24 港町の領主様
のんびり更新中♪
調べてみてわかったんですけど、私の小説って文字数多すぎなんですね…
今更なので、このまま行きますけど(笑)
本当に、読んでくれている皆様に感謝です!
ぺリグレット王国の南側に位置する港町・オルレーヌ。
その港に突然現れたケートス。
どこかから迷い込んで来たケートスは、パニックになって街を大洪水にしてしまいそうになり、ミオが魔法を使って何とか捕獲した。
どうやって元の場所に戻そうかと悩んでいると、今度はミオ達の頭上を巨大な影が覆った。
え、今度は何が現れたんですか?
ちょっと今忙しいんですけど……
そこにいた全員が見上げた空にいたのは……大きな水色の竜。
―――ミオー、やっほー!
いやいやいや、やっほー……って!
見覚えのある姿と、聞き覚えのある声。
上空に現れたのは、ネーオールの森の湖にいるはずの水竜だった。
「り、竜だー!!」
「今度は竜が襲ってきたぞ!」
突然の竜の出現に、周囲はパニックになりかけている。
当たり前だ、竜なんてそうそう目にする生き物ではない。
「ち、ちょっと水竜さん?私、今とても忙しいんですけど!?」
突然竜に向かって話しかけたミオに、騎士達が驚いて目を見開いた。
シャルルは、以前水竜を目にしているし、氷竜と話すミオを見ていたので、騎士ほどは驚いていない様子。
―――なんかさぁ、ミオが困ってそうだったからさ、僕助けに来たよ!
え、助けに?
―――そのクジラを元の場所に戻せばいいんでしょ?任せてよ!
戻せるんですか?
―――もちろん!
ミオはシャルルに顔を向けた。
「何か、水竜がこのケートスを元の場所に戻してくれるみたいです」
「……そうなのか?」
「はい」
再び水竜を見上げて、ミオはケートスの移送をお願いすると、水竜は嬉しそうに返事をした。
―――わかったよ!凍ったままでいいの?
今、元に戻します。
―――でさぁ、ミオ
何ですか?
―――何で森を通った時に声をかけてくれなかったの?僕、ミオが声をかけてくれるの待ってたのに
私も毎回声をかけられるわけじゃないので
(やっぱりあの時水面に顔出してたんだ……)
―――えー、そうなの?
そうですよ。あ、でも帰りにはちゃんと声かけて行きますから
―――ホント?約束だよ?
はい、約束です
―――やったー!それじゃあ、コイツ運ぶね
お願いします
ミオがケートスの氷を解除すると、水竜は足でがっしりとつかんでケートスを持ち上げた。
水竜は、背中の翼を羽ばたかせると、あっという間に海の向こうへと飛んで行ってしまった。
しばらくして戻って来た水竜は、ミオにもう一度約束だよと言いながら、ネーオールの森へと戻って行った。
ふぅ~……と息を吐き出すミオ。
何とか事は鎮められた。
事の一部始終を見ていた人々が、一斉に騒ぎ出す。
目立ってしまった……ミオはシャルルの後ろにスーッと隠れた。
シャルルはクスッと笑いながら騎士達に後のことを任せると、ミオの背中に優しく手を当てながらレストランへと戻って行った。
―――――――
―――――
―――
「……あれ、料理がなくなってますよ?」
「そうだな」
テラス席に戻って来ると、テーブルにあったはずの料理がなくなっていた。
もしかして……もう下げられてしまったのだろうか?
もしそうなら、かなり悲しいのですが……
「シャルル様、申し訳ありません。今、料理を作り直しておりますので」
「そうか、すまないな」
「とんでもございません!それから」
店員がミオに顔を向けた。
「ありがとうございました。あのまま大洪水になっていたら、大変なことになっていました」
「い、いえいえ、そんな……私も必死だったので…」
「お礼と言っては何ですが、食後にデザートをお付けいたします」
「え、いいんですか?」
「もちろんです。これくらいしか出来ませんが」
「いえいえ、ありがとうございます!」
「良かったな、ミオ」
料理を作り直してもらった上に、デザートまで付けてもらうなんて……逆に申し訳なく思うミオだった。
こうして美味しい昼食を食べて、ミオは来る時に見つけたシーグラスの店へと向かった。
シーグラスは、見ているだけで何だか癒されるので不思議だ。
店頭には、置物やアクセサリーなど様々なシーグラスが並べられている。
「気に入ったものはあった?」
「うーん……どれも素敵で悩みますね」
シーグラスを手に取って空に翳しながら見ているミオを、シャルルは優しい笑顔を浮かべながら見ていた。
そんな2人を、物陰からジーッと見ている人物が。
シャルルが視線を感じて振り向くと、その人物は慌てて顔を引っ込めた。
怪訝そうな顔をしながら、シャルルはその人物が隠れた場所を見つめている。
「これにします」
ミオの声でシャルルが視線を外し、物陰の人物はフーッと息を吐き出した。
「これくださ……え?」
「これを2つ貰えるか?」
「ありがとうございます!お2つですね!」
「えーと……パトリエール団長?」
「1つはミオの分、もう1つは私の部屋に飾るよ」
シャルルはミオの手からシーグラスを取り上げると、2つ購入して代金を支払った。
ミオが慌ててお金を取り出そうとすると、シャルルが笑いながら制止する。
「これは、私からミオへのプレゼントだ」
「そんな、私いつも貰ってばかりで…」
「私がそうしたいんだから、ミオは気にしなくていいよ」
「……ありがとうございます」
物陰から2人のことを見ている人物は、「ふむふむ」と言いながら、何かをメモに書き込んだ。
こうして、ミオとシャルルは街をブラブラしながらいろんな店を見て回った。
中には怪しげな店もあって、いかにも胡散臭い店主に、高額で物を売りつけられそうになったりもしたけれど、それはそれで面白かった。
もちろんきっちりとお断りしたので買わされてはいない。
あっという間に時間は過ぎていった。
「もう夕方ですね。何だか時間が経つのがとても早いです」
「本当だな。では……そろそろ行こうか。少し馬車に乗るよ」
「はい」
荷物を預けていた馬車まで戻り、馬車に乗って海岸沿いの緩やかな坂道を上がって行く。
夕暮れの海がとても奇麗だった。
今日泊まる宿は、丘の上にあるんだろうか?
