表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
憧れの異世界はやっぱりとても大変な世界  作者: 花聖
第一章 異世界生活と黒ローブ
29/132

27 びしょ濡れのお祭り

のんびり更新中♪

「おはようございます」

「おはよう。今日は午前中でこっち側終わらせて第三騎士団と合流だ」

「はい」


 黒ローブのことがとても気になるけれど、とりあえず今は結界の点検を終わらせることに集中しよう。

 第二騎士団の皆は、昨夜も遅くまで飲んでいたようだが……大丈夫だろうか?


「よぉ、嬢ちゃんおはよう。よく眠れたか?」

「はい。皆さんは二日酔いとか大丈夫です?」

「俺達を誰だと思ってんだ?あれくらいの酒じゃあ二日酔いになんかならないよ」

「宿舎で飲んでる酒はもうちぃーっと強いからなぁ」

「……さすがですね」

「よし、じゃあ朝食を食べたら出発するぞ」


 朝食を食べて、今日の点検を開始した。

 昨日のこともあるので、黒ローブにも注意を払いながら進んで行く。

 まぁ、さすがに黒ローブも同じように見つかるようなことはしないだろう。

 順調に2つの魔法陣の描き替えが終わった。


 少し早かったけれど、第二騎士団とともに昼食の準備を始めた。

 ちょうど昼食が出来上がった頃に第三騎士団が合流し、一緒に昼食を食べて第二騎士団はフェルドーへと戻って行った。

 ここからは第三騎士団とともに点検に回る。


「黒ローブか。俺達はまだ会ったことはないけどな」

「てゆーか、ミオはよく遭遇するな。呼び寄せてんじゃねぇか?」

「そ、そんなわけないじゃないですか!やめてくださいよ、クレール団長……」

「でもまぁ、ミオだけが毎回遭遇してるのは事実だな」

「師団長まで!?私、知らないですからね?黒ローブの組織なんて」


 でも……黒ローブに遭遇した際には、いつもミオがいた。

 え、どこぞの少年探偵のように、行く先々で事件とかないですよね?

 少し不安になるミオだった。


 この日も、無事に2つの結界の魔法陣を描き替えて、点検を終了した。

 ここは近くに町がないため、野営をして夜を過ごすこととなる。

 サンブリー近辺ということもあり、夜は少し寝苦しそうだ。

 ミオはテントの中にアイスブロックを設置した。


「ミオ、こないだ箒で帰ってただろ。迷わないで帰れたのか?」

「迷いませんよ、真っすぐですもん」

「真っすぐ?」

「コイツ、道とか関係ないからな。確か半日くらいで帰って来たんだったか?」

「はい、そうですよ」

「半日だぁ?3日かかる道のりを?」

「だって、直線ですから」

「すげぇな」


 騎士達が交代で見張りをしながら、何事もなく朝を迎えた。

 野営は、見張りを立てないといけないから大変だ。

 見張りはいつも騎士団がしてくれるのだけれど。

 それに、やっぱりテントだとよく眠れない。


 朝食を食べ終えると、午前中に2つの魔法陣を描き替え、昼食を挟んで午後に残り1つを描き替えて、第二騎士団はサンブリーへと戻って行った。

 ここからは第一騎士団が同行する。


「問題はなかったか?カミーユ」

「初日から問題発生だ」

「何?」


 今日はあと1つ魔法陣を描き替えて、次の魔法陣までの中間くらいで点検を終えることになっている。

 移動しながらカミーユはシャルルに黒ローブのことを報告した。


「それから、問題と言えばコイツだ」

「え、私何もしてませんよ?……あ、黒ローブ呼び寄せてるって言うなら違いますからね!?」

「そうじゃない。ミオは、何故だかわからんが結界を通り抜けられる」

「結界を?」

「そうなんですよ。ほら……」


 ミオが結界の中に手を入れて見せた。


「驚いたな」

「ミオはいろいろやらかすからなぁ、知らないで入ってしまうんじゃないかって心配してるところだ」

「何もやらかしませんよ…」


 カミーユが魔法陣を描き替え、点検をしながら中間くらいまで進んで、予定通り今日の点検を終了した。






 ―――――――

 ―――――

 ―――






「どうする?シャルル」

「困ったな」


 近くの町まで移動し、宿で宿泊の手続きをしたのだけれど、ここで問題が発生してしまった。

 この町では、今日から祭りが開催されていて、明日まで観光客で賑わっているようだった。

 そのため、泊まろうとしていた宿で1部屋、もう1軒の宿で1部屋しか空きがなかった。


 3人ずつ泊まれるとは言うが、ミオは女性だ。

 さすがに一緒というわけにもいかないだろう……と悩むシャルルとカミーユだったけれど、肝心のミオが大丈夫だと言うので、騎士3人と、ミオ・シャルル・カミーユの3人に別れて泊まることとなった。


