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憧れの異世界はやっぱりとても大変な世界  作者: 花聖
第一章 異世界生活と黒ローブ
19/132

18 とある日の休日

のんびり更新中♪

「さ、街に出かけて来よう!」


 本日、ミオは休日となっているため、街に出かけることにした。

 カミーユからは1人では行くなと言われているけれど……男子しかいないこの宿舎で、いったい誰を誘えと!?

 学校の友達とか、そんなフレンドリーな関係なら誘いやすいかもしれないけれど、ここにはそんなフレンドリーに誘える男子なんていない。


「あの金髪に気をつければいいのよね」


 よし、と意気込んでミオは部屋を出た。


 街に出かけるのに特に何か用事があるとか、買いたい物があるわけでもない。

 ただブラブラしに行くだけだ。

 今まで1人で街に行った時は、走り回ることが多かったため、ほとんど街の中の道を覚えられていない。

 今日は道と店の場所を覚えてくるぞ、そう意気込むミオだった。


 それと、今日は箒は持っていないため、30~40分ほどかかる道のりをのんびりと歩いて向かう。

 街の入り口に、箒置き場とか作ってもらったら箒に乗って行けるかな?

 そんなことを考えたりしてみた。


「あ、でも箒なんて持って行くの私だけだろうし、置き場なんて作ってもらうのは無理だなぁ…」


 仕方がないので箒は諦めよう。

 こうして街へと到着したミオは、まず雑貨屋に向かうことにした。


「確か……向こうだったわよね」


 正しいのか正しくないのかはわからないけれど、自分の頭の中にある記憶を辿って店へと向かう。

 てゆーか、道ってどうやって覚えたらいいんだ?

 手帳を取り出して、地図を書きながら移動してみたけれど、途中でよくわからなくなったので書くのをやめた。


「うーん……」


 元の世界にいた時は、携帯で地図を表示させて行けば目的地に辿り着けたので、道なんて覚えなくても何とかなったし、よく行く場所なら通っているうちに道を覚えた。

 やっぱり携帯が使えないって不便極まりない。


 ウロウロしているうちに、どの道も見覚えのある道に見えてきて、結局すんなりとは雑貨屋に辿り着くことが出来なさそうだった。

 こうして、噴水広場へと出た。

 さすがにここは覚えている。

 シャルルとジェラートを食べた場所だ。


「ということは……こっちが雑貨屋さんの道……あった!」


 今日は(そんなには)迷わずに到着した。

 噴水広場までの道は……あれは迷ったのではないということにしておく。

 探索だ、探索。


 雑貨屋に入ったミオの姿を屋根の上から見ている人物がいた。

 金髪ショートヘアの男性……ラウルだ。


「あー、いたいた!やっぱりあの店好きなんだぁ。今度何かプレゼントしてみようかなー。さ、今日はどうやって声をかけようか。何だか警戒されてるみたいだったけど……俺、のんびり話したいだけなんだけどなー」


