が近いからですよ」

「あぁ、そうだったな。ミオはこうすると赤くなる」

「……なっ!?」


 シャルルが額をくっつけてきた。

 おかげで耳まで真っ赤になるミオ。

 もう、わかってやってますよね、この人!


「あ、そう言えば結界の中の調査って…」

「あれは、カミーユと一緒に終わらせたよ」

「す、すみません。何もお役に立てなくて」

「何を言っているんだ。ミオのおかげで水竜が救われたんだよ?」


 シャルルがその後のことを教えてくれた。

 あの後、捕らえた黒ローブ達を王宮に運び、尋問を行った。

 だが、全身凍らされた者以外は、前回と同様に移送途中で死んでしまったらしい。

 何て恐ろしい組織だ、黒ローブ。


 黒ローブ達が立っていた場所には、どこも同じような魔法陣の札が貼られた壺が置かれていた。

 1つ割ってみると複数の中級~上級の魔物達が現れたそうで、一時騒然となったらしい。

 魔物達を討伐して、他の壺は割らずにカミーユとアルバンで処理をした。


「で、目的はわかったんです?」

「いや、生きていた者達は何も語っていない」

「そうなんですか……竜を操って何がしたいんでしょうね?」

「それはわからない。だが、今回の件で黒ローブの組織も魔導師の数はかなり減ったと思う。しばらくは表立って動くことはないと思うが…」

「炎竜の話だと、水竜が一番操られやすいそうです」

「そうなのか?」

「はい。それで、私が会ってみた感じでは、炎竜と氷竜は強そうなので操られる可能性は低いかなと思いますけど、風竜は大人しそうな竜だったので、危険はあるかと思います」

「なるほど。やはり、2つの森は厳重に警戒していかないといけないということか」

「そうですね」


 こうしてシャルルとしばらく話をした後、ミオはカミーユの所に向かうため着替えようと壁に掛けられた服に手を伸ばした。

 すると、あと少しというところで手が届かないことが判明。

 どうなってるんだこの高さの基準。

 私をバカにしてるのか?

 ミオはジャンプしながら何とか壁から服を取り、着替えて部屋を出た。

 この部屋、どうもミオの部屋として用意されたものらしい。

 ということは……あのお姫様ベッドはミオのものということになる。

 普通のベッドに、交換してもらおうかな……






 ―――――――

 ―――――

 ―――






「あーあ、やっぱミオちゃんて見習いじゃないんじゃん?」


 薄暗い部屋の中でゴロゴロしながら呟くラウル。

 そんなラウルに目を向けながら、ロドリエルが声をかける。


「1年もかからずにあそこまで操ることが出来るとは、さすがだなラウル」

「まぁね。でもさ、やっぱ完全な魔法陣じゃないと無理だと思うよー?(まぁ、それでも無理だろうけどね)」

「そうだな……それにしても、魔導師の数も随分と減ってしまったな」

「あのさぁ、竜操って王国を支配するってそんなに楽しい?」

「……は?」

「ただの質問だよ。王国を支配するって、どれくらい楽しいのかなってねー。楽しみは具体的にわかった方がもっと楽しいでしょ?」

「…………それは、支配してから感じればいい」

「ふぅん、なるほどねー。それよりもさぁ、聞いてよロドリエル」

「……何だ?」

「やっぱり可愛いんだよねー、あの子」

「10回くらい死ね」


 ラウルはニコニコと楽しそうな笑みを浮かべながら天井を見ていた。


「(やっぱ潮時かなー。竜を操って血を使えば父上を……なんて思ったけど、それだって確証はないしなー。それに、あれは操るのが無理そうだ……ってゆーか、無理だろ。そもそも、総裁はおじいちゃんだし、目覚める保証も生きてる保証もないしね。王国の支配なんて、何の魅力もないしなー)」


 黒ローブの目的は、王国の支配。

 その後、世界をも支配しようとロドリエルは考えている。


 ミオ達はまだこのことを知らない。

 王国は、ロドリエル達黒ローブの目的を阻止することが出来るのだろうか?



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お読みいただきありがとうございました!

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