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憧れの異世界はやっぱりとても大変な世界  作者: 花聖
最終章 魔王と異世界生活
106/132

95 魔法を教えるのはとても大変

のんびり更新中♪

 半月ぶりにペリグレット王国へと帰って来た。

 やっぱり、自分の国は落ち着くなぁ。


「お帰り、ミオちゃん!」

「ただいまです、シルヴィーさん」

「って、誰だね?そちらの男性は」

「お前が誰だよ」


 相変わらず初対面なのに強気だな、この人。

 ミオは苦笑いしながらショウのことを紹介し、ショウにシルヴィーのことを紹介した。

 お願いだから、トラブルだけは起こさないで欲しい……


「それじゃあ、王都に帰りますよ」

「また1週間とか馬車に乗んのか?」

「昼頃には王宮に着きます」

「マジか!」


 ペリグレット王国はシャトロワ王国に比べたら6分の1くらいの大きさだろう。

 1週間も馬車で移動したら、半周くらい出来るんじゃないだろうか?


 門までは徒歩でも良かったのだけれど、荷物もあるので馬車で移動して、門の向こう側の馬車へと荷物を積み直した。

 最後の馬車移動が始まり、もちろんミオは箒に乗って王都へと向かう。

 こうしてネーオールの森に入り、湖の傍を移動していると……突然湖の中から水竜が飛び出してきて、大量の水しぶきを浴びてしまった。

 そうだった、半月ぶりに通ったんだから、これは予想しておくべきだったな……馬車の中では全員が同じような顔で驚いていて、ちょっと笑えた。

 ミオはビショビショになった自分と御者を魔法で乾かして、水竜と向き合った。




 ―――お帰り、ミオ!


 ただいま……あのですね、こんなふうに飛び出されると、皆さんビックリしてしまうので、出来ればもう少し静かに出て来てもらえると助かります


 ―――え、僕そんなに驚かせちゃった?おかしいなぁ、普通に出て来たと思うんだけどなぁ


(まぁ、いつもの事だから水竜としては普通なんだろうけど……)

 お元気そうで良かったです


 ―――元気だよ!ミオは?ミオも元気だった?


 はい、元気ですよ


 ―――良かったぁー


 それじゃあ、王様とか待たせてるし、行きますね


 ―――そっかぁ、じゃあ、またね!




