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ハットトリック  作者: 北野 ソラ
11/26

第11試合 日曜日 初デート

   『第十一試合』



ゴールデンウイークが終わり、いつもの日常へ戻っていたが、

いつもの日常と少しだけ違っていたのは岬の体調だった。

体育の時間に気分が悪くなって保健室に行ったり、部活の途中で

体調悪くなり、僕が寮へ連れ帰ったりすることがあった。

お母さんが言ってたがやはりホルモンのバランスが崩れて、身体に

無理が生じているのかもしれない。

体育は男子と一緒ではなく、女子として授業を受けることを許可

されていたのだが、クラスの女子の話だとずっと動いていると

すぐに体調が悪くなっているみたいだった。

本人は意外にケロッとしていて「五月病かな?そうじゃなければ

いわゆる女子の生理みたいなものだよ」と言ってるが、明らかに

最近顔色はよくなかった。

部屋でいろいろ薬を飲んでいるのも知っている。

「無理して部活も出なくていいよ」と言っても「座って見てるから、

大丈夫だよ」と練習に参加していた。


そんなある日、監督の井原から待望の試合の話がでた。

近くの高校同士による3校対抗戦で、相手は僕が行く予定だった公立校と

某私立校で、公立校には中学の時一緒だったサッカー部員が多数いる。

去年も開催されたのだが、部員が揃ってなかった我が校は2チームに

大敗をしてるので、今年は謂わば雪辱戦だと先輩達は意気込んでいた。

しかし部員が揃ったとはいえメンバー14名、当然岬を抜くと13名、

交代要員は2人だけなので、一日で二試合をやるのはかなりキツイ。

監督からもくれぐれも怪我しないようにと忠告された。

とはいえ、試合ができるとなるとみんなの士気も高まり、練習に熱が

入るのは当たり前で、ほとんどの部員がどこかに生傷を作っていた。


とある日曜日、監督から今日は休息日にするということで練習も休みになり

久し振りにのんびりと身体を休めようと思い、朝食をすませベッドに横に

なっていると

「ねえ、買い物つきあって」

岬がベッドの淵に腰かけてきた。

「今日は一日寝る予定」

「せっかくの日曜でこんないい天気なのに若者がダラダラして青春を

 無駄に過ごしてたらダメ!」

岬は布団をまくってきて、僕の身体の上に馬乗りになり脇をくすぐってきた。

「わ、わかった!起きるから!」

くすぐられるよりも僕から取り上げたサッカーのユニフォームを

パジャマ代わりにして下は下着だけの姿で身体の上に乗られてると

下着が見えて、それはあまりに刺激的過ぎて寝てなどいられなかった。

「そ、それよりちゃんと下履いてよ」

「ふーん、私の下着が見たくないの」

「いつも着替えを見せられてるから見たくない」

「じゃあ裸は?」

「見たくない」

「つまんないの」

見たくないというか、先日も部屋のお風呂から岬がバスタオルだけを

巻いた姿で出てきた時は胸の小さな膨らみとバスタオルから見えそうで

見えないお尻とバスタオルから見える細い足にドキッツとさせられ、

男としては当然見たいけど、見るに見れないのが本音である。

実際四六時中岬と一緒に過ごしているともう女の子にしか見えなくて

下着姿とか見せられたり、ベッドに潜り込んでこられると僕の理性は

抑えられなくなってきていた。

男子寮ならまあ当然だけど部屋にグラビア雑誌なんかが持ち込まれて

いる。自分の家の部屋だとこっそりベッドの下とか机の引き出しに

隠してたりするものだが、寮の他の男子の部屋には隠すことなく堂々と

置いてあって、それを手に取ると「持っていっていいよ」と言われるが、

そんなグラビア雑誌を部屋で見てたら岬に何を言われるか解らない。

「何?翼はこんな娘が好きなの?」

「おっぱいが大きいのが好きなんだ、翼のエッチ!」

とか言いつつ、「そんなにおっぱい見たいのなら見せてあげるよ」と

いきなり服を脱いでしまうかもしれない。


「ほら、何ぼーっとしてるの、変な妄想してるんじゃないの?

 着替えて出かけるよ」

岬の声に思わず我に返った。


支度をすませ寮を出たのが午前10時過ぎ。

「買い物って何買うの?」

岬は少しメイクをして今日もミニスカートを履いていて、相変らず

可愛い。

「えーとね、スパイク」

ちょっと照れ臭そうだ。

「へ?スパイクってサッカーの?」

「そう」

「でもマネージャーだからスパイクなんて必要ないじゃない」

「監督さんがね、今度の対抗戦、出ないけどメンバー登録だけはして

 おくって。だからね、ユニフォームも支給してもらえるんだよ」

「そうなんだ、でもスパイク要る?」

「別にいいじゃん、形だけでもメンバーってことで」

ここんとこ、体調の悪かった岬の顔色がよく、嬉しそうにしているのは

僕も悪い気はしなかった。

「翼がいつも買っているスポーツ店ってどこなの?」

「そうだね、そこに行こうか、小さい店なんだけど店長がサッカー好きで

 ユニフォームもいっぱい買ったところだし、他にもいろいろ買ったり

 してたから割引とかおまけもしてくれるし」

「行こう!」

そのスポーツ店は岬の家とは反対方向に電車で約20分、商業施設が

多く立ち並ぶこの辺りでは繁華街の一つの商店街の中にあった。

電車を降り、目的地に向かう途中、岬はいろんな店で立ち止まった。

「ねえ、これ可愛い!」

「あ、美味しそう!」

どう見ても普通の女の子の行動だ。

「時間なくなっちゃうよ、早く行こうよ」

「だって~楽しいんだもん」

駅から10分もあれば行けるところに到着した時には1時間が経過

していた。

「こんにちは」

「いらっしゃい!赤井君久し振りだね」

「なかなか来れなくて、あ、今日はこの娘のスパイクを見に来ました」

岬がペコリとお辞儀をした。

店長は何も詮索せずにスパイクを出してくれて岬は何個か履いた後、

「これにする」と白いスパイクを買った。

「このブランドを選ぶなんてお嬢さんなかなか通だね」

「なんでこれにしたの?」

「だって可愛いから決めただけだけど」

決め手はそれだけか・・・

店長は少し値引きをしてくれ、おまけにシューズ入れをつけてくれた。

「ありがとうございました」

「またおいでよ」

岬は念願のスパイクを手に入れ、満足そうだった。


店を出ると岬が手を繋いできて、頬を少し赤らめて

言った。


「初デート、楽しいね」











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