10 まさかの王女様
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ミオの頭はパニック状態。
なぜパニック状態に陥ってしまったのかというと…
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「本当に王様なんかと会うためのマナー知らないんですよ?私」
「だーかーらー、そういうの大丈夫だって言っただろ?」
「ででで、でも……そういう大丈夫って、本当は大丈夫じゃなかったりするじゃないですか…」
「はぁ?どんな状況だよそりゃ。ほら、もうすぐ着くぞ」
「……………」
カミーユに手を引かれながら王宮の中を歩き、ついに国王が待つ部屋へと到着してしまった。
緊張でミオの心臓はバクバクしていて吐きそうなくらいだ。
あまりにも心臓が速く動きすぎて、頭にきちんと血液が巡っていないのか、だんだんと頭がクラクラしてきた。
「私、倒れそうなので戻ります」
「倒れるんじゃない」
「だって……私、王様みたいな偉い人に会ったことないですし、心の準備が…」
「ここの国王は別に怖い人じゃないし、ミオが罪人なわけでもないんだし、別に緊張することなんかないだろう?」
「王様なんだから緊張しますって!」
「じゃあ、入るぞ」
「ち、ちょっと待ってくださいよ師団長……え?」
カミーユがドアをノックしようとした時、内側からドアが勢いよく開けられて驚く。
顔を出したのは国王だ。
国王はミオの顔をジーッと見つめると、涙を浮かべながらミオを抱きしめた。
え、何ですかこの展開!?
ミオの頭はこの状況を理解できずにパニック状態。
もちろん、隣で見ていたカミーユも状況が飲み込めていないようで固まっている。
その時、部屋の中から声が聞こえてきた。
「陛下、ひとまず部屋の中に入った方が良いかと思われますが…」
声をかけてきたのはシャルルだった。
シャルルはカミーユと一緒に、国王の留守中のことを報告しに来ていたらしい。
その中には当然ミオのことも含まれていて、ミオの報告を聞いていた国王がミオに会いたいと言ったので、カミーユが報告の途中で抜けてミオを迎えに来たようだった。
廊下からカミーユとミオの声が聞こえてくると、国王は徐に立ち上がってドアの方に向かい、ドアを開けてミオを抱きしめ、現在に至るということだ。
国王の行動にはシャルルも驚いた様子だった。
「これはすまない。中に入って座ってくれ」
国王はミオとカミーユを部屋の中に入れると、2人の飲み物と菓子の用意をメイドに伝えるよう、廊下で待機している騎士に指示した。
ミオとカミーユは、シャルルの向かい側のソファーに座った。
1人がけのソファーに座った国王が満面の笑みをミオに向け、ミオは困惑しながら出来るだけ自然な笑顔を向けるよう努力した……実際はたぶん引きつっていただろうけれど。
「コイツが、先程報告をした娘です。ミオ、自己紹介を」
「……あ、はい!えーと…ミオ・サクライです。気がついたらこちらの世界にいました。まだまだ母のようには魔法は使えませんが、頑張ります」
「私はエドワール・ぺリグレットだ。ミオ、本当に戻って来てくれて私は嬉しいよ。幼さはあるが…カエデによく似ているな。カエデはもう少し背も高かったかな」
「……そ、そうですね。母は私よりもだいぶ背が高かったので…」
「カエデは元気にしているのかな?」
ミオの母親は5年前に事故で亡くなっている……国王の質問にどう答えていいかわからず、ミオはカミーユを見た。
「陛下、残念ながらカエデ様は亡くなられたようです」
「何と!?」
「……母は、5年前に事故で亡くなりました。魔法が使えていたら助かっていたと思いますが、私達の世界では魔法は使えませんので…」
「そうだったか……まぁ、魔導師も人間なのだから仕方のないことだが……もう一度カエデに会いたかったなぁ…」
国王は滝のように涙を流しながら号泣し始めた。
3人とも戸惑いを隠せない。
この人の中で、母親の存在はとても大きいんだろうな…ミオはそう思いながらポケットから携帯を取り出して、母親を撮った動画を表示させて国王に差し出した。
「えーと……もし良かったら……これをどうぞ」
確か…事故の1カ月前くらいに撮った動画だったと思う。
「何と!!カエデはこんな小さな箱に入ってしまったというのか!?これが事故…」
「いえ……これは事故ではないです。動画というものです」
「……よくわからんが……それにしても、カエデは変わらんなぁ。相変わらず美しい」
シャルルとカミーユも国王と一緒に動画を観て驚いていた。
そうか、写真は見せたことがあったけれど、動画は初めてだったかも。
「ミオの世界は、本当に凄いのだな」
「俺も行ってみたいよ、本当に。へぇ~これがカエデ様か、確かにミオに似ているな。ミオの方が幼いが」
「母親よりも老けてたら私がショック死しますよ…」
「カエデ~」
動画を観ながらまたしても号泣する国王に、ミオ、シャルル、カミーユの3人は顔を見合わせて苦笑いした。
あれか?年齢を重ねると涙もろくなるという……そういうやつか?
