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憧れの異世界はやっぱりとても大変な世界  作者: 花聖
最終章 魔王と異世界生活
109/132

98 魔王対策と王国の防衛

のんびり更新中♪

「5人で結界張るの?」

「そうだよ」


 ミオはラウル達と一緒に、結界で隔てられた上級の魔物達の生息地へと来ている。

 今日はここに、魔王の魔力干渉を受けないようにする結界を張ってもらうのだ。

 ラウルの他に、コルトとディナール、あと2人の魔導師が来て、地図を見ながらそれぞれの配置場所へと向かっている。

 いつもカミーユがやっている結界の点検も、こんなふうに複数で結界を張れたら1日で終わるのでは?

 なんて思ったけれど、そもそも結界を張れる魔導師がそんなにいなかった。


「この結界魔法も張り直しておこうか?定期的に点検するの大変でしょ?」

「え、点検しなくても良くなるの?」

「3年くらいで張り替えかな」

「是非、お願いするよ!」

「りょうか~い」


 3年後にどうするかは、後でカミーユも含めて相談しよう。

 ラウルがコルト達に指示を出し、全員が配置に着いたら今張られている結界を新しいものにして、その上から魔力干渉を防ぐ結界を張ることになった。

 さすがだな、ルシヨット魔導国。


「ありがとう、ラウルさん。他の皆さんも」

「これくらい、どうってことないよー」

「さ、戻ったらショウの魔法指導だな」

「すみません、何だか上から目線な人で……悪い人ではないんでしょうけど」

「あはは、大丈夫だよミオちゃん。それより、召喚魔法は無理かなって思うんだけど、なかなか納得しなくてさ」

「そうなんですね。まぁ、いつかムリだって自覚すれば諦めますかね?」

「そんなの放っとけばいいよ。出来ないものは出来ないんだし」

「まぁ、そのつもりですけど……使える魔法についてはちゃんと教えるから心配しないで」

「よろしくお願いします」


 結界を張り終えて、王宮へと向かって移動するミオ達。

 王宮につくのは午後になってしまうので、近くの町で昼食を食べて戻ることにした。

 ラウルに案内されて店に向かったのだけれど……あれ、何で他の国のラウルに案内されているんだ?


