第8試合 マネージャー 岬
『第八試合』
それから僕達はいつの間にか眠ってしまっていた。
朝目が覚めると僕の横には当然のように岬が寝ていた。
もちろん変な事はしてないけど・・・とてもヤバい事をしてしまった
気がしたのは言うまでもない。
「岬、朝だよ!起きて朝食食べにいこう」
「うーん・・・朝ご飯?食べたくない」
「またそんな事言うの?」
「だってスッピンじゃ行けないもん!まだ寝ぼけた顔してるし・・
翼一人で食べて来てもいいよ。私起きて準備するから」
「わかったよ」
僕がベッドから立ち上がろうとすると、岬が横になったまま
手を差し出してきた。
「何?起こして欲しいの?」
「おはようのキスは?」
「ふざけた事言ってるとこのまま抱えて食堂に連れていくぞ!」
「ご、ごめんです」
知らない人が見れば恋人同士のじゃれあいにしか見えないだろうが
僕にとっては小悪魔のいたずらでしかなかった。
一人で食堂に行くと「あれ?岬ちゃんは?」とみんなに訊かれる。
「今起きて準備してます」と答えると「一人で来るなんて冷たいなぁ」
と言われまくる。
ちゃんと誘ってます!と叫びたかったが、笑ってごまかして
食事をとっとと済ませた。
食堂を出ようとしたら食事を終えた野村がまだ座っていたので
そばに行き小声で彼女の件を報告してから部屋へと戻った。
きっとコーヒー飲みたがると思い、途中自販機で買って部屋の
鍵を開けると、普段はきっちりと境界線のカーテンを閉めてるはずなのに
カーテンが閉まってなくて、ブラと下着だけの岬が無防備な後ろ姿で
スカートを履こうとしていて、戻ってきた僕に岬は気づいた。
「あ!ご、ごめん」
完璧に動揺した。
「きゃあ、見られた、翼のエッチ」
動揺する僕とは逆に棒読みで返事をしてきた。
「か、カーテン閉めるね」
僕が目を伏せてカーテンに手をかけると
「そのままで構わないよ」
「え?どうして?」
「だって・・・もう一緒に寝た仲だし・・・翼寝かせてくれないし」
「ちょ、ちょっと、一緒に寝たってほんとに寝ただけじゃないの。
寝かせてくれないってのもただ話をしていただけでしょ」
「そうだったかしら・・・なんか激しかった気がするなぁ・・・
私の夢だったのかしら?」
いたずらっぽく笑う彼女は明らかに僕をからかって楽しんでいるように
見える。
「そ、それよりも早く服着てくれないかな」
目をそらしていると
「翼になら着替え見られても構わないよ」
「だめ、だめ!着るまで外に出てるから」
僕は買ってきたコーヒーを置くと思わず部屋の外に出て廊下で大きく
深呼吸したが胸の鼓動が収まらなかった。
下着姿の白くて細い岬の身体が目に焼き付いて離れなかった。
あんな姿を毎日見せられたら・・同性だと解っていても我慢できる
だろうか?