「すまんすまん、なんせ23年ぶりのカエデの姿だったからな」
「……はい」
「カエデには本当に感謝しているのだよ。この国を救ってくれたこともそうだが……ミオのような娘を生んでくれて、本当に私は…私は…」
「え!?」
滝のような涙を流す国王に戸惑うミオ。
どんだけ泣くんですかこの国王…
シャルルやカミーユもどうしたらいいのかわからず、とりあえず成り行きを見守っているといった感じだ。
「いやぁ、本当にすまんね。私も60歳だからな。どうも年のせいか涙もろくなってしまったようだ」
年齢とともに涙もろくなるというのは本当のようだ。
しかも世界が変わってもそこは変わらないらしい。
「さて、ミオは今は魔導師の宿舎にいるのだったな。私としては一緒に王宮で暮らしたいところだが…ミオを縛り付けるようなことはしたくない。今まで通り宿舎でもかまわないぞ」
「えーと……?」
国王の言っていることがよくわからず困惑するミオ。
そして、シャルルとカミーユも国王の言葉を理解できないようで、戸惑いの表情で国王に問いかけた。
「陛下、仰っている意味が良くわかりませんが…」
「ミオが王宮に住むとはどういうことなんです?」
「ん?どうって……ミオは私の娘なのだから当然のことだろうが」
「え……ミオが陛下の…」
「娘!?」
「え……えーっ!?」
国王の言葉に、シャルルもカミーユも驚いたけれど、ミオの頭は驚きすぎて状況を理解することが出来なくなっていた。
いわゆるパニック状態で、正常に物事を判断することが出来なくなっているということだ。
「えー、もしかしてカエデに何も聞かされてなかったの?私のこととか…」
「……ち、父親のことは何も話さなかったので……で、でも何かの間違いでは…」
「間違いも何も……カエデは私の妻だし、ここから姿を消した時には私の子を宿していたしなぁ…ミオは私の娘だ、それは間違いない。ほら、私と同じ目をしているだろう?髪の毛はカエデ似だな」
「……………」
「え、もしかして私のことが嫌いなのか!?」
「……嫌いも何も……ついさっきお会いしたばかりなので…」
マジですか!?
ちょっとお母さん、どうしてそんな大切なことを教えてくれなかったんですか?
魔導師の中に父親がいたのなら、驚きはしただろうがここまでではなかっただろう。
国王の娘とか言われて、すんなり受け入れられるものなのか!?
そもそも本当に国王の娘なのか?母親が元の世界に戻って、違う男性と……そこまで考えてミオはハッとした。
そんなこと考えたくない!
でも、母親がこちらの世界から姿を消した時に、国王の子を授かっていたのなら…きっとその子はミオなのだろう。
そこは理解している。
でも……
「その……私はきっとこの国や竜を狙う悪い人達と戦うためにここに呼ばれたんだと思います。だから、私は魔導師としてここにいたいかなと思うのですが…」
「それはかまわんよ。カエデも縛られるのは嫌だって、自由にしていたからな」
「えーと……そうじゃなくて…」
どう言えばいいんだ?
