97 心強い味方がやって来た
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今日も魔導師団の訓練場では、魔物との戦闘訓練が行われている。
日々の訓練の甲斐あって、ペリグレット王国の戦力もかなり上がったように感じるけれど……先日見たシャトロワ王国の騎士団の攻撃力に比べると、やはり劣っていることは明らかだ。
せめて魔王復活の際に自国だけでも守れる強さにしておかなくては。
「ミオ!今日の魔物なんかいつもよりも強くないか!?」
「あー、魔王の封印が解かれたことを想定して、ちょっとだけ強化してみました」
「魔物の強化だと!?」
「魔物が凶暴化してると思って戦ってください」
魔物に攻撃力強化と魔力強化を使ったらどうなるのかと思い、今日の召喚の際に試してみたのだけれど、どうやら魔物にも効果があるらしい。
今度からはこれで訓練して行こう。
「お前、本当に凄い魔導師だったんだな」
「いえいえ、そんなことはないですよ。それよりも、どうですか?魔力操作上手くいってます?」
「これだろ?前よりはな……だが、めちゃくちゃ疲れんだよこれ」
魔物との戦闘訓練が行われている訓練場の傍で、ショウはひたすら魔力操作の練習をしていた。
魔導師初心者には、魔力を上げて上手く魔法を発動するために、この訓練が必要不可欠なのだ。
地味な訓練だけれど、これを続けていかなければ次の段階に進むのは難しい。
「魔力は消費しますからね……魔法陣は?」
「だいぶ思い描けるようになったぜ。てか、俺にもその召喚魔法教えろよ」
「これ、地面に魔法陣描かないとなんですよ。それに、私のはちょっと違ってるので……そろそろルシヨット魔導国の皆さんが来ると思うので、その人達に聞いてみるといいですよ?召喚士たくさんいるので」
「ここにはいねぇのかよ」
「今のところ、私だけです」
「何でミオは教えられないんだ?」
「私、魔法陣描けないですもん」
「はぁ?描いてんだろうが」
「私のは、頭の中で思い描くとかけるヤツなので、ちょっと教えられないというか」
「俺もそれやりてぇ」
「頑張って特級まで上がってください!」
訓練場の方では、上級の魔物達を倒している皆にまだ余裕がありそうだったので、ミオは斜面から降りて行ってリヴァイアサンを召喚してみた。
こちらは強化していない、ノーマルリヴァイアサンだ。
「うわぁぁぁ!?リヴァイアサンが来たぞ!!」
「マジか!?」
「ミオ!何してんだお前!」
「なんか物足りなそうだったので」
「んなわけあるか!」
「普通のリヴァイアサンですよ?」
「普通のって何だよ!?特別なリヴァイアサンでもいるのかよ!」
「リヴァイアサンの強化版も出せますよ。出しますか?」
「出すんじゃない!」
上級の魔物の強化版は倒せるようになったけれど、リヴァイアサンの討伐にはまだ苦戦を強いられるようだ。
戦闘訓練は、ミオの指示で動けるようになったリヴァイアサンの圧勝ということで。
訓練場で寝転がる騎士やカミーユ達をヒールで回復していると、ミオのカバンの中でクリスタルが光った。
取り出して見るとラウルからで、王宮に到着したとの連絡だった。
「師団長、ラウルさん達が到着したみたいなので、ちょっと行って来ますね」
「もう来たのか?わかった、行って来い」
ミオは王宮前の広場に向かって走って行った。
―――――――
―――――
―――
「ラウルさん!」
「わぁー、ミオちゃん!久しぶりー!」
ミオの姿を見るなり抱きついて来たラウル。
相変わらずの距離の近さだな、本当に。
ラウルの後ろから、コルトとディナールも顔を出した。
「コルトさんとディナールさんも、お久しぶりです」
「やぁ、ミオちゃん。相変わらず可愛いね」
「お前、王女様に失礼だろうが」
「あ、そうだった」
「ここでは普通に魔導師ですよ、私」
ラウル達が乗って来た馬車の他に3台の馬車が止まっていて、たくさんの人達が荷物を降ろしていた。
「あの人達が、ラウルさんが連れて来てくれた魔導師さん達?」
「そうだよー。残りは船で待機してる」
「残り?……え、まだいるの?」
「そうだよ。100人くらい連れて来たからねー」
100人?100人ってどういうことですか?
てゆーか、そんなに連れて来たんですか!?
