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憧れの異世界はやっぱりとても大変な世界  作者: 花聖
第一章 異世界生活と黒ローブ
17/132

16 危険な再会と灼熱の町

のんびり更新中♪

 フェルドーからサンブリーに向かって移動する馬車。

 そんな馬車の窓から見える風景が少しずつ変わっていく。

 フェルドーで多く見かけた針葉樹の数が減り、地面の色も赤っぽい色に変わっていた。

 大きなサボテンのようなものが生えていて、あちらこちらに切り立った岩山が見えてきて、ウエスタン映画を思い起こさせるような風景だ。

 ウエスタン映画なんて見たことはないけれど。


 気温もだいぶ上がってきたようで、フェルドーで着ていた服では暑いため、途中で着替えることにした。

 たった数時間で冬から夏へと季節が変わったようだった。


「同じ王国内なのに、気候は全然違うんですね」

「そうだな」


 馬車の中も汗ばむ暑さとなった。

 さすがに少し辛い……ミオはアイスブロックを使えば冷やせるのでは?と考えて、少し馬車を止めてもらって外で試しに使ってみた。

 馬車の中で訓練場に作った大きさのものが出現されたら大変なことになる…


「うーん……これくらいで……お、出来た!」


 丁度良さそうな大きさに調性出来たので、それを馬車の中に運んだ。

 馬車を操作している騎士の隣にも、アイスブロックを設置する。


「おぉー、これは涼しくなっていいな!」

「本当だな。ありがとう、ミオ」

「いえいえ、お役に立てて何よりです」


 訓練場に作ったアイスブロックは融けていなかったし、たぶん大丈夫だとは思うけれど……まぁ、融けてしまったらその時考えよう。

 とりあえず、馬車がビショビショにならないことを祈ることにする。


 こうして暑さをしのぎ、途中の町で宿泊しながら、馬車は順調にサンブリーへと向かっていた。






 ―――――――

 ―――――

 ―――






「もうじき、サンブリーに到着するが……ミオ、大丈夫か?」

「はい、大丈夫ですよ」


 ミオは只今箒で移動中。

 馬車の揺れが限界で、箒での移動に変えたのだ。

 てゆーか、最初から箒に乗ればよかったのでは?と今更ながら思う。

 失敗から学ぶ、大切なことです!


 ミオは、荒野が広がる景色を眺めながら、馬車の上を飛んでいた。

 ここの景色は少し退屈だ。

 あくびをしている時に何かを感じて馬車を止める。


「パトリエール団長」

「どうした?」

「魔物の気配がします」

「何!?」


 ミオは地面に降りると箒を立てて目を閉じた。

 意識を集中させていくと……馬車の周囲に魔物が押し寄せて来ているのがわかった。

 シャルルと騎士達が、剣を手にしてミオの隣で構えた。


「たぶん……囲まれてます」

「この人数で倒せるか?」

「ちょっとわからないですけど……もう少し引きつけたら凍らせます」

「わかった」


 スノーフロストで凍らせられる距離まで魔物が近づいてくるのを待ってから、ミオが魔法を発動させた。

 周囲に霧状の雪が舞い、魔物達が凍っていく。


「パトリエール団長達は凍った魔物をお願いします。私はどこから魔物が出現しているのか探してみるので」

「気をつけるんだぞ」

「はい」


 ミオは箒で上空へと上がって行った。

 一体どこからこの魔物達が……ミオが上空から探してみたけれど、今は新たな魔物が出現していないらしく、出所を見つけることが出来ない。

 その時、地面で何かが光る場所を見つけて、急いで箒を急降下させた。


「魔法陣?」


 地面で光ったのは魔法陣のようだった。

 魔法陣が光るたびに魔物が出現していた。


「フロージングランス!」


 ミオは出現した魔物に向かってフロージングランスを放ち、魔法陣の前に立つ。


「開かれし古の扉を封印せし。ティアドロップ」


 以前この魔法を使た時と同様に、ネックレスの石が眩く光り、その光が両手のひらに集まって大きな雫となって魔法陣を覆った。

 この魔法と石はセットなのかもしれない。

 魔法陣を消去し、ミオは魔物の気配を探った。

 魔物はまだ完全には討伐できておらず、どこかから湧いて出ているようだ。

 でも、他に魔法陣は見当たらない……どこかわかりにくい場所に描かれているのだろうか?