 ラウルは、ミオが出てくるのを待って、ミオが出てくると声をかけるタイミングを見つけるため、気づかれないようにミオの後を追いかけた。






 雑貨屋でウサギ達に癒されて出てくると、本日の目的を達成したかのような達成感に包まれた。

 よし、あとはブラブラしながらいろいろと開拓して行こう。


 こうして見てみると、本当にたくさんの店があった。

 洋服屋も、いつも連れて行ってもらっている店意外にもいろんな店があった。

 でも、やっぱりいつも連れて行ってもらっている店の方が、ミオ好みの服があるようだった。

 本屋もあったので入ってみたけれど、ほんの少し挿絵が入った文字ばかりの本しかなく、漫画やラノベのようなものは見当たらなかった……まぁ、当たり前だけれど。


 誰にも追いかけられないでブラブラするって、楽しいなぁ…


「あ、ドーナツ屋さんだ!」


 シャルルがよく買ってくれるドーナツ屋を発見し、ドーナツを2個買って噴水広場へと戻った。

 ベンチに座って噴水を眺めながらドーナツを頬張る。

 相変わらず美味しいドーナツだ。

 こうしてドーナツを堪能していると、隣から聞き覚えのある声がして肩に腕を回された。


「やぁ、ミオちゃん。美味しそうに食べてるねー」

「!?」


 出た、金髪ショートヘア。

 ミオが立ち上がろうとすると、慌てて肩を抑えるように座らされた。


「そんなに警戒しないでよー。俺、ゆっくり君と話したいだけなんだよ?」

「……わ、私は特に話すことはないです」

「美味しそうなドーナツだね!俺にもひと口ちょーだい」

「……………」


 ミオは少し考えてから、もう1つのドーナツを渡した。


「え!?これくれるの?俺に?嬉しいなぁ、ミオちゃんに貰えるなんて!」

「……腕、どかしてもらえませんか?」

「だってさー、こうでもしとかないとミオちゃん逃げちゃうじゃん」

「……それは……だって怪しいですし、名前も知らないし…」

「え、俺名乗ってなかったっけ?ごめんごめん、俺の名前はラウルだよー」


 本当の名前かもわからず、戸惑うミオ。


「いやいや、本当の名前だからね!てゆーか、何で俺のことそんなに警戒するわけ?」

「ストーカーみたいだから」

「え、何それ?ストー……」

「どうして、私がここにいるってわかったんです?」

「やだなー、たまたま。偶然見かけたんだよー」

「サンブリーの近くでは?」

「あれも偶然だって。ホント、俺も驚いたんだからね?」

「……………」


 かなり疑っているような目を向けられて焦るラウル。


「いやいや、ホントに!俺、ホントにミオちゃんと仲良くなりたいだけなんだよ?まいったな、どうしたら信じてもらえるかなー」

「……………」

「じゃあさ、今日は俺とデートしよ?」

「なぜ!?」

「そうすれば俺のこと信じてもらえるでしょ?」

「……………」


 眉間にめちゃくちゃしわを寄せるミオを見て、更に焦るラウル。


「え……そんなに俺とデートするの嫌?」

「嫌です」

「ちょっとちょっと、さすがに俺も傷つくなそれ……え、何でそんなに俺を警戒するわけ?俺、ミオちゃんに何にもしてないよね?」

「ストーキングしてます」

「いや、だからそれ何…」

「……………」

「ま、まぁ……多少しつこかったのは認めるよ」

「多少?」

「でもさ、どうしてもミオちゃんと話したかったんだよねー。だってほら、可愛いし?好きだなーって思って……」


 ラウルの言葉にミオは耳まで真っ赤になった。

 可愛い?好き?何言ってるのこの人…


「って……ミオちゃん!?どうしたの、真っ赤だよ!?」

「……………」

「あー、ごめんごめん、何だか良くわからないけどごめんってば!」


 ミオは思考回路が正常に回らなくなって、もうどうしたらいいのかわからなくなってしまった。

 目の前が何だかクラクラしてくる。

 そんなミオの視線の先に、パトリックの姿が見えてミオが立ち上がった。


「あ、あの!私、本当に魔法陣の書とか伝説の魔導師とかわかりませんから!」

「え、何の話?あ……いやいやいや、俺、別にミオちゃんのこと疑ったりしてないからね?あ、そういうこと?……って、ミオちゃん!?」


 ミオは全力で走って行き、パトリックの服の裾を掴んだ。

 突然の出来事に驚くパトリック。


「え、ミオちゃん?」

「……その……助けてください」

「は?」


 ミオはやってしまったと思った。

 わけがわからなくなって、余計なことを口走ってしまった……魔法陣の書とか、伝説の魔導師とか、ここで口にすることではなかった。


 ラウルは、ミオが駆け寄った相手がこないだの男だとわかると、目が合う前にその場から姿を消した。

 そして……


「なるほど。俺、ミオちゃんに何か勘違いされてるんだなー。よし、次はもっと仲良くなれるよう考えよう」


 ラウルはとても前向きな人物だった。






 ―――――――

 ―――――

 ―――






「あーのーなー、だから1人では行くなって言ってるだろうが!」

「……ごめんなさい」

「まぁまぁ、ミオちゃんだって悪気はないんだし、そんなに怒るなよカミーユ」


 あの後、結局またパトリックに送ってもらったミオ。

 当分の間、街に1人で行くのは控えよう……深く反省したのでした。



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お読みいただきありがとうございます!

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