「……100人って……え、100人?そんなに?ルシヨット魔導国は大丈夫なの!?」
「ルシヨット魔導国に何人魔導師がいると思ってんの?大丈夫だよ、100人くらい連れて来ても」
「ちょっと待ってラウルさん。魔導師団の宿舎に、そんなに部屋あるのかな?ちょっと師団長呼んで来る!」
「全然、個室じゃなくていいからね?」
「たぶん、ベッド3台しか入らなかったから……とにかく、師団長呼んで来る!」
100人も増えるなら、スージーにも言っておかないとだ。
食材が100人分も多めにあるはずがない。
ミオは急いで訓練場に戻った。
「師団長!」
「何だ?」
「ラウルさん、魔導師さんを100人も連れて来てくれました!」
「そうか……はぁ?100人だと!?」
「魔導師団って、そんなに部屋ありましたっけ?」
「騎士団の部屋借りないと無理だな」
「とりあえず、空いてる部屋にベッド運びましょうか。俺達も手伝いますよ」
カミーユは、魔物との戦闘訓練をしていた騎士達に手伝ってもらい、魔導師団の部屋にベッドを運びに向かった。
もちろん、ショウも連れて行かれた。
ミオが食堂に行って、スージーにラウル達のことを説明すると、この時間だから昼食は間に合わないけれど、夕食からは用意出来ると言ってくれた。
昼食は、モンフォワールの街にでも連れて行って食べることにしよう。
「ラウルさん、今ベッド運んでるからちょっと待っててね」
「ありがとう、ミオちゃん」
「入りきらなかった人は騎士団の宿舎になっちゃうけど」
「全然大丈夫だよ!」
「それと、夕食は間に合いそうなんだけど、昼食は街で食べるんでもいい?」
「こんな時間だしね。そのつもりだったから大丈夫。船で待機してる皆には、夕食も食べてから来るように伝えようか?」
「スージーさんが夕食は出せるって言ってたし、それは大丈夫だよ」
「わかったー」
街まで移動するのに馬車を使うため、このまま馬車はここで待機してもらい、とりあえず荷物を置くためにここにいる魔導師達を宿舎まで案内する。
ラウル達も入れて、20人くらいだろうか?
ゾロゾロと魔導師団の宿舎に向かって移動して行き、準備が整った部屋から案内していった。
「そうだ、ラウルさんが派遣してくれたサラさん、今日はモンフォワールにお出かけしてるみたいだから、ご飯食べに行ったら会えるかもしれないね」
「役に立ってる?」
「もちろんだよ!何なら永住して欲しいって思うくらいだもん」
「それなら良かった」
全員の荷物を運び終えると再び王宮前の広場に戻り、ミオは父親に報告してなかったことを思い出して報告に向かった。
すると、父親がモンフォワールで食事をする際に、支払いの請求を王宮にしてもらえるようにとチケットのようなものをくれた。
会計の時にこの紙を渡せばいいらしい。
こんなものもあったんだと驚く。
父親はラウルにも挨拶をしないと……と、ミオと一緒に出て来てくれた。
「やぁ、ラウルよ。久しぶりだなぁ」
「王様!お久しぶりです!」
「魔導師を大勢連れて来てくれたそうだが、ルシヨット魔導国は大丈夫なのか?」
「問題ないですよ。魔王の封印が解除されても、ルシヨットまではすぐには影響が及ばないはずなので。それに、100人連れて来ても戦えるくらいの戦力はありますから」
「そうか。羨ましい限りだな」
こうして、ミオはラウル達と一緒にモンフォワールの街へと向かった。
港町で待機している魔導師にはチケットを渡せないので申し訳ないけれど。
予想通りに街でさらに遭遇したけれど、ラウル達と一緒には王宮に戻らなくてもいい言われたサラは、用事を済ませてから戻ると別行動した。
昼食を食べて王宮に戻ると、続々とやって来る魔導師達の受け入れで、何だか今日はいつもよりも働いた感満載の1日となった。
魔導師団の宿舎が賑やかになって、ちょっと嬉しい。
早くこれが日常にならないかなぁ……
「あれ、新しい魔導師入ったの?」
「こないだシャトロワ王国で遭遇して、連れて帰って来たんだよ」
「ミオちゃん、それ危険なヤツ!」
「だ、大丈夫だよ。エリアス様もそこにいたし。いらないって言われたし」
「そうなの?道で拾って来たんじゃないの?」
「拾うって……捨て猫じゃあるまいし…」
ミオはショウを呼んでラウルに紹介した。
「ショウさん、この人はルシヨット魔導国の王様です」
「マジか!?」
「ラウルだよ、よろしくー」
「俺はショウ・ヤマモトだ」
「魔法教えるの得意な人とかいない?アル君だとちょっと相性が悪くて……それと、召喚魔法も覚えたいって言うんだけど」
「じゃあ、コルトとかディナールでいいんじゃない?」
「俺達に振らないで下さいよ!」
「そうだ、杖の作り方とかも教えてもらえると助かるかな。箒より杖がいいって言うんで」
「よろしくー」
「「マジか!?」」
「すみません、お願いします、コルトさんにディナールさん」
「ミオちゃんにお願いされたら断れないよなぁ」
「オイっ!?」
とりあえず、ショウの魔法はコルトとディナールにお願いすることになった。
この2人なら、ショウとも仲良く……たぶん、仲良くできるだろう。
ルシヨット魔導国、とっても心強い味方が来てくれた。
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