 もう一度上空に上がってみたけれど、この場所は開けていて魔法陣を隠せそうな場所はない。


 どういうことだ?


 ミオはシャルル達の所に降り立って、もう一度魔物の気配を探った。

 意識を集中させたけれど……魔物が出現している場所ははっきりとはわからなかった。


「うーん……」

「どうかしたのか?」

「魔物の出現場所が移動しているというか何というか……よくわからないんですよね…」

「どういうことだ?」

「ちょっと向こう側見てきます」

「わかった。無理はしないように」

「はい」


 ミオは、フロージングランスで魔物を倒しながら、移動する何かに向かって飛んだ。

 倒しきれなかった魔物は、シャルル達に任せることにする。


「……ん?誰かいる?」


 人影を見つけてミオは箒を下降させた。







「こんな所で何してるんですか?」

「ん?あれー?君もしかして……ミオちゃんだっけ?」

「え?……あ!あの時の…」


 ミオが見つけた人影は、以前に王都モンフォワールの街で会った、金髪ショートヘアの男性だった。

 しつこくミオに付きまとい、魔法陣の書や伝説の魔導師についてミオから探ろうとした人物。


「どうして……私の名前を?」

「えー?だってあの時、君が待ち合わせしてた彼が名前を呼んでたじゃん」

「……あ」


 そういえば、パトリックに名前を呼ばれていたなと思い出す。


「それにしても驚いたなぁ。またこうして君に会えるなんて……これって運命的な出会い!」

「ち、違いますよ!」

「それにしても君、本当に見習いの魔導師なの?随分と箒を使いこなしてるみたいだったけど」

「これは……死ぬほど練習したので。それに、私はまだ魔法を覚えて1カ月ちょっとなので、見習いです」

「ふぅん、そっかー。それで何で君がこんな所に?」

「たまたま通っていたら、魔物が現れて……」


 ミオはハッとした。

 また……探られてる?