自分の気持ちの整理も出来ないミオに、何をどう伝えたらいいかなんてわからなかった。
「あの……少し考えてもいいですか?」
「何を考えるんだ?」
「……いろいろです」
「かまわないよ。好きなだけ考えるといい」
「……はい」
ミオは、出された紅茶を飲んだけれど、まったく味がわからなかった。
シャルルやカミーユの報告は終わっているらしく、3人はそれぞれの宿舎へと帰ることにして部屋を後にした。
放心状態で歩くミオ。
後ろからシャルルとカミーユが無言でついてくる。
「あ、おい。そっちじゃないぞ」
「え?……あ、すみません、ちょっと考え事を…」
「大丈夫か?ミオ」
「お前、今日は部屋でゆっくり休んどけ」
「………そうします」
きっとこのまま訓練場に戻っても、集中して練習に取り組むことは出来ないだろう。
今は、カミーユの言葉に甘えさせてもらうことにする。
こうして、ミオはその後もいろいろと考え込みながら歩いていたため、何度も壁や木にぶつかりそうになりながらも、シャルルやカミーユに守られながら何とか部屋まで辿り着いた。
シャルルとカミーユは、ミオが部屋に入るまで見送り、その後カミーユの執務室へと向かった。
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―――
「それにしても驚いたな」
「ああ」
「まさか国王の娘だったなんてなー。シャルル、お前どうすんだよ?」
「どうするとは?」
「お前、ミオのこと気に入ってんだろ?」
「それはカミーユも同じだろう?」
「お前と俺じゃあ、気持ちが違うんだよ」
「……どう違うのか…私にはよくわからないな」
2人で執務室に入ったものの、特に会話もなく時間だけが過ぎていった。
仕事に取りかかろうにも、お互いに集中できないことが明白だった。
気持ちの整理がつかないのは、ミオだけではなくこの2人も同じだった。
「国王の娘を、このまま魔物の討伐に連れ出してもいいものなのか?」
「それは……ミオと国王が決めることだ。私達が決めることではないと思う」
「ま、それもそうか。国王も自由でいいって言ってたしな」
「ミオは……大丈夫だろうか?」
「そうだなぁ、昼飯になったら部屋に行ってみるか。声かけないとアイツ食いっぱぐれるからな」
「そうだな、そうしよう」
カミーユはとりあえず、今後の魔導師の訓練の方法についてシャルルに相談した。
そして、魔導師の学校のことについてもいろいろと話し合った。
学校については、国王とも相談しなければいけないが、その前にある程度の概要を考えておかなければならない。
その頃、部屋に戻ったミオは、母親の日記を読んでいた。
どこかに国王との結婚について書いてあるんじゃないかと、パラパラとページをめくりながら流し読みをしていく。
「あ、あった」
どうやら、母親が国王と結婚したのは、竜を救って国を守った後のようだった。
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7月7日 晴れ
元の世界では七夕だ。この世界では全く関係の無い話だけど…
どうしよう
どうしたらいいんだろう
だって……国王だし……王様だよ?
でも……私はまだ16だし…
7月30日 晴れ
この世界に来て、1年以上が過ぎてしまった。とても濃い1年だったと思う。
それにしても……さすがに根負けだ。
まぁ、イケメンだし、私のタイプでもあるし、性格的にも文句はないし…私の事をとても大事にしてくれる。そして何よりも…私に対する愛が凄い。書いていてとても恥ずかしくなるくらい、愛されている。
私がなぜここまで渋っているのか、それは、彼が国王だから。
だって、国王だよ?王様だよ?私の自由はどうなるんだ?って話!
ここ、重要!
私は自由気ままに生きたいのだ!
