18 とある日の休日
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「さ、街に出かけて来よう!」
本日、ミオは休日となっているため、街に出かけることにした。
カミーユからは1人では行くなと言われているけれど……男子しかいないこの宿舎で、いったい誰を誘えと!?
学校の友達とか、そんなフレンドリーな関係なら誘いやすいかもしれないけれど、ここにはそんなフレンドリーに誘える男子なんていない。
「あの金髪に気をつければいいのよね」
よし、と意気込んでミオは部屋を出た。
街に出かけるのに特に何か用事があるとか、買いたい物があるわけでもない。
ただブラブラしに行くだけだ。
今まで1人で街に行った時は、走り回ることが多かったため、ほとんど街の中の道を覚えられていない。
今日は道と店の場所を覚えてくるぞ、そう意気込むミオだった。
それと、今日は箒は持っていないため、30~40分ほどかかる道のりをのんびりと歩いて向かう。
街の入り口に、箒置き場とか作ってもらったら箒に乗って行けるかな?
そんなことを考えたりしてみた。
「あ、でも箒なんて持って行くの私だけだろうし、置き場なんて作ってもらうのは無理だなぁ…」
仕方がないので箒は諦めよう。
こうして街へと到着したミオは、まず雑貨屋に向かうことにした。
「確か……向こうだったわよね」
正しいのか正しくないのかはわからないけれど、自分の頭の中にある記憶を辿って店へと向かう。
てゆーか、道ってどうやって覚えたらいいんだ?
手帳を取り出して、地図を書きながら移動してみたけれど、途中でよくわからなくなったので書くのをやめた。
「うーん……」
元の世界にいた時は、携帯で地図を表示させて行けば目的地に辿り着けたので、道なんて覚えなくても何とかなったし、よく行く場所なら通っているうちに道を覚えた。
やっぱり携帯が使えないって不便極まりない。
ウロウロしているうちに、どの道も見覚えのある道に見えてきて、結局すんなりとは雑貨屋に辿り着くことが出来なさそうだった。
こうして、噴水広場へと出た。
さすがにここは覚えている。
シャルルとジェラートを食べた場所だ。
「ということは……こっちが雑貨屋さんの道……あった!」
今日は(そんなには)迷わずに到着した。
噴水広場までの道は……あれは迷ったのではないということにしておく。
探索だ、探索。
雑貨屋に入ったミオの姿を屋根の上から見ている人物がいた。
金髪ショートヘアの男性……ラウルだ。
「あー、いたいた!やっぱりあの店好きなんだぁ。今度何かプレゼントしてみようかなー。さ、今日はどうやって声をかけようか。何だか警戒されてるみたいだったけど……俺、のんびり話したいだけなんだけどなー」
ラウルは、ミオが出てくるのを待って、ミオが出てくると声をかけるタイミングを見つけるため、気づかれないようにミオの後を追いかけた。
雑貨屋でウサギ達に癒されて出てくると、本日の目的を達成したかのような達成感に包まれた。
よし、あとはブラブラしながらいろいろと開拓して行こう。
こうして見てみると、本当にたくさんの店があった。
洋服屋も、いつも連れて行ってもらっている店意外にもいろんな店があった。
でも、やっぱりいつも連れて行ってもらっている店の方が、ミオ好みの服があるようだった。
本屋もあったので入ってみたけれど、ほんの少し挿絵が入った文字ばかりの本しかなく、漫画やラノベのようなものは見当たらなかった……まぁ、当たり前だけれど。
誰にも追いかけられないでブラブラするって、楽しいなぁ…
「あ、ドーナツ屋さんだ!」
シャルルがよく買ってくれるドーナツ屋を発見し、ドーナツを2個買って噴水広場へと戻った。
ベンチに座って噴水を眺めながらドーナツを頬張る。
相変わらず美味しいドーナツだ。
こうしてドーナツを堪能していると、隣から聞き覚えのある声がして肩に腕を回された。
「やぁ、ミオちゃん。美味しそうに食べてるねー」
「!?」
出た、金髪ショートヘア。