「わぁ、お祭り楽しそうですね」


 ミオが窓から外を見下ろすと、向こうの通りに露店が見えた。

 たくさんの人が歩いているのが見える。


「行ってみる?」

「え、いいんですか?」

「カミーユも行くだろう?」

「お前ら2人で行って来いよ。俺は疲れた」

「皆で行ったら楽しいですよ?」

「……仕方がないな、少しだけなら付き合ってやる」


 こうして、3人で祭りに出かけて行った。

 町のメイン通りには露店がたくさん建ち並んでいて、観光客や町の人達で盛大に盛り上がっていた。


「こっちの世界にもお祭りってあるんですね」

「あるよ。ミオの世界でもあったのか?」

「ありましたよ……お、綿菓子!」

「わたがし?どれだ?コットンキャンディーのことか?」

「あ、そうです。コットンキャンディー(まんま英語になってるんだ)」


 ミオは綿菓子の屋台に駆け寄って、虹色の綿菓子を1つ買った。

 ちぎって食べてみると、何だかフルーティーな味がする綿菓子だった。


「おー、美味しい!」

「良かったな」

「お前の世界にもあったのか?」

「ありましたよ。お祭りと言えばこれです」


 他にも、輪投げや射的などもあって、何だか懐かしく思えた。

 飲み物やお酒なんかも売っていたけれど、やっぱり氷はないので、そこが少し残念なところだった。

 可愛いウサギのキャンディーを見つけて、ミオの目が留まった。

 やっぱりウサギは可愛いなぁ……そう思いながら買わずに店を離れようとすると、シャルルが驚いたように声をかけてきた。


「ミオ、買わないのか?」

「え?」

「ミオの好きなウサギだったと思うが…」

「あれは……可哀想で食べられないので買わないです」

「……なるほど」

「ただのキャンディーだろ?」

「可愛いウサギのキャンディーですよ?師団長は普通に食べられるんですか?」

「そりゃ、食えるだろ」

「鬼ですね」

「オニ?何だよそりゃ」

「うーん……悪魔ですね」

「俺は人間だ!」


 こうして、たくさんの露店を見て回り、3人は町の中心の広場へと出て来た。

 広場にはたくさんの人達が集まっていて、皆傘をさしたり雨具を着たりしていた。


「ん?雨なんて降ってないですよね?」

「おい、シャルル。この祭りって……」

「そうだな」

「え?」


 広場の中央に設置された、大きな鐘が鳴らされた。

 すると、大量の水がまるで雨のように上空から降り注いできた。


「え、何ですかこれ!?雨?」

「放水祭りだよ」

「まぁ、涼むためにやる祭りだ」


 あっという間にびしょ濡れになってしまった。

 傘を持っていた人達も、いつの間にか傘を手放して水を浴びている。


「うわっ!」


 横からも水が飛んできた。

 見るとホースを持って放水している人達がたくさんいた。

 な、何て激しい放水祭りだ。


「おい、シャルル。この祭りってこんなに激しかったか?」

「さぁな、忘れたよ」

「これ、いつまで続くんですか?」

「水がなくなるまでだ」

「え!?」


 何処の水がなくなるまでですか?

 こうして激しい放水を浴びていると、周囲から歓声が聞こえて来た。

 今度は何だ?


 すると、上空にいくつもの巨大な風船?のようなものが現れた。

 あれはいったい……


「お、ついにフィナーレか?」

「そうだな」

「フィナーレ?」


 見上げていると、風船が一気に弾けた。

 そして……大量の水が落ちて来た。

 始まった時の雨のようなものではなくて、まさに水が落ちてきたという感じだ。

 滝行ですか……凄いぞ、放水祭り。


 祭りのメインである放水は終わったらしい。

 あとは露店を回って楽しむようだが……ずぶ濡れのまま回るのか?


「す……凄いですね、このお祭り」

「私も久しぶりに浴びたよ」

「昔はよく来てたもんな―」


 このままでは宿に帰れないので、ミオが魔法で乾かした。

 すると、それを見ていた人達が乾かしてくれと押し寄せて来て、ミオの前には行列が出来上がった。

 仕方がないので、並んだ人達も乾かしてあげたけど……めちゃくちゃ大変だった。


「ふぅ……終わった」

「お疲れ様」

「人前でやるからだ」


 とても激しい放水祭りだったけれど、たまにはずぶ濡れになるのも気持ちがいいものだと思った。

 騎士達も参加したのだろうか?

 誘ってあげれば良かったななどと思いながら、宿へと戻って行った。


 水浴びは疲れるものだ。

 ミオは昨夜の寝不足もあって、部屋に戻ると一気に睡魔が押し寄せて来て、ベッドに寝転がるとあっという間に眠りに落ちて行った。


「もう寝たぞ、ミオの奴」

「昨日は野営だったんだろう?ミオは野営ではあまり眠れないらしい」

「そうなのか?」


 部屋の明かりを小さくして、シャルルとカミーユは明日の点検について少し打ち合わせをしてから、ベッドに入って早めの就寝とした。






 ―――――――

 ―――――

 ―――






 ネーオールの森の湖の周囲に、黒ローブを羽織った者達が現れた。

 湖を囲むように立った黒ローブ達は、魔法陣の札が貼られた壺や鏡を持って、何かを始めた。

 彼らが始めたのはいったい……



 .

お読みいただきありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