8月22日 晴れ
私は好きなように、自由にしていてもいいと言うので、私は国王の申し出を受け入れることにした。
私の名前は……
カエデ・ペリグレット
そう、私は国王と結婚したのだ。まだ16歳だというのにだ。
この国では、16歳で結婚というのは珍しいことではないらしい。
「てゆーか、16歳で結婚!?」
母親の日記によると、どうやら国の復興が始まってから、国王となった騎士には言い寄られていたらしい。
とても愛されていた様子が、日記からは読み取れる。
でも、母親は相手が国王ということもあり、かなり渋っていたようだ。
自由を愛する人間だったようだから。
そして、渋り続けること4か月目に入るあたりから、さすがの母親も根負けしたようで、8月22日に結婚を受け入れたらしい。
「王様……よっぽどお母さんのことが好きだったのね」
そりゃあ、突然姿を消して、23年も経って娘が現れたら……泣くわよね?
ミオは、椅子の背もたれに寄りかかりながら、ぼんやりと天井を眺めた。
国王の娘……ということは、王女様?王女様って…お姫様…?
「ないないない!私、そんな柄じゃないし!」
ミオはベッドに寝転がってゴロゴロと転がった。
でも…
長年待ち望んでいた妻(ミオの母親)はもう亡くなってしまっているし、国王の家族はミオだけということになる。
「独りぼっちは……寂しいよね…」
……でも、やっぱり王女様なんて柄ではない。
考えても考えても、考えはまとまらず、ミオはベッドの上をゴロゴロと転がりながら考えを巡らせていた。
ふと、メーヌの森の調査で意識を失っている間に、夢の中で母親に言われた言葉を思い出した。
―――王国のことを、よろしくね
「……あっ!!そういうことだったの!?」
ミオはベッドの上に起き上がった。
母親のこの言葉は、てっきり王国を危険にさらす悪い人達がいるから、その人達から国や竜を守ってねという意味かと思っていた。
でも、父親が国王だとわかった今、改めて考えてみると王女として国をよろしくねというふうにも受け止められる。
その時、部屋のドアがノックされた。
「はい?」
「昼飯行くぞ」
「あ、もうそんな時間ですか?」
ドアをノックしたのはカミーユだった。
一緒にシャルルの姿も見える。
「髪の毛ボサボサだな」
「っ!?こ、これは…いろいろ考えながらベッドの上でゴロゴロしていたので…ちょっと直してきます!」
バタンとドアを閉めて、ミオは急いで髪の毛を整えて部屋を出た。
「大丈夫か?ミオ」
「えーと……まぁ、大丈夫です」
心配そうにミオを見下ろすシャルルに、笑顔を見せながら言った。
実際にさっきよりは気持ち的には落ち着いている。
「お母さんの日記にも、王様との結婚のことが書いてありました。かなり渋ったみたいですけど…」
「世の中、国王と結婚したい奴は山程いるが、渋るなんてお前の母親も凄いな」
「えー、だって王様なんかと結婚したら自由でいられなくなるじゃないですか。私にはお母さんが渋った理由がわかりますよ」
「そういうものか?」
「そういうものです」
食堂は昼時のため、騎士や魔導師で賑わっていた。
3人は空いているテーブルを探して座った。
「きっと、私が王様の娘だというのは事実なんだと思います。でも、私は魔導師としてここにいたいと思ってます。ただ、王様にとって家族は私だけなわけですし……まぁ、私もですけど。だから、とても悩んでたんですよね…」
「別に宿舎にいてもいいって言ってただろう?」
「はい。なので、宿舎にはいたいなと思ってます。ただ、夢の中でお母さんに言われたことをよーく考えてみたんです」
「何て言われたんだ?」
「王国のことをよろしくねと。あの時は、悪い人達から守ってねって意味かと思ってましたけど、今考えてみればそういうことなのかと…」
「なるほどなー」
スージーが食事を運んできてくれた。
相変わらず美味しそうな料理がテーブルに乗せられていく。
「今回は間に合ったようだねぇ」
「はい。本当にいつもすみません…」
「あはは、いいんだよ。また姿が見えない日には取っておいてあげるからね」
「ありがとうございます」
スージーが笑いながら去って行くと、シャルルとカミーユの視線を感じて苦笑いしながら2人を見た。
「えーと…何でしょう?」
「そんなに食事を食べ忘れてるのか?」