―――――――
―――――
―――
え、どういうことですか?
ミオは現在、シャルルと並んでソファーに座っている。
ここは、リビングかなんかですか?
ミオとシャルルを乗せた馬車が到着したのは、とても立派なお屋敷の前だった。
高級リゾートホテル?
立派なドアを開けると、そこはホテルのフロント……ではなく玄関で、使用人達が口々にシャルルに「お帰りなさいませ」と言った。
そもそも、この世界に高級リゾートホテルなんてないだろう。
ミオが現状をよく理解できないでいると、よくわからないままシャルルに手を引かれてソファーに座らせられ、今に至る……といった感じだ。
執事のような人が紅茶をテーブルに並べて出て行った。
「えーと……パトリエール団長、ここは…」
ここは今夜の宿ですか?と聞こうとした時、部屋のドアが勢いよく開けられて、1人の女性が入って来た。
漫画などで貴族が着ているようなドレス姿の女性は、シャルルに勢いよく抱き着いた。
驚いて固まるミオ。
「お帰りなさい、シャルル!まぁ、こんなに大きくなって!」
「(お帰りなさい?)」
「私はもう大きくはなりませんよ、母上。数カ月前にお会いした時のままです」
「(母上?)」
「冗談よ、冗談。それよりもシャルル、こちらの可愛らしいお嬢さんは?」
「……王宮魔導師団の、ミオです。ミオ……この人は、私の母だよ」
……って、ここ宿じゃないですよね!?
まぁ、着いた時からおかしいとは思ってましたけど……まさかのご実家ですか!?
「あ、あの……初めまして、ミオ・サクライと申します。パトリエール団長には、いつもお世話になっております……」
「私はシャルルの母、エミリー・パトリエールよ。まさかシャルルが、こんな可愛らしいお嬢さんを連れて帰って来るなんて!ゆっくりしていって頂戴ね!」
「え、えーと……」
ミオが困惑しながらシャルルを見上げると、シャルルはすまなそうな笑顔を向けた。
「すまない、ミオ。家に帰ると言うと、一緒には来てもらえないと思ってな…」
「そ、それはそうですよ!私……」
「お部屋は一緒でいいのよねぇ?」
「え!?」
「母上、別々でお願いします」
「えー、別々なのぉ?面白くないわねー」
面白くないって……
すると、またドアが勢いよく開けられて、別の人物が入って来た。
「やぁ、シャルル。お帰り。それと、お隣のお嬢さん」
「……え?」
「シャルルなんかやめて、私とお付き合いしませんか?」
何だかまた強烈な人が来てしまった……
「あ、あのぅ……」
「あー、申し遅れてすまない。私はシャルルの兄、シルヴィー・パトリエールだ」
「シルヴィー兄さん、ミオを困らせないで下さい」
「シャルル、悪いが2人のことは調べさせてもらったよ。彼女は素晴らしい女性だ!こんなに謙虚で可愛らしい女性はまずいない。それに、街を大洪水から守ったあの勇敢な姿、私は忘れられないよ!」
「やはり、シルヴィー兄さんでしたか、私達の後をつけてずっと見ていたのは」
「え、ずっと見られてたんですか?私達」
「そうだよ」
シャルルとシルヴィーは、性格は全く違っているけれど、見た目はよく似ていた。
違うところと言えば、シルヴィーの方がクセの強い髪をしていて、メガネをかけているところだろうか。
「あらあら、本当にあなた達は仲がいいわねー。ミオさん、私のおすすめは……やっぱりシャルルかしら」
「……(おすすめって…)」
「酷いな、母上。私のことも勧めてくださいよ」
「ミオ、この2人のことはあまり気にしなくていいよ」
「……はい」
シャルルからは全く想像もできなかった母親と兄だけれど、何だかとても楽しそうな家族だった。
父親はどんな人なんだろう?