「ラウルさんって、私よりこの王国のことに詳しいよね?」

「なんでミオちゃんが知らないのかが謎だけどね」

「あはは……」


 こうして昼食を食べて町を出たところで、ミオは何かを思いついてラウル達を引き止めた。


「ねぇ、これ見て。凄いんだよ!」

「ん?」


 ミオは箒を地面に突き立てると、魔法陣を思い描いて地面に浮かび上がらせた。

 それは召喚魔法の魔法陣。

 ミオが召喚したのは、2体のロック鳥だった。


「え、何で今ロック鳥!?」

「これね、乗れるんだよ」

「「マジで!?」」


 3人ずつロック鳥に乗って、王宮に向かって移動する。

 大勢で遠出する際には重宝しそうだ。


「けっこう乗り心地いいでしょ?」

「そ、そうだね……てか、ミオちゃん」

「ん?」

「どうやって手懐けたのコレ」

「なんかさ、魔物ってヒールで癒すことが出来るみたいなんだよ。すると懐く」

「そんなわけないじゃん!」

「えー、だって本当だよ?私、そうしてるもん」

「たぶんそれ、ミオちゃんだけだからね!」


 こうして王宮の門の前でロック鳥を地面に降ろすと、門番の騎士達が声も出ないくらい驚いていた。

 まぁ、こんな大きな鳥が降りて来たら、誰でもそうなるか……てゆーか、魔物だし。


 結界のことをカミーユに報告すると、定期的な点検が不必要となったことをとても喜んでいた。

 3年ごとの張り替えは、現在結界魔法が使える魔導師が3人なので、あと2人にこの結界魔法を覚えてもらって対応することに決まった。

 その2人にはミオも含まれるわけだけれど……


「え、通り抜けちゃう私でも結界って張れるんです?」

「結界を張るくらいは出来るだろ……どうなんだ?ラウル」

「たぶん大丈夫」

「たぶんってお前なぁ……」

「だってさぁ、結界をすり抜けちゃう人なんて、ミオちゃん以外に見たことないし……わかんないよいくら俺でも」

「それもそうか」

「なんか……ごめんね、ラウルさん」






 ―――――――

 ―――――

 ―――






 ペリグレット国王の執務室に、国王、ミオ、シャルル、カミーユ、ラウルの5人が集まって、今後についての話し合いをしていた。


「ここってさ、フェルドーとサンブリー以外に魔導師派遣してる場所ないよね?」

「ないな。そんなに派遣できる魔導師がいない」

「だよねー」

「でもね、ラウルさん」

「なぁに?」

「領主様達の所とも、連絡は取れるようにしておいた方がいいと思うんだよ」

「そりゃぁ、そうだね。領主のとこって騎士団はいるの?」

「王国騎士団ではなく、各領主の騎士団が領土の警備に当たっている」

「この王国の魔物達は、比較的大人しい魔物ばかりだから、魔導師がいなくても今まで何とかなって来たんだろうね」

「ラウルの言う通りだ。領主の所で魔物が出ても、今までは討伐の必要はなかったからな」

「だが、今は王国騎士団が定期的に領主の所も回っているよ。上級が現れるようになったからな。ただ、まだそこまで強い魔物は現れていないようだ」


 本当に、よく今まで滅びなかったなこの王国。

 4体の竜の存在が大きいんだろうけれど。


「フェルドーとサンブリーだって、魔導師1人ずつって少なすぎだけどね」

「それしかいないんだ、仕方がないだろうが」

「とりあえず、俺が連れて来た魔導師を振り分けて配属するってことでいい?」

「でも、いいの?知らない国なのに……」

「何言ってるのミオちゃん!そのために連れて来たんだからね!」


 モンルトワ大雪原とタルブ火山には、どれくらいの魔物が生息しているのかがわからないため、フェルドー、サンブリー、レヴィナス領、ロイヤー領には各15人になるように魔導師を派遣する。

 他は10人ずつになるように派遣し、王都にはラウル達も含めて少し多めの魔導師が残ることになり、各地の状況を見て臨機応変に動いてもらう。


「それから、魔王の封印が解かれた場合だけどね」

「何だ?」

「閉ざされた町に向かうのはミオちゃんだけなの?」

「んなわけあるか!」

「でも、師団長」

「何だ」

「たぶん、魔王の封印が解かれた時って、凶暴化した魔物達と戦うのでいっぱいいっぱいだと思うんですよね。私1人で行くことになると思いますよ?」

「だとしてもだ!1人で行かせられるわけがないだろうが」

「私も、カミーユと同じ意見だよ」

「うーん……でも、王国を守って欲しいです」


 おそらく、ミオが抜けることでペリグレット王国の戦力はかなり落ちてしまうと考えられる。

 閉ざされた町に行くということは、魔王に近づくということで、王国よりも強敵と戦うことになるだろう。

 魔王とも戦うかもしれないし。

 それに……まだ確定ではないけれど、ミオ的には黒ローブも絡んでいると思っているので、黒ローブとの戦いも避けられないと思われる。

 そうなると、戦力の弱い者を連れて行っても意味がないので、シャルルやカミーユ、ラウル、コルト、ディナール、アルバンなどの主要メンバーを連れて行くことになる。

 それではこの王国は終わりだ。

 しかも、竜も4体で行くなんて言っているし。


「私は、ヴィクシスさんだけ連れて行こうと思ってます。それに、氷竜は4体で向かうって言ってますけど、2体か3体は残すよう相談しに行こうかと思ってます。大丈夫ですよ、私、必ず魔王を封印して戻って来ますから。案外頑丈に出来てるんですよ?私」