 水竜はミオと話せたのが嬉しかったようで、とてもご機嫌で水の中へと戻って行った。

 しかも、大量の水しぶきを立てながら……さすがに想定済みだったので、ミオが魔法で回避したけれど。


「相変わらすだのぅ、水竜は」

「まぁ、半月ぶりでしたからね。ちょっと油断してました」

「って、何だよ!?何平然と話してんだよあんたら!何だよアレ!?」

「あれは、この王国を守ってくれている4体の竜のうちの1体、水竜です。一番やんちゃな竜なんですよ。あ、でもこのことは外では話さないで下さいね」

「へ、へぇ……この王国には竜がいるのかよ」

「私がいない時にはたぶん出て来ませんので」

「そうなのか?」

「はい」


 そういえば、竜のことは説明していなかったかもと反省する。

 気を取り直して出発すると、森の入り口でシャルル達と遭遇した。

 どうやら、今日の見回りはシャルル達だったようだ。


「ミオ、お帰り。やっぱりミオだったんだな、さっきの激しい水音は」

「ただいまです、シャルルさん。聞こえてました?油断しててビショビショでしたよ……」

「ふふ、半月ぶりだからな」

「シャルルさんが帰って来たら、いろいろと報告しますね」

「ああ、わかった」


 シャルルはミオの頭を優しく撫でると、父親に挨拶をして見回りのためネーオールの森へと入って行った。

 何だろう、この安心感。

 シャルルの顔を見たら、何だかとても心が満たされたような、嬉しいような、何とも言えない気持ちに包み込まれたミオだった。






 ―――――――

 ―――――

 ―――






「ただいま戻りました、師団長」


 王宮に到着すると、ミオは自分のキャリーバッグを受け取って、同行してくれた第二騎士団やエレーヌに礼を言ってから、ショウと一緒に魔導師団の執務室へと向かった。

 執務室にはカミーユしかいなかった。

 まぁ、当然だけれど。


「おぅ、元気そうだな。で、そいつがこないだ話してた奴か?」

「そうですよ、ショウさんって言います。ショウさん、この人が魔導師団の師団長です」

「魔導師団師団長、カミーユ・グレイヤールだ」

「俺は、ショウ・ヤマモトだ。よろしくー」

「お腹空いたんで、お昼ご飯食べながら話しましょうよ」

「そうだな、そうするか」

「部屋に荷物置いて来ますね」

「そんじゃ、食堂で待ってるぞ」

「はい」


 ミオは自分の部屋に荷物を持って行き、カミーユはショウを連れて食堂へと向かった。

 自分の部屋に入ると、やっぱり自分の部屋は落ち着くなと思う。

 今夜はぐっすりと眠れそうだ。

 ミオはキャリーバッグを置いて食堂へと向かった。


「おや、久しぶりだねぇ。どうだった?シャトロワ王国は」

「お久しぶりですスージーさん。シャトロワ王国はこことは全然違う雰囲気で、とても楽しめましたよ。めちゃくちゃ大きな海老を食べてきました!」

「あの海老は、この辺だとあの辺りでしか獲れないからねぇ」

「へぇ、そうなんですね」

「ほら、師団長がお待ちだよ。食事を運んであげるから座りな」

「はい」


 ミオはカミーユ達が待つテーブルへと向かった。


「コイツ、お前と同じ所から来たんだって?」

「聞きました?そうなんですよ、私も驚きました」

「何でシャトロワ王国で雇ってもらわなかったんだ?」

「まぁ、まだ魔法は使えないみたいですし、エリアス様にお断りされましたし」

「俺だってお断りだ」

「だがなぁ、魔法を覚えたいってことなら、シャトロワの方がいいだろう?」

「そうなんですけどね」

「いいんだよ、こっちで」

「本人がこう言ってるんで」

「俺としては人が増えるし、別に構わないけどな」


 スージーが3人分の食事を運んで来てくれた。

 久々のスージーの料理は、相変わらず美味しそうだ。


「お、美味いなここの料理」

「スージーさんの料理は美味しいんですよ」

「あの国の食堂よりも美味い」

「そうなんです?」

「あぁ」


 王宮で頂いた食事は美味しかったけどな、と思いながら聞いていた。

 でも、とりあえずスージーの料理を気に入ってもらえたことは素直に嬉しい。


「そういや、捕まえた黒ローブからは何か聞き出せたのか?」

「まだみたいですよ。何人かは自害したみたいだし、残ってる人も何も語らないって言ってました」

「まぁ、そうだろうな」

「何かわかったら連絡してくれるってエリアス様が言ってたし、待つしかないですかね」

「そうだな……気になるのは、奴らがどうやって王宮の北側に入ったかってことだが」

「そうなんですよね、謎です」

「俺が気がついた時には戦ってたからな」

「え、あの戦いの最中に転生して来たんです?」

「あぁ」


 転生した時に、戦場のど真ん中に出現させれれなくて本当に良かったと話すショウ。

 確かに、あんな場所に出現させれれていたら死んでいたかもしれない。

 運が良かったというか、転生とはそういうものなのか……ミオはこっちの世界に来た時に目の前に竜がいたことを思い出す。

 もしもショウみたいに魔法が使えなかったら、死んでいたのでは!?

 魔法を教えてくれていた母親に感謝するミオだった。






 ―――――――

 ―――――

 ―――






「何言ってるか全くわかんねぇ」

「私にもわかりません」

「何でだよ!」


 昼食を食べた後、ショウを空いている部屋に案内し荷物を置くと、簡単に宿舎を案内してから訓練場に来ている。

 そして、カミーユが魔法について説明をしたのだけれど……ペリグレット王国には魔導師学校というものが存在しないため、魔導師学校の先生のようにわかりやすく説明できる人はいないのだ。


「師団長」

「何だ?」

「前に渡した、ルシヨットでもらって来た授業要綱みたいなヤツは読みました?」

「目は通したが……よくわからん」

「えー」


 カミーユが理解出来なかったらどうするんだ?

