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憧れの異世界はやっぱりとても大変な世界  作者: 花聖
最終章 魔王と異世界生活
103/132

93 晩餐会

のんびり更新中♪

 ミオとエリアスが王宮に戻ると、ミオの父親とシャトロワ国王が駆け寄って来た。

 ボロボロのミオを見て号泣する父親に、慌ててなだめて涙を止めさせる。

 こんな場所で恥ずかしいんでやめてもらえます?本当に!


 エリアスが戻ったけれど、午餐会を開催するには遅い時間となってしまったため、急遽晩餐会に変更したようだ。

 避難した皆は、午餐会用に準備した料理で昼食を済ませたらしい。

 ミオとエリアスの分も用意してあるとのことで案内すると言われたけれど、さすがにこの格好では……ミオは部屋に戻って着替えてから案内してもらうことにした。

 うーん……ただの昼食だし、普段着でいいのかな?

 普段着の中でもよそ行きっぽい服を選んで着替えると、乱れた髪の毛をエレーヌに整えてもらって部屋を出た。

 すると、エリアスが部屋の前で待っていたのでとても驚く。


「どうしたんですか?エリアス様」

「別にどうもしない、お前を待っていただけだ。行くぞ」

「はい」


 ミオはエリアスと一緒に、食事が用意されてある部屋へと向かった。






 ―――――――

 ―――――

 ―――






「あ、ラウルさん、今大丈夫?」

「ミオちゃんからの連絡ならいつでも大丈夫だよー。どうしたの?」

「これなんだけどさ……ラウルさんがいた黒ローブの組織にも、こんなマークあった?」

「え、黒ローブ?」


 昼食を食べて部屋に戻って来たミオは、クリスタルでラウルに連絡して、さっき携帯で撮った写真をラウルに見せた。

 写真をクリスタル通じて見せてもよくわからないだろうか?


「クリスタルだとさ、良く見えないけど……それ、逆さまになった十字架の真ん中に悪魔がある?」

「うーん……確かに十字架が逆さっぽいけど……これ、悪魔なの?」


 ミオが認識している悪魔と、この世界の悪魔が同じとは限らない。

 十字架の真ん中に描かれているのは、角が生えた牛の頭の骨っぽいものだ。

 これが、この世界で言う悪魔なのだろうか?


「なんか、角が生えた牛の頭の骨っぽいのが描かれてるよ」

「あー、それだよ。同じだねー」

「……黒ローブって、ペリグレット王国の人達じゃなかったんだ?」

「さぁねー、俺もそこまでは知らないんだよね。捕まえた奴らから何か聞き出せなかったの?」

「なんか、よくわからないことばっか言ってたみたいでさ。結局何がしたかったのかわからなかったんだよ」

「アイツら、頭がちょっとおかしくなってたからね。で、何で黒ローブ?」

「今ね、シャトロワ王国に来てるんだけどさ、さっき王宮が大量の魔物に襲撃されそうになって……魔物を召喚してたのが黒ローブを羽織った人達だったの。で、捕まえた黒ローブにマークを見つけたんだよ」

「え、黒ローブの組織ってまだあったの?」

「たぶん……マークが同じなら、同じ組織だと思う」

「何でシャトロワの王宮を襲おうとしたの?」

「それは、まだわかんないけど」


 黒ローブの組織がペリグレット王国で竜を狙っていたことと、今回シャトロワ王国の王宮を狙ったことには、何かつながりがあるのだろうか?