「ミオ!?」

「何言ってんだお前は!」

「俺は、ミオちゃんの意見を推すけどねー。まぁ、頑丈ってとこは疑問だし、やっぱ1人で行かせるのは心配だから、一緒に行くなら俺だと思ってるけど」

「ラウルさん!?」

「「ラウル!?」」


 なかなか話がまとまらない。

 ミオが閉ざされた町に行くことは決定事項だ。

 魔王を封印できるのはミオしかいないのだから。

 ただ、シャルルとカミーユが、自分達が同行しないということに納得できないでいる。

 そんな中、ミオの父親である国王が口を開いた。


「私は……ミオとラウルの意見に賛成だ」

「「陛下!?」」

「ミオが魔王を封印して戻って来ても、王国が滅んでしまっていたらミオはどうなる?王国を守るためには主要戦力を欠くわけにはいかん。私だってミオのことは心配だ。だが、王国は守らねばならん。ミオのことはラウルに任せるとして、シャルルとカミーユは王国を守ってくれ」

「お父さん……」

「え……王様……!?」

「私だって、ミオを1人で行かせるなど……だが王国を滅ぼすわけにはいかんのだ。ミオのことはとても心配だが……心配だが……」

「……あー」


 国王らしく語っているのはいいのだけれど、滝のような涙を流しながらでは国王としての威厳も何もあったものではない。

 久々の大号泣だな、これ……話し合いは国王が泣き止むまで一時中断となった。






 ―――――――

 ―――――

 ―――






「凄い泣いてたね、国王様」

「まぁ、よく泣くんだけどさ……あそこまでの号泣はさすがになかったな」

「そりゃあそうだろうさ。お前大好きだからな、陛下は」

「あはは……」


 結局のところ、閉ざされた町に向かうのはミオとヴィクシス、それとラウルに決まった。

 シャルルには悪いけれど、魔王に関しては魔法が使えないと戦力としては弱すぎる。

 だから、王国を守ることに専念してもらいたいと思う。


「でも、本当にラウルさんに来てもらってもいいの?」

「いいに決まってるじゃん!」

「だって……王様だよ?王様を戦いの最前線みたいな場所に連れて行くってのは……」

「それを言うなら、ミオちゃんだって王女様だからね!」

「いやいや、私は魔導師として行くんだよ?」

「だったら、俺だって魔導師として行くんだからね!」

「お前ら……揃って馬鹿だな」

「何でですか!?」

「何でだよ!」


 魔王の封印が本当に解かれてしまうのかはわからない。

 でも、とりあえずの方針は決定した。

 明日からの魔導師の派遣に向けて、今から魔導師団の執務室で調整を行う。


「ミオ」

「はい?」


 シャルルがミオの手をつかんで足を止めた。

 カミーユはラウルを連れて「先に行ってるぞ」と執務室へと歩いて行った。

 とても真剣な表情で、どこか辛そうな目をしながらミオを見つめるシャルル。


「えーと……シャルルさん?」

「やはり、一緒に行けないということには納得がいかないが……王国を滅ぼされてしまうわけにはいかない。私は王国を必ず守るよ」

「……信じてますよ」

「ミオは、必ず戻って来ると約束してくれ」

「はい、約束します」


 シャルルは、ミオの頬に手を当てると顔を近づけて……額に唇を押し当てた。

 く、唇に来るのかと思ったよ!マジで心臓が飛び出るかと思ったよ!


「シ、シャルルさん……?」

「……ふふ、真っ赤だな」

「わ、私の心臓がどっか行っちゃいそうですよ!」

「それは大変だ」


 笑い事じゃないですって、本当に!

 何だったんだ今のは?

 この世界の約束って、こうやってするものなのか?


 シャルルはミオの手を握りながら、カミーユ達が待つ魔導師団の執務室へと向かった。



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お読みいただきありがとうございました!

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