 この王国で魔導師学校を作るという目標が、どんどん遠ざかっていく気がした。

 これ、学校作っても教えられる人がいないって落ちになるんじゃ……


「ミオはどうやって覚えたんだよ」

「私は子供の頃から母に教えられていたみたいなので」

「どうやって?」

「さぁ、それはちょっと……頭の中に魔法陣が描かれてましたし」

「チートじゃねぇか」

「チートとも言えますね」

「何だよチートって」

「転生者特典みたいなものです」

「……俺にもわかるように説明しろ」


 正直、カミーユは教えるのがあまり上手ではなかったことを思い出す。

 困ったぞ、これではせっかく来てもらったのに、魔導師として育てられない。

 ミオ達が悩んでいたところに、学校が終わったアルバンとアリスが帰って来た。

 この2人、相性が最悪なのに一緒に帰って来たのか?などと思っていたら、たまたま帰り道で一緒になって、お互いについて来るなと喧嘩しながら帰って来たらしい。

 ついて来るなって……行先同じなんだから、もう少し仲良くしようよ。

 でも、とりあえずカミーユよりも魔法の教え方が上手なアルバンが帰って来てくれてホッとする。

 これで、ショウに魔法が教えられる。


「あれ……アル君……また背が伸びた?」

「成長期真っ盛りだからね!」

「ちょっと師団長と並んでみてよ……え、師団長もうすぐ追い越されますよ?」

「うるさい。お前はアリスに追い越されてるだろうが」


 ミオは両手と両膝を地面について項垂れた。

 てゆーか、アリスも168cmに成長していてさらに落ち込む。

 アルバンなんて、174cmになったらしい。

 出会った頃はミオよりも低かったはずなのに……羨ましすぎる!


「で、誰?コイツ」

「何だよこの生意気そうなクソガキ」

「はぁ?ミオ、僕コイツ嫌いなんだけど」

「まぁまぁ、アル君……ショウさん、この人は副師団長です」

「マジか?このガキが?」

「子供扱いするな!」

「そんなことよりアル君、この人に魔法を教えてもらいたいんだけど……」

「えー、嫌だね。いくらミオのお願いでも、コイツにだけは教えたくない」


 マジですか……まぁ、ショウのあの態度だし、こうなってもおかしくはないけれど。

 さて、どうしたものか。


「アリスは?アリスはここに来る前は自分で練習してたんだよね?」

「そうよ。自分なりに考えて練習したわ」

「どうやって練習したの?」

「使えた魔法を、こう……威力が増すように力を込めて……あとは、本屋で魔導書を買ったりもしたわね」

「最初はどうやって魔法を使ったの?」

「そうね、手のひらに魔力を集めるように集中したら使えたわよ?」


 イメージと気合いみたいな感じだろうか?

 この魔導師団……気合で魔法使ってる人多くないですか?まぁ、私も含めてだけれど。


「アル君、ショウが使える魔法ってわかる?」

「……仕方がないなぁ、それくらいなら見てあげるよ」

「ありがとう!」

「今度の休みにデートしてね」

「ま、まぁ……いいけど」


 こうしてアルバンにショウの得意な魔法属性を鑑定してもらうと、闇属性と状態異常魔法が得意らしいことがわかった。

 状態異常魔法って……眠らせたり、毒を与えたりとか、そういう魔法?

 そんな魔法もあったんだなんて思ったけれど、今までそんな魔法を使う魔導師に出会わなかっただけで、普通に考えれば状態異常魔法があってもおかしくはない。

 あ……もしかして、魔物を操る魔法も状態異常魔法の1つなのだろうか?


「じゃあ、とりあえず闇魔法の魔導書を探しに行きましょうか」

「本屋にでも行くのか?」

「図書室です」

「そんなもんもあんのか」

「小さな図書室ですけどね。じゃあ、案内してきますね師団長」

「わかった」

「待って、僕も行く。そんな奴と2人きりになんてさせられないからね!」

「私も行くわよ!」

「えーと……図書室では静かにしようね?」


 こうして、4人で図書室に向かったのだけれど……3人を静かにさせるのには本当に苦労したミオだった。

 てゆーか、闇属性ならアルバンが得意なのだけれど、絶対に教えたくないと断られてしまったため、とりあえず魔導書で覚えていくしかないだろう。

 もうすぐラウル達もやって来ることだし、ショウに魔法を教えるのはラウル達に頼んでみようと思うミオだった。



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