僕と岬は学校へ行くとすぐに職員室に行き、担任の手塚に昨日の件を
報告した。手塚は岬に三人の顔を覚えているかどうか尋ねると写真とか
あれば判ると答えたが、僕は三人が解ればどうなるのかを手塚に
尋ねた。
「まあ、未遂とはいえ、あるまじき行為だから退学にはならないに
しろ、停学にはなるだろうな」
昼休みに進路指導室へ手塚に呼ばれ、生徒の顔写真を見せられて
三人の名前が判明したのだが、そこで岬が手塚に質問をした。
「この人達って部活とかしてるんですか?」
「三人とも二年だけど一年の時にそれぞれ陸上、野球、ハンドボールを
やってたみたいだけど辞めて今はどこの部にも入ってないみたいだ」
「そうですか」
と言って考えた後、岬は少し微笑んだ。
放課後、僕はサッカー部の練習に岬を連れていき、新入部員兼
マネージャーとして監督の井原と部員達に紹介した。
やはり彼女はすでに学校中で知れ渡っているので、他の部員達は
手放しで喜んでくれた。
当然彼女は部員とはいえ人数合わせの部員であり、本業はマネージャーと
なり練習はしないので、僕が練習している間何か井原と話していた。
主にマネージャーとしての仕事を聞いていたみたいだが、井原にとんでも
ない事を話していた。
それは自分を襲ってきた三人をサッカー部に入部させてほしいという事
だった。
中でも陸上と野球をやっていた二人は中学の頃、サッカーをやっていた
というのを井原から聞き、学校側は停学を検討してたらしいが岬はそれ
よりも入部させて自分のそばで反省させてほしいと提案したらしい。
数日後、三人は呼び出され、停学もしくは退学を覚悟していたら突然
サッカー部に入部するように言われ、目をシロクロさせていたらしいが、
初めて練習に顔を出してきた時、岬の姿を見て驚愕していたのは言うまでも
ない。
それから数週間が過ぎ、岬はサッカー部のマネージャーとしてまじめに
練習に顔を出していた。と言っても岬が用具を運んだり何か物を運んだり
しようとすると部員達、特に彼女を襲った三人が上級生でありながら
「重いから代わりにやるよ」と積極的に手伝い、完璧に下僕になっていた。
それと岬が入ってから監督が急にメンバーの配置を変えたりして部員は
戸惑っていたのだがそれが意外に的確にはまっていて、まさか彼女が
アドバイスしてると思わなかったが、守備力も攻撃力も格段に上がって
いったのは間違いなかった。
寮生活ではすでに入学式に取り付けた境界線のカーテンは取り外され
彼女が着替える度に僕は部屋の外に出るのが常識になっていた。
「着替えるね」とか言ってくれたらいいのだが、突然服を脱ぎ始めたり
してわざと僕の反応を楽しんでいるとしか思えなかった。
それと入学した頃は女性用の下着とかを見られたくないので寮の共同の
洗濯機が使えず、外のコインランドリーまで出かけていたけど最近は
普通に洗濯機を使うようになったまではいいのだが、その洗濯物を
堂々と部屋に干されると目のやり場に困ってしまう。
さらに彼女はあまりジャージというものを持っていなくて寮で着る
ものと体育の授業で着るものだけ。
「ねえ、翼ってジャージとかサッカーのユニフォームいっぱい持ってる
よね?」
「うん、持ってるよ」
「見せて」
僕は気に入った国やクラブのユニフォームを集めるのが好きで練習用
にしたり、特に気に入ったものは着ないで保存していた。
「すごい!いっぱい持ってるんだね」
岬が広げたり触ったものを僕はこれはどこどこの国のユニフォームで
と説明したのだが「そうなんだ」と言いながら楽しそうに見ていたと
思ったら「ねえ、着てみていい?」と言い出し、着ていたジャージを
いきなり脱ごうとしたので僕は慌てて後ろを向くはめになっていた。
岬は数枚とっかえひっかえ着替えてその度に「どう?」と訊いてきた。
僕は身長175cm弱、岬はたぶん160cmあるかどうかなので
サイズ的にはどう見ても彼女には大きいのだがそれがまた可愛い。
おまけに胸の膨らみがあってドキッとしてしまう。
「似合ってるよ」
「ほんと?じゃあこれとこれちょうだい」
「は?」
「部活の時に着てくから、ちょうだい」
「これはいいけど、これはお気に入りだから・・僕も着た事ない
やつなんだ」
「着ないなんて勿体ないよ!私が着てあげる!」
結局岬にユニフォーム三枚とハーフパンツ二枚を奪われてしまった。
翌日さっそく僕のお気に入りだった一枚とハーフパンツを履いて
髪をポニーテールにして部活に来た岬は最高に可愛いかった。




