2話 新しいダンジョンに挑んだら…
遅くなりましたが、2話をお届けします。
アクマは1人、新しく実装されたフィールドを目指して進んでいた。魔法都市から西フィールドへ進み、小鳥や子犬などの可愛い系モンスターで構築されている。西フィールドを西へ西へと進み、古びた城に到着した。
新しく実装された古城ダンジョンだ。昨日実装されたこのダンジョンに足を踏み入れたプレイヤーは数多くいる。しかし、敵が強すぎて攻略が難しく、酒場にも情報がほとんど落ちてこなかった。一人で来たのは、視察も兼ねてだが、もちろん攻略する気できている。
古城ダンジョンに足を踏み入れる。攻城戦で見た事があるようなMAP配置に壁や装飾などすべてが古ぼけており、壊れた城壁にコケがついていた。
「あちこちぼろぼろなダンジョンだな…。さて、早速お出ましか」
入ってすぐにモンスターが現れた。【朽ちた兵士】が4体、剣を振りかざして襲い掛かってくる。
【神聖なる加護】
アクマに付与された加護が攻撃から彼を守る。
【パニッシュメントⅢ】
アクマが放つ光が兵士を襲う。もちろん一撃で兵士は倒れていく。兵士は剣や弓、槍で武装しており、遠距離から攻撃してくる敵もいた。しかし、アクマにダメージを入れる事ができるモンスターはおらず、敵を倒しながら進んでいく。
「これぐらいで強すぎるって事はないよな?」
すでにアクマが強すぎる次元なので、一般人視点ではこの兵士も強いのかもしれないが、それは分からない事だった。鑑定スキルでもあればモンスターのレベルぐらいは分かったのかもしれない。しかし、それはどうしようもない事なので、気にせず城内を進んでいく。思った通り、攻城戦で戦った城と同じ場所に2階への階段があった。
「さぁ、何が出るかな?」
アクマはゆっくり階段を上り、2階に入る。すぐに2階のモンスターと対峙する。馬に乗った黒衣の騎士モンスターは【朽ちた騎士】だった。
「兵士からクラスアップした感じかな?」
【パニッシュメントⅢ】
アクマは敵をパニッシュメントで倒そうとするが、HPを9割程削るだけに留まった。朽ちた騎士は次々と現れ、アクマを囲おうとする。しかし、アクマの最大の武器は無詠唱にある。パニッシュメントで弱った敵にホーリーライトで追撃して倒していく。
「確かにこれは強いな…。こいつ一撃で倒れないなんてな」
何度も言うが、アクマの魔法は特別だ。聖、火、水、風、地の属性が込められており、威力は単純計算で5倍になっている。所有スキルや装備の効果でさらに火力が上がっており、素のパニッシュメントとは比較できない程強力に仕上がっている。それでさえ一撃で倒せなかった…それがぞろぞろと沸いてくる。実際はすべてのモンスターにボス属性が付加されており、レベルもそれなりにあった。
「確かにこれは…」
(強すぎるんだろうな)
アクマは朽ちた騎士を倒しながら2階の道を、部屋をくまなく探索していく。そしてたどり着く2階大広間。さらにその奥、玉座の間に座るモンスターが見える。
「やっぱりここか…」
大広間の両端に控える朽ちた騎士に似たモンスター達…
アクマが大広間に足を踏み入れると一斉に動き出し、アクマを襲う。朽ちた騎士よりも頑強な鎧を身に纏い、騎馬も馬鎧を着用している【深淵騎士】だ。その数10体!
パニッシュメントでも落とせないのが分かっている以上、こういう時に使うスキルは決まっている――
【神聖なる閃光】
アクマのMPをすべて消費し、閃光が深淵騎士を呑み込む。魔法抵抗力《RES>》を無視した攻撃は800万を超えるダメージをたたき出し、大広間に居たモンスターを全滅させた。
残るは――
玉座の間でアクマを待つ【古代王アレクサンダー】ただ1人だ。
アクマはMPの回復を待つつもりだったが、そうはいかなかった。
【万雷】
アレクサンダーが召喚した球体から雷が降り注ぐ。
「これは…!」
(ペトロナスと同じ万雷!?)
降り注ぐ雷がアクマのHPを容赦なく削ってくる。
【神聖なる加護】
【ヒールⅩ】
秘湯巡りで回復したMPを駆使して、アクマは生き延びる。大広間からではアクマの攻撃は届かない上に、アレクサンダーは攻撃し放題という不利な状況になる。さらに、回復を待とうとしても攻撃の手が止まない。
【飛雷】
雷の攻撃は視認してから回避したのでは間に合わず、アクマはダメージを受ける。すぐさまヒールでHPを回復する。神聖なる閃光でMPをすべて使ったのが痛手となり、防戦が続くが、300/秒回復するMPを節約し、少しづつ余裕が出て来る。玉座の間まで接近したアクマはついに攻撃に出た。
【パニッシュメントⅢ】
アクマの攻撃がアレクサンダーのHPを削る。2発のパニッシュメントでやっと1割削る事ができた。
「堅いのか、HPが多いのか…」
アクマは防戦しつつ、少しずつパニッシュメントでダメージを与える。アレクサンダーのHPがイエローゾーンに入る手前…
「ここだ!」
【神聖なる閃光】
半分程回復したMPを全て消費して放つ閃光にアレクサンダーが呑まれていく。
【名将を討伐しました。あなたが最優秀貢献者です。】
【特別経験値を獲得しました。】
【特別褒賞を手に入れました。】
《古代王の王冠UR》Head ◇◇◇◇
DEF40 INT+20 DEX+20 魔法攻撃で与えるダメージ+20%
《地下室の鍵》
「んっ!?」
「地下室…?」
王座の間の後ろに地下へ続くであろうらせん階段が顔を覗かせていた。
「これは…進めって事だよな?」
アクマは長い螺旋階段を下って地下を目指していく。
次回は4月3日、ギルド強化編『古城の地下に進んでみたら…』をお届けします。
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