ミオが立ち上がろうとすると、慌てて肩を抑えるように座らされた。
「そんなに警戒しないでよー。俺、ゆっくり君と話したいだけなんだよ?」
「……わ、私は特に話すことはないです」
「美味しそうなドーナツだね!俺にもひと口ちょーだい」
「……………」
ミオは少し考えてから、もう1つのドーナツを渡した。
「え!?これくれるの?俺に?嬉しいなぁ、ミオちゃんに貰えるなんて!」
「……腕、どかしてもらえませんか?」
「だってさー、こうでもしとかないとミオちゃん逃げちゃうじゃん」
「……それは……だって怪しいですし、名前も知らないし…」
「え、俺名乗ってなかったっけ?ごめんごめん、俺の名前はラウルだよー」
本当の名前かもわからず、戸惑うミオ。
「いやいや、本当の名前だからね!てゆーか、何で俺のことそんなに警戒するわけ?」
「ストーカーみたいだから」
「え、何それ?ストー……」
「どうして、私がここにいるってわかったんです?」
「やだなー、たまたま。偶然見かけたんだよー」
「サンブリーの近くでは?」
「あれも偶然だって。ホント、俺も驚いたんだからね?」
「……………」
かなり疑っているような目を向けられて焦るラウル。
「いやいや、ホントに!俺、ホントにミオちゃんと仲良くなりたいだけなんだよ?まいったな、どうしたら信じてもらえるかなー」
「……………」
「じゃあさ、今日は俺とデートしよ?」
「なぜ!?」
「そうすれば俺のこと信じてもらえるでしょ?」
「……………」
眉間にめちゃくちゃしわを寄せるミオを見て、更に焦るラウル。
「え……そんなに俺とデートするの嫌?」
「嫌です」
「ちょっとちょっと、さすがに俺も傷つくなそれ……え、何でそんなに俺を警戒するわけ?俺、ミオちゃんに何にもしてないよね?」
「ストーキングしてます」
「いや、だからそれ何…」
「……………」
「ま、まぁ……多少しつこかったのは認めるよ」
「多少?」
「でもさ、どうしてもミオちゃんと話したかったんだよねー。だってほら、可愛いし?好きだなーって思って……」
ラウルの言葉にミオは耳まで真っ赤になった。
可愛い?好き?何言ってるのこの人…
「って……ミオちゃん!?どうしたの、真っ赤だよ!?」
「……………」
「あー、ごめんごめん、何だか良くわからないけどごめんってば!」
ミオは思考回路が正常に回らなくなって、もうどうしたらいいのかわからなくなってしまった。
目の前が何だかクラクラしてくる。
そんなミオの視線の先に、パトリックの姿が見えてミオが立ち上がった。
「あ、あの!私、本当に魔法陣の書とか伝説の魔導師とかわかりませんから!」
「え、何の話?あ……いやいやいや、俺、別にミオちゃんのこと疑ったりしてないからね?あ、そういうこと?……って、ミオちゃん!?」
ミオは全力で走って行き、パトリックの服の裾を掴んだ。
突然の出来事に驚くパトリック。
「え、ミオちゃん?」
「……その……助けてください」
「は?」
ミオはやってしまったと思った。
わけがわからなくなって、余計なことを口走ってしまった……魔法陣の書とか、伝説の魔導師とか、ここで口にすることではなかった。
ラウルは、ミオが駆け寄った相手がこないだの男だとわかると、目が合う前にその場から姿を消した。
そして……
「なるほど。俺、ミオちゃんに何か勘違いされてるんだなー。よし、次はもっと仲良くなれるよう考えよう」
ラウルはとても前向きな人物だった。
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―――
「あーのーなー、だから1人では行くなって言ってるだろうが!」
「……ごめんなさい」
「まぁまぁ、ミオちゃんだって悪気はないんだし、そんなに怒るなよカミーユ」
あの後、結局またパトリックに送ってもらったミオ。
当分の間、街に1人で行くのは控えよう……深く反省したのでした。
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