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【番外編】アミとアインハルトは…

時はテスト時代にさかのぼる。


アミは幼い頃に両親と死に別れ、祖父母と共に生活をしていた。中学、高校と親がいない事で学校は不登校がちになり、友人は少なかった。オンラインゲームに出会ったのもその頃だった。今回のテスターの事も祖父母にこれ以上迷惑をかけたくないと思い、応募したのだ。結果は選考を通過し、見事テスターになる事ができた。相方のアインハルトも他のゲームからの友人で同じくテスターになれた。


テスト初日、アミは不安と希望を抱いてテストワールドにログインしたのだ。分からない事も多く、とりあえず、前のゲームと同じステータスにし、騎士ナイトとなった。すぐにアインハルトを見つける事ができ、2人で冒険を繰り返していた。


2日目、狩りを終え、酒場でアインハルトと話していた。


「そろそろポーションの残りも少ないし、プリーストの仲間も考えないとな」


「でも、初めての人って怖いし…」


アインハルトが勧めるが、アミは渋っていた。結局、何も決まらないままその日は解散する。


1人になったアミは考える。


アミのステータスでは無傷で耐えられる敵は少ない。アインハルトの火力は低い訳ではないが、タンクというポジションである以上、必然的にポーションが必要になるのだ。


「はぁ。私もヒールが使えたらなぁ」


しかし、使えないものはしょうがないのだ。


翌日、アミとアインハルトは酒場で落ち合う。デイリークエストはゾンビ、週間のアーマーもクリアしていない。プリーストがいないと大聖堂には行けないのだ。


2人で話していると、1人のプリーストがパーティー募集を始める。見る人見る人、その人を避けているようだった。


「アインさん。あの人は?」


「ああ。昨日何かトラブルを起こしたらしいね。噂してる奴等がいたよ」


「そっか。悪い人には見えないけどね」


「火のないところに煙は立たない。やめといたら?」


「でも可哀想だよ?」


「アミがどうしてもって言うなら組んでもいいよ」


「ほんと?じゃあ一緒にゾンビ狩りに行こう」


そうしてアクマに声をかけた。狩りに行った結果、何で噂されているのか分からないぐらい普通だった。


(この人なら怖くないし、大丈夫かも)


アミはアクマとフレンドになった。


翌日、アミは酒場でアインハルトと話していた。


「もうすぐレベル10に上がる。敵もどんどん強くなるし、そろそろ装備も揃えて行かないとな」


アインハルトにそう言われる。アミがダイブしていない間もアインハルトは1人でダイブしている時がある。アインハルトはいくつか装備も持っている。


手始めに情報掲示板で装備に関する情報を集めてみる。そこでアーマーゾンビの鎧が目に留まる。


「これって昨日のだよね?簡単に倒せるからこれにしようよ」


アミがアインハルトに言う。


「プリーストがいないと入れないだろうが」


アインハルトが返す。


「えっと…。じゃあアクマさんにメッセージしとくね。返事があるまで他の装備も探しに行こうよ」


こうしてアクマは「助けて」と書かれたメッセージを受け取る事になったのである。


返事があるまでは、アインハルトと他の情報にあったモンスターを倒していた。アクマから返事があったので、酒場に戻る。2人で大聖堂に狩に行くもドロップは落ちなかった。アクマが話があるというのでついて行くと…


なんと装備をくれたのだ…。しかも高価な…。


アミは嬉しかった。と同時になにかお返しをしたいと思った。アインハルトに相談してみよう。そう思うのであった。


翌日、アミはアインハルトに相談していた。


「こんなのもらっちゃったんだけど…」


装備を見たアインハルトはしばらく固まった後、アドバイスをくれる。


「もしお返しするならそれ以上の装備かカードがいいかな…。アイツはヒーラーだから回復系がいいんじゃないかな」


「いい物落とす敵いないかなぁ」


こうしてアミはアインハルトとお礼探しの旅に出るのだった。


正式サービス開始後もアミとアインハルトの旅は続いている。アクマのお礼探しのため、アクマに声をかけるわけにもいかず、レアドロップがあった時の分配にも困るので2人だけで探し回っていた。幸い、アクマにもらった装備のおかげで、多少無理してもダメージは余り受けなかった。


ある時、森にいる精霊の装備かカードがすごい効果だと聞き、2人はそれを狩っていた。


4月16日の夕暮れ時、ついにそれは手に入った。


【ウィルオウィスプカードSR】Accessory

INT+5 プリースト系が装備するとヒール系の回復量+10%、聖属性魔法で与えるダメージ+10%


「これでアクマさんにお礼ができる!アインさんも付き合ってくれてありがとう」


「アミに良くしてくれたからな。俺もお礼したかったし、平気だよ」


アインハルトはそう答える。


アミは嬉しそうにカードを握りしめ、アクマにメッセージを送るのだった。


2人はまだ知らなかった。明日からのレイドボスチャレンジのイベントを…。


そして、そこで起こる波乱の物語を…。

今回はアミ視点で少し書きました。次回からレイドボス編に入っていきます。


レイドボス編 第1話『レイドパーティを結成したら…』は2月20日0時更新予定です。

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