6話 ギルドメンバーを募集したら…
「いや!本当なんだって」
シンは語る。古城で見たすべてを。しかし…
「そんな化け物みたいな人間がいるわけないだろ」
友人のカイはシンの話を信じてはいなかった。古城の話は知っていた。すでに何組ものパーティやソロプレイヤーが挑み、そのすべてが敗走したと聞いている。それを次々とモンスターを倒し、ボスすらもあっさり倒してしまうプレイヤーがいたなんて話は到底信じれなかった。
「俺だって最初は信じられなかったさ。目の前で何が起こってるのかさっぱり…」
シンが苦戦しながら倒した騎士を光の魔法らしき攻撃で瞬殺していくプレイヤーに驚き、後をつけるほどだったのだから…
「って、ああっ!」
シンが突然立ち上がり、はずみでテーブルにあった皿やコップが床に落ちて音を立てる。
「おい、急にどうしたんだ」
カイがシンに問う。
「見つけた」
「何が?」
「あのプレイヤーだ」
「あのって…まさか!?」
カイもシンが見つめる方向に目をやる。掲示板には多くの人が群がっており、誰かは判別できなかった。
「多すぎて誰か分からんぞ…」
「あいつだよ。あの黒いローブの男だ」
カイの視界が黒いローブの男を捉える。
「黒いローブって…。まさか、悪魔の聖者か!」
「悪魔の聖者…?」
「お前知らないのか?前回のイベント、ギルド攻防戦であの連爆の魔術師を下し、数あるギルドのトップに輝いたギルドが魔の手ってあいつのギルドだ。正直別格だよ」
そう。以前から様々な二つ名があったが、結局、アクマの二つ名は【悪魔の聖者】で落ち着いた。もちろん、アクマの知らないうちにだ。そして、2人がアクマを見ている事を彼は知らずに掲示板にギルドメンバー募集の広告を貼りつける。
『ギルドメンバー募集』
次回イベントを一緒にプレイできるメンバーを探しています。レベル30以上でやる気のあるプレイヤーの方、よろしくお願いします。
「こんなもんでいいかな」
アクマは掲示板に書き込んで、酒場を後にしようとしたところで2人組のプレイヤーに声をかけられた。
「あんた。ちょっといいか?」
「はい?」
シンがアクマに話しかける。
「昨日、古城ダンジョンに居ましたよね?俺、シンって言います」
確かに、アクマは古城ダンジョンに居たが、誰にも会わなかった。まさか目撃者がいるなんて思ってもみなかった。
「確かに行きましたけど…誰にも会わなかったと思ったのですが」
「実は、囲まれていた所をあなたの光が助けてくれたんです。そのお礼を言いたくて…」
「そうだったんですか…気づかずにすいません」
「それで、一つお願いがありまして…」
「はい?」
シンはアクマに頭を下げる。
「弟子にしてください!」
「「ええっ!?」」
アクマとシンの後ろにいたカイが同時に声を上げ、見事に重なった。
…
……
………
そして、アクマは2人を連れてギルドハウスに来ていた。そして、こうなった経緯をメンバーに説明する。
「はぁ…」
「なんというか、まぁ…」
「いいんじゃない?こっちとしてはメンバーが欲しかったし」
全員の反応があきらめたような反応だったのはなぜだろうか…?
こうしてシンとカイの2人が新たにギルドに加わることになり、次のイベント参加条件であるフルパーティを達成する事ができたのだった。
「じゃあ、2人の教育は任せたよ。お師匠さん|」
アインハルトの言葉に言い返すことはできず、明日から2人の教育が始まるのだった。
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