「お前なぁ…」
「集中しているとつい…」
「「集中するな」」
「……さすがにそれは…」
でも、いつもスージーに迷惑をかけるわけにもいかないので、気をつけようと思うミオだった。
ふだんから気をつけていないわけではない。
決して違うのだけれど……どうしても気がつくと食事の時間が終わってしまっているのだ。
「それでですね、他の皆にはこのことを知られたくないと言うか…」
「どうして?」
「別に知られたって困らないだろ?」
「王様の娘だって知られたら、皆に気を遣われちゃう気がして……私は、今のままでいたいんです。だから、明日王様にもそう話します」
「なるほど。だったら私達も他言はしないようにするよ。な、カミーユ」
「そうだな」
昼食の後は、訓練場で魔法の練習をすることにした。
部屋に引きこもっていると、悶々と考えてしまいそうだったから。
こうして食事を食べながら、あることを思い出して固まるミオ。
「どうした?」
「……師団長……あの、瓦礫って…」
「あー、そういえば片付けないとだったな」
「瓦礫?」
「コイツが試し打ちした魔法がとんでもなくてな。食べたら片付けるかー」
「……はい、すみません」
「シャルルも一緒にな」
「いやいや、それはさすがに…」
「私も手伝うよ。人数は多い方がいいだろう?」
「で、でも私が瓦礫にしてしまったものをパトリエール団長に片づけさせるわけには…」
「俺はいいってのか?」
「師団長は私の上司ですし」
「お前なぁ」
「私はかまわないよ。ミオの力になれるのだからな」
「いや、もう、本当にすみません」
こうして、昼食を食べ終えた後は、訓練場の瓦礫の片付けに時間を費やした。
王宮に向かう前に作っていたアイスブロックは、まだそのままそこに立っていた。
え、もしかして溶けない氷ですか!?
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―――
翌日―――
ミオは国王の所に訪れていた。
国王と向かい合ってソファーに座り、紅茶を飲みながら話をする。
「えーと……お母さんの日記に、王様のことが書いてありました」
「ミオは娘なんだから、王様などと呼ばないで父と呼んでいいのだよ?」
「会って2日目でお父さんとはちょっと……え?」
「やっぱり……私のことが嫌いなのか?」
涙ぐむ国王に焦るミオ。
そんなにすぐに泣かないでください、国王ですよね!?
「え、えーと……はい、わかりましたお父さんと呼ばせていただきます!だから泣かないでください!」
「本当か?」
「……はい。それと、やっぱり私は魔導師としてここにいたいと思うので、今まで通り宿舎で生活をしたいと思います」
「それはかまわんよ」
「それからですね…」
「遠慮などせずに、何でも言っていいのだよ?」
「皆さんに気を遣われるのは嫌なので、王様の娘であることは伏せておきたいなと…」
「それもかまわんよ。騎士や魔導師だけではなく、この国全体でな。ぺリグレット王国の王女だと知られれば、狙ってくる奴もいるかもしれないからな」
「え、私狙われるんですか?」
「かもしれないって話だから心配はいらんよ。何があっても必ず守るから安心しなさい」
母親の日記では、この国王は王族の出ではなく普通の騎士だったようだ。
だから、ミオが思っているような貴族や王族の堅苦しさがない。
それはミオにとってもとても居心地の良さを感じるところであり、この王宮内が窮屈ではなく、従者の皆がとても生き生きと働いているところからもわかることだ。
「私は魔導師としてここにいたいですけど、王様……えーと、お父さんにとっても私にとっても、残されたたった1人の家族なわけで……だから、時々は一緒に食事をしたり、話をしたり、家族として触れ合えたらいいなとは思っています」
「ミオ……」
「え、あ、あの……泣かないでくださいよ…」
「年のせいだと思って許してくれ」
「えーと……はい」
本当にすぐに泣くなこの王様…
イケメンが号泣って……まぁ、なかなか見れるものでもないし、良しとしよう。
こうしてミオは、国王の娘として、魔導師として、ぺリグレット王国を守っていくことを決意した。
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