2話 レイドボスに挑戦したら…
アクマ達は酒場からイベント会場に転送される。アクマ達に続いて流華達も転送されてくる。おそらく、続いて転移陣に乗ったからだろう。アクマ達以外にもパーティーがいる。それぞれ、役割の確認や戦闘の準備をしている。
アクマ達は役割を決めて参加しているので、それぞれの準備をする。アクマは杖を取り出し、スロットにカードを挿しておく。ウンディーネカードだ。《水流の悪魔の杖Ⅴ》に名称が変化する。
人数が揃ったのか、会場が草原のフィールドに変化する。
フィールド上にウィンドウが現れ、『ボス出現まであと60秒』と表示される。カウントを見ながら、アクマ達も配置についた。前衛にアミ、後衛にアインハルトと赤羽、そして中間にアクマだ。アクマはいざというときにアミと代われるようにしてある。
アミ[1442/1442]
アインハルト[420/420]
赤羽[480/480]
アクマ[3534/3534]
レイドボス中はHPバーだけでなく、お互いのHPが数字で表示されているようになってる。アクマのHPはどうみても前衛以上のHPだったからだ。
カウントがゼロになり、空中に真っ黒な渦が現れる。その中から戦国時代の赤い鎧を着た鬼面のモンスターが降って来た。
【鬼面武者Lv50】HP810,000
名前とHPが表示されている。
その姿に臆する者も居た。鬼面武者は剣を構えると、他のパーティーに向かって斬り込んでいく。タンクが機能しなかったのか、次々と斬り倒されていく。
「チャンスだぞ!」
シロハネの声に反応し、アクマ達も攻撃を開始する。
【ホーリーライトⅤ】
【メガファイアⅢ】
【ファイアⅡ】
【ダブルシューティングⅡ】
各々がスキルを発動し、鬼面武者のHPを削っていく。もちろん、ダメージを受けた鬼面武者はこちらに向かってくる。
【シールドⅣ】
ガキーーィン!
アミの盾が鬼面武者の攻撃を弾く。アクマ達はその隙に1発、2発と魔法を撃ち込んだ。攻撃を弾かれた不自然な体勢から攻撃を受けた鬼面武者は仰向けに倒れる。また隙が生まれた事で、他のパーティーも攻撃に参加する。鬼面武者のHPは9割を割った。鬼面武者は倒れたままの体勢から…
【ローリング・ブレイドⅤ】
スキルを放った。前衛で攻撃していたプレイヤーを横薙ぎにし、ダメージを与える。一撃で倒れた者もいたが、アミは無事だった。鬼面武者が立ち上がり、カナデを狙った。
【シールドⅠ】
ガキーーィン!と音を立て、カナデが攻撃を弾く。そこに魔法が炸裂する。すでに何人かの盾は倒れており、攻撃を弾いているタンクは6人になっていた。
鬼面武者のHPが8割を切る。
【炎之太刀】
炎を纏った刀が横薙ぎに放たれる。
タンクは盾で弾こうとシールドを発動する。
しかし、炎を纏った刀は弾かれる事なく進む。タンクをなぎ倒しながら…
魔法ダメージも追加されており、ほとんどのタンクが倒れた。アミもHPがイエローゾーンまで持って行かれたが、なんとか凌いでいた。
カナデは予期してか、後退していた。残ったタンクは3名になる。
【氷之太刀】
鬼面武者が刀を振り、振った先の地面から氷のトゲが現れる。
「っと!?」
射線上にいたアクマは飛んで避ける。鬼面武者はすでにアミ達タンクを攻撃していた。
アミ達が耐えている間に攻撃を続けてHPはイエローゾーンまで削れた。すでにタンクがやられたパーティーは壊滅していた。
【爆炎之太刀】
先程より強力な炎がフィールド全体を駆ける。タンク3人は耐えていたが、残ったメンバーも炎のダメージを受け、倒れた者が数人いた。流華のパーティーからはラッシュが脱落した。ほとんどのメンバーがレッドゾーンになっている。
(次が来るとまずい!)
「後衛は1ヶ所に固まって!」
アクマが叫び、アカハネ、シロハネ、アインハルトが従う。それを見た他のメンバーも集まる。
【エリアヒールⅠ】
地面が明るく光り、集まった全員を回復する。
「後衛の回復は任せて下さい。残ったヒーラーさんはタンクの回復をお願いします」
タンクはそれぞれのパーティーのヒーラーが回復し、アクマは攻撃に徹する。範囲攻撃後はアクマが後衛を回復する。前衛陣もなかなか崩れず、鬼面武者を足止めできているため、攻撃も順調だ。
鬼面武者のHPがついにレッドゾーンに突入した。
【紅蓮無双】
炎を纏った強撃がアミを襲う。6連撃にアミは圧され、HPが減っていく。5連撃までで、アミのHPはレッドゾーンまで削られた。
6連撃目がアミに迫る…。
カナデがアミを突き飛ばし、最後の一撃を受けた。
カナデは一撃で倒れていく。
カナデを倒した鬼面武者はそのままアミに向かう。赤羽がヒールで回復する。
【紅蓮無双】
6連撃にアミは耐えられない。目を閉じてその時を待つ…
…
……
しかし、いつになってもその時は訪れなかった。
アクマがアミを庇って攻撃を受ける。しかし、アクマは倒れない。紅蓮無双は一部のダメージが防御貫通ダメージになっていたが、アクマのHPはギリギリイエローゾーンに届かない。
後衛からの援護もあり、2発、3発とホーリーライトを撃ち込むと、鬼面武者は倒れた。
【鬼面武者討伐完了!】
討伐ボーナス:150pt
MVP:アクマ100pt
総防御回数:ガルド50pt
総回復量:流華50pt
総与ダメージ:アクマ50pt
『討伐ボーナス経験値を入手しました』
『あなたがMVPです。特別経験値及び特別報酬を入手しました』
『総与ダメージはあなたがトップでした。特別経験値及び特別報酬を入手しました』
アクマのレベルが4上がり、所持金が増える。それと、記念メダルが5枚とEXチケットが1枚手に入った。
出口の転移陣が出現する。
「うちのメンバーの回復助かったぜ。ありがとう。あんたは強いな」
最後のタンクだったガルドが声をかけて来た。アクマは首を横に振る。
「いえ。皆さんのおかげで攻略出来ましたし、こちらこそ助かりました」
「謙遜しなくてもいい。俺はガルドだ。また一緒になる事があればよろしくな」
ガルドはそう言ってメンバーの元へ行き、転移陣に向かって行った。
「チートね」
「チートですね」
「チートだな」
赤羽、白羽、流華が口を揃えて言う。
「そんな事ないよ…ねぇ?」
アクマはアミとアインハルトに助けを求める。
「えっ?うーん…私より硬いしなぁ…」
「いや…DPSより火力出過ぎだろ…」
どうやら同意は得られそうになかった…。
主人公がすでにラスボス化してそうな感じですが(笑)
レイドボス編 第3話『2戦目に突入したら…』は2月22日0時更新予定です。