1話 ギルドについて相談したら…
今日はメンテナンスの日なので、琢磨は遅めの朝食を済ませている。時刻は11時を回った所だ。メンテナンスは15時までの予定なので、まだまだ時間はある。琢磨はパソコンから公式ホームページにアクセスし、今回のメンテナンス情報を確認する。
【メンテナンス内容】
・レイドボスチャレンジ終了
・レイドボスチャレンジ結果発表
・レイドボスチャレンジ報酬配布
・EXチケット交換所の実装
・ギルドシステムの実装
・記念ガチャの実装
メンテナンスが終了し、琢磨はゲームにログインする。すると、運営からのメッセージが届いていた。
『レイドボスチャレンジの結果と報酬について』
今回のレイドボスチャレンジの結果、あなたのパーティは"2位"になりましたので報酬を贈ります。
アクマは同封されていた報酬を受け取る。
《夢が詰まったカード手帳》
《EXチケット》×3
EXチケットはイベント中のMVP報酬でも入手しており、全部で32枚になっている。今日からアイテムや装備と交換できるので、今から楽しみだ。しかし、今は何の情報もなく、どこで何ができるか分からない。そのため、情報を仕入れに酒場に行き、運営からのお知らせ掲示板を確認する。
【ギルドシステムについて】運営サービス開発部 15:00
ギルド結成には特定のアイテムが必要になります。アイテムはEXチケットと交換が可能になり、ギルド結成は商業都市ハーバートにあるハーバード協会で行えます。
【アイテム交換係の配置について】運営サービス開発部 15:00
EXチケット及び、記念メダルを使用したアイテムの交換はプリンス銀行の特別窓口で行えます。
つまり、ギルドを作る前にまずは銀行に行ってアイテムを手に入れる必要があるようだ。アクマは酒場を出ると、南に進んでいく。
プリンス銀行に入ると、すぐに特別窓口が分かった。
なぜかって…?
すでに、特別窓口に並ぶ行列があったのだ。アクマも仕方なく、その列に並ぶ。
しばらくしてアクマの順番になった。まず、交換リストを確認する。
【EXチケット交換:装備】
EXチケット10枚→《天叢雲剣RE》Main
EXチケット10枚→《八岐大蛇の外殻UR》Back
EXチケット5枚→《大海の杖RE》Main
EXチケット5枚→《大烏賊の足SSR》Foot
EXチケット2枚→《鬼面武者の鎧SR》Body
EXチケット2枚→《鬼面武者の兜SR》Head
EXチケット1枚→《レイド記念リングR》Accessory
【EXチケット交換:アイテム】
EXチケット10枚→《Ⅹチケット》
EXチケット5枚→《高純度魔鉱石》×5
EXチケット3枚→《ギルド申請書》
EXチケット1枚→《正式サービス記念メダル》×10
【記念メダル交換】
正式サービス記念メダル100枚→《記念ガチャチケットEX》×11
正式サービス記念メダル10枚→《記念ガチャチケットEX》
そして、隣の列は記念ガチャに向かって伸びていた…。
アクマはとりあえず《Ⅹチケット》を2枚と《ギルド申請書》1枚を交換で手に入れる。Ⅹチケットは強化の際、ドワーフに渡すとⅩに強化してくれるアイテムだ。使い道は多いだろう。記念メダルも他の使い道がなさそうなので、260枚分をすべてガチャチケットに交換した。28枚の記念ガチャチケットEXを持って隣の並ぶ。ラインナップの表示はなかったが、引いて行く人の様子を見ているとかなりいいモノが手に入るようだった。
1時間程かかってやっとアクマの番になる。
『ガチャガチャ、ガコン!』
《高純度鉱石》
《SR衣装箱》
《SR衣装箱》
《スキルガチャチケット》
《カード手帳》
《不死鳥の尾羽》
《SR武器箱》
《UR衣装箱》
《スキルガチャチケット》