 今考えても、そこはよくわからない。


「ミオちゃんはいつまでシャトロワ王国にいるの?」

「明日王都をちょっと見て来て、明後日に帰るけど……王都から港までは馬車で1週間かかるから、ペリグレット王国に戻るのは10日後くらいかな」

「俺は、ミオちゃんがペリグレット王国に戻って少ししたら到着予定だから、よろしくー」

「うん、待ってるよ」


 ラウルとの通信を終えると、ミオはカミーユにも報告をしておいた方が良いだろうと思い、もう1つのクリスタルを取り出して連絡をした。

 カミーユの所にシャルルも来ていたようで、一緒に聞いてもらう。

 黒ローブの組織がまだ残っていたことと、ペリグレット王国の組織ではなさそうなことに2人ともとても驚いていた。

 それはそうだろう、ミオだって目を疑ったのだから。


「お前は大丈夫なのか?」

「この通り、ピンピンしてますよ。ちゃんとヒールで回復しましたし」

「やっぱり傷だらけになったのか」

「そこまででもないですよ?」

「お前の言葉は信用できん」


 カミーユ、シャルル、エリアスの3人は、実は何かでつながってるのか?

 信用できないって何なんですか、皆同じようなことを言って……酷くないですか?


「あ、それから師団長」

「何だ?」

「まだ魔法は使えないですけど、魔力持ってる人見つけたんで連れて帰りますね」

「はぁ?」

「ミオ、連れて帰るとは……どういうことだ?シャトロワ王国の者ではないのか?」

「違いますよ。エリアス様にもいらないって言われたし、本人がペリグレット王国に行きたいって言うんで、連れて帰ることになりました」

「ま、まぁ……帰って来たらわかるように説明しろ」

「わかりました。それじゃあ、そろそろ切りますね」


 ミオはカミーユ達との通信を切って、クリスタルをカバンにしまった。

 晩餐会か……さっきお昼ご飯食べたばかりだし、お腹が空かないな。

 準備をするにはまだ少し早そうだったし携帯を見ていると、前にダウンロードしてあったエクササイズ動画を発見したので、少し動いてみることにした。

 テーブルに携帯を立てて、動画を流す。


「わぁ、久しぶりだなこれ。意外に動けるかも」


 動画を真似て動いていると、エレーヌが怪訝そうな顔をしながら歩み寄って来た。


「何を……なさっているのですか?」

「エクササイズですよ。一緒にやってみます?これ見ながら真似るだけです」

「……はぁ」


 不思議そうに携帯で流れている動画を観ているエレーヌ。

 少しずつ真似をして動いたりしてみて、そのうちにミオと一緒に動き始めた。

 1人でやるよりも、誰かと一緒にやるというのはやっぱり楽しい。

 これで、晩餐会の料理を美味しく食べられるはずだ。


 こうしてエクササイズをしていると、いつの間にか準備をする時間となったようで、エレーヌが声をかけてきた。

 動画を止めて携帯をカバンにしまう。

 ドレスの予備なんてないけど……昨日着ていたドレスでいいのかな?

 何なら普段着だと嬉しいけれど。


「予備のドレス、ございますよ」

「え、あるんです?」

「はい」


 なんと、エレーヌが予備のドレスを出して来た。

 いつの間に用意したんだこんなドレス!?

 エクササイズで汗もかいたし、このままドレスを着るのは……ということで、ミオは急いでお風呂に入って汗を流して来た。

 こうしてサッパリしたところで、エレーヌにドレスを着せてもらい、化粧と髪の毛のセットもしてもらうと、あっという間に準備は整った。

 さすが、出来る侍女は違いますね!