「そうなんだよ!俺も魔物から逃げててさー」

「……あなたが魔物を出現させていたんじゃ」

「魔物を?どうやって?」

「それは……」

「魔物なんて出せるわけないじゃん!それよりも俺は……」

「……え?」


 一瞬で男性がミオの目の前に移動して来て、ミオの頬に手を添えた。

 まったく身動きが出来ないミオ。


「君のことがもっと知りたいなー」

「何を……っ!?」


 金髪ショートヘアの男性はミオの額に唇を寄せると、人懐こい笑顔を見せながら「またね」と手を振って去って行った。

 ミオが動けないでいると、後ろの方からシャルルの声が聞こえてきて、ハッと我に返る。


「ミオ!」

「……パトリエール団長」

「大丈夫か?何があった?」

「えーと……魔法陣を1つ消したのと、移動している魔物の出現場所で……以前王都で魔法陣の書や伝説の魔導師について探っていた人と会いました」

「何だと!?何もされていないか?」

「大丈夫です」

「その人物が魔物を出現させていたのか?」

「それは……わかりませんでした」

「……魔物はもう出てこなさそうだから、まずは馬車に戻ろう」

「はい」


 今は近くにその人物がいるかもしれないということで、ミオは馬車に乗ってサンブリーへと向かうことになった。


 そんなミオ達が乗る馬車を見ている人物がいた。


「ミオちゃんかぁ……やっぱ可愛いなぁ。でも、魔法陣消されちゃうのは困るんだよねー。どうしよっかなー」


 人懐こそうな笑みを浮かべながら、その人物はサンブリーへと向かって歩き出した。






 ―――――――

 ―――――

 ―――






「……暑いですね」

「ここは、タルブ火山の麓の町だからね」


 サンブリーの町。

 暑いのはわりと大丈夫なミオだったけれど、想定外の暑さにぐったりとしてしまう。

 ミオ的には南国のイメージだったサンブリーの町。

 でも実際には、灼熱の町だった。


 まぁ、ここは王国の西側に位置しているし火山の麓なのだから、よく考えてみれば南国とは程遠いのだが。


 馬車が宿舎に到着すると、ミオはアイスブロックを消去して馬車を降りた。

 宿舎の前では筋骨隆々な人達が、鍛錬をしているところだった。


「よぉ、パトリック。相変わらず細いなぁお前は」

「そうか?」

「お前ら、荷物運んでやれ!」


 第三騎士団の団長なのだろうか?スキンヘッドの男性が声をかけると、数人の騎士達がやって来て荷物を全部運んでくれた。

 そして、何故かミオまでも……


「え?いや、あの!私は荷物ではないので!」

「レディは運んでやるものだろ」

「は?」


 肩に乗せられて連れて行かれるミオ。

 ちょっと恥ずかしいので降ろして欲しいと思うミオだったけれど、抗うことが出来ず宿舎の中へと運ばれた。

 それにしても……ここの騎士達は全員が筋骨隆々な体型のようで、スキンヘッドも多かった。

 本当に騎士団ごとに雰囲気が全く違っている。


 ミオ達は部屋に荷物を運んでもらい、1階のリビング兼ダイニングで話をすることになった。

 ここでも、夕食で酒が入ると話し合いができる状況ではなくなるとのことから、夕食前に話し合いを行うらしい。


 全員が集まったところで、シャルルは第二騎士団で話したことと同じ内容を伝えた。

 それから、サンブリーに来る途中で魔物の集団に遭遇したことや、そこでミオが会った人物についても付け加えられた。


「王国で何か起こそうとしてんのか?そいつらは」

「詳しいことはまだ何もわからないが、何かを企む組織があることは確かだ」

「だからカエデ様の娘が来たってか?それにしても……随分と小さいな。子供か?」

「大人です。23歳です。てゆーか、そんなに小さくはないかと…」


 身長153cmって、そんなに小さいですか?

 第三騎士団が巨人なんじゃないですか?

 確かに子供の頃は小さかったとは思うけれど、今は割と普通の身長なのではないかと思っているのですが?


「俺達は、魔物や人間が相手なら大抵どうにかなるが、魔法はどうすることも出来ないからな。一刻でも早く魔導師を寄越してもらいたいものだ」

「その件については師団長とも話を進めているからもう少し待ってくれ」


 ここでもやっぱり魔導師不足が問題となってしまうようだった。


 とりあえず話し合いは終了となり、夕食を食べることにする。

 テーブルの上に並べられていく料理は、肉料理がメインのようだった。


「……唐辛子?」


 見覚えのある食材に、ミオは嫌な予感がした。

 もしかしてここの料理は……出された肉を恐る恐る一口だけ食べてみる。


「辛っ!!」


 一口だけで汗が噴き出してきた。

 周りを見てみると、皆大汗をかきながら食べている。

 この暑さだし、辛さを求めるのもわかる気はするけれど……辛いものばかり食べるのは体に悪いですよ!


 シャルルもこんな辛い料理を食べているのかとミオが視線を向けてみると、とても迷惑そうな顔で第三騎士団団長のレオポルド・クレールに抗議していた。

 ここに到着した時に騎士に荷物運びを指示していたスキンヘッドの男性が、この騎士団の団長だ。


「私の料理は普通のものでといつも言っているだろう」

「たまには食べてみろよ」

「断る」

「あ、あのう……私も普通のものをお願いしたいです」

「まったく、王都の連中は辛いもんも食べれんとはなぁ」

「いやいや、こんな辛いものばっか食べてたら体に悪いですよ……」


 それにしても暑い!

 大男達が大汗かきながら食べているこの空間は本当に暑い!

