モンスターと戦ってみたら…
ブックマークして頂きありがとうございます!
引き続き読んで頂けてる事に感謝しながら投稿を続けて参ります。
今回は予定した通り、戦闘シーンにも触れていきます。
お楽しみ頂ければ幸いです。
結局、宿屋では何の情報も得られなかった。
道具屋や武具屋は初心者用の物があるのでしばらく不要だし、先程の連中の事もある。酒場で変なプレイヤーに絡まれるのも避けたい。そう考えたアクマは南に向かって街を散策するのであった。
噴水から南側の大通りは、プレイヤーの経営する露店街になっていた。所持金も少ないし、そのうち覗きに来よう。そう思うと、露店街を素通りして進んで行く。
南門付近には商人組合があった。良い情報が聞けるかもしれない。アクマは商人組合に立ち寄る事にした。商人組合の中はいくつかのテーブルとカウンターがあった。カウンターでは5000Cで自分そっくりの商人トークンを作成できるようになっていた。そのトークンを利用すれば街中で露店を開ける仕組みのようだ。アクマには所持金も足りないし、露店で売るものもない。他には何人かのNPCがいるだけで、収穫はなかった。アクマはそのまま商人組合を後にする。
南に進むとすぐ南門があり、外は草原らしきフィールドになっていた。
「このゲームにはどんなモンスターがいるのかな?ちょっと覗いてみようか」
アクマは南門から出て、草原フィールドに足を踏み入れる。草原にはRPGではお馴染みのスライム型のモンスターがいた。緑色の外見をしたスライムは、アクティブモンスターではないようで、向こうから襲ってくる気配はない。アクマはゆっくりスライムに近づき、手にしたメイスで攻撃する。スライムにダメージエフェクトが表示され、スライムの上にHPバーが表示される。スライムのHPはアクマの一撃でレッドゾーンまで減っていた。
「ダメージを与えるとHPバーが表示されるのか。しかし、一撃でこれほどとは…。このスライム弱いな。っと!?」
アクマがそう呟いていると、スライムがアクマめがけて体当たりを仕掛けて来た。スライムの攻撃でアクマもダメージを受ける。HPを確認すると、1しか減少していなかった。
「これなら攻撃を受けても平気だね」
スライムに攻撃を加え、スライムのHPバーが0になる。そして、スライムは光の粒子となって消えていく。スライムの居た場所にはクレジットが落ちていた。それを拾い上げたアクマは、次々とスライムを攻撃し、光の粒子に変えていく。5匹目のスライムを倒すと自分の身体が光り、レベルが上がった。そのまま勢いで草原を駆け、スライムを狩り続けた。さらにレベルが上がり、草原の端に木々がを生い茂る川を見つけた。川の畔にもスライムがいた。その中にスライムより10倍程大きい巨大なスライムが1匹混ざっていた。
「でかっ。あれもスライムなのか…。レアモンスター?ボスモンスター?なのかな?倒せるか?」
自分のHPバーを確認する。先程のレベルアップでHPは回復していた。アクマは川の方へ進み、巨大なスライムにメイスを突き出した。巨大スライムのHPバーが表示され、1割近く減少した。
「っと。なかなか硬いな。だが…」
行けるか?と思った矢先、巨大スライムの反撃がアクマを襲った。
「痛っ!?」
満タンあったHPバーは一気にイエローゾーンまで削られていた。この時、スキル習得のメッセージが表示されたが確認するより先にスライムが攻撃してくる。
「ちょっ!?マジかよ!」
続く2発目の攻撃をかろうじて避けたアクマは巨大スライムから逃げ出した。移動速度はシューズのバフが効いており、スライムより足は速かった。また、巨大スライムには行動範囲が設定されているらしく、草原までは追っては来なかった。アクマはそのまま街まで逃げ帰るのであった。
街に帰ったアクマは初心者用ポーションを飲み、HPを回復する。ステータス画面を開くとレベル3にアップし、ステータスポイントも20増えていた。とりあえずINTに振る。さらに、スキル習得の表示が出た事を思い出し、スキルを表示する。
[プロテクションⅠ]消費MP20 詠唱2sec
60秒間、対象のDEFを20上昇させる。
習得条件:一撃でMHP50%以上のダメージを受け、生存する。
「うーん。バフスキルみたいだな。プリーストなんだからこう、ヒールとかホーリー的なスキルを覚えて欲しいよな。いや、習得条件があるって事は何かしらやってみないとダメか。」
とりあえず、南門から中央に向かって歩いていく。中央の噴水広場には先程よりも人が増えていた。初心者用装備がほとんどだが、時折違う装備の人もいた。噴水前には、紫と白が基調のローブに白の手袋と靴を身に付けた女性が立っていた。見た目的にプリーストだと直感したアクマはその女性に近づき声をかけた。
「あの、すいません。プリーストの方ですか?」
「そうだけどダメよ。私はもうパーティー組んでるからね」
女性はうんざりする程勧誘を受けており、何度もそうしてきたように断りの返事をする。アクマは自分の発言が勧誘に取られたと気付き訂正する。
「いえ、そうではなくて…。プリーストについて知りたいんです!」
「プリースト?あら、あなたもプリーストなのね!勧誘かと思っちゃって。ごめんなさいね。プリーストは数が少ないみたいで重宝されるのよ。それで、何が知りたいのかな?」
アクマは自分がプリーストとなった経緯を思い出し、抽選でプリーストにされるぐらいだからなぁと苦笑いする。そして、知りたかったスキルの習得方法について尋ねる。
「ヒールは大聖堂のゾンビを倒すと手に入るよ。ホーリーみたいなのはごめんなさい。私も分からないの。他には酒場の掲示板に情報が出てるのがいくつかあったから参考にするといいよ」
そう言って女性はパーティーメンバーを見かけたのか、軽く挨拶をしてそちらに合流していった。酒場の掲示板か…。アクマはまたしても未成年という壁にぶつかるのであった。
「考えても仕方ない。まずはゾンビを倒してヒールを手に入れよう。回復がないとパーティーにも入れてくれないだろうし」
そうして、アクマは大聖堂奥の初級ダンジョンへと向かうのだった。
どうだったでしょうか。スライムとて油断はできないですよね。ボスモンスターは各フィールドに配置していきます。また、登場したモンスターの設定も紹介していきます。さて、今回はこの辺で。次回はゾンビと戦います。
第4話「ゾンビを倒してみたら…」は2月2日0時更新予定です。
ではまたお会いしましょう。
【HPバーにおけるゾーン分けについて】
グリーンゾーン→HP51%~100%
イエローゾーン→HP11%~50%
レッドゾーン→HP1%~10%
【登場モンスター設定】
グリーンスライム
HP50 ATK20 DEF0
グリーンメガスライム(BOSS)
HP500 ATK200 DEF0
スキル
[???]HP50%以下
[???]HP10%以下