 ―――――――

 ―――――

 ―――






 晩餐会の会場は、長いテーブルに大勢の人が並んで座るようで、ミオと父親はシャトロワ国王達に最も近い席へと案内された。

 凄いな、端の人の顔が見えない。

 そんな長いテーブルが3つ設置されていたけれど……そうか、式典には参加していない人もいるから、人数が増えるのか。

 招待客がだいたい着席すると、使用人が飲み物を運んで来た。

 これは……シャンパンかな?どうしよう、飲んだら眠ってしまうかも。


「あの……すみません。私お酒飲めないので、何か違うものに交換して頂けると嬉しいんですけど……」

「大変失礼いたしました。りんごかぶどうの飲み物がございますが」

「いえいえ、こちらこそすみません。じゃあ、りんごでお願いします」


 使用人はミオのシャンパンを下げると、すぐにりんごジュースを持って来てくれた。

 丁重にお礼を言って頂く。

 驚くことに、ミオが酒を飲めないことは全使用人に伝わっていた。

 え、この人数の招待客に言われたことを全員が把握するんですか?とんでもない報連相じゃないですか!凄いな、使用人。


 シャトロワ国王の挨拶とエリアスの挨拶があり、晩餐会が始まった。

 急遽、午餐会から晩餐会に変更したにもかかわらず、素晴らしい料理が次々と運ばれて来て、料理人って凄いなと思う。

 どの料理もとても美味しくて、幸せな気分に浸りながら食べていると、ふと向かい側のご婦人がニコニコしながらミオのことを見ていることに気がついた。


「えーと……」

「あら、ごめんんさいね。あまりにも美味しそうに食べるものだから、何だか見ていると嬉しくなってしまって」

「そ、そうなんですね。どれもとても美味しくて」

「あなたが食べてくれると、料理人も作りがいがあるでしょうね」


 これって、褒められているんだろうか?

 でも、ずっと見られていたなんて恥ずかしい……とりあえず、ご婦人には笑顔を向けて、気にせずに食べることにしよう。


 そんなミオのことは、使用人の間でもちょっとした話題になっていた。

 料理を持って行ったり、空いた食器を下げたり、飲み物を出したり……他にも、ミオの所に行くと、必ず顔を見ながら笑顔で声をかけてくれるというので、ミオの所に行くための権利争奪戦的なものも毎回行われていた。

 使用人が、他の招待客よりもミオの所に行く頻度が多くなっているということには……目を瞑っておこう。


 メインテーブルでは、中央にエリアスとコレットが並んで座り、両サイドにはそれぞれの両親が座っていて、元の世界の披露宴のような感じなんだなと思った。

 相変わらずニコリともしないで座っていたエリアスだったけれど、ニコニコしていても違和感ありまくりなので、これでいいのだろう。

 隣のコレットは、愛想よく笑顔を振りまいていたけれど……こうして見ると作り笑顔なのが丸わかりでちょっと怖い。

 ふとした時に見せる素の顔がとても冷たく、何だかエリアスが気の毒に思えてみたり……自分だったら耐えられないなと思うミオだった。


 こうして、何事もなく晩餐会は進んで行き、料理は残すところデザートのみとなった。

 使用人がテーブルにデザートと温かい紅茶を運ぶ。


「マカロンですか!」

「は、はい。左様でございますが……お気に召しませんでしょうか?」

「いえ、大好きです!凄く好きです!」


 大好きなマカロンがテーブルに乗せられて、ミオの背後にはキラキラのエフェクトでもかかってそうだった。

 マカロンを運んだ使用人は、ミオの「大好きです!」に心臓を射抜かれて倒れそうになっていた。

 別に、使用人に対して好きと言ったわけではないのだけれど。

 実はこのデザートは、ミオの好物がマカロンだということを知ったエリアスが決めたデザートだった。


 マカロンを口に入れたミオの背後のエフェクトは、ハートに変わった。


 ミオがとても幸せな気分に浸りながら終了となった晩餐会。

 会場を後にする際に、使用人が小さな紙袋をミオに渡した。


「ん?これは?」

「余ったものはミオ様に渡すよう、申し付かっております」

「余ったもの?……って、マカロンじゃないですか!え、いいんですか?」

「はい、もちろんでございます」

「ありがとうございます!ありがとうございます!」


 ミオは、使用人達に何回も頭を下げると、嬉しそうに紙袋を抱きかかえながら会場を後にした。

 会場の片付けをする使用人達は、今日は何だか活気に満ちていて、いつもよりも早く終わった片付けに、使用人達のリーダー的人物である執事はとても驚いていた。


 こうして、トラブルはあったものの、エリアスの結婚式は無事に終了した。



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