そんなことを考えていると、またドアが勢いよく開けられて、2人の人物が飛び込んで来た。
このドア……よく壊れないな。
「シャルル!おー、本当に連れておった!」
「父上、私は嘘などつきませんよ。街中で噂になっていたのですから」
「私の父と、もう1人の兄だ」
「私はシャルルの父、カルロス・パトリエールじゃよ。街を大洪水から守ってくれたそうじゃな、領主として礼を言わせてくれ」
「い、いえいえ、そんな…………え、領主?領主様なんですか?」
「そうじゃ」
ミオが驚いてシャルルを見上げると、困ったように笑っていた。
あー、だから皆がシャルル様と呼んでいたんだ。
母親はブラウンの髪で父親が金髪だから、シャルルの白金色の髪は父親譲りと言うことだろうか。
もう1人の兄は、ブラウンのショートヘアなので、シャルルとは少し雰囲気が違う。
街で会った騎士達は領主の騎士団と言っていたから、騎士の格好をしたもう1人の兄は、その騎士団の上司なのだろう。
「私は次男のジェラール・パトリエールだ。私からも礼を言う」
「えーと……ミオ・サクライです」
「時にミオさん、シャルルとはどのような関係で?」
「ど、どのような……と言いますと…」
「ミオは魔導師団の魔導師だ。私とは同僚だよ、ジェラール兄さん」
シャルルの言葉に、両親と2人の兄はシャルルを見て口を揃えて言った。
「嘘だね」
「嘘だな」
「嘘ね」
「嘘じゃな」
「……本当ですよ」
「そんなわけあるか!シャルルがただの同僚の女子連れて帰ってくるはずがないだろうが!」
「そうだな、シャルルに限ってそれはない」
「もしそれが本当なら、私とお付き合いしてもらえますか、ミオさん!」
「え!?」
「それは断ると言いましたよね?」
「私はミオさんに聞いてるんだが?何でシャルルが断るんだ?」
「ミオさん、シルヴィー兄さんは相手にしなくて大丈夫だ」
「あー?ジェラール、お前は関係ないだろうが。少し黙っていてもらえるかな?」
何だか凄い所に来てしまった……それにしても、シャルルはこの家族の中で、よくこんな静かな人に育ったなと思うミオだった。
―――――――
―――――
―――
「ミオ、入ってもいいか?」
「パトリエール団長?はい、大丈夫ですよ」
夕食後、それぞれの部屋で寛いでいると、シャルルがミオの部屋にやって来た。
並んでベッドに座る。
「騒がしい家族ですまない」
「いえいえ、とても楽しいご家族ですよ。でも、領主様だったのには驚きました。まぁ、私の住んでいた場所は貴族社会ではなかったので、正直よくわかりませんけど……とりあえず、立派な家柄なんだなということはわかりました」
「ミオ……」
「私のような庶民が、こうして傍でお話させてもらっていいのかなとか……」
「そう言うミオは国王の娘だろう?」
「ま、まぁ……そうなんですけど」
「私は……家柄とかは気にせずに、今まで通りでいて欲しいと思う」
「パトリエール団長がそう言ってくれるなら、私も助かります。その……私、マナーとかもよくわからないので…」
「ミオは、そのままでいいよ」
シャルルの手がミオの頭に乗せられて、ミオの心臓の鼓動が速くなった。
顔が熱っていくのがわかる。
ホント、異世界のイケメンって何でこういうことを平気な顔でしちゃうんですか?
そしてその反則的な微笑みは何なんですか?
ちょっと恥ずかしすぎて死にそうなんですが?
「ミオ、顔が赤いようだが……大丈夫か?」
「だ、大丈夫ですよ。気のせいです」
「熱でもあるんじゃないか?」
「な……!?」
シャルルが、ミオの額に自分の額を寄せた。
ミオの心臓は飛び出してしまうんじゃないかという程、激しく音を立てていた。
近すぎなんですよ、近すぎ!
魂抜けていくんでやめてもらえませんか?
「熱はないようだ」
「あ、ありませんよ」
「だが……顔が赤いな」
「そ、それは……パトリエール団長の顔が近いからですよ…」
「そうか……それはすまなかった」
シャルルはミオから顔を離して、ジーッと見つめるとそっぽを向いてクスッと笑った。
え、私の顔そんなに変ですか?
「な、何ですか?」
「いや、すまない。ミオはすぐに赤くなるから可愛いと思ってな」
「え?」
ミオの頭から「ボンッ」という音が聞こえた気がした。
きっと頭から蒸気が上がってるのではないだろうか?
何なんですかこの人。
わざとですか?確信犯ですか?
耳まで真っ赤になったミオを見て、シャルルは笑い続けた。
「パ、パトリエール団長……」
「本当にすまない。だが……ミオが悪いんだぞ」
「えー」
何でですか……
パトリエール家での夜が、更けていった……
.
お読みいただきありがとうございます!