 ミオは立ち上がると、部屋の中の空いている空間に、アイスブロックを2つ設置した。

 これで少しは涼しくなるだろう。






 ―――――――

 ―――――

 ―――






「……お風呂でサッパリしたのにな」


 ここは灼熱の町、サンブリー。

 湯上りの熱った体を冷ますには少し困難な環境だった。

 ミオは急いで部屋に戻ると、アイスブロックで体にこもった熱を冷ました。


 せめて扇風機があればな……そんなことを考えていると、部屋のドアがノックされた。


「ミオ様~、俺たちの部屋に氷の壁出してくれないかな?」

「あ、いいですよ」


 すぐに騎士達の部屋にアイスブロックを設置した。

 ここの騎士団、よくこの暑さで眠れてるな……そう思いながら、ミオはシャルルの部屋にもアイスブロックを設置する。


「助かるよ、ミオ」

「いえいえ、この暑さじゃあ夜も寝れませんし。それにしても、第三騎士団の皆さんはへーきなんですか?」

「体調が悪そうな者もいないようだし、彼らは大丈夫だよ」

「凄いですね」

「ところで、明日のことなのだが」

「明日ですか?」

「タルブ火山は危険だから立ち入ることは出来ない。もし騎士団に同行するとなれば、荒野の調査や見回りが中心になると思う」

「そうなんですね」

「もし明日ここを出発しても良ければ、王都に戻ろうと思うのだが…」

「私は大丈夫ですよ」

「そうか。ならば明日ここを出発することにしよう」


 さすがのシャルルも、ここでの滞在は体にこたえるのだろう。

 その後少しシャルルの部屋で話をしてから、ミオは自分の部屋へと戻って眠りについた。


 そして翌朝


「このアイスブロックどうしますか?必要ないなら消去していきますけど」

「それは涼しくてとても助かっているから、そのままにしておいてくれ!」

「はい、わかりました」


 やっぱりここの騎士達も暑いのは暑いんだなと思った。

 こうして、荷物を積み終えたミオ達は、第三騎士団の宿舎を出発した。


「第三騎士団って凄いですね。あの暑さはさすがにちょっと辛いです」

「私もあそこは少しきつくてね」

「俺もですよ。第一に食べ物が辛すぎる!」

「お腹壊しそうでしたもんね、あの辛さは……」


 思い出しただけで口の中が辛くなりそうだ。


「だが、あの過酷な環境での働きは評価してやらないとな」

「ホントですね」


 王都に戻ったら、まずは早急に魔導師問題を何とかしないといけない。

 できるだけ早く、それぞれの騎士団の元に魔導師を配置したい。

 それに、魔法陣を消す魔法についても調べないとだ。

 さすがにミオ1人で対処していくのは難しい。


 サンブリーを出発して1時間ほど進んだところで、ミオ達は休憩を取ることにした。

 まだ1時間しか進んではいないけれど、幾分か暑さが和らいだような気がする。

 火を起こして飲み物を作り、ミオのアイスブロックを砕いて入れると、冷たくて美味しい飲み物になった。

 アイスブロック、なかなか使える魔法だ。


 その頃、サンブリーでは―――


「暑っつー!だから嫌だったんだよねここ来るの!何で俺なわけ?ロドリエルが来ればいいじゃんかー!」


 ブーブー文句を言いながら歩く1人の男性。

 金髪ショートヘアの男性に人懐こそうな笑みはなかった。

 とにかく暑いのが苦手らしい。


「絶対にこんな所に魔導師なんかいないしさー、魔法陣の書なんかないと思うんだよねー。あ、ねーねー、そこの女子ぃ。ちょっと聞きたいんだけどさ、この町に魔法陣の書ってある?」

「え?ちょっと私には……」

「だよねー。あ、そこの女子ぃー、ちょっと聞きたいんだけどさー……」

「私、魔導師じゃないし…」

「うん、知ってる。もういいよ、行って」


 金髪ショートヘアの男性は……暑さでイライラしているのか、だんだん投げやりになり、そのうちに魔法陣の書を探すことを諦めてしまったようだった。


「あー暑い!もう帰ろ!……その前に、もう一度ミオちゃんに会って行こうかなー」


 そう言うと、金髪ショートヘアの男性は、第三騎士団の宿舎の場所を聞き出して、その場所へと向かって行った。

 そこでミオがもうこの町にいないことを知ると……


「くっそー!一旦戻ってロドリエルに文句言ってスッキリしてからもう一度王都に行こう」


 かなり憤慨しながらサンブリーの町から出て行った。


 彼の名前はラウル。

 ロドリエルというのは、ラウルがいつも薄暗い部屋で話をしている男性の名前だ。

 薄暗い部屋で話している時は、2人は黒いローブをまとっている。

 そう、彼らは黒ローブの組織の一員だ。


 黒ローブの目的も、彼らが探している魔法陣の書の内容も、すべて謎に包まれている。



 .

ありきたりな物語ですが、読んでいただき感謝です!

本当にありがとうございます。

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