10連ガチャを引いて並び直しと言われたので、そこでやめた。銀行から出ると、露店が復活していたので、見ながら酒場に向かう。メンテナンスで露店がキャンセルされ、ログインしたプレイヤーが再設定する事で、露店が復活したのだ。
まだ、露店の数も少なく、めぼしいものはなかった。噴水広場に差しかかると
「そうくん…どこぉ?ひっく」
泣いているプレイヤーがいた。背は低く、少女のような見た目をしている。
「どうかしましたか?僕で良ければお手伝いしますよ」
アクマは少女に声をかけた。
「あっ!?えっ、えっと。人を探してるだけなんです。今日から始めて、どこにいるか分からなくて…」
「そういう事なら。お友達の職業とか分かるかな?」
「えっ、えっと…学生です。中学生!」
ちょっと待てーい!それは聞いてないよ?いや、聞いたのはゲームの職業だからね?心の声が1人で突っ込む…
「違っ、このゲームの職業だよ」
「あっ!ごめんなさい。それは分からなくて…」
アクマは少女の装備を見ると、メイスを提げていたため、プリーストだと分かる。つまり、プリースト以外の職業だな。
「とりあえず、他の初期位置を回ってみようか」
アクマと少女は魔法学校、騎士団、弓道場と各職業の初期スポーン地点を回っていく。それは、弓道場から出ようとした時だった。
アクマは何者かに後ろから殴られ、気を失った…。
「レン!大丈夫か?逃げるぞっ」
「そ、蒼くん!?大丈夫だよ。その、この人に助けてもらったから…」
レンは2人の前に倒れている人物を見て話す。
「まじ?」
蒼くんと言われた少年は過ちを悔いたが、時すでに遅し…。2人はアクマが起きるまで待つことになった。
…
……
「んっ」
アクマが目を覚ます。何をしてたんだっけ…?
「あっ。気が付きました!」
アクマに気づいた少女が声をあげる。蒼と呼ばれた少年が寄ってきて謝る。
「ごめんなさい。レンを助けてくれたとは知らず、いきなり失礼な事をしました」
「あ、うん。気にしないで」
アクマが答える。すでに暗くなってきていたので、3人は酒場に移動する。最初に声をかけた少女はレン、そして、彼女の連れである少年はハンターの蒼と名乗った。アクマも自己紹介を済ませる。この世界の事について、アクマが教えられる事を教えていく。
「あれ?アクマじゃん」
そこにカナデが声をかけてくる。カナデも前衛としてレベルが上がっており、レイドボスではクラーケインを凌ぐまでに成長していた。
「あとで流華達も来るけど。ギルドどうすんだ?」
「ん。流華達と相談して決めようと思ってるよ。一応《ギルド申請書》は手に入れてある」
「そうか。じゃあまた後でな」
カナデは去っていく。レンと蒼は何か分からずに聞いていた。それから2人としばらく話し、夕食の時間があるそうで、2人はログアウトしていく。
夜になると流華達もログインし、レイドボスを戦った2パーティの面々が揃った。そして、早速本題に入る。
「ギルドについてなんだけど、流華さんやアミさん達と一緒に組めたらいいかなって思ってるんだけど、皆の意見はどうかな?」
アクマが皆に提案する。
「私は別にいいよ」
「別に異論はない」
と答えるのはアミとアインハルトだ。
「私は…。いえ、私たちは今回、アクマくんとは別のギルドを立ち上げようと思ってるの」
流華がそう切り出す。すでに赤羽、白羽、ラッシュ、カナデはそれに同意していた。
まさかの展開に唖然となるアクマは言葉に詰まる。
「えっ…、それはどういう事?」
ようやく出た言葉は少し震えていた。
今回からギルド創立編になります。流華達から孤立を宣言されたアクマ…。これからどうなるのでしょうか…。
ギルド創立編 第2話『ギルドメンバーを募集しようとしたら…』は3月4日更新予定です。
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