11話 土日ガチャしてみたら…
昨日出会った女性が気になった琢磨は、なかなか寝付けず、起きた時には昼を回っていた。
昼食と言う名の朝食を摂り、VR室に向かう。
アクマはまず、酒場に向かう。今日は土曜日だ。土日のログインガチャは一味違う!
【ログインガチャ】土日限定!1日1回まで。
豪華ラインナップ
★★★★★
《プリンスロッドUR》《プリンスソードUR》《プリンスメイスUR》《プリンスボウUR》《夢が詰まったカード手帳》
★★★★
《カード手帳》《高純度魔鉱石×3》《SSR武器箱》《SSR衣装箱》《《300,000G》
★★★
《SR武器箱》《SR衣装箱》《純魔鉱石×3》《R武器箱》《R衣装箱》《50,000G》
★★
《UC武器箱》《UC衣装箱》《真魔鉱石×3》《特級ポーション×10》《特級マナポーション×5》《10,000G》
★
《正式サービス記念メダル》
そう!ワンランク上のレアリティが出現し、レアの出現確率もアップするのだ。ハズレ枠の★1つですらメダルがもらえる。
土日で人数も多く、酒場は大にぎわいだった。例のごとくガチャには大行列ができている。
アクマは嫌がりながらも列に並び、順番を待つ。そしてついにアクマの番になる。
ドキドキしながらガチャを回す。
『ガチャガチャ!ガコンッ!』
中から金色のカプセルが出てきた…。
それを取り出すと
「「おおー!!」」
と歓声が上がった。レア度でカプセルの色が違う。銀が★4、赤が★3、青が★2、黒が★1だ。普段はこの4色しか出ない。
つまり、それ以外の色って事は…?
アクマはカプセルを開く。
《夢が詰まったカード手帳》
★5アイテムだった。アクマはカード手帳をゆっくりと開く。
《ウンディーネカードSR》Main
攻撃に水属性を付与する。水属性攻撃で与えるダメージ+20%
夢が詰まったカード手帳は開けるとボスカードの中からランダムで1枚入手できるアイテムで、アクマはなかなか良いカードを引けた。
今日は何をしようか悩んでいると、お知らせ掲示板に目がいく。
『レイドボスチャレンジ』
4月17日メンテナンス後~4月24日メンテナンスまで
参加条件:レベル10以上で3人以上のパーティーを組んでいる事
「パーティーかぁ」
現在のアクマはソロだ。イベントに参加するにはパーティーの登録が必要らしい。酒場にも暫定パーティーの募集的なものもあった。アクマは募集掲示板で、パーティーを探してみる事にした。
酒場で募集していたパーティーに参加する。ナイトのレオナルドとウィザードのダリアだ。2人のレベルは8らしく、イベントに向けたレベリングとパーティーメンバー探しをしているそうだ。今回はお試しという形でパーティーに参加する。
場所はプリンス東フィールドに来ている。狙いはメガラビットで、ボスの割にはステータスが低く、狩りやすいと情報があったからだ。
森の近くまで歩き、ようやくメガラビットを見つけたのだが…
「まさかこんなにいるとはな…」
レオナルドが呟く。メガラビットは群れで行動するように設定されており、そこには多くのラビットやメガラビットが生息していた。
「まずは手前のからやるぞ!」
レオナルドがそう言うと、手前のメガラビットを攻撃し、ターゲットを取る。メガラビットの攻撃はレオナルドのHPを2割程削った。
ギロッ!
そう聞こえたような気がする。
ターゲットが固定されたのを確認したダリアは、魔法を詠唱し、メガラビットを攻撃する。ファイアが命中し、メガラビットのHPを2割削った。
ギロッ!
やはり、そう聞こえたような気がする。
ドドド…
気にせず、ダリアは2発目のファイアをメガラビットに撃ち込む。アクマはレオナルドをヒールで回復する。
ドドドドドド……
地響きがするような…?
アクマが"それ"に気づいた時にはすでに手遅れだった。
もうお分かりだろうか?
メガラビットは"群れ"で行動する。
レオナルドに向かって突進してくるメガラビットの数…およそ12体。
【プロテクションⅠ】
アクマはレオナルドにバフをかけて援護する。しかし、メガラビットの攻撃はレオナルドのHPを1割強を削った。それが12体…
レオナルドはメガラビットの群れに飲み込まれ、魂だけになる。メガラビットを攻撃していたダリアも"同罪"となり、メガラビットはダリアをも飲み込んで行った。
「あちゃー。どうしよう?」
アクマはメガラビットの群れに囲まれながら悩んでいる。もちろんパーティーメンバーのアクマも"同罪"なのだ。しかし、アクマの防御力は初級クラスのボスがどうにかできるものではない。ダメージはゼロと表示されている。今はパーティーで、魂だけのメンバーを復活させる魔法も覚えてなかった。
結局、ホーリージャッジメントで吹き飛ばし、街からやり直す事になった。
街に戻り、パーティーメンバーと合流したが…
「あんた。さっきのわざと見殺しにしたな?」
とレオナルドが怒鳴り付けて来たのだ。
「あんな凄い魔法が使えるんだ。蘇生魔法が使えないなんて嘘だろ!」
とダリアもアクマを悪者にする。実際、パーティープレイをしている"上級者"プリーストは蘇生魔法を使える。アクマはソロプレイが中心だった故に"あんな魔法"を使えるようになったのだ。
結局、誤解を解けずにパーティーは解散となった。
すでに狩りの気分ではないアクマは、少し悲しみながらこの世界からログアウトするのだった。
またしても評価して頂けて嬉しいです!
サービス開始編 最終話『友を呼んでみたら…』は2月18日0時更新予定です。
次章は他のメンバーの視点で何話か挟んで、レイドボス編を書こうかなと思います。