12話 ギルド対抗戦に向けて準備をしたら…
突然ですが、創立編最終話になります。次回からは攻城戦編をお届けいたします。
「アクマさん遅いです!」
アクマがようやく酒場についた時には午後6時を回っていた。
「ごめんごめん。ハーバートまで行ってたから帰りに時間かかっちゃって」
ハーバートからプリンス王国までは飛行船で45分かかるのだ。アクマは一応メッセージを返して向かったが、1時間以上待たせる事になってしまった。その間にレンと蒼は落ちている。今残っているのはアミと心愛だった。
「それで。レベリングはどうだった?」
「それがですね。ワイトに襲われたせいもあって、無事に40になりました」
心愛が答える。ワイトは初耳だったが、アミから不死鳥を使わされたと聞き、相当な相手だったんだと予想がつく。
「僕は海に行ってきたんだ。手に入れた装備は明日強化して皆に渡すね」
「そんな。そこまでしなくても平気ですよ。一応、お金はたくさんありますから自分で揃えられると思います」
心愛がそう答えた。
「うん。でも貴重な装備は出回ったりしないし、もし出回ってても高額になる可能性が高い。気にするなら今回は貸しって事にして、装備が整ったら返してくれればいいから」
「分かりました。それならそうしますね」
「アミのはぁ?」
「アミはかなり装備揃ってただろ?」
「アミも新しいの欲しいもん」
アミがいつもの膨れ顔になりながら言う。
「しょうがないな。確かにアミが要だからしょうがないか」
「やった!」
「アミさんもあまりアクマさんに負担かけちゃだめですよ」
「はーい!」
心愛にクギをさされるも、"元気"にアミが答える。本当に分かっているのやら…。
「それと、アクマさん」
心愛が話しかけてくる。
「どうしたの?」
「えっと。来週のイベント告知が出てるみたいです」
心愛がお知らせ板を指して言う。
「分かった。見てくるね」
アクマはお知らせ板に向かった。
【ギルド対抗戦について】15:00 運営開発チーム
開催日時:5月1日~5月7日 各日20時~21時
今回のギルド対抗戦は攻城戦を予定しています。報酬も豪華な物を準備していますので奮ってご参加下さい。
「攻城戦かぁ」
アクマは席に戻って来て呟く。それに心愛が反応する。
「私たちには不利かもしれませんね」
「不利かどうかは分からないぞ?」
1人の男性がそこに現れる。
「アインハルト!」
アミが駆け寄るその男は、我らがもう1人のメンバーアインハルトだった。
「アクマ。キミのくれた情報のおかげでやっと見つけることができた」
「まさか!」
「そのまさかだよ。さすがにアレをソロってのはかなりきつかったけどな」
アインハルトはエクストラジョブである賢者にクラスチェンジして帰って来た。
「これでエクストラクラスを持ってるのが2人になったからな。少数精鋭と行こうぜ」
「僕たちが勝利を掴み取るよ」
アクマが乗ってくる。
「私もエクストラ欲しい!」
やはり、この女は変わらない。だが、それでこそアミだ。
「エクストラジョブは職業ダンジョンをソロでクリアするとクラスアップのクエストを受けられるようになる」
「そうなんだ。アミもやってみるね」
そう言うとアミは走って酒場を出て行き、本日は解散となった。
◆
翌日、アクマはフォートレスで1人強化祭をしていた。心愛、レン、蒼はそれぞれ転職試験に行き、アミはあれから姿を見せない。アインハルトは自分の装備を集めているようだ。彼のポリシーで自分の物は自分で揃えるそうだ。なので、1人になったアクマは装備強化に来ていた。魔鉱石は前回の探索で大量に入手していた。鉱山王と採掘王のスキルで良い魔鉱石もかなりの数が入手できていた。最低でも強化値をⅧまで強化できる。
強化を終えたアクマは足りない部分を露店で購入し、先に酒場に戻った。待つことしばらくして、3人とも無事にクラスアップして戻ってっ来くる。装備を渡し、3人の準備はほとんど終わった。あとは各々が新しいスキルの試し撃ちやスキルレベルの訓練を行っている。
夕方になり、アミが帰ってきた。
「もうへとへとだよぉ」
「どうだった?」
アクマが尋ねる。
「なかなか手ごわくて、10回はやり直したよ」
エクストラジョブ神聖騎士を手に入れていた。こうして全員の準備が整い、明日からのギルド対抗戦に臨む事になる。
次回、攻城戦編 第1話『ギルド対抗戦が始まったら…』は3月15日0時